そして、今朝の「事実上の最終回」です。
脚本家はメインライターの横手女史に戻りましたが、この人、理央とメレへの思い入れが主人公たち以上に大きい、と思われ、非常に素晴らしい「理央&メレの退場編」を書いてくれました。
うむ、以前(45話のとき)に、こんなことを書きましたが、
今さらゲキレンジャーがNOVA好みの超燃えストーリーになることは、(おそらく脚本家のセンス的に)期待していませんが、せめて理央さまとメレたんのラブストーリーだけは、納得できる形で終わって欲しい、と思います。
46、47話の荒川さんが見事に超燃えストーリーを作ってくれ、それを受けて、メインライターがきちんと「理央&メレ話」として昇華させてくれました。NOVAとしては、この流れで非常に満足しておりますぞ。
ストーリーの前後こそ違いますが、結果的に「ロンにメレが殺されること」「ジャンと理央の共闘でロンが倒されること」は実現しましたし。
その時、予想できなかったのは、「ロンにメレが誘拐されたことが、共闘のきっかけ」「ロンが復活して、メレを殺害」の二点ですな。
今話を見るまでの予想と総括
本当は、見る前に書きたかったのだけど。
まず、復活したロンですが、もし前回でロンが完全に退場したなら、「オープニングのロンの場面」を差し替えないといけないなあ、と思ってました(笑)。
まあ、前回で終わりだと、あまりにも呆気ないので復活はあり、だと思っていましたが、その方法について予想していたこと。
- 復活したと思われたサンヨが、実は「ロンの変身体」だった。
- 「ロンの正体」は、濃縮した幻気である。理央やメレの放出した幻気が残っていて、サンヨの体内で、もう一度、ロンの体を構成する。
これぐらいを予想して、書こうと思えば、書かなくて良かった(笑)。外れでしたから。
結果的には、「宇宙刑事シャリバンの『魔王サイコ』と『サイコラー』の関係」なのね。互いに命を分け合っているから、両方を一度に倒さないと不死身と。
だったら、ジャンと理央がそれぞれ倒せばOK、宇宙刑事と違って戦隊は複数ヒーロー制が当たり前だから、ちょっと意外性に欠けるかなあ、と思ってみたら、ロンとサンヨはあっさり一体化して、完全体に。その力の前に、メレと理央が散ってしまう、という流れになり、ビックリ。でも退場編としては美しい散り方に、納得できました。
拳断
これまで比較的ないがしろにされていた青黄に最後の見せ場が。
罪を犯した臨獣拳士をあっさり受け入れた他の面々(元師匠のネコや、元同窓の美希も含めて)に対し、納得できない、と反発してみせるレツ&ラン。まあ、考えてみれば、クールなリオと、ヒロインのメレが仲間に入れば、思い切りキャラかぶりしている2人の存在意義はますます薄れますからね……って、今さら、そういう問題でもないか(苦笑)。
「罪を犯した、と言うなら、命を掛けた『拳断』で事を決しよう」と理央の発言。おお、レツ、良かったやん。3話前に、ジャンに譲った「兄さんの仇討ち」が果たせるぞ……って、そういう問題じゃないか。
そもそも、レツと理央の格を比べると、レツ大ピンチなのは明らか。一方で、ランはエレハンマー習得時に一度、メレに勝ってますが、それ以降、どんどん存在感は失われ、現在、ヒロインとしても武闘家としても格下なのは明らか。おいおい、カクシターズ大ピンチじゃないの? これ、どう話をまとめるの? とワクワクしながら見ていた今朝でした(笑)。
さらば臨獣殿
「どうして命を掛けて戦わないといけないんだ!」と訴えるガキレッド・ジャン。彼の幼い精神と洞察力では、この時点で「自らの命を拳断で裁いてもらうことで、臨獣殿の幕引きにしよう」という理央の気持ちと、それに殉じる覚悟のメレの想いは分からなかったのです。
