前回の派手な、一種躁状態的な盛り上がりに比べ、
一気に鬱ワールド気味に展開した19話。
正直、下手にハニーに感情移入して見ている人*1にとっては、心配で夜も寝られなくなる可能性も大でしょう。
NOVA?
いやあ、ぼくの主な感情移入の対象は、ミキですからね。
「やや距離を置いた態度で、それでも心配してしまうツンデレモード」で視聴していましたよ。
アンドロイドは出て行け!
ダーク化したユキの陰謀によって、アンドロイドの正体が暴露され、クラスの皆からつまはじきにされるハニー……というのが、今回のストーリーの肝ですが、
何て狭量なクラスなんだ。
ネギ先生のところなら、アンドロイドだろうと、幽霊だろうと、吸血鬼だろうと、受け入れられるぞ。
今から、マホラ学園に転校しなさい。
今なら、次元の境界線も揺らいでいるから、何とかなるぞ、きっと。
……というわけにもいかないか。
大体、あの教師は何なんだ?
ハニーが机の上で踊って騒いでいても、それを止めようともしない。
一般に、ハニーの症例は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)として扱われるのだが、それでも、その都度、注意しながら、じっくりとでも社会性を育むよう指導するのが、集団教育の場である学校教師の務めではないか?
勉強のできる優秀な生徒として評価し、社会性を無視した教育を施すから、イジメなんてことに発展する……なんて、マジにも考えてしまうわけですが(苦笑)。
ここでは、そういう状況設定はどうでもいいです(オイ)。いや、まあ、あくまでフィクションですから。
問題は、「ハニーが周囲の空気を読めない無邪気すぎる娘」として、これまで描かれてきたゆえに、「妙に明るすぎる言動」が災いして、孤立化イジメが非常ににリアルに感じ取れた点。
アンドロイドってバレたから孤立したのではなく、これまでにすでに孤立気味だったのが、ここに至って表面化しただけの話。
アンドロイドって設定は、イジメドラマの本筋とは直接関係ない設定ギミックってことで*2。
ハニーを心配しながらも、冷静に状況の裏にあるものを見極めようとするミキ。
それから、自分の常識からは受け止められない「アンドロイド」という秘密を知ったために、これまでの「親友としての立場」と、「クラスから孤立したくない気持ち」のジレンマにさいなまれて悩む夏ちゃん、
そういう周囲のキャラ配置も、イジメ問題的にリアルです。
つきつめて考えると、趣味ブログで語るには非常に難しいテーマに突入しちゃうので、ここでは、これぐらいの問題指摘にとどめておくことにします。
贖罪の気持ち
今回、ハニーは「自分がアンドロイドって知られることの深刻さ」を当初、考えていません。
ユキにバラされたときも、「は〜い、アンドロイドのハニーで〜す」と明るく振る舞っちゃう。
そのため、最初は冗談だと受け止めていたクラスも、やがて真実に気付き、村八分が始まるわけで。
夏ちゃんにまで避けられ始めたことで、ようやくハニーも事態の深刻さに気付きます。
それでも、何で皆が自分を避けるのか分からない。
「アンドロイドっていう秘密を隠していたから?」と感じて、「ゴメンなさい」を繰り返す。それがかえって、周囲からはウザく見られるという悪循環。
ちょうど翌朝、視聴した『キバ』でも、贖罪のために自分に苦行を課す主人公の姿が描かれていました。『キバ』の主人公も、当初は社会不適格者として描かれ、そこから自己開示していくまでの成長が現在のストーリーの流れかな、とも思うのですが、
ハニーの場合は、先に無邪気すぎる自己開示があって、その時点ですでに社会不適格だったりするわけですが、そうと気づかずに、「皆が自分を嫌うのは、秘密を明かさなかったから」と誤解の上で行動する、ちょっと救いようのない流れ。
ただ、まあ、贖罪の気持ちは、伝わる人にはいつか伝わるよ。
NOVA自身、インターネット上で、ある人の体面を傷つけてしまったことで、その贖罪のために、「ごめんなさい」モード(謝罪と責任説明)を課したことがある。今思い返しても結構、ツライ時期だったけど、それでも、いろいろ考える縁(よすが)にはなったわけで。
この経験を通じて、ハニーにさらなる成長を期待したい……と、フィクションなのに、真剣に応援してみる。
でも、もう少し、社会性を磨けよ、ハニー。
授業中に、教室の机の上で踊ってはダメ。
ユキと中条(ダークな2人)
視聴者の目から見て、今回のハニーの状況が辛いのは、
イジメの仕掛け人が、「ハニーが好きな2人」という点。
前回、ギザフォームではハニーの「愛の猛攻」(笑)を防ぎ止められないと悟った中条さんが、突如として発動させた第4の人格、オカマフォーム(仮称)。
カイザを演じた村上幸平氏の怪演技が炸裂しています(笑)。
脚本家・井上敏樹氏に気に入られた役者は、急速に変な演技力を開花させられる、という伝説に、また1ページが加わりました。
もう、とにかくカイザのときと同様に、ユキに闇を吹き込んで、対立関係を裏から煽ります。『ファイズ』における、たっくんと木場の対立を思い出すなあ。
そして、オカマフォーム中条から、「ハニーがアンドロイドであること」「自分のフラッシュシステム装置が不完全で、寿命に限界があること」「ハニーの装置を移植すれば、自分の命も永らえること」を吹き込まれたユキちゃん。
ここで、「ハニーのボディーは、お父様が自分に遺してくれたスペアパーツ」「自分とハニーさんは、二人で一つの完全体になる」という思い込みが発動して、それに基づいて「ハニーを孤立化させて、自分に依存させる作戦」を展開しているわけですね。
こういうのを、ヤンデレって言うのですな。
ツンデレ・ミキに、ヤンデレ・ユキ、そして天然ボケのアンドロイド少女ハニー、アニメでは人気のある素材を実写化すると、どれだけリアルに怖いか、分かったような気がします(苦笑)。
これで、「フラッシュ3人娘もう一度」の期待は、難しい気もしますが、
仕掛け人がカイザである以上、ユキに吹き込んだ情報も、何か裏があるか、と、ついつい井上脚本の仕掛けを疑ってしまう自分がいます(懲りないなあ^^;)。
PS:ところで、アンドロイドはハニーだけ? ユキは、自分が人間だと思い込んでいるみたいですが、果たして?