Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

D&D映画の話のつづき

公式サイトとか過去映画とか

 

NOVA「さて、D&D映画の『アウトローたちの誇り』の感想だべりだが、公式サイトはこちらだ」

NOVA「今日、パンフレット代わりのプロダクション・ノートが公開されたのか。これを読めば、おおよそのストーリーは分かるな。下手にあらすじ語りをするよりもいい」

https://dd-movie.jp/press.pdf

NOVA「あまり気にしていなかったが、監督&脚本家がMCUスパイダーマンの『ホームカミング』の人だったのか。面白いのも納得だ」

009『撮影前に、役者の面々にD&Dのゲームの雰囲気を知ってもらうために、実際にプレイしてもらったというエピソードがいいな』

NOVA「ああ。劇中に登場した鳥男(アーラコクラ)のNPCジャーナサンは、そのキャンペーンにも登場していたわけか。昔の知人で、監獄脱出にも意外なやり方で協力してくれた(無理やりさせられた)というキャラだが、主要人物じゃないのにやたらとキャラ立ちしていたように見えたのは、そういう背景もあったんだな、と納得。なかなか愛嬌があるなあ、ジャーナサン」

009『アーラコクラという鳥人間種族は初めて知った』

NOVA「5版のモンスターマニュアルでは、アウルベアと同じ見開きページに載ってるよ。Wikipediaによると、1981年のAD&D初出の伝統的な種族らしいが、未訳サプリばかりで日本で紹介される機会がほぼなかったから、俺も寡聞にして知らなかった。基本ルールに載ってるプレイヤーキャラ用種族でもないからな。一応、未訳サプリでプレイヤーキャラとしても使えるデータが設定されているらしいが」

【FOIL】マジックザギャザリング CLB JP 054 アーラコクラの隠密 (日本語版 コモン) 統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い

009『MTGのカードでも登場しているのか』

NOVA「鳥人間と言えば、パグマイアの海賊サプリでも登場していたので、そちらのルールを流用すれば、D&D5版でも扱えるかもしれない。それはともかく、D&D映画の話では、去年の夏にウルトロピカルで初めて語っていたので、参考までに貼り付けておこう。過去映画の紹介なんかも、この記事で書いてある」

 

今作の大筋

 

NOVA「で、前回はストーリー紹介の途中で、キャラ紹介に流れてしまい、中途半端に終わってしまったので、今回はそれを補完しようと思うんだが」

009『極寒の牢獄に捕まったエドガンとホルガが、ジャーナサンの助けで脱出するまでは語ったな』

NOVA「監獄での釈明尋問で、エドガンたちが捕まった経緯も語られる。真面目にハーパーズの一員として正義の活動をしていたエドガンが、妻をレッドウィザードの暗殺者に殺され、報われぬ正義に背を向けて義賊稼業に身を落としたこと。また遺された一人娘のキーラの養育に、部族を追放された女バーバリアンのホルガが協力してくれた背景がある」

009『ホルガはどうして部族を出奔したんだ?』

NOVA「部族外の男に惚れて、結婚を認められずに駆け落ち同然に出て行ったそうだ。後で判明したんだが、その相手がハーフリングだったんだな」

009『巨漢の女戦士がハーフリングに惚れただと?』

NOVA「どうも、ホルガは母性本能が強くて、『自分が守ってやらないと』って感じる小さき者やダメンズに惹かれるところがあるみたいだ。そのハーフリングとは結局、別れたんだが、久々に会いに行くと別の巨漢女と仲良く暮らしていた。ホルガの風変わりな恋心は悲しく終わり、それを歌で慰めるエドガンとの友情が深まるシーンだったりする」

009『ハーフリングって、要はホビットだろう?』

NOVA「ああ。そのハーフリングの登場シーンは、ホビットのビルボなんかを彷彿とさせる家庭的なのどかな雰囲気があって、いかにもそれらしい。日本だと、こういう小人種族は賑やかなトラブルメーカーとして描かれがちだけど、冒険者じゃないホビットやハーフリングの牧歌的なイギリス農村的な家庭生活は、これこそ正にホビットって感じだな」

