ここまで見てきて、実にバラエティーに富んだ作品だなあ、と感心したり。
ヒーロー物なら、「事件発生→真相を知るための調査活動(アクションメインなら、その途上で小競り合い)→事件解決のための決戦→解決」という段取りがあるわけで、本作も怪獣相手のチームの話だから、似たような展開かなあ、と予測していたわけですよ。
で、1話はヒロインの紹介しながら、「謎の怪獣の卵」を奪還する話。
2話は「不定形生物」相手に、すったもんだしながらヒロインコンビのパートナーシップ成立を描いた話。
3話から方向性が変わって、「事件は起こってないのに、事件の予兆があれば、チームが忙しくなる」ことをドキュメントタッチに描いた回。今回の9話は、その発展拡張版になるわけですな。
気特対の活躍(?)を、テレビの特番という形で見せた回ですが、怪獣調査の名を借りて、やらせ的な「UMA探索(実は着ぐるみ)」とか「心霊スポットの調査」とか、真っ当な報道よりも、むしろバラエティー番組のノリ。
最初だけ、「ゴジラ」を意識した大怪獣襲来っぽい映像だったので、期待したんだけどなあ(笑)。
4話以降の総括
4話は、「山の中に出現する未知の怪奇的存在」の謎を追うストーリー。ここで、巨大生物のMと、サイズの小さいSは、管轄が違うことが明言。
でも、Sと判明するまでは、念のため、気特対の仕事になるわけですね。サイズ的にはSでも、実はMの幼体という可能性もあるわけで。
5話は、大怪獣シッポンへの対策を中心に、気特対と自衛隊の方針の違いなど、ややこしい組織関係が描かれた話。これが、7話&8話の前後編につながるわけで。
6話は、怪獣物というより、精神だけタイムスリップしたSF色の強い話。
7話と8話は、自衛隊からの出向エリートを軸に、恋愛ネタやら、対立部署にまつわるドラマやら、有能なキャリアウーマンの内面の寂しさやら、いろいろ描きながら、結局、事件そのものは発生しなかった回。いや、微妙な人間関係の交錯なんかは、通常ドラマでは十分、事件と言えるか。
でも、まあ、このドラマ、これまでは「原作小説の世界設定」だけ取り入れて、基本的に原作の物語とは無関係のストーリーを描いてきたわけですな。
ところが、今回、初めて、原作とのリンクが見られました。
密着! 気特対24時
ええと、原作小説の第4話のタイトルです。
今回の話は、原作4話を元にしつつ、内容は前述したインチキじみた「着ぐるみ」とか「心霊ネタ」とかに、気特対の調査チームが(半ば楽しみつつ)振り回される話。
一方、原作は「気特対をヒーローとして描きたい演出過剰のマスコミ」に対して、「現実はそんなに格好よくない」ところとか、「専門家の本格的な説明は視聴者には分かりづらいので、もっと分かりやすく、事実を歪めた面白おかしい話を要求されることへの苦労」とか、そういうのを真面目に書いた話。で、原作はマスコミに対して批判的な作者の考え方も滲み出ているのですが、ドラマの方では「テレビ撮影に対して、ミーハー的にノリノリで演技している気特対の面々」が描かれていて、少し方向性が違います。まあ、テレビ番組の中で、テレビ批判はしにくいとも思いますしね(笑)。
ただ、番組内では幻に終わった「放送第2部・巨大植物怪獣メガドレイク*1」が、まさに原作エピソードの映像化、ということで。
わずかながら、原作そのもののドラマシーンとか、怪獣とかを映像化してくれたことは拍手に値します。この「第2部」って、DVDの特典映像で付いてきたりはしないだろうか?
ともあれ、今後、原作との距離をうまく測りながら、バリエーション豊かなドラマを展開していって欲しいと言いつつ、本音は「もっと怪獣が見たいんだ」ってことですな。
次回は、どうも、お茶らけてそうだけど。
*1:エンディングの影絵でも出ている。というか、エンディングの影絵って、原作小説に登場した怪獣たちなんだよね。