こういう微妙な心理的な綾は、横手さん、描くの上手いです。そういう技術がヒーロー側の関係を描く方向に向かわなかっただけで。
メレの言った「サバサバした気持ち」というのも、ジャンには通じませんでした。
自分なりに翻訳すると、「重い使命や責務から解放されて、想い満たされてすっきりした気持ち」ということでしょうか。困難な中で仕事をやり遂げて、後は退職間際になった際の気持ち、かすかな寂しさとか未練めいた物はあるけれど……って、ところかな。メレ様の場合ですと、そこに「寿退社」の意味合いも込もるでしょうが。
臨獣殿の建物を焼くことで、悪とはいえ、その伝統と歴史を終わらせる理央の気持ちも、今だジャンにはつかみかねるものだったでしょう。
覚悟と、窮地
死を覚悟して拳断に臨んだ理央とメレ。
レツ&ランの見せ場は、結局、この2人に奪われてしまったわけですな。もしも、脚本家の思い入れが、青黄の方にあれば、ジャンが2人と話し合って、これまで共に戦ってきた2人の想いを打ち明けられるシーンでなければならなかったはずです。
脚本家の視線は、明らかにヒーロー側の気持ちよりも、「理央とメレの退場編をいかに美しく描くか」に集中しているわけで。まあ、この回はそれで大成功なんですが、物語全体で言うなら、「レツ&ランの想いや、ジャンとの絆ははこれまで十分描かれきっているので、これ以上、書かなくても分かりきっている」場合に成立するというもの。脚本家の視点がバランスを欠いているため、同じ思い入れを味わえなければ、ゲキレンは失敗作になるわけです。
まあ、NOVAの場合は、割と初期から「理央&メレ」に感情移入できていたから、それでいいのか? と思いつつ、楽しむことはできましたが。
で、問題の拳断は、レツ&ランのアクションをそれなりに見せつつ、やはり格上は臨獣殿の方。もう、思い切り挑発されるレツ&ランが奥義を出したところで、無防備になる理央&メレ。この辺り、アイコンタクトもなく、二人同時に同じ態度に出られる点、通じ合った愛情を感じました。
しかし、そこで乱入者あり。前回ラストで復活したサンヨ、そして、その背後から登場したロンでした。
「秘密の種明かし役」が板に付いたロンが、サンヨと自分の不死身の秘密を語り終えると、いきなり合体して巨大化。ええと、その姿はデスギドラですか? 「無間龍」という名前らしいですが、ただの怪獣で、あまり威厳は感じないなあ。
おまけに「お前が計算外の存在だから、計画狂って面白くないじゃないか。だから死ね」と言っていることが何だか子供。策士を気取るなら、計画が狂っても「想定の範囲内です」とか、「不確定要素ですか。興味深いですね。様子を見て、問題が大きいようなら排除しますか」と冷静に構えないと。
大人のゲーマーなら、想定外のことがあっても、「ゲームだから仕方ないなあ。さあ、ここから、どう局面を立て直すか」と考えて欲しいものですが、ロンの場合は、キャラが思い通りに育たないとリセットしてやり直せばいい、と考えるタイプですな。
まあ、それでもいきなり巨大戦で、集中攻撃されて大ピンチの赤青黄のゲキレンジャーですが……。
臨獣拳の最期
ゲキレンジャーを始末しようと、ロンの首(の一本)が襲い掛かってきます。
それを庇って割り込んだのが、メレ。
喰らい付かれて、噛み砕かれて、吐き捨てられたメレは致命傷を負ってしまいました。ゴウ兄さんとケンが巨大メカを呼び出して、時間稼ぎの戦いを行なっている間、涙のドラマが展開されます。
どうして自分たちを庇ったんだ、と尋ねるゲキレンジャーに対して、
瀕死のメレ様、一言。 「あんたたちがカクシターズだからよ」
感動のシーンなのに、このセリフ、思わず吹き出してしまいました。
結局、最後でカクシターズに逆戻りなんですか?
