Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』追想

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新版 指輪物語〈5〉二つの塔 上1 (評論社文庫)新版 指輪物語〈6〉二つの塔 上2 (評論社文庫)新版 指輪物語〈7〉二つの塔 下 (評論社文庫)
 2002年年末、日本では2003年の2月に公開されたのが、『指輪』の第2部『二つの塔』です。
 自分としては、三部作のうちで、この第2弾が最も好きな作品となります。
 前作は、『指輪』世界の映像化を喜びつつも、作品ストーリーは原作のダイジェストに感じて、「映画<原作」の感情から抜け出せなかった。「おお、『指輪』の映像化か。ああ、雰囲気は思ったより悪くないね。いろいろツッコミどころはあるけれど……」という感想だったのに対し、
 第2作は、訳語の違いという細かい違和感には慣れ、「おお、アクションシーン凄え。このバトルの雄大さは、原作をさらに膨らました映像ならではのものだなあ。エオウィンも可愛いし。第3作も早く見てえ」とストレートに喜べた。
 それでも、ツッコミどころとしては、「ドワーフギムリの扱いが悪いなあ」って感じですが、そういうドワーフファンは『ホビット』見て、積年の不満を晴らせるといいわけで。
EA BEST HITS ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔
 PS2のゲームも出て、普段はアクションゲームをあまりやらないNOVAも、喜んで購入。こちらは何とかクリアできました。

灰色から白へ

 映画の冒頭は、ガンダルフVSバルログの死闘から始まります。
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 前作の終盤で、影と炎の魔神とも称されるバルログと単身戦い、モリア鉱山のカザド・ドゥムの橋から転落したガンダルフ
 開始時から白熱するバトルという見事なホットスタート*1


 さて、このバルログですが、原作では非常に強力な恐ろしい魔神ということですが、残念ながら劇場版ではその恐ろしさが表現しきれていません。というのも、CGで揺らめきながら動く巨大な影という描写で、本作の長所であるリアリティ溢れる描写や、重厚な質感を伴わない感じだったから。
 描写が間違っているわけではないのだけど、他の描写の迫力に競り負けたという印象なんですね。
 原作では、それまで無敵ぶりを誇った旅の仲間の戦士が、バルログの姿を見た途端、戦意喪失して絶望してしまう描写だったのですが、
 映画では、そうなる前にガンダルフが、「奴には勝てん。逃げるぞ」という一言で、バトルからチェイスに切り替わる。つまり、絶望を感じる前に、アクティブな脱出シーンになるせいで、スリルはあっても、重々しい恐怖感には至らない、と。
 恐怖という意味では、劇場版では「圧倒的な数の軍勢による脅威」の方を強調していますので、単体で恐ろしいバルログの脅威がじっくり描く間もなく、尺の都合でイベント的に処理された感。


 で、そのバルログ戦が第2部冒頭でもう一度見られたわけですが、
 こちらはバルログの攻撃をしのぐガンダルフが優勢でして、さすがはガンダルフという感じ。
 不遇なバルログですが、他の巨敵のトロールなんかと違って、味方の戦士に格闘戦で直接ダメージを与えていない点が、迫力不足なのかな、と。
 まあ、この不遇さは、『ホビット』第2部のスマウグで払拭できたらな、と期待します。こちらは大暴れして町一つを滅ぼした挙句、復讐の弓矢を急所に受けて死亡、という呆気ない散り際なので、映画ではもっと迫力ある戦いに改変されたらなあ。

 ともあれ、バルログの脅威よりも、ガンダルフ覚醒という荘厳な雰囲気で始まった第2部冒頭。
 何だかんだ言って、原作のバルログ戦はガンダルフのセリフで語られるだけなので、その戦いが直接映像で見られただけでも、つかみはバッチリ。
 これにて、灰色から白になる背景まで補完、と。
ロード・オブ・ザ・リング ガンダルフとシャドウフォックス スタチュー

二つの塔

 さて、『二つの塔』は、前作のラストで離散した旅の仲間それぞれの視点で、別々に描かれる物語です。
 原作の上巻では、「オークにさらわれたホビットのメリーとピピン」と「それを追跡するアラゴルンレゴラスギムリ」の二つのグループの視点が切り替わり、辺境国ローハンを舞台にした戦争へと発展する展開。
 敵役は、二つの塔の一方の主であり、裏切った白の魔法使いのサルマン。彼に対する防衛戦と反攻という流れがあるので、実にダイナミックな展開。


