昨日は、ガメラ見て参りました。
で、帰ってから前作『ガメラ3』見たり、『牙狼』のBGM集を堪能したり、『マジンガーエンジェル』3巻読んだり、いろいろ趣味を堪能してネットには入らず。『ボウケンジャー』と『カブト』はまた今度……ってことで、今夜はガメラ話です。
もう一度できるなら〜
ここにもどって あの姿を〜♪」
前作のラストで流れた主題歌です。
いや〜、歌詞どおり戻ってきましたよ、ガメラ。
前作のラストでは、イリスを倒した後、日本に襲来するギャオスの群れに対して、傷つきながらも悲壮な決意をして戦いに挑むシーンで幕。*1
そして、今作では、ギャオスの群れとガメラが戦闘する場面からスタート。ギャオスの群れに体をついばまれながらも、最終奥義「自爆」でギャオスもろとも散っていく。
……ただし、設定年代は前作の1999年に対し、今作のギャオス戦での自爆は1973年。異なる世界設定なんだけど、やはり前作のオマージュは強く感じるわけで。
今作は「SF要素の低いほのぼの映画」と思っていたけど、このギャオス戦でつかみはOKと。
ミニガメラ、その名はトト
今作は、ガメラ自爆から33年後の2006年の話。
その間、怪獣が出現しなかったので、国の巨大生物対策は打ち切りになろうとしている状況。*2
最近、母親を失って放心している少年・透が、海で見つけた卵から生まれたカメのトトを育てながら、元気を取り戻していく過程が前半で描かれます。ここは怪獣映画ではなく、少年とペットの交流話。
このトトが可愛いわけで、前作までの「少女を守るために命を賭けるハードボイルドな漢ガメラ」のイメージを消して、ゴジラに対するミニラのような印象を抱かせます。
ただ、ここを単に「ほのぼの映画」なので特撮ファン的にはつまらないか、と思うと、さすがは田崎竜太監督。いろいろとお遊びを用意してくれています。
少年・透が、「ケロロ軍曹」のコミックを手に入れて喜ぶ……のは、まあ明からさまな宣伝タイアップとして、
子供部屋の描写で緑色の牛みたいな人形があったり*3、
トトが透の家の調理場*4を探検している最中に、上から包丁が落ちてきて、何だかギロンと体面しているように見えたり、
マニアックに楽しめる要素が隠れています。
そうするうちに、空中浮遊や、短期間で急成長という不思議現象が起こっていく中で、伊勢湾沿いの田舎町に大事件が勃発する、と。
新怪獣ジーダス
海から出現して、田舎町を突如と襲った人食い怪獣。
こいつって、ジラースとバルゴンのオマージュに見えます。外見はエリマキトカゲ。尻尾と、長く伸びる鋭い舌が武器。
ジラースと言えばエリマキゴジラだけど、ジーダスはむしろエリマキ「ジラ」ですね。ただ、マグロばっかり食べてるわけじゃなくて、人を食った奴ですから、それなりに強い。*5
まあ、戦う相手が、巨大生物への対策を怠ってきた平和ボケ人類と、ようやく8メートルに成長したばかりのトトですから、怪獣の中では弱い方に分類されるのでしょうが、少なくとも映画内での描写では強くて恐ろしい存在です。
今度のガメラは、まず8メートルサイズで、ジーダスと対戦します。恐ろしい形相のジーダスに対して、愛くるしい目玉が特徴のトトは見るからに危なっかしい戦いぶりですが、小柄な戦いを活かして、何とかジーダスを追い払うことに成功。*6
スケールは小さいけれど
今作のガメラは、スケールが非常に小さく描かれています。自爆した先代ガメラも、体長35メートルと劇中語られ、50メートル〜100メートルを越える大怪獣たちとは異なる存在。
ただ、破壊の規模は小さいとは言え、人間を襲う、となると、それぐらいのサイズの方が身近な分、映像的脅威度は増すわけで……。*7