009『都会に出てきて、盗人稼業に身を落としたホビットの方が冒険者としては一般的だもんな』

NOVA「冒険者ホビットは好奇心旺盛で田舎の故郷を飛び出して、何にでも首を突っ込みがち……というのは、指輪のピピンが原型だろうけど、冒険者じゃないホビットはもてなし好きで食道楽な田舎紳士とか農夫で、のんびりスローライフを満喫している感じだ。ホルガも、その平和的なのんびりハーフリングな気質に惚れたのかもしれない。本人は荒々しい闘争的な部族の出身なので、癒しを感じて絆されたのかも、と思いつつ、自分と同じたくましくも家庭的な女が元カレと一緒にいるのを知って、相手の平穏を崩したくないって気持ちで身を引いたんだな」

009『いい女じゃないか、ホルガ』

NOVA「いや、だけど、普段は酒と芋好きで、気に食わないことがあると、ウガーッと暴れるゴリラのような女だぞ。気は優しくて力持ち、明るい笑顔で今日も行くなドカベン的な、あるいは女ジャイアンみたいなところがある。エドガンといっしょなのも、キーラを守ってやらないとっていう気持ちが先立ち、別にエドガンに惚れたわけじゃないという絶妙な友情関係だな。世話焼きなんだけど、暴走しがちで誰かに手綱をとってもらいたい。そういうことができるのは、エドガンだってのもあるのかもしれないが」

009『男顔負けなタフマッチョな女というのは、現在の洋画の一類型だからな。そこにどう優しさや繊細さを描くかが話し手の力量ってことで』

NOVA「男には辛辣だけど、子どもには優しい。そして敵と見れば容赦しないけど、考えなしで向こう見ずで、ややこしいことはエドガンに任せたという。エドガンも自分の面倒は自分で見られる大人の男なんだが、娘のことになると途端に不器用になるので、足りないところはホルガに補ってもらうことで、失った妻への代替としている。ただし、どちらも惚れている相手が別にいたので、男女の仲には決してならない良き友情と信頼が描かれている」

009『夫婦ではないけど、キーラという娘を共に育てたのがエドガンとホルガって関係性だな。日本じゃ考えにくい家族像だが』

NOVA「そういう伝統的な家族像とは異なるパートナーシップを示すのも、アウトローっぽさかもしれない。ステロタイプを廃しているけど、物語としては立派に機能していて面白い。ともあれ、そんなエドガンとホルガは、過去にサイモンやフォージと手を組んで、子どものキーラを伴って義賊団として暴れていた時期があったんだが、そこに魔女のソフィーナがある依頼をして来るんだ」

009『確か、ソフィーナはラスボスのレッドウィザードだったな』

NOVA「その正体が分かるのは物語の中盤だな。彼女はハーパーズの管理する施設に侵入して、宝となるマジックアイテムを盗む仕事をエドガンに依頼する。元ハーパーのエドガンなら、施設に入るためのパスワードも知っているからって理由だ。脱退したとは言え、世話になった組織を裏切ることを躊躇するエドガンだったが、宝の中に『死者を復活させる蘇りの石板』があると知らされて、亡き妻を蘇らせたいという渇望のために仕事を引き受けるんだな」

009『そして失敗して、捕まった、と』

NOVA「危険な仕事だと分かっていたから、エドガンはキーラを家で待っているように、と後に残したんだ。『すぐに帰って来るから』と言いつつ、それが母親を蘇らせるため、という理由は伏せたままで」

009『どうして?』

NOVA「アイテムの情報がガセかもしれないしな。娘に、ぬか喜びをさせるわけにはいかない、と。なお、この時点でエドガンとキーラの認識に違いがあることが、後で判明する」

009『父娘の認識の違い?』

NOVA「エドガンは、母親を復活させたらキーラが喜ぶだろう、と思っているが、実はそれは彼の独り善がりな見方だったんだな。キーラは赤ん坊の時に母親を殺されてしまったから、そもそも本当の母の記憶は持っていないんだ。キーラにとっては、エドガンが父で、ホルガが母。その両親が自分を置き去りにして、帰って来なかった。母親復活のため、というエドガンの理由は、キーラには響いて来ずに、嘘つきな悪党の父親という汚名がしばらく娘の心を支配するんだ。その解消が後のドラマの焦点の一つになる」