 もう一方の下巻の方で、「指輪を運ぶフロドとサムの旅」が描かれるわけですが、こちらはかつての指輪の持ち主であったゴラム*2との交流と、二人のホビットの絆が描かれるものの、割と地味な話。
 こちらの敵役は、二つの塔のもう一方の主である魔王サウロン。だけど、サウロンとの決着は次回に持ち越されるので、いろいろと中途半端な終わり方で、続巻につづいた感じですね。


 このように、原作では完全に別々に描かれたそれぞれの旅路が、映画では上手く構成されて、原作をなぞった第1部よりも、新鮮に感じられました。
 最後は、やはりサムが美味しい役どころを担って、ほぼ主人公交替的な雰囲気で終わりますし。

メリーとピピン

 指輪所持者と間違えられ、サルマンの送ったオークに連れさらわれた二人のホビット
 原作では、虜囚となった彼らの苦痛溢れる道行きが丁寧に描かれ、その分、ホビットのしぶとさも納得させられる話なんですが、
 映画では、さすがに悲惨な映像を延々と見せ付けることなく、割ととんとん拍子で物語が進みます。
 その後は、ファンゴルンの森でエント(樹人族)の「木の髭」に保護されて、のんびりサルマン攻略会議を展開。
 原作では、演説の力でエントの心を戦いに向けたホビットたちですが、
 映画では、エントにサルマンの非道を直接見せ付ける方向に誘導することで説得する形に。
 この改変は、「言葉を重視する小説と、映像を重視する映画」の違いを如実に示していたと思います。
 まあ、「百聞は一見にしかず」って感じですか。


 ただ、原作小説では「誠意ある言葉を示したホビットが、エントの心を動かした」感じですが、映画では「上手くエントをそそのかした。してやったり」的なごまかしを感じたのが残念。


 ともあれ、怒ったエントたちによるオルサンクの塔破壊シーンは、本作最大のCGスペクタクル映像でした。

アラゴルン一行

ロード・オブ・ザ・リング二つの塔 6インチフィギュア アラゴルンロード・オブ・ザ・リング レゴラス 20インチ トーキングフィギュアLord Of The Rings - Animated Statue: Gimli
 メリーたちを助けるために、オークの追跡を敢行した人間、エルフ、ドワーフの3人の戦士。
 アラゴルンが野伏(レンジャー)の追跡能力をフルに発揮して、オークたちの足跡から何が起こったのか推測するエピソードは、原作でも結構好きな流れです。
 で、それが映画でどう描かれているか気にしてはいたのですが、「アラゴルンの言葉の説明を背景に、メリーたちの行動が映像で示される」という上手い処理の仕方に感心。
 この辺、原作ではメリーたちの行動シーンをじっくり描いてから、改めてアラゴルン視点の推測を交えていくので、丁寧な分、冗長になりかねないところ。よって、映像で全くカットされていてもおかしくないな、と考えていたのですが。
 結果的に、メリーたちのシーンと、アラゴルンのシーンを上手くリンクさせた形になったわけですね。


 ともあれ、オークの群れがローハンの騎士に殲滅させられ、メリーたちはファンゴルンの森に逃げ込んだことを知ったアラゴルンたちは、森に入ったところで、白のガンダルフに再会します。
 原作では、「白の魔法使いは、サルマンかもしれない」と疑心暗鬼に駆られていた彼らですが、映画では、あっさりガンダルフの復活を認め、喜びを示します。
 ここで、ガンダルフの導きに従い、ローハンの戦争に協力する流れになって、個人レベルの冒険話から、国家レベルの戦争話に大きく切り替わっていくのですが、
 物語としては、アラゴルンに恋するローハンの姫騎士エオウィンの登場で、華が開くところですね。
ブロマイド写真★『ロード・オブ・ザ・リング』エオウィン(ミランダ・オットー)/馬と

ローハンの戦士

 物語の中心にいるのは、大きく3人。
 国王のセオデンと、甥のエオメル、姪のエオウィンです。
 セオデンの子であり、王子のセオドレドはオークとの戦いで討ち死にし、王はサルマンの陰謀で気力を喪失。
 主戦派のエオメルが追放される形になり、王の身と兄を心配するエオウィンが悲嘆に暮れる状況で、ガンダルフに率いられたアラゴルン一行が現われる、と。


