花粉症ガール・Shiny晶華のNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガールというオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

必殺のリュウの話

歴代のリュウ

 

NOVA「今日も必殺話だ。メインテーマは、初登場の2014から今年で6年めだけど、今だに新人呼ばわりされている隆生こと隆、あるいはカタカナ表記でリュウの話だ。小五郎や涼次の話は、今まで何度も書いてきたし、そちらから書き始めるとリュウがおざなりになりそうなので、今回はリュウに焦点を絞ることにする」

リトル「リュウの話ですねぇ」

NOVA「って、今日の生徒役は君だけか? 晶華とシロ君はどうした?」

リトル「あっちで、ロードスのリプレイを読んでますぅ」

NOVA「ああ、月初めだから連載記事の4話が発表されたんだな。だったら、俺も読みに行こう」

リトル「リュウの話を見捨てないでぇ」

NOVA「何で君が気に掛けるんだ?」

リトル「リウも、ここでは割と新人のリトル・セイリュウだからですぅ。リュウという名前の新人は他人事には思えないですぅ」

NOVA「ああ。俺とは違う若者ならではのシンパシーを感じるんだな。というか、リュウというキャラを語るのに、役者の知念侑李ファンの人が彼をどう思っているか知りたいんだけど、どうもこれまで聞く機会はなくてなあ。若い必殺ファンがこの2000シリーズをどう受け止めているかの意見も勉強したいと思う」

リトル「では、今回は時空魔術師さまと二人でリュウ・タイムですぅ」

 

NOVA「必殺シリーズリュウと言えば、助け人の『島帰りの龍』(宮内洋)、仕事人の『組紐屋の竜』(京本政樹)、そして始末人の『リュウ』(俊藤光利)の3人がいて、いずれも特撮観点からも語ることのできる人々なんだ。まあ、始末人のリュウは作品自体がマイナーなので、語る機会は少なかったわけだが、トシちゃんや南野陽子ちゃん、そして樹木希林さんや、何よりも森次晃嗣さんが出演したことで、再評価したいところなんだけどなあ」

必殺始末人 全集 [DVD]

必殺始末人 全集 [DVD]

  • 発売日: 2010/11/10
  • メディア: DVD
 


必殺始末人~番宣風

リトル「時空魔術師さまが隆さんのことを評価するためには、どうしたらいいんでしょうかぁ」

NOVA「一番簡単なのは、役者の知念くんが特撮作品に出演することだな。結局のところ、俺個人にとっての馴染みの問題が大きいんだから、隆というキャラしか見えていない現状では、そのキャラの描かれ方で全てを判断するしかないわけだ。よって、ここで隆というキャラの批判をしても、役者に対する文句ではないということだ。よく知らないものを一面的に批判するつもりはないことを、先に書いておく」

リトル「でも、よく知らないからこそ、記事書きのために、あれこれ調べたり、記憶を再確認したりすることで、知っていこうという記事ですねぇ」

NOVA「ああ、そのつもりだ。よろしく付き合ってくれ、リウ君」

リトル「了解ですぅ」

NOVA「それと『時空魔術師さま』って言い方は、もう少し縮めてくれていいぞ」

リトル「縮めるぅ? するとじーさま?」

NOVA「爺さま呼ばわりは却下」

リトル「だったら、新星さまを縮めて、新さまですかぁ?」

NOVA「それぐらいなら妥当だな。新さんだったら、時代劇話や必殺話をするのに、いろいろ紛らわしいしな。松平健さんや梅宮辰夫さん、それに仕置屋の印玄などなど」

 

知念侑李と隆生について

 

NOVA「馴染みがないという意味では、役者の子の苗字も変わっているなあ、と思ったら、父親が沖縄出身の体操選手の知念孝さんで、バルセロナオリンピックの日本チームの主将だったんだな。つまり、父親の方が俺と同世代で、池谷らの先輩に当たる方だったと。