009『隠し事をされたから家族を信じられなくなる、というのは、アメリカン・ドラマの典型的な作劇パターンらしいな』

NOVA「誤解して感情がもつれて、事件が解決する流れで真実が明かされて、誤解が解消してハッピーエンドに至る。正体を隠しているヒーローとか、相手を傷つけまいとする嘘が余計な不信を招いて、愛する者からの信頼を失いかけたのを、どう取り戻すか。世界にまつわる大事件を解決するのと、身内の不信をどう修復するかの両方を並行させて描くのが、21世紀のドラマ作りのテンプレらしい。旧世紀は、世界平和の方を個人の人間関係よりも優先しがちだったが、今はどちらも等価値というか、『私的な愛と大義の平和の相剋をどう描くか』で一方を立たせるのをビターエンド、両方をつかみ取るのがハッピーエンドと呼ばれる」

009『世界は守られたけど、愛は失われたとか、主人公もしくはヒロイン(時に両方)の死で終わるとビターエンドってことか』

NOVA「さすがに、愛を優先して世界が滅びましたって終わり方にはし難いからな。まあ、悪堕ち的な投げっぱなしエンドは同人誌とか二次創作であったりするが、決してメジャーとは言えまい」

009『主人公が、快楽方面の愛に流されて大義を捨てて、悪の尖兵と化して世界の秩序を崩壊させる側に立つって展開か』

NOVA「主人公の内面としては、それでもハッピーかも知れんが、世界を守ることよりも愛を選ぶのは一般的に堕落と称されて、ヒーローとしては失格だな」

009『まあ、個人的な復讐心のためなら、世界がどうなっても構わないと考えるのは、ダークヒーローにありがちだけどな』

NOVA「もっとも、マルチバース物になると、自分が所属する世界以外の他の世界は滅びても構わないって作劇もたまにあるので、二つの世界の大義がぶつかり合うことだってある。対立軸が何なのかが、物語テーマの一つと言えるが、本作の場合は『失った家族を取り戻すのに、今の家族を犠牲にしそうになった主人公が、どう過去を昇華して今を受け入れて未来に進むか』がテーマとも言える」

 

009『昔の母親を取り戻すために、今の娘を置き去りにして古巣を略奪する決意をしたエドガン。それでも捕まってしまった、と』

NOVA「宝物庫への侵入がバレて、衛兵たちの集団とバトルになる。その際に、ソフィーナがタイムストップの呪文を空間にかけるんだ。ホルガが最初に空間に飲まれて、動けなくなった。エドガンは素早く呪文の効果範囲から離脱できたんだが、仲間のサイモンが動けなくなったのを助けようとして、彼の体を脱出口に投げ飛ばす。それを受け止めたフォージがさらにエドガンに手を伸ばすんだけど、エドガンは間に合わずに『蘇りの石板』を託して、キーラを頼むと言い残して時間停止の呪文に飲み込まれた。そして、ホルガとエドガンだけが捕まったことになる。それから2年近く経った後の話として、物語が始まるわけだ」

009『そこまでが回想シーンか。長いな』

NOVA「文章にすると長いが(途中で寄り道脱線したのもある)、エドガンが軽妙な語り口調で過去の経緯を語ることもあって、映画ではテンポよく進んだと思う。その後、脱獄したエドガンとホルガが、キーラを残した実家に帰ると、そこにはもういない。かつての仲間を探すと、フォージがどういうわけか大都市ネヴァーウィンターの領主の座に収まっていることを知って、会いに行くんだ」

009『ネヴァーウィンターの領主って確か……』

NOVA「3版時代の資料(DR1372年)では、ナシャー・アラゴンダーって名前の聖戦士が建国したってあるな。5版(DR1489年)では、商才に長けたウォーターディープ市出身のダガルト・ネヴァレンバー侯が街の復興の陣頭指揮をとっている」