それに小スケールの怪獣戦ってのは、破壊力が小さい分、なかなか面白い映像が見られました。名古屋市におけるジーダスとの再戦で、尻尾に弾き飛ばされたトトは、高層ビルの上階に体ごとめり込むわけですが、これが大スケールの怪獣だと、ビルはあっさり粉砕されてしまうはず。でも、小スケールゆえ、めり込んだままの状態が維持される。一方で、ジーダスの方も、上階まで飛ばしたトトを地上から攻撃する手段がなくて、わざわざ隣のビルの壁面伝いに登っていく……ビルや塔を登る怪獣といえば、キングコングが思い出されます。トカゲ型のジーダスもなかなか器用な奴です。巨大怪獣とは違った細かい芸を持っているということで、おそらくマイナー怪獣に認定されるだろうけど、いろいろ通好みかと*8。
子供たちの絆がガメラを育てる
今回のガメラは成長途上。そのエネルギー源となる「緋色真珠」*9をトトに届けるために、子供たちが一種テレパシー的な絆で協力をすることに。
トトのめり込んだビルに決死の想いで登り、トトの口に「緋色真珠」の塊を投げ込む透少年。ただし、その気持ちは複雑なもの。ガメラを育てて、ジーダスを倒す生物兵器として使おうと考える大人の思惑。そして、ガメラは人類を守るために、自爆すら厭わない……。トトを強くすることは、戦いにけし掛け、最後は殺してしまうことになりかねない。母親を亡くしたことで、命の尊さを知った少年は、トトに「死ぬな」と呼びかけて力を託す。
その時、ジーダスの攻撃で高空から落下するトト……その時、ついに飛行を果たすわけで……ガメラが飛ぶのは当たり前ですが、この場面でのトトの飛行シーンは、子供たちの託した気持ちの証ってことで、過去の作品の飛行シーンの30%増しの感動場面に仕上がっています*10。
ラストは、子供たちとの絆を描いた上でのハッピーエンドってことで。
まとめ
本作のガメラは、実はあまり期待していなかったんです。小スケールだってことが分かっていたので、迫力はないだろうと。ぶっちゃけて言えば、いかにも、お子様向きの仕上がりだろう、と思ってたわけで。
でも、見終わった後の感想は、「小スケールを活かして、違う意味での迫力を描写できている」「巨大なビルを吹き飛ばすパワーだけが迫力じゃない」「人間の視点と、怪獣の視点を上手く融合できている」って、ところでしょうか。
ジュブナイルってことで言えば、劇場版アギトで見せた少年の気持ちに共感できるなら、今作も十分堪能できるかと。
ともあれ、平成3部作も「1995〜1999」のゴジラ不在の時代に、怪獣映画を引っ張ってきたわけで、
今も『FINAL WAS』を最後にゴジラ不在の時代なわけだから、
今作は『21世紀ガメラ誕生編』として、続編の製作にも期待を寄せてみたい作品になったと思います。さらに成長したトトと再会できることを期して。
*1:その後、流れるこの歌『もういちど教えてほしい』は平成ガメラの主題歌で一番好き。どうも、前2作のウルフルズの歌は好みじゃない。
*2:メビウスでは、25年間怪獣が出なかったけれど、もしかするとあと8年、怪獣が出なければ、クルーガイズも危なかったかも(笑)。
*3:おそらくマグナギガと思う。あるいはマジタウロス?
*4:家が料理屋なのです。それと父親役は「龍騎のOREジャーナル編集長」役の津田寛治氏。さらに、常連客に炭火焼きオルグ、あるいは「アバレンジャー・恐竜や常連」の横田さんがいる、という濃いお店。
*5:設定では、「ギャオスの肉を食べて、その遺伝子を取り込んだトカゲ」とのこと
*6:空も飛べず、火炎も顔のすぐ前にしか飛ばないのですが、ジーダスの伸びてきた舌につかまって、一気に相手の顔にまで飛びつきボッ! 思わず、海に撤退するジーダスでした。
*7:人を食うバラゴンや、ガイラはせいぜい25メートルだったわけで……。平成ガメラでも、成長したギャオスやレギオンよりも、幼生体の方が直接人間を襲う怖さがあった。
*8:NOVAとしては、メガギラスと同じくらい好きですね。