「そして、息子の侑李くんもジャニーズの若手俳優という知識しかなかったけど、ダンスだけでなく体操にも縁のある役者だったんだ。2018年の仕事人で、隆が突然、空中宙返りを披露したのもキャラではなく、演じ手の特性を示した演出ということで納得。だったら、隆の方ももっとアクション寄りのキャラに設定した方が良かったんだろうが、そこを再設定し直そうとしたのが2018年の作品だったのかもしれないな」

リトル「元々、隆さんというのはどういうキャラだったんですぅ?」

NOVA「真面目な僧侶見習い。元々は捨て子だったのが、寺の住職に育ててもらったんだけど、父親が殺されて復讐のために仕事人になったという顛末が2014で描かれた。心配する恋人も悪人に殺され、2014は隆生というキャラを成立させるための話というわけだ」

リトル「父親と恋人の死が、彼を仕事人にしたんですねぇ」

NOVA「ただ、その設定はあまり尾を引かないけどな。年に一回の放送だから、前回の出来事は次の話にあまり繋がって来ないで、基本的には引きずらない。だから、新キャラ加入や退場劇はあっても、それ以外の設定は大筋でリセットされ、キャラの人間関係も大きくは変わらない。

「逆に言えば、隆って『未熟な仕事人で、毎回トラブルメーカーとしてベテランを苛立たせるか、目立たずに空気となる』風にしか描かれなくて、しかも元・僧侶見習いという以外の職業背景すら持たないので、その回ごとにフリーターをやってて、たまたま事件に関わって来て、持ち前の正義感と純粋さだけで行動する深みのないキャラになってしまっている」

リトル「若いから深みがないのは仕方ないですぅ」

NOVA「そいつは、演じる知念くんに失礼だ。先代の源太や匳はしっかりキャラ立ちしていたし、隆だって『その職業ならではの役割や魅力』を描写できるはずなんだよ。例えば『からくり屋の源太』『仕立て屋の匳』のように二つ名を設定するだけで、キャラのイメージが定着するんだけど、隆だけは『何にも染まらない空白』を強調しているのか、回ごとに違う役割を与えられて、ドラマの隙間に放り込まれるだけの役どころ。とりあえず、若者ゲストと知り合って、ドラマに関わってくるけど、『チームとしての安定した立ち位置を持たない、定まらない若者』以上の存在感がないんだな。これは脚本家の寺田さんの現代若者観なのか?」

リトル「リウも似たような立ち位置ですぅ」

NOVA「そうなのか?」

リトル「晶華さんは花粉症ガール、シロ姉さんは忍者にしてパティシエ、新さまは時空魔術師にして言霊魔術師といった役割や二つ名を持ちますが、リウには何もありません」

NOVA「ゴジラの眷属であるセイリュウの息子、というのは立派な個性じゃないのか?」

リトル「そんなの、タロウの息子のタイガみたいなもので、自分自身を認められたわけではないですぅ」

NOVA「つまり、君は自分自身のアイデンティティーをまだ確立できずにいるわけか。そして、それは仕事人の隆も同じだと言いたいわけだな」

 

未熟なキャラの成長物語としての必殺懐古

 

NOVA「まあ、必殺シリーズは殺し屋の主人公を描く大人のドラマだが、その中でも未熟な若者を描くことも数多かった。たいていは理想論や抑えられない感情をむき出しにして、ベテランの大人に戒められる『若者の悩みを象徴した描かれ方』だけどな」

リトル「例えば、誰ですかぁ?」

NOVA「仕事人では、かんざしの秀だな。最初の必殺仕事人は、未熟な仕事人の秀の成長物語と言ってもいい」 


必殺仕事人 Ⅰ 挿入歌 「いま走れ いま生きる」 Full 三田村邦彦 

NOVA「その後も新・仕事人以降、秀は中村主水と最も長く付き合った若者パートナーとして、準主役格として成熟するまで描かれ続けた。しかも、彼の後の若手仕事人、順之助や竜、政が次々と殉職する中でも、秀はしっかり生き延び、一度は中村主水の死までも相方の三味線屋勇次とともに見届けたほどの逸材。

