Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

日曜日に見た映画(D&Dとグリッドマン)

2本見て、2本とも大当たり

 

NOVA「今日は休みに見た映画の話だ」

009『グリッドマンの話か?』

NOVA「それと『D&D アウトローたちの誇り』だな」

009『D&D映画か。昔、見て、外れだと思ったな』

NOVA「それは2000年のこれだな」

NOVA「昔の映画の欠点はいろいろ挙げられるが、何よりも問題なのは世界観が映画オリジナルで、D&Dオフィシャルなワールドではないことだな」

009『D&Dというタイトルを冠しちゃいるが、フォーゴトン・レルムでも、ドラゴンランスでも、ミスタラでも、グレイホークでもない、と?』

NOVA「一応、ダンジョンとドラゴンが出たら、タイトルに偽りはないんだが、この映画を見て、D&Dの冒険ってこうだよなあって雰囲気が感じられない。まあ、映画制作時期が『D&Dの版権がTSRからWotC社に移った時期とかぶった』せいで、モンスターなどの素材は使えても、世界設定は使えなかったらしいが、お城の中庭を番犬のように見張っているビホルダーという時点で、何だか分かっていない脚本家って感じたりも」

009『邦題も「ダンジョン&ドラゴン」ってズを省いたり、分かってない感が丸出しだったな』

NOVA「それを言うなら、『ロード・オブ・ザ・リング』だって、原題はリングズって複数形なんだけどな。邦題で複数形のズを省くのはありがちだが、それはそれとして、『アウトローたちの誇り』は過去のD&D映画とは一線を画す面白さだった。バトルあり、笑えるコメディーあり、感動あり、そしてD&Dあるあるな事件がいろいろとあって、世界観についてしっかり分かっている脚本家が作ったお話って感じで、20年前とは全然出来が違う」

009『そんなに良かったのか?』

NOVA「フォーゴトン・レルムが舞台だから、バルダーズ・ゲートやネヴァーウィンター、ソード・コーストといった地名や、ハーパーズやサーイのレッドウィザード、地下世界アンダーダークといった用語、エルミンスターとかモルデンカイネンといった人名を聞くだけで、お馴染みの世界って感じがするし、ストーリーは『家族想いの父親が娘の身を助けるために、世界の危機に立ち向かう』という先日のアントマンにも通じる話で、娘たちと一緒に見た映画としてはドラマ的にも大当たりだった」

009『ファミリー映画だったのか』

NOVA「そうだな。主役のエドガンは子持ちの吟遊詩人が身を持ち崩して、アウトローな義賊になった。演じるクリス・パインは、近年のスタートレック映画でカーク船長を演じている他、ワンダーウーマンの恋人スティーブ・トレバーだったり、アニメのスパイダーバースの先代スパイダーマンだったピーター・パーカーの声だったり、洋画ヒーロー的にイカした俳優さんだ。そんな彼が口八丁でリーダーシップをとるけど、どこか頼りないダメ親父という2枚め半な主人公を演じている」

009『吟遊詩人が主人公ってのは変わってるな』

NOVA「D&Dの吟遊詩人は、魔法の使える盗賊で、交渉事が得意とある。映画の中では、魔法を使うことはなくて、それなりに剣で戦えて、世事に長けてリーダーシップをとれて、悪知恵が働いて機転が利くけど、行き当たりばったりで面白い」

009『行き当たりばったりなのか?』

NOVA「本人は『作戦を考えるのが仕事』と言ってるんだな。そして、作戦が失敗すると、『心配するな。そんな時のためのプランBがある』と言う。それを聞いた仲間が『プランBなんてあるんだったら最初から言えよ』とツッコミ入れて、『いや、プランBは最初の作戦が上手く行かなかった時のため用なんだ』と応じる。『最初の作戦が失敗すると思ってたの?』とツッコミ入れる仲間に対して、『成功したらプランAのままで問題ない。しかし、プランBは……ちょっと待て。どう説明したらいいか頭を整理してみる。少し静かにしてくれ』と言いながら、即興でプランBをテキトー(臨機応変)に考えるんだな」