009『復興ってことは、一度崩壊したのか』

NOVA「4版時代にもいろいろあったみたいだな。話せば長くなるが」

009『とにかく、ネヴァレンバー侯という公式領主がいるのに、映画で勝手に変えられたのか』

NOVA「ああ、病気で療養中にフォージとソフィーナが街を乗っ取ったんだな。ソフィーナは、フォージをお飾りの領主に仕立て上げた後、街の武闘大会を大々的に開催して、集まってきた人々をサーイの儀式によってアンデッド軍団に生まれ変わらせて、ソード・コースト地方を征服しようとする大計画を立てている。エドガンたちがその野望に気付くのは、物語の後半だ。それまでは都市領主として好き勝手しているフォージがメインの悪役として、物語は進展する。ソフィーナはあくまで、フォージを盛り立てる支援魔術師として暗躍している形だ」

009『フォージは詐欺師だったな』

NOVA「まあ、ネヴァレンバー侯自身もウォーターディープを追放された詐欺師みたいなもので、『自分は建国者アラゴンダー候の子孫である』と勝手に主張しているほどだ。で、それを是としない『アラゴンダーの息子たち』というレジスタンス組織もあったが、言葉巧みに取り込まれて、利益をちらつかせて街を守る義勇兵として役立たせようとか考えているらしい」

009『ええと、ネヴァレンバー侯も詐欺師で、それを乗っ取ったフォージも詐欺師?』

NOVA「建国者は英雄的な騎士だったが、その後は街を復興させるのに金がかかる。詐欺師だろうと何だろうと、街に利益をもたらしてくれる才覚を示したなら、リーダーとして祭り上げようという風潮があるみたいだな。おかげで、商業活動と冒険のネタがあふれている街といった感じだ。そして、病気(魔女の呪いによる)で引退したネヴァレンバー候が、ソフィーナが倒されたことで呪いが解けて、映画の終わりには領主に復帰して、街のピンチを救った英雄であるエドガンたちを讃えるハッピーエンディングに至るので、世界設定的にも問題ない。この映画を元に、D&Dのシナリオを作ることも可能だろう」

009『とにかく、映画の中では、ネヴァレンバー候ではなく、裏切った仲間のフォージが街の領主を務めている、と』

NOVA「フォージは、エドガンの娘のキーラを自分の養女として大切に育てているのはいいが、エドガンたちが捕まった理由を『欲に駆られて捕まった悪党連中だから、忘れた方がいい』と嘘をついて、『今は私がお前の父親として守ってあげるから、何も心配することはない。昔のことは忘れて、幸せに暮らそう』と言う。どうも、親代わりに彼女を育てているうちに、情が移ったというか、父親であるのもいいものだって気になったらしい。そして、エドガンに対しても、『お前みたいな悪党が父親であるよりも、私の方が彼女を幸せにできる。諦めるんだな』と言い放つわけだ」

009『それはひどい。娘を取り戻すことがエドガンたちの目的になるんだな』

NOVA「ただし、キーラはエドガンに捨てられたと思い込んでいるので、彼女の愛と信頼を取り戻すことも重要になる。そして、力づくで取り戻そうとするも、ソフィーナの魔法に阻まれて、領主に不敬を働いた犯罪者として捕まってしまうんだ」

009『よく捕まる話だな』

NOVA「確かに。そして、よく逃げる話でもある。処刑されそうになったところを、ホルガが上手く相手の斧で自分の手枷を断ち切らせ、暴れ回る。もう、この戦闘シーンは彼女の独り舞台だな。相手が魔法使いやドラゴンでなければ、ホルガに太刀打ちできる存在はこの映画には登場しないようだ」

009『その間、エドガンは何をしていたんだ?』

NOVA「自分の手鎖を外そうとしていて奮闘していた。でも外れた頃には戦闘が終わっていたという。本当に戦闘での見せ場がほとんどない主人公だ。一応、敵の攻撃を避けるなどのアクションはしていたわけだし、ホルガが兵士の集中攻撃にさらされないように動き回っていたんだが、ゲーム的には回避盾と言ったところか。とりあえず、相手に目立つ攻撃はしていない」