中村主水と対等な大人パートナーが仕置人の『念仏の鉄』とするなら、大人の中村主水を追っかけ続け、その成熟する姿をじっくり描き、若いころの俺自身がモデルケースとして感情移入して憧れ続けたのが『かざり職人の秀』なんだよ。もう、仕事人一番の成長頭は秀を置いて他にない」


新・必殺仕事人 エンディング「想い出の糸車」 Full 三田村邦彦


必殺仕事人Ⅳ 挿入歌 「自惚れ」 三田村邦彦(挿入歌サイズぐらい)


必殺まっしぐら! エンディング 「ゆれる…瞳」 Full 三田村邦彦

 

NOVA「俺は青春時代に三田村邦彦さんの演じる秀を格好いいと思い、自分も秀さんみたいになりたいと思い、そして、その秀を演じる三田村さんが必殺仕掛人藤枝梅安を演じる緒形拳さんをリスペクトし、その緒形さんの演じる仕事屋の半兵衛さんと共に仕事し、また緒形さん演じる時次郎のヘラ回しのシャキーンという効果音が秀のかんざし回しに受け継がれ、この先代へのリスペクトと継承の系譜が、俺にとっても非常に感情移入できるわけだ」

リトル「リスペクトと継承の系譜ですかぁ」

NOVA「そうなんだよ。誰かを格好いいと思い、誰かみたいになりたいとモデルケースに設定して、その人のことを追っかけたり、いろいろ真似てみたり、芸や技を取り入れてみたり、研究したりを続けて自分の糧にする。もちろん、そういう対象は一人じゃなくてもよくて、歴史上の偉人や故人でも構わない。その人の全てじゃなくてもいいが、とにかく自分が憧れた要素、感化された要素を自分の中に取り込む作業、それが間接的でも師事するってことだと考えるんだよ」

リトル「憧れる誰か、あるいは何かに出会えることが大事だということですかぁ?」

NOVA「そうだよ。その真逆の生き方が、何か、あるいは誰かをディスって、嘲り、自分が高みに立って偉くなったような錯覚に陥ることだと思う。俺も年を重ねて職業上、他人に偉そうに説教できる立場にいるけど、できれば成長する若者からも何かを学びたいと思うし、一生懸命でキラキラ輝く姿に格好良さや可愛さを感じとって、そこをリスペクトし、研究して、自分の元気の糧にしたい。逆に、今の若者が『俺が秀さんを見て感じた憧れを、知念くん演じる隆を見て感じられている』なら、それで良し。そうでないなら、それは時代のせいか、作り手のせいか、と懸念する」

リトル「ああ、隆さんの話に戻って来ましたねぇ。このままずっと、秀さんの話を延々と続けるんじゃないか、と心配しましたぁ」

NOVA「うん、俺も今回の記事タイトルを『必殺の秀の話』にしようかという誘惑に書きながら駆られたりもしたが、そうすると記事一つじゃ到底収まらないことに気付いて、ブレーキを踏んだ次第だ。しかも、今の時代、秀について語るなら、三田村さんの息子の中山麻聖さんの話に流れて、京本政樹と絡めて、牙狼に話題転換してしまいそうだからな」


映画『牙狼 GARO -月虹ノ旅人-』予告編


【360度動画】『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』中山麻聖/小西遼生/渡辺裕之/雨宮慶太コメント映像【3月18日BD/DVD発売】/GARO PROJECT #164

 

リトル「ああ、そっちに流れると、また戻って来れなくなりそうですぅ」

NOVA「うん。俺が若い時に感じた必殺のエッセンスは、本家・仕事人ではなく、牙狼に引き継がれていると思うんだよ。つまり、仕事人が転職して魔戒騎士になったとか、そっちの方がよほど話が膨らむし、俺が愛した80年代の古き良き必殺魂は形を変えて、今もいろいろなところに受け継がれているということだ」