009『いかにも、ゲームマスターのアドリブ処理みたいだな。「シナリオは考えている。しかし、ちょっと待て。多少調整が必要みたいだから、10分間の休憩をとろう。状況を整理してみる」と言ったところか』

NOVA「なお、プランBが上手くいかないと、プランCも即興でひねくり出す。この行き当たりばったり作戦会議が、いかにもTRPGの実プレイって感じで面白い。アクション映画の場合、最初に考えた作戦どおりに物事が進展することは稀で、思わぬトラブルが発生して事態が二転三転しながら、やがて結末に向けて収束していく流れだが、大切なのはその収束に向かうのが主人公たちの力のおかげだと感じられることだな」

009『当たり前だろう? 主人公が事件を解決しなくて、どうするんだ?』

NOVA「そりゃあ、主人公よりも力を持った神みたいな存在とか、いろいろいるわけだし、主人公が英雄ではなくて、英雄の介添え役である語り部という作品もあって、本作も主人公よりも仲間の戦闘力や魔法などの方が冒険中に役立っている。と言うか、主人公はドラマの中心であるものの、口だけで自分はあまり仕事していないリーダーなんだな」

009『ええと、役立たずな主人公なのか?』

NOVA「見せ場だけを考えると、相棒の女バーバリアン戦士のホルガや、自信なさげな魔法使いの若者サイモン、そして多彩な動物への変身能力で活躍する可愛いティーフリング娘のドリックの方が派手なシーンがいっぱいある。こういったパーティーメンバーが誰一人、空気になっていない作劇手法が実にお見事だな。昔のD&D映画は主人公とヒロイン以外のパーティーメンバーが頭数合わせだけで、ドラマ的にはいなくてもいいというケースが多かったが、今回は主人公を『仲間を支援する応援役のバード』に設定することで、チームあっての作戦って感じがよく描かれていた」

009『ルパン3世みたいな感じか? 戦闘能力では次元や五右衛門の方が上だが、盗みの計略やら軽妙な話術、そして泥棒としての総合的な力(変装やら情報収集&分析力、とっさの機転など)で主人公らしさは揺るぎないキャラとなっているとか』

NOVA「リーダーシップをとるのに必要なのは何かと考えたときに、チームの行動目的を決めることと、仲間の個々の特性を発揮できる状況構築力と、何よりも前向きに諦めない意志力だと思うんだな。あと、このパーティーはみんなが負け犬的な傷を抱えた社会不適合者(アウトロー)集団なんだが、エドガン曰く、『俺は負け犬の総大将さ。だから、これ以上失うわけにはいかない。奪われたものは必ず取り返す。そのためにプランをあれこれ考えるのが俺の仕事だ』と自分の役割をしっかり自認し、絶望的な状況で光を示してくれる」

009『仲間を鼓舞して、勇気を与えてくれるのが真の勇者だとダイ大でも言ってたな』

NOVA「こいつに付いて行ったら面白いとか、元気になるとか、自分のパフォーマンスを最大に発揮させてくれるとか、納得できる目的を示してくれるとか、そういうタイプのリーダー像なんだな、エドガンって。スポーツチームにおけるスター選手ではなく、監督の役どころだと思えばいいと思う」

 

改めてD&Dストーリー(キャラ紹介)

 

NOVA「さて、魅力的な主人公像をいろいろ語ってみたが、物語のスタートは極寒の牢獄からの脱出劇だ」

009『それは……キングオージャーとかぶったな』

NOVA「ああ。ニチアサでキングオージャーのゴッカン裁判の話を見て、1時間半後ぐらいにソード・コーストの北方アイスウインドの監獄からの脱走で、実にタイムリー。さらに、その脱出方法が鳥人間の翼を利用して、無理やり高所から飛び降りるという方法で、これまたキュアウィング登場回とかぶったと思えなくもない」

