Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

久しぶりの読書記事

 春以降、自分で少しずつ小説(プレ・ラーリオス)を書き進めながら、ちょこちょこ本を読んでいる現状。
 久々に感想を書いてみます。

ドラル国戦史読了

高峰の決戦 (ドラル国戦史7) (ハヤカワ文庫FT)新しき神々―ドラル国戦史〈8〉 (ハヤカワ文庫FT)
 作者のエディングスが昨年の6月に亡くなったので、何だか悲しくて、続きが読めずにいたシリーズ。まあ、さすがにいつまでも喪に服すのもどうよ、と思って、最近、読了。
 7巻は、タイトルに偽りあり。「高峰の決戦」と言いつつ、「決戦のための準備の砦作り」で終わります。というか、元々、このシリーズ、1つの話を2巻に分けているので、奇数巻では決着がつかず、偶数巻で昆虫人間の侵略(その他、人間の争い)から一つの地方を守って、次の地方に向かうという話の構成。よって、奇数巻で「決戦」というのは、元々ありえない、と。
 そして、7巻は「自己中で正気を失くした女神アラシア」が、「自分の巨大神殿だけ守れ。他の領地のことは知らん」とのたまったため、人間側の戦士勢が呆れながらも、アラシアを適当にだまして神殿の警護をしているように見せかけつつ、別部隊が、領地に通じる峠に砦を建築……という話なんですな。
 でも、最後まで読むと、この砦を巡る決戦には全くならなくて、軍勢による一大決戦というものを期待すると肩透かしです。これだけ準備に力を入れたのに、最後は「少人数のパーティーによる不思議パワーを駆使しての敵陣突破で、ボスキャラを暗殺……というか生き地獄に貶める決着のつけ方」でオチ、と。まあ、この辺はファンタジーの王道でもあるんですけどね、『指輪物語』で大規模な軍事活動の影で、小さいホビットが隠密行動で敵陣突破して、敵の力の源である指輪を火山に投げ入れてエンド、とまあ、それに近い話。
 今までは「軍隊による大決戦→神の奇跡によるスペクタクル」というパターンだったのに対し、今回は、決戦の部分が割愛されて、本当に陰謀と隠密活動だけで話が終わり、ここまで戦士が役に立たず、砦作りだけで終わったことに呆然。いや、まあ、敵軍勢の偵察とか、牽制とか、一応、軍事活動は行っているのですが、大規模な激突はなしなわけで。
 代わりに、昆虫人間のスパイの女神官が、女神の巨大神殿にこっそり侵入して、内部撹乱を図っています。そして、女神を洗脳して、後継の少女神の暗殺を企てる展開。軍事物よりも、むしろ宮廷陰謀ものめいた話なんですな。結局、暗殺劇は失敗し、洗脳された女神は「生き物の殺害をしてはいけない」という世界の禁忌*1に反したため、消滅してしまいます。合掌。


 で、さすがに「自分の娘である女神」が消滅しちゃったものだから、「真の神である男女神」が怒って、自ら昆虫人間の女王のところに乗り込んじゃう展開になるんですね。で、その顛末を目撃するべく、少数の人間をお供に連れて行くわけですが。
 8巻の方は、女神アラシアの失墜と、意識を一般の農夫に封じていた真の神の覚醒*2、そして最終決戦と、その後の物語の終了まで、一気に進みます。
 でも、しっくり来ない終わり方ですな。
 やはり、ここまで軍隊物として展開したのに、最後の最後で、神様出てきて、カタルシスのない終わり方を示すのはなあ*3。まあ、自分的にお気に入りは、虫に洗脳された女神、さらに、昆虫人間の女王が「その女神こそ地上の支配者」と誤解して自ら、その女神の姿に擬態するという、まあ悪オチ的萌え描写。


 それでもまあ、これで終わってくれたら、まだいいです。
 昆虫人間の襲撃を乗り越えて、人間達がそれぞれの出会いと交流を経て、ある者は友情で、ある者は愛情で、人種を越えて結ばれていく、という大団円。
 ところが……代変わりした少女神様が、お気に入りのレンジャー風キャラクター「長弓」のためにとんでもないことをします。長弓は、昆虫人間のために愛する許婚を殺されて、復讐のために生涯をかける本作最強キャラなんですが*4、その「長弓に幸せを」ということで、時間を巻き戻してしまいます。
 そんなわけで、昆虫人間との戦いがなかったことになった歴史がスタート。最後の最後で、「思いきり夢オチ」、これまでの戦いはなかったことにされちゃうストーリーに、お〜い、とツッコミを入れたくなりました。


 いやね、本シリーズの原題が、『Dreamers(夢見る神々)』なので、ラストがそうなってもタイトルどおりと言わざるを得ないのですが。


 で、同作者の次に翻訳された作品は、まだ読んでません。まあ、これも、そのうち。
アルサラスの贖罪〈1〉黒猫の家 (ハヤカワ文庫FT)アルサラスの贖罪〈2〉女王と軍人 (ハヤカワ文庫FT)アルサラスの贖罪〈3〉善と悪の決戦 (ハヤカワ文庫FT)

*1:天変地異を起こすことはできても、直接、生き物を殺しちゃダメ、というルール。生き物に対して「消えろ」と呪文をかけたら、その力が自分に返ってくるという設定。

*2:奥さんの方は、以前から真の女神としてこっそり動いていたけど、旦那も神様だったとは、最終巻でのサプライズ。

*3:昆虫人間の女王を抹殺するのではなく、産んだ卵から孵る子が共食いの犠牲になる呪いをかけられて、母親として永遠の苦しみを与えられながら生き続ける末路。

*4:何をもって最強かは意見が分かれるところですが、神々のお気に入りとして愛され、百発百中の弓の腕を持ち、単独の隠密行動と持久力、移動スピード、観察力では群を抜き、昆虫人間の弱点を徹底的に研究するファンタジー版ゴルゴのようなキャラ。まあ、軍隊を率いたり、魔法を使用したり、接近戦の達人としては描写されていませんが、1対1では神様以外、誰とやっても負けないはず。