リトル「本家・仕事人2000シリーズには受け継がれていないのですかぁ?」

NOVA「どうだろうな。監督の石原興さんや、涼次の松岡さんの先達リスペクトっぷりなどしっかり継承している人たちもいるから皆無とは言えないが。少なくとも、メイン脚本家の寺田さんは80年代よりも、70年代の仕事人以前の必殺リスペクトで、それはそれでマニア的には悪くないんだけど、若者を育てる作風じゃなかったので、隆というキャラが相当、割を食ったんじゃないかと思う」

リトル「寺田さんは若者を魅力的に描けない?」

NOVA「脚本家だけのせいにするのはどうかと思うが、今の仕事人は若者を惹きつける作品になっているのかね。そういう魅力がなく、逆にオールドファンですら『俺の見たい必殺はこうじゃない』と言い続けるのなら未来はないよなあ。マニアが昔を懐古し、今の現状に不満をこぼしながら、ダラダラ駄文を書きつらねるネタにしかならないようじゃな。とにかく、隆を格好よく、若者がリスペクトできるようなキャラに仕立て直すことが、令和の仕事人に課された使命だと思うぜ」

 

隆の系譜

 

NOVA「ともあれ、必殺2000シリーズでは、源太→匳→隆という新人仕事人の系譜があるんだが、未熟→経験積んだ若者→未熟という段取りを踏んでいるかと思いきや、寺田さん的にはそうじゃなかったとも解釈できる」

リトル「どういうことですかぁ?」

NOVA「匳のキャラ構築は、寺田さんではなくて森下さんだからだよ。つまり、寺田さんの中では源太→隆という新人仕事人の系譜が直結していて、さらに未熟な若者代表という意味では、隆は如月の後継者にもなっているんだ」

リトル「如月って女の子ですよぅ」

NOVA「そう。だから盲点になってた。実は源太は未熟な仕事人と言われ続けているが、一人の人間としてはそれほど未熟でもない。からくり屋という職業人(2009では亡き想い人の小料理屋を引き継ぐ)で、想い人の子供である作太郎の保護者、父親というよりは兄貴分としての顔も持っていて、足場固めはしっかりできていたんだ。ただ、『慣れない保護者』『慣れない小料理屋』『慣れない仕事人』という三つの不慣れな環境に置かれて、自分の本職であるからくり細工は、必殺技に名残を残すのみ。実は、とんだ苦労を背負わされた挙句のストレスで、非業の最期を遂げたと解釈することもできる」

リトル「新さまは、そんな源太さんのことが好きだったのですかぁ?」

NOVA「技が面白いし、有望な仲間だったと思うよ。ただ、いろいろな物を背負わされすぎたな。これは小五郎にも涼次にも言えることだけど、小五郎には主水さんという後見人がいたし、涼次は根がチャランポランで私生活ではあまりストレスを溜めないからな。強いて言えば、如月との関わり合いが涼次にとってのストレスだったろうが」

リトル「如月さんはどういうキャラだったんですぅ?」

NOVA「忍者という設定なのに、姉の玉櫛とは性格が全然違っていて、天真爛漫な少女キャラで危なっかしい。ある意味、うちの娘みたいなものか」

晶華「呼んだ?」

NOVA「お前じゃない。姉の翔花の方だ。どちらかと言えば、お前の方が玉櫛に似ていると俺的には思うぞ」

晶華「ええと、何の話?」

NOVA「仕事人2009の如月が、天真爛漫で危なっかしいって話だ」

晶華「ああ、うちのお姉ちゃんみたいなものね」

NOVA「だろう? まあ、それはともかく、如月はスリ技能を持っているキャラで、従来なら『鉄砲玉のおきん』などの女密偵キャラの系譜だったんだが、結局、裏稼業に深く染まらずに、涼次の足手まといにならないよう身を引いた。どうも、寺田さんは『若者=足手まといで危なっかしい』という描写しかできないらしい」