 ガンダルフは、サルマンの部下でありセオデンの心を操っていた「蛇の舌グリマ」の正体を暴くと、王の元気を取り戻させます。
 そして、サルマンのオークの軍勢に蹂躙されている国土を回復させるために、ヘルム峡谷の砦で決戦を挑もうと決意。
 ただ、サルマンのオーク軍の数は強大で、エオメルを追放したために主戦力を欠いてしまったローハン軍では太刀打ちできるかどうか。


 結果的に、アラゴルンたちが時間稼ぎの戦いを繰り広げている間に、ガンダルフがエオメル軍に連絡をとり、救援に駆けつける形でオーク軍に逆転勝利を果たすストーリーですが、
 原作では、エオメルは当初からヘルム峡谷で戦っており、ガンダルフが救援に連れてきたのは、それ以前の戦いに敗れ行方不明になっていた西の領主エルケンブランド。
 よって、本来は共に戦って親友となっていたエオメルとギムリの関係が、映画では割愛されることに。

エオメルとギムリ

 原作では、セオデンに追放されず牢屋に監禁されたために、セオデン改心後は、ローハン軍の指揮官の立場でじっくり描写されるエオメル。
 ギムリとの関係は、彼の敬愛するガラドリエル様に対して、エオメルが不信感を表明したことから険悪なものとなりましたが、共に戦い、オーク軍相手に一時的に行方不明になりつつも協力して生き延びたことから、親友同士に。
 で、物語の最後の方に、「ガラドリエル様が一番美しい」と評するギムリに対して、「いや、一番美しいのは(アラゴルンの妻となった)アルウェン様だ」と反論して、「む、そういうことなら、そちらの言い分も認めざるを得ない」と納得してみせるギムリとの関係性がいい感じなんですけどね。


 映画では、ピンチの砦を救出に来る騎兵隊の役を果たしたために、美味しい活躍はしたんだけど、キャラ同士の交流面では目立たなくなってしまったエオメルが、自分的には残念。
 第3部でも、セオデンの活躍と死に対して、エオメルは指揮官の一人でしかなくて、これといった見せ場が与えられなかったわけで。


 一方のギムリも、行方不明になったもののオークを倒し続けて生還……という見せ場を失っており、
 ギムリが行方不明になって心配するレゴラスとの撃退数比べ、というイベントも改変。途中で矢が切れたために、撃退数を稼げなくなったレゴラスに対して、ギムリは勝利を宣言。それに対して、レゴラスは「君が生きていてくれたんだから、撃退数で負けても残念ではない」と言って、友情を深める、と。


 映画では、ギムリが斧で地道に戦っているのに対し、レゴラスは弓矢の連射やアクロバティックな体術を駆使して、次々と撃退数を稼ぐ。
 余裕のレゴラス対「ええい、エルフに負けてたまるか」と必死なギムリが、ギャグタッチで描かれ、どうもギムリはコメディキャラという形になってしまった、と*3
 ただ、その後、DVDで追加された特別映像で、ギムリレゴラスの撃退数比べは最終的に引き分け、ということが判明し、ギムリの戦士としての名誉は守られたな、と。
 

エルフの華々しさと悲劇

 本作の戦争アクションシーンは基本的にリアルなんですが、唯一、リアルさよりもけれん味を前面に出したのがレゴラス


 前作では、トロールに対して、アクロバティック殺法で急所に弓を放って仕留めたわけですが、
 今作では、スケボー風に城壁を滑り降りて、華麗にオークを撃退していくシーンで喝采
 さらに次作では、巨大なオリファントの体に駆け上って、騎乗している敵兵士たちを殲滅。その後、オリファントの急所に矢を射て、駆け下りるや、オリファントがどどーんと崩れ落ちるなど、
 毎回のように派手な見せ場が用意されておりました。
 なお、このアクションスターのレゴラス君ですが、『ホビット』の2作目でも登場予定。『ホビット』は『指輪』の60年前の物語ですが、寿命の長いエルフには問題ないわけで。
 ギムリは、『ホビット』に出てきたグローインの息子ですが、
 レゴラスも、『ホビット』に出てきた闇の森のエルフ王(後にスランドゥイルと名前が設定)の息子という設定。
 トーリンの一行が闇の森に迷い込んだ際、そこのエルフと衝突する流れなんですが、果たして『ホビット』原作には出ていないレゴラスがどう絡んでくるか、楽しみです。