前回、「ゲキレンジャー」と正式に呼んでくれたのに。おそらく、「拳断」でのランちゃんとの戦いで、「やっぱり、こいつらは格下」と分かってしまったんですね。
とにかく、「弱き者を強き者が庇うのは当然」的武闘家哲学を示して、メレ様はお倒れになります。
おい、カクシターズ、そこをどけよ。理央さまが看取ってやれないじゃないか、と言いたくなるぐらい、メレ様を囲んでいるゲキレンジャー。連中は、うまく空気が読めないようです。
理央さまが「どけ、そこはオレの通る道だ」と言わんばかりに、ジャンを押しのけて、メレ様に近づいたのは、思わず苦笑を浮かべてしまいました。感動のシーンなのに。まあ、「感動」と言われて、自分のことだと勘違いするような奴だから、仕方ありませんが。
メレ様を看取る理央さま。
「少し待ってろ。すぐにオレも行く」と宣言する理央に、砂のように消失するメレ様。そうか、彼女はイマジンだったのか、と考えてしまったNOVAは、どうも「感動シーンを素直に味わえない、ダメな大人」になっているようです(涙)。
その頃、ゲキトージャウルフとサイダイオーは、善戦しつつも力及ばず、大ピンチに陥っていました。
この場に及んで、本命は当初の3人にシフトしているようです。これまでドラマ性の薄かった青黄に、まがりなりにも理央やメレとの絡みをこしらえて、最後くらいはしっかり決めるお膳立てを整えています。
死を覚悟した理央さまは、ゲキレンジャーの3人に自分の臨技を託し、マク、カタ、ラゲクといった師匠連中の死もムダにしないよう、言い遺します。労せずして、強くなったゲキレンジャーの3人。来週、変身したゲキレンジャーに「獅子のたてがみ」が付いていたりすると、スタッフの愛を感じるんだけどなあ。
そして、理央さまは最後の力で、巨大な敵の体内に飛び込み、自爆。快傑ライオン丸の最期でした。これでゴースンも倒され、日本に平和が戻った……って、番組が違いますな(爆)。
それに、ロンは不死身なので生きてましたし。理央の死でも倒せなかった敵に、どうするカクシターズ?
言っておくが、「芋長の芋ヨウカンを食べさせて、腹痛を起こさせる」*1とか、「実はロンは泥人形で、50年後に子孫が戦う」*2とか、「師匠が突然、出てきて、異常な強さを発揮して、日本刀で真っ二つ」*3とかは、ダメですからね。納得できるラストを見せてください。
おまけ「メレ様への愛」
最後、理央さまがメレ様と、幻想的な雰囲気の中で再会するシーンは感動的でしたが、ここでは、もっと日常的な場面で、「メレ様の濃い描写」が見られるシーンを書き残しておきます。
まず、スクラッチ社に来たメレ様。
ジャンに、ロボタフを使ってみろ、と言われます。
おお、本当に久しぶりやな、ロボタフ。
バキッ。
あ、メレ様、ロボタフを壊してしまいました(涙)。実は、今回、ロボタフの退場回でもあったのですね。最後に見せ場を作ってくれたメレ様に、ロボタフも草葉の陰で喜んでいますよ。それに、すぐにメレ様も後を追ってくれますからね。
……ともかく、ロボタフごときじゃ、メレ様の修行相手にならないってことですな。
次に、メレ様がライバル意識を持つのは、かずえさん演じる美希さま。
ランごとき小娘は歯牙にもかけないメレ様が、理央と親しく話す美希さまに嫉妬を示します。
つまり、メレ様の格は、美希さまクラスを目標としているわけですね。
最後に、メレ様の体内から、幻気を放出した際の「超化学反応」で自立に成功したバエ。まあ、メレ様が亡くなって、彼も一緒に死んじゃうのでは、「理央さまと二人で死出の旅」ができなくなるわけですが。
実は、このバエが「ロンを倒すための勝利の鍵」だったりすると、それはそれで、オイオイ、とツッコミネタができるかな。