春期講習は体力を消耗するので、さすがに週の後半までブログを書き続けることは無理でした。おかげで、「仮面ライダーカブト」について書くのが遅れ、10話の前日になってしまいました。
まあ、先に「SF考察会館」の方に、感想書いてたりするのですが。
●9話概要
ザビー対カブトで始まった、この回。
加賀美を助けたカブトは、ザビーの攻撃に対して敗北。しかし、昆虫得意の「死んだフリ」によって、命までは奪われず、ベルトを破壊されるだけで窮地を逃れます。
加賀美によって病院に運ばれたカブト天道ですが、持ち前のオレサマ個性で、病院の女医師を篭絡(笑)。お婆ちゃんの言っていた「食べるという字は、人が良くなると書く」との教義を病院内に流布することに成功。
病院に見舞いに来たひよりが、偶然見つけた「壊れたライダーベルト」に触れると、電流が走り、昔の記憶が戻ったり、ベルトが修復されたりするなど、不思議事象が発生。
その後、ワームの大量発生の報を受けたザビーは、配下のシャドー部隊と共に殲滅作戦を開始するが、そこに倒したはずのカブトが現われ動揺。ワーム殲滅よりも、カブト打倒を優先する余り、部下を気づかうことすら忘れてしまう。
「自らの道を踏み外した」ザビー矢車は、ザビーゼクターに見捨てられ、変身解除してしまう。戦闘力を失った矢車や、シャドー部隊の窮地を救うため、率先して戦う加賀美。そんな彼を認めたザビーゼクターの力を受け、ザビーに変身する加賀美。
一方、カブトは逃げるワームを追って、愛車のカブトエクステンダーを変形させる……。
●9話感想
この回のポイントはいろいろあるわけですが、一番印象的だったのは、7話で登場してから、たったの3話でザビーの資格を失う羽目になった矢車さんの悲劇でしょう。第3のライダー、ドレイク(青いトンボライダー)も近日登場とのことで、存在感を維持できるのかな? と心配です。
そして、思いがけなくザビーの資格者となった加賀美くん。その前の週のエンディングコントで、「寝言で変身」と言っていたのが、正夢になった瞬間でした。
これは、まさに尾室君がG3マイルドに、啓太郎がカイザに、京介が鬼になったのと同様の「介添え役大出世」劇。それにしても早すぎる!
ともあれ、今回のライダーシステムは、「ゼクターに適格者として認められること」が変身の条件。ゼクターごとに条件があることが判明しました。
これって、「パラディン(聖騎士)」の戒律みたいなもので、守らないと資格喪失、という厳しい代物。つまり、この世界のライダーの資格って、「自分の生き様を貫く」ことが必要条件になるわけで……ドラマ的にはなかなか面白い設定かと。
●ライダーの資格
で、この回を見た後で、改めてライダーの資格について、考えてみました。
クウガ以前
本来、『仮面ライダー本郷猛は改造人間である』とのナレーションどおり、仮面ライダーとは改造人間であり、それゆえに「本郷猛以外の人間が仮面ライダー(1号)を名乗ること」は有り得ないわけです。
仮面ライダーの象徴として変身ベルトがあるわけですが、ライダーはベルトを腰から外すことはありませんし、仮に別の人間がライダーから無理にベルトを剥ぎ取ったとしても、それを使って変身することはできないと。
ベルト以外の変身アイテム、たとえば「ライダーマンのヘルメット」や「Xのレッドアイザー&パーフェクター」にしても、結城丈二や神敬介以外の人間が装着して変身できるわけではない。ましてや、「ライダーマン」や「X」の名を受け継ぐことは考えられない、と。
クウガ
それらが変わったのは、やはりクウガから、と言えます。
クウガに変身するのは五代雄介ですが、彼がベルトを入手する以前に、古代においてクウガとして戦った戦士がいることが語られています。つまり、五代は(少なくとも)「二代目以降のクウガ」であるわけです。
アギト
アギト自身も、主人公のライダー名である他に、「人類の変異体」といったニュアンスで劇中語られたりするわけですが、
ここでは、それ以上に「G3」を特別な存在として挙げておきます。つまり、改造された人間でも、変異体でもなく、「強化服装着型」であるため、原則として誰でもなれる初のライダーというわけです。もちろん、スーツを使いこなすだけの体力や気力が要求されるのでしょうが。
龍騎
「神崎士郎の作ったカードデッキさえあれば、誰でもライダーになれる」という、さらに開かれた設定。
もちろん、「ミラーワールドのモンスターとの契約」という手続きは要るのですが、この世界でライダーになるのは比較的容易です。
問題は「ライダーであることの維持」。モンスターに餌を与えなければいけないうえ、契約解除はできないなど、「戦うことを強要される」のがライダーです。そういう厳しさをも甘受できるほどの「強い願いを持つこと」がライダーの資格でした。
555(ファイズ)
開かれた龍騎に対して、資格は閉鎖的です。
「オルフェノク、あるいはオルフェノクの因子を持つ流星塾出身者」という限られた条件があります。そして、オルフェノクになるにも条件があったりして*1、なかなか一般人に手が出せる代物ではありません。
一般人でも何とかなりそうなのは、「カイザのベルト」ですが、これも適格でない装着者は灰化するというリスクがあるわけで、非常に難儀な代物。
それでも、敵のオルフェノクがやたらとベルトを奪って、ファイズなどに変身していたわけで、この作品ぐらい、「ファイズ=主人公の乾巧」という構図が安定しない作品はなかったかと。巧自身、劇中でデルタになったりしていましたし。
本郷猛がV3に変身したりすることが有り得る世界観が、ファイズだった、と。
剣(ブレイド)
龍騎同様のカードシステムを採用しつつも、変身資格については比較的閉鎖的でした。
変身資格者が問題になったのは、第4のライダー「レンゲル」のみ。レンゲルに力を与えるクラブのカテゴリーA、スパイダーアンデッドは、強大な支配力を有し、自分から適格なベルト装着者を求める存在でした。
「モンスターとの契約」という点は龍騎を引き継いでいるわけですが、ここでは変身者が主ではなく従になるように描かれています。一時期など、レンゲルのベルトが上条睦月を見捨て、より強い桐生豪を選んだこともあるぐらい。
変身アイテムが意志を持ち、装着者を選ぶ、という形態は、ライダーでは「レンゲル」が元祖と言えるでしょう。
*1:なれない者は灰化して死ぬ。また、なれたとしても、短命のようだ