ゾフィ登場がめでたい話……なんだけど、やはり少ないですね。共演というよりも、顔見せ的な出演といった感じ。
思わせぶりなセリフも、曖昧なものなので、追加情報はなし。
内容としては、ヒカリに対して「光の国に帰るように」と勧告し、それを拒否されると、「お前も弟たちと同じだな」と(ややため息混じりに=NOVA主観)つぶやく。
この場合、「弟たち」というのが、「初代マン」を指すのか、「セブン」を指すのか、が問題*1。
初代マンなら、地球よりもハヤタ隊員個人を殺してしまったということに責任感を感じていたため、ゾフィがハヤタ隊員の命を提供することで説得できた。ヒカリの場合、「セリザワ隊長」および「リュウ隊員」に対するこだわりがどの程度あるのかが、焦点の一つ。
セブンの場合は、セブン上司が部下の体調悪化を心配しての警告だけど、セブンは地球がゴース星人の「史上最大の侵略」に見舞われていることを知って、それを解決することを自分の使命と考えた。もちろん、「アンヌ隊員」との個人的な感情はあったわけだが、それよりも「地球防衛の任務」を優先させた形になる*2。
ともあれ、「一個人のために地球に残ろうとした初代マン」と「個人的な感情よりも使命を優先したセブン」、果たしてヒカリは……となると、ボガール退治の使命は果たしたので、前者と考えるのが妥当なんだろうけど、どうもヒカリって素直じゃない印象だから、「地球人への愛情」なんて口が裂けても言わない気がする。ボガールへの復讐の際、「迷惑をかけた地球人への罪滅ぼし」なんて言いそうだ。
贖罪意識で戦うヒーローが、罪の意識から解放されて、素直に「地球人への友情なり愛情なり」を意識するようになるドラマを期待したいところ。
あと、もう一つ。
劇場版との関連を意識するなら、ゾフィのセリフは、「ウルトラキラーザウルスの封印のために変身能力を放棄し、地球にとどまる決意をした弟たち」を指しているのかもしれません。まあ、劇場版のストーリーが、TV版と上手くリンクするのか、それとも平成ライダーで頻出しているパラレルストーリーなのかは気になるところですが。
機体へのこだわり
実は、セリザワ隊長、こっそりガンフェニックスの中に隠れ潜んでいて、出番を今か、今かと待っているとか、
もっと真面目に考えるなら、ガンフェニックスに追跡装置を仕込んでいるとか、
前回、冗談混じりにこんなことを書いたら、今回、「地上でガンフェニックスを見守っているセリザワ隊長」が映し出されて、さすがに「機体に隠れ潜んでいる」説はあっさり瓦解してしまいました(笑)。
でも、追跡装置説はまだ消えていないってことで。
さて、今回、ガンフェニックスに違う角度からこだわりを持っている二人の男、リュウ隊員とアライソ技師長の衝突に焦点が当たるとともに、
過去のウルトラメカに関する昔話にオールドファンも大喜びってな回でした。マニア的には、年号設定的に「初代マンやセブンの時代は新マンなどよりも後」という話が飛び交っているわけですが*3、メビウス世界では素直に放送年代順に各ウルトラマンおよび防衛チームが活躍したということになり、作品映像内の細かい年号描写にともなう矛盾はすっぱりカット。分かりやすさ優先ってことですね。
その縦軸を貫く存在として、ウルトラ兄弟以上に「歴史の生き証人」となったのが、アライソ技師長。ビートルから、ハイヤーまでの整備に関わったということですが、するとZATの「翼に穴が開いた戦闘機」*4にも、関わっているわけで……きっと、「メテオールの試験運用」でも行われていたのでしょう。首都のど真ん中に鎮座している、巨大円盤状の移動基地なんかも含めて。
ウルトラ史を考えると、装備的にZATやMACの時期が防衛チームに一番予算が潤沢にあった、と見なされるわけですが、MAC全滅の煽りを受けて、「宇宙人技術の使用」に疑問視が持たれた時期もあったのだろう、とか、いろいろ推察もできる……でも、時間の都合で今回はこれぐらいにして、改めて行うことにします。
話を戻して、今回のドラマの核は、「機体が大事か、人命が大事か」という観点での対立。基本的に、第1期ウルトラの戦闘機(ビートルとかウルトラホーク)は被撃墜率が低く、第2期ウルトラの時期からどんどん落ちている、という印象なんですが、MACを除いて脱出システム完備で、決して人命軽視ではないのですね*5。
ただ、リュウ隊員は、これまでのウルトラ史では考えられないほど、機体に愛着があり、しかも無茶をする。ガンフェニックスと共に特攻! なんてことを平気で行うわけで……こうなったら、「ガンフェニックス」にウルトラダイナマイトの原理を応用した「炎をまとっての体当たり的な科学忍法メテオール」を搭載しては? なんて思ってしまうぐらい、機体扱いが荒い……ってあれ?
リュウ隊員、機体を愛している割には扱いが荒いってことは、そりゃ、アライソさん、怒るわな。「機体を信じて、無茶をする」ってのは聞こえはいいけど、実のところはただの自己矛盾をさらけ出していることに突然、気付いてしまいました。さすがは愛すべき熱血バカ。そんなリュウ隊員に燃え……なNOVAです。
PS:この手の話は突き詰めると奥が深そうなので、余裕があるときに、もう少し考えてみようっと。
*1:新マンは故郷防衛のために、エースはヤプールの陰謀で失いかけた信頼を取り戻すために正体をさらすことになったために、地球を去る選択をしている。タロウの場合は、TV本編では故郷に帰らず、地球防衛の使命も放棄し、一介の地球人として生きる決意を固めたことになる。よって、ヒカリのケースには当てはまらない。
*2:俗説によると、アンヌを振り切るために「アマギ隊員がピンチなんだよ!」というセリフを口走ったため、ダンはアンヌよりもアマギ隊員を選んだ、と穿った見方をする向きもあるようだが……(苦笑)。
*3:近未来をベースにした第1期ウルトラに対して、放送当時の同時代性を意図した第2期ウルトラという製作意図の違いが、そういう矛盾を引き起こしている。
*4:スワローとかコンドルとか。
*5:MACの時期は「防衛チームとしては予算も多く、補充人員も多い」ので、人命軽視……と言ってみる。まあ、隊長が優秀すぎて、兵の安全に関しては意外と無頓着だった、という説もあり。