009『相手の注意を引きつけながら、回避に専念します……って宣言していた形だな』

NOVA「手鎖が外せないので武器が使えないし、ダメージ源にはならないから、敵の攻撃の的になることでホルガを支援します……ってアクションだと思う。まあ、そんなわけで無事に街を脱出して、フォージからキーラを救い出すための方策を検討するわけだ」

 

旅の仲間

 

NOVA「フォージはともかく、魔法使いのソフィーナに対処するには、こちらも魔法使いの仲間が必要だ……ってんで、まずサイモンのところに向かう。彼は田舎で手品の芸人をしながら、こっそり客の財布を魔法でスリ取って日銭を稼いでいた」

009『何をしてるんだよ?』

NOVA「で、エドガンの姿を見て、驚いて集中が乱れて、スリが客たちにバレてしまうんだな。怒った客たちにフルボッコにされそうになって、身を守るために使った魔法が暴発して、重力が無茶苦茶になって、それでもフェザーフォール(羽毛落下)の呪文なんかで、かろうじて危地を脱する。エドガンは、『フォージやソフィーナを相手どるのに、お前の魔法が必要だ』と言い、サイモンは『無理だよ。ぼくは自分の魔法が制御できないんだから』と断るんだけど、『大丈夫だ、自分を信じろ。こんなイカサマまがいのことをして、一生を棒に振るつもりか? とにかく、頼りはお前だけなんだ。一緒に来てもらうぞ』と強引に連れて行く」

009『これはあれだな。「ぼくのキャラは自信が足りないので、冒険に出るのを渋ります。ですから、強引に説得して下さい。無理やり引きずられて付いて行かされるってことで」と、プレイヤーが宣言しているような感じか』

NOVA「ロールプレイのテクニックだな。プレイヤーは冒険に出たいけど、キャラクターの性格上、喜んで冒険に出るわけではないということで、ゲームとロールプレイの間に折り合いを付けるやり方ってことで」

 

009『で、ドルイド娘のドリックはどうやって仲間になるんだ?』

NOVA「『他に術師の心当たりはないか?』とエドガンに尋ねられて、サイモンが昔、告白してフラれた相手の話をして、森にスカウトに行く。彼女はエメラルド団という自然を守るエコロジスト組織のメンバーなんだが、ネヴァーウィンターの街がドルイドとの盟約を破って、むやみに森林伐採を広げるために環境テロリストみたいな活動をしているらしい」

009『ええと、領主がネヴァレンバー侯からフォージに代わったから、過去の盟約を切り捨てたってことか?』

NOVA「そんなところだな。人間不信を表明するドリックだったが、森を守るためにフォージと対決するのなら、という理由でパーティーに加わる。彼女は辛辣なツッコミ役として、エドガンやサイモンのボケに良識的な意見を挟む役どころだが、世間知らずなコミュ障でもあるので結局はエドガンのノリと勢いに流されることになる」

009『ドルイドと言えば、レンジャーと並ぶ野外活動のエキスパートで、都市では無力と聞いたが』

NOVA「彼女の場合は、動物への変身能力をメインに、情報収集が見せ場の一つだったな。隠密行動と言えば、盗賊の十八番なんだが、エドガンはローグとかシーフではなくてバード。バードは多芸で、技能の割り振りによっては盗賊のマネごともできるんだが、エドガンはそう言った方面に技能を割り振っていないようだ。下記のページから見られる公式データによると、彼の技能は〈ペテン〉〈芸能〉〈説得〉〈手先の早業〉で、隠密能力は持っていない」

009『いわゆる典型的な盗賊だと、〈運動〉〈隠密〉〈軽業〉〈手先の早業〉なんかは欲しいもんな』

NOVA「だから、エドガンは口八丁の交渉能力が武器で、隠れ潜むのは得意じゃないということなんだ。一方、ドリックはアウルベアの他に、劇中ではハエ、ネズミ、ネコ、鳥、シカ、そしてヘビに変身していた」

009『ドルイドは、そんなにいろいろ変身できるのか?』

NOVA「ルールブックによると、変身回数は1日2回までのはずなんだけど、彼女の公式データでは『1日5回』となっている。きっと変身回数を増やせる特技でも習得しているんだろう。とにかく、ハエ→ネズミ→ネコ→鳥→シカ(記憶違いの可能性あり)へと次々と変身して敵から逃げ出すシーンは、これだけでも面白い映像の見せ場として楽しめた」