リトル「だったら、大人が面倒見る形のドラマが成立するですぅ」

NOVA「若者を登場させるなら、まずはそういう形を取るよな。他にはシリアスな話におけるムードメーカーとか。如月は十分ムードメーカーの仕事をしていたし、純粋無垢の人情キャラとして好感が持てるヒロインだった。一方、源太は前述の慣れない苦労のために、ストレスを負わされて、本来持つ陽性を削がれていった」

リトル「で、死んじゃったわけですねぇ」

NOVA「結局、2009チームが、新人教育に向いた環境じゃなかったのか、それとも当時の世相を反映した結果なのか、源太は帰らぬ人となった。まあ、直後に元仕事人の伊吹吾郎さんが後見する『侍戦隊シンケンジャー』でシンケンゴールドこと寿司屋の源太という超陽性キャラが登場して、俺の中では転生した感じに思えたんだけどな。役者とは関係ないところで」

晶華「役者の大倉忠義さんはどうなったの?」

NOVA「2012年と14年に『エイトレンジャー』2作に登場し、エイトグリーンになっていたりする」

晶華「そっちはそっちで戦隊ヒーローになったんだ」

NOVA「厳密には、関ジャニ主演の戦隊パロディ・アイドル映画って感じだが、エグゼイドやゼロワンの高橋悠也さんが脚本を書いているので、特撮つながりと言えなくもない。ともあれ、源太の生真面目さと、如月の純粋無垢、そして職を持たない自由人らしさを組み合わせたのが隆ということも考えられる」

リトル「生真面目で、純粋無垢で、自由人。寺田さんの今の若者のイメージですかねぇ」

NOVA「すると、大人は不真面目で、世間の汚れに染まっていて、責任に縛られた職業人ということか。なるほど、対になっているなあ。まあ、涼次は趣味人の顔が濃厚で、本職の経師屋(ふすま絵を描いたりする職業。現代風に言えばイラストレーターになるか)の仕事よりも、料理研究家になったり、結構フリーに描かれているが」

シロ「元は伊賀忍者だったのですね」

NOVA「ああ、君も来たのか。まあ、忍者の話だからな。忍者といえば、組紐屋の竜がそういうキャラで、涼次のキャラ設定には、いろいろなキャラのリスペクトが詰まっている。その一部を隆にも分けて欲しいんだけどな。当初は、僧侶上がりということで、鉄や印玄みたいな怪力キャラか、山本陽平の演じたスキゾーみたいな順之助系譜のアイデアマンか、どういう方向かとワクワクしたのに、単に短刀で刺すだけ。時々、数珠を演出に使っているけど、もっとこう、坊さんらしい必殺技ってないのかね?」

リトル「例えば?」

NOVA「読経で呪い殺すとか、とんちでひねり殺すとか?」

晶華「NOVAちゃんの僧侶イメージってどうなっているのよ?」

NOVA「冗談だよ、冗談。僧侶の使う武器と言えば……仕込み錫杖とか、いろいろあるけど、とにかく隆には仕事人としての技のこだわりがないんだよな。ここで隆が一発、体術を活用して、飛び蹴りでもかまして、それからとどめに短刀グサリって感じにアクション見せてくれるなら、俺はおおって褒め称える。大体、若手仕事人の役割って、躍動感溢れるアクションなのに、それが一番地味でどうするんだよって感じ。数珠玉を引きちぎって、相手の足元に転がせて、相手が転んだところをグサッとか、そんなのでもいいから、とにかく彼ならではの魅せる必殺技を用意してやれよ、と」

シロ「毎回、数珠玉を引きちぎるというのもどうなんですか?」

NOVA「毎回クルミを割っている石屋や、毎回走りながら花の枝を折っている花屋や、毎回筮竹をばら撒いて凶と言ってる占い師や、毎回破裂する竹鉄砲を射っている鋳掛屋がいたんだから、数珠の一つや二つ毎回犠牲にしてもいいじゃないか。要は、そのキャラごとの個性ある演出を隆にも作ってやれよということだ。仕事前におみくじで縁起を担ぐとか、仕事前に入浴するとか、仕事前に養い娘の寝顔を見るとか、そんな定番演出でもいいから、何かそのキャラの特徴的な描写を見せないと、何だか隆が使い捨てキャラみたいで不憫だ。俺、もしも隆のキャラ真似をして見せろと言われても、何もできないぜ」