 あと、闇の森といえば、原作にないオリジナルキャラとしてエルフの女性タウリエルが登場するそうな。
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 そして、原作にないラブロマンスネタとして、ドワーフの美形キーリがエルフの娘と悲恋を展開する話もあるという噂。相手がタウリエルかどうかは不明。


 って、『ホビット』第2部でなく、『指輪』第2部の話だった。
 ええと、オリジナルと言えば、本作にローハン軍の救援として駆けつけたエルフの弓兵部隊を率いるハルディアさん。
 ロスロリエーンの案内役で、アラゴルンとは旧知の仲なんですが、わざわざ死ぬために登場した形になります。
 レゴラスが強すぎるために、「エルフだって無敵じゃない。ちゃんと死ぬんだよ」という描写をしたかった、とか。


 すると、『ホビット』でも、レゴラスが死んだら歴史は変わるから有り得ないとして、タウリエルが死んでしまう可能性はあるわけですな。まあ、第3部まで出る予定のことだから、死ぬとしたら「五軍の戦い」中ってことになるんでしょうけど、仮にキーリと絡むとしたら、互いに手と手を取り合って討ち死に、なんてシーンになるのかな、と今からドキドキです。
 まあ、果たして、タウリエルというキャラに萌えられるかどうかは、未定なんだけどね。

アラゴルンの三角関係

 で、恋と言えば、アラゴルンなんですが、
 婚約者のアルウェンとは、宝石を授けて遠距離恋愛中。今だ煮えくり返らぬ彼に、回想シーンやら夢やらで誘惑の思念を送っておりまする。
 一方、アラゴルンに恋してしまった姫騎士エオウィンですが、モーションをかけつつも、その満たされない一方的な想いに、萌えを感じてしまった自分がいます。


 でも、このエオウィン、DVDの特別映像で「料理下手」という原作にない属性が加えられて、どうしたものか。
 せっかく、アラゴルンのために、と作ってみたものの、それを一口食べて、表情を引きつらせる彼。エオウィンが座を離れた隙に捨てようとしたところ、彼女が振り返って、慌てて何事もなかったかのように取り繕う。
 う〜ん、原作では完璧超人のアラゴルンが……。


 で、このアラゴルン
 本作では、原作のギムリの代わりに、オーク騎兵の襲撃で崖から落ちて行方不明になるというビックリの展開を見せます。
 「何だか弱いぞ、アラゴルン」と思って見ていたのですが、第3部を見てから納得。「ああ、まだアンデュリルの剣を装備していないから、戦闘力も超人レベルには成りきっていなかったのね」と。


 結局、エオウィンの恋心を高めるために、アラゴルン行方不明というイベントが仕込まれたわけですが、
 アラゴルンの方も、意識を失っている最中に、婚約者の想いを感じとったことで、自分の想いを再確認する展開。
 でも、その婚約者アルウェンは、父親の命に従い、闇に包まれかけた中つ国から西方に向かう船に乗ることに……果たして、彼らの恋はどうなるの? 


 とまあ、原作の恋愛模様を映画はさらに膨らませたわけで。

そしてファラミア

 戦いの嵐が吹き荒れるローハンの地をよそに、こっそり旅を続けるフロドとサム。道案内にゴラムを同行させたものの、モルドールの黒門は大軍勢が集結していて、侵入はできそうにない。
 そして、隠密行動中の彼らを、偵察活動中のゴンドールの密偵たちが捕らえたところからクライマックス。


 ボロミアの弟ファラミアがフロドとサムを自分の砦に連行し、事情を問い質します。
 指輪のことは秘密なので、何とか言葉を濁しながら、「自分たちの特別な使命を果たすために、解放してください」と要望するフロド。
 原作では、フロドの事情を理解したファラミアが聞き分けよく、解放してくれるのですが、
 映画では、ボロミア以上に功名心に駆られた彼は、フロドと指輪をゴンドール本国に持ち帰ろうとします。
 DVDの特別映像だと、ボロミアとファラミアと父デネソールの関係が回想シーンで描かれ、「兄のボロミアを贔屓し、弟のファラミアに冷たく当たる父」「弟を庇い、弱き者を助ける大らかな兄」「兄を尊敬しつつ、父に自分を認めてもらいたいと切望する弟」という人間関係が強調されます。
 そして、こういう人間関係である以上、弟が兄以上の人格者であるという原作の描かれ方はおかしいと判断したのでしょうか、
 ファラミアは、兄以上の執着と、生来の陰湿さをもって、指輪を手に入れようとします。