009『小動物に変身して、情報収集したってことか』

NOVA「その結果、ソフィーナの正体がサーイのレッドウィザードであることや、蘇りの石板を含む宝物庫の扉が『モルデンカイネン製の封印』で閉ざされていることなんかが分かった」

009『モルデンカイネンか。そりゃあ、厄介だな』

NOVA「レルムにも大魔術師モルデンカイネンっているんだ……と一瞬思ったが、エルミンスター同様、界渡りらしいからな。世界の壁を越えて旅できるらしいから、モルデンカイネン印の呪文やらアイテムやらはD&D多元宇宙のどこに出てきても不思議じゃない。ただ、その名前を知っているのは魔術師だけみたいだな」

 

エドガン『そのモルデン何ちゃらってのは何だ?』

サイモン『そんなことも知らないの? ああ、とにかく、その……なんて言うか……凄い魔法使いだよ。そんな封印が施されてるんじゃ、絶対に開けられないじゃないか』

エドガン『う〜ん、だったら魔法そのものを消去するアイテムか何かが必要だな』

サイモン『そんな、都合の良いアイテムなんかあるはずがないだろう!?』

ホルガ『……いや、あるぞ。部族の伝承で聞いたことがある』

サイモン『本当に?』

ホルガ『だけど、古の戦いで失われたらしい』

ドリック『失われたんじゃ意味がない』

エドガン『いや、その戦場跡で誰かに話を聞いてみよう。誰か知ってるかもしれない』

ホルガ『みんな死んでるぞ』

エドガン『死人に話は聞けないか』

サイモン『……いや、聞ける。そういうアイテムなら持ってる』

エドガン『さすがだ、サイモン。では戦場跡に向かうぞ』

 

NOVA「こういった感じのチームの作戦会議が非常に面白いんだな。いかにもTRPGって感じで、会話のやり取りでアイデアが広がって行くところとか』

009『で、戦場跡へ向かった、と』

NOVA「スピークウィズデッドの呪文って、死者の魂が幽霊のように浮かび上がって、質問に答えるってイメージだったんだな(クラシックD&Dでは、そんな感じのイラストだった)。だけど、5版のルールブックには『死体に仮初の霊魂みたいなものを憑依させて、質問に答えさせる』という感じに書かれていて、映画でも戦場跡近くの墓地を掘り返して、いろいろコントめいた質問のやり取りをしていた。死体の吹き替え声優がなかなか豪華で、神谷浩史森川智之津田健次郎諏訪部順一って、この死体とのやり取りだけでもネタとして見る価値ありだ」

009『神谷浩史ガンダムOOティエリアで、森川智之スパロボアルトアイゼンパイロット、キョウスケの声だってのは分かるが、他2人はどういう声だ?』

NOVA「津田さんは、リバイスの『オレ、アクマ』の声で有名なデモンズドライバー、後のベイルだな。他に、シン・ウルトラで外星人ザラブの声だったりもする。スターウォーズのカイロ・レンとか、ドラクエビルダーズの少年シドーの声もしていたんだな。諏訪部さんは、ギャラクシーファイトのアブソリュート・タルタロスの声だ」

009『2009年メモリのぼくにはよく分からないキャラばかりだが、あんたが相変わらず特撮ファンなのは分かった』

NOVA「今さら言うことか? お前もこっちの時代で暮らしているんだから、情報をアップデートしろよ」

009『ゲームのルールは読めば分かるが、声優さんの演じたキャラは実際に作品を見て、声を聞かないと実感できないだろう?』

NOVA「まあ、俺も声優マニアじゃないから、声を聞いただけで当てられる声優さんは、一部ジャンルに限られるからな。いろいろな作品を聴き比べて、声と名前が一致するまで接するならファンにもなるが、たまたま特撮やスパロボ界隈によく出るキャラとか好きなキャラで覚える程度だ」

 