晶華「小五郎さんだったら?」

NOVA「イヤミっぽく無表情で冷酷に相手を斬るふり。直後に鏡花水月を流す」

シロ「涼次さんだったら?」

NOVA「錐をブルンブルン、オーバーアクションで回転させて、背後からジュッと突き刺す。おまけにレントゲンで心臓をグシュッ。BGMは想い出の糸車アレンジで秀さんオマージュ」

リトル「源太さんや、匳さんもそれぞれ語れそうですね」

NOVA「BGMでも源太は旅愁アレンジ、匳は新仕置人の出陣テーマにオリジナル前奏を足したものが蘇ってくるんだが、隆だけは何も定番が浮かび上がって来ない。瓦屋の陣八郎もBGMはピンと来ないが、技はマネできる。単純なのに演出が面白い、脳天砕きだな。瓦を割る要領で、職業にもフィットしてる」

晶華「つまり、NOVAちゃんは、隆さんをキャラ立ちするために定番必殺技を用意しろって言ってるのね?」

NOVA「だって、必殺仕事人だぜ。定番の必殺技も持ってないし、定番の仕事にも就いていない。フリーターと言えば、何でも屋の加代や、時計屋の夢次がシリーズでは有名だが、加代は女密偵から元締め格に成長していき、しかもメンバーの連絡係でチームを支える屋台骨だ。夢次はからくり仕掛けの鉄砲という技は定番で、時計屋の前職とアイデアマンというキャラ性を発揮した平賀源内オマージュっぽいところがある」

シロ「その人たちは、連続ドラマのレギュラーとして毎週、出番がありましたよね」

NOVA「いや、たった一回しか登場していないキャラでも、必殺技が面白ければ印象に残るんだよ。鉄球投げる鬼丸とか(亜仁丸レスリー)、竹トンボブーメランを使う鉄トンボの弥助とか(高峰「ウルトラマンA」圭二)、その技を一回見ただけでキャラが定着するインパクトが、隆にも欲しいよね。『短刀突き刺し坊主上がりの隆生』じゃあ、今どきのラノベタイトルにはなれても、仕事人としては使えん」

晶華「『仕事人になったと思ったら、短刀という地味な技のせいで、時空魔術師にディスられっぱなしの坊主上がりのアイドルに未来はあるか?』というタイトルのラノベが書けそうね」

NOVA「ちゃっかり無印仕事人の初期サブタイトルっぽく見せてるんじゃねえよ。とにかく、俺は隆が一人前の仕事人として、『昔の秀さんみたいに、若者から格好いい、真似したいと騒がれ、制作スタッフが殺そうとしてもファンから助命嘆願がいっぱい来るほどのアイドル仕事人』として大成して欲しいと言っておくぜ。

「主題歌の鏡花水月に、いつまでも殉職した源太がはびこっているようじゃダメだ。メンバー変わったんだから、仮に主題歌続投するにしても、知念くんヴァージョンを出してやれよ。水戸黄門のお馴染み主題歌だって、歌い手の助格コンビが変わるごとに別ヴァージョン主題歌作ってきたんだからよ。かつてのチャレンジ精神旺盛だった必殺が、そういうところで手を抜いてちゃいけねえな。

「やっぱり仕事人は面白くなって欲しいんだよ。若手はアクションで魅せて欲しいんだよ。おい、あんた聞いてんの? 聞いてんのかよ? あら もう死んでやがらあ(シリーズが)……ってことにならないように願っています。まずはこれまで、あらあらかしこ」

 


仕業人OP

  (当記事 完)