 そこに襲撃するナズグル。
 まるで、指輪の力でフロドに召喚されたように、砦を破壊する幽鬼の姿に、ファラミアは人の力で指輪を制御することが困難だと悟ります。
 ナズグルに自分を捧げようと、ふらふらと歩み寄ろうとするフロド。
 主人の愚行を必死に止めて、正気に戻そうとするサム。
 その真心の訴えは、フロドの心だけでなく、ファラミアの心にも光を灯します。
 サムの純朴な気持ちに、己の心の闇を気付かされたファラミアは、砦からフロドたちを脱出させるために戦うことを決意。


 こうして、フロドの旅は、いよいよモルドールの地に入ることに。
 その先に待つのは、指輪を手に入れようと画策するゴラムの導く、罠とも知らずに。

まとめ

 映画の第2部を初めて見た際には、原作の第2部の最後まで行き着かなかったな、と思いました。
 上巻では、サルマンとの対決→サウロン接触する魔力をもったパランティアの石を確保するまで。
 下巻では、ゴラムの罠で、フロドが大蜘蛛シェロブの毒を受けて仮死状態に。
 この部分が切り取られて、果たしてどうなるのかな? と。


 まあ、それらが第3部に持ち越しになるなら安心なのですが、先が見えない段階では、バッサリ切られる可能性も感じていたので。
 結局、劇場公開版では、「サルマンとの対決」だけが割愛され、オルサンクの塔にエントたちの手で隔離されたサルマンのその後は描かれず*4
 パランティアの石は、オルサンクの塔の水没した周囲に落ちていたのが見つかった形で描写。
 一方、フロドの方は、シェロブが第3部できちんと描かれて、ホッとした、と。


 ともあれ、第2部は、第1部以上に原作改変が目に付いたものの、それでも第1部よりキャラの心情にじっくり踏み込んで、うまくまとめたので、映画ならではの面白さを実感しました。
 あとは、どう物語をまとめ上げるか、当時は気にしましたが、結果的に上手く終わらせたので満足した、と。
 ファラミアがひどい扱いだったのが心残りでしたが、それも第3部のDVD特別映像でフォロー*5されたので、めでたしめでたしだな、と。
 ましてや、これで全て完結……ではなく、新たな楽しみが現在継続中の今となっては、昔の大作を振り返って、今の流れと比べるのも楽しいわけで。


 (第3部追想は年明けに回す予定)

*1:前作でも、指輪の歴史を示すべく、魔王サウロンと英雄イシルドゥアの大戦からスタートし、本シリーズが大規模な戦争に至ることを明示。なお、『ホビット』の場合は、ドワーフ王国を襲撃して滅ぼす悪竜スマウグの脅威を描いており、一作目では物語の歴史的背景を派手に描く、という共通点が見られます。

*2:古いファンは、ゴクリという和訳名の方がしっくり来るんですがね。喉を鳴らす擬音からとられたという設定なので

*3:他には、城壁の亀裂を自力で飛び越えられないから、アラゴルンに投げ飛ばしてもらい、「エルフの野郎には、このことを言うなよ」と念を押すシーンとか。メリーたちを追跡するシーンでも、普通に走っている二人に対して、一人だけ遅れて、「ドワーフには長距離は向かないんだ」と愚痴っていたり。誇り高さを忘れて、愚痴ったりぼやいたりするシーンが目立ってました

*4:後にDVDの特別映像で、「サルマンとの対決→グリマの裏切りによる刺殺」まで追加されました。まあ、原作では塔から逃げたサルマンがホビット庄に落ち延びて、そこを占拠。故郷に帰ってきたフロドたちが、サルマンと決着をつける形になるのですが、まあ冗長になるのを避けた映画の改変は正しいかな、と。

*5:エオウィンとの絡みが、追加。