009『その朝に見たテレビ番組と、昼の映画がたまたまの巡り合わせで、かぶったように感じるのは面白いな』

NOVA「タイムリーな面白さを感じると、その日に見て良かったとさえ思えてくる。で、監獄に囚われていたのはエドガンとホルガで、頭脳労働と交渉担当のエドガンと、腕っぷし担当のホルガが最初の2人となる。彼らがどうして捕まったかが、序盤の裁判員の前での罪人陳述でエドガンが流暢に軽妙な語り口で説明してくれる。

エドガンは元々、正義の秘密結社ハーパーズの一員として、悪党退治の使命をいろいろ頑張っていたんだが、サーイのレッドウィザード(悪の魔術師集団)の報復で妻を殺されてしまい、まだ赤子の娘のキーラと2人暮らしとなったんだ」

009『当然、復讐を誓ったんだな』

NOVA「いや。それで見返りのない正義への懐疑心が芽生えて、ハーパーズの組織を脱退して、金持ちからのみ盗む義賊となったんだな。そんな折、やけ酒を浴びながら飲んだくれとなっているエドガンをたまたま見かねたホルガと出会う。ホルガはダメな父親が一人で赤子の面倒をろくに見られない様子に、赤子の方を不憫に感じて母親代わりになってやることにしたんだ」

009『主人公が子持ちのおっさんで、ヒロインが豪快な押しかけ母ちゃんとはな』

NOVA「最近は本当に娘持ちな父親主人公をヒーロー洋画ではよく見るよ。ホルガの方は『ワイルドスピード』シリーズのヒロイン役のミシェル・リドリゲスが演じ、甲斐田裕子さんが声を吹き替えている」

009『甲斐田裕子? 誰だ、それは?』

NOVA「お前、甲斐田裕子さんを知らないとは、それでも俺のコピーか? ガンダムUCのマリーダさんで有名じゃないか」

009『ガンダムUCは2010年にアニメ化されたんだろう? 2009年メモリのぼくが知らなくても不思議じゃない』

NOVA「チッ、甲斐田さんといえば、ホビットのエルフの女戦士タウリエルや、DC映画のワンダーウーマントゥームレイダーララ・クロフトバイオハザードクレア・レッドフィールド、それにメトロン星人ナイゲルさんの声で大活躍中の声優さんだぞ」

009『ナイゲルさんと言えば、ウルトラマンデッカーに出た人か。榊原良子さんに似た声質だと思うが』

NOVA「確かに、榊原さんの後継者の声ができそうだな。榊原さんはワンダーウーマンの母親女王ヒッポリタの声も担当しているし」

009『とにかくホルガが豪快な女戦士で、吹き替え声優も榊原さんに声質が似た甲斐田裕子さんが担当して、あんたのツボだったってわけだな』

NOVA「いや、俺のツボはティーフリングのドルイド娘のドリックだ」

009『ティーフリングって?』

NOVA「お前は、それでも俺のコピーか? D&D4版以降の基本ルールブックに載ってる種族だろうが」

009『ああ、確か人間と悪魔の混血だったか』

NOVA「彼女の両親はどちらも人間なんだが、遠い先祖に悪魔の血が混じっていたらしくて隔世遺伝してしまったんだな。角の付いた彼女の人ならざる姿に怯えた両親は、彼女を森に捨てたが親切なエルフが彼女を養育してくれ、森でドルイドの技を身に付けたわけだ。ドルイドの特殊能力として森の動物に変身できるんだが、ルールブックには通常のクマには変身できても、アウルベアには変身できない。これは悪魔の血を引く彼女ならではの特殊能力として説明されている」