009『で、死体からどんな情報が得られたんだ?』

NOVA「目的のアイテム(魔法消去の兜)がゼンクって聖騎士に委ねられたって話だな。ゼンクは呪いの影響で長命という設定なので、古の戦いの後も生きていて人助けの活動をしている。彼に会いに行くと、『レッドウィザードと戦い、ネヴァーウィンターの街を邪悪から解放し、入手した財宝を街の人たちに贈る』という条件で協力してくれることになった。兜はアンダーダークの地下洞窟に大事に保管しているということで、そこに取りに行くというところで物語の半分くらいだな」

009『まだ続くのか』

NOVA「これ以上の詳細なネタバレを避けるために大筋だけを語ると、アンダーダークの探索でレッドウィザードの刺客とか、太ったレッドドラゴンと遭遇してのバトル展開があって、無事にアイテムを入手して、その後でゼンクと別れるんだが、エドガンはゼンクとの約束を忘れていなかった。再びネバーウィンターに戻って、云々かんぬんいろいろあって結局、また敵の罠にはまって捕まり、処刑される代わりにダンジョン探索の闘技大会に出場させられることになって、何とか試練を切り抜けて脱出に成功する」

009『何だかんだ言って、ダンジョン探索のシーンが多いんだな』

NOVA「天然の地下洞窟と、モンスターを配置した人工闘技施設の2種類で、変化があって面白い。ミミックとか、ディスプレイサー・ビーストとか、ゼラチンキューブとか、D&Dでお馴染みだしな。なお、サイモンとドリックは魔法封じの手枷をはめられて、さりげなくピンチなんだが、その手枷が最終的にソフィーナを倒す切り札になったりする伏線でもあるんだな」

009『ソフィーナとの決戦がクライマックスか』

NOVA「その前にフォージが宝を船に積んで、キーラを連れて崩壊間際の街から脱出しようとするんだが、そこにエドガンたちが駆けつけて来る。フォージはキーラを人質にとって、逃げようとするんだけど、その結果、フォージの欺瞞がバレて、キーラはエドガンの真実を受け入れる。実際には、そこに至るドラマの過程があったんだが、とにかくエドガンはフォージから宝と娘を取り返すことに成功した」

009『でも、ソフィーナの儀式によって、街が崩壊し掛けているんだよな?』

NOVA「闘技場に集まった観客たちを中心に、アンデッド化の儀式が進行している。街に邪悪な気配が立ち上るのを見て、エドガンたちはこのまま逃げ出すこともできたんだが、『ゼンクとの約束を守らないとな』とのリーダーの決断で、ソフィーナとの対決に挑むことになって、クライマックス戦闘だ」

009『その決断によって、エドガンたちが街を救った勇者になったわけか』

NOVA「元は正義を志していたおっさんが、落ちぶれて盗賊団になっていたのが、家族のために誇りを取り戻して、ヒーローになるストーリー……って概要だと、やっぱりアントマンに通じるものがあるなあ」

009『とりあえず、戦いには勝って、失われたものを取り戻して、ハッピーエンドってことでいいんだな』

NOVA「そうだな。サイモンは道中のイベントで自信を付けて、魔法制御のコツをつかんで、再びドリックに告白した。ドリックは今のあなたなら付き合ってもいい、と承諾。そしてエドガンは……蘇りの石板で妻を蘇らせることはできなかった」

009『どうしてだ?』

NOVA「クライマックス戦闘で、ホルガが致命傷を受けたんだな。『名誉ある戦いで死ぬんだ。悪くない』と事切れたホルガを、エドガンはキーラの想いに応じるように、石板で蘇らせるんだ。過去に失った妻よりも、現在の相棒の命を選んだんだな。その前に、夢で妻と会って、過去よりも未来に向き合って欲しい的なメッセージを受け取ったりもして、キーラにとっての家族はホルガだったことを理解した形になる。そんなわけで、エドガンの中では妻の悲劇がきれいに解消された形になる。一方で逃げ出したフォージは、ゼンクに捕まる末路を迎え、極寒の監獄に送られることになる。まあ、ドラマ的にも文句なしのハッピーエンドだったと思う」

009『めでたしめでたしだな』

NOVA「ああ。いいファンタジーアクション映画だった」

(当記事 完)