009『アウルベアは味方が変身した姿か。強いのか?』

NOVA「普通のクマが脅威度1なら、アウルベアは脅威度3になるな」

009『クマの3倍強い、と』

NOVA「脅威度3で有名なモンスターを挙げると、ミノタウロスマンティコアと同程度だな」

009『そりゃあ、ただの獣じゃない魔獣って感じか。凶暴なフクロウグマに変身する悪魔ガールってキャラは萌えそうだ』

NOVA「ああ、頼り甲斐のある筋肉質なホルガ姐さんと、陰キャ風の変身悪魔少女のドリックと、それから助けを求めるお姫さま的キャラのキーラ(エルガンの娘)の3人がヒロインで、敵がアンデッドの魔女ソフィーナということになる」

009『女性キャラが多いな』

NOVA「男はエドガンの他に、若き魔法使いのサイモン。彼はウィザードでなくてソーサラーで、ワイルドマジックの使い手である」

009『ええと、確かウィザードが魔道書の研鑽に基づいて、知識で魔法を使うのに対して、ソーサラーは血筋とか天性の才能で魔法を使うんだったな』

NOVA「ああ。彼は大魔術師エルミンスターの子孫らしい。てっきりエドガンのほら話かと思ってたんだが、この映画用に設定された公式データにそう記されているから間違いないだろう」

009『エルミンスターと言えば、指輪物語ガンダルフや、ハリー・ポッターダンブルドアに相当するレルム最強の魔法使いじゃなかったか?』

NOVA「最強かどうかは知らんが、ゲームブックのFF世界のヤズトロモさんやニカデマスさんに相当するほどの有名人であることは間違いないな。フォーゴトン・レルムのワールドデザイナーであるエド・グリーンウッドにレルムのことをいろいろ教えてくれた案内役という設定でもあるし」

009『パズルとかフィギュア、MTGのカードが公式に発売されているほどの有名人か』

NOVA「グレイホークのモルデンカイネン(D&Dの生みの親のゲイリー・ガイギャックスが作成した、彼の分身的な魔法使い)に対して、レルムの代表魔法使いって感じだな。そのうちエルミンスターの名を冠したD&Dサプリが出ても不思議じゃない」

009『とにかく、サイモンはエルミンスターの子孫って設定なんだな』

NOVA「エルミンスターは時空を自在に移動できる伝説の魔法使い(プレーンズ・ウォーカー)らしいから、どこで子を作っていても不思議じゃないし、公式にエルミンスターの娘の書いた小説って本が出たこともあるらしいからな。しかし、その吹き替え声優が木村昴さんだというのは笑った」

009『こんなところまでバイスが出て来るのかよ』

NOVA「自己主張が旺盛なんだけど、その内容がネガティブなのが昴さんキャラとしては珍しいよな。エドガンに、お前は才能があるんだから、とヨイショされても、『そう言って、ぼくに無理難題を押し付けるんだろう? ぼくには無理だよ。偉大なご先祖さまみたいに魔法を使いこなすなんて、ぼくにはできっこない。せいぜいがちょっとした小手先の手品みたいなものさ』と言うような、自己卑下の塊みたいな男で、ドリックに愛を告白しても、『自信のない男はダメ』という理由でフラれている」

009『でも、本当はすごい才能を秘めているって設定か』

NOVA「命の危険にさらされると本気を出すらしい。だから、エドガンが彼をそそのかして、危険な目に合わせて、彼の才能を発揮させようとするんだな」

009『まるで、ダイ大のポップみたいだな』

NOVA「彼の扱う魔法はワイルドマジックと称され、うまくコントロールできないんだな。ゲーム的には、魔法を使う際にD20を振って1が出た場合とか、魔法暴走表を振ることになる。試しに%ロールを振ってくれ」

009『今ここでか? どうなっても知らないぞ。(コロコロ)89』

NOVA「以後1分間、君は不可視状態となる……って、おい、009、どこに消えた?」

009『……』

NOVA「返事がない。ただの透明人間のようだ。声や物音も聞こえなくなるんだな。仕方ない。1分間待ってみるか」

 

(1分後)

 

009『ふう、こういうランダム効果が発生するんだな。狙って発動できるなら、透明化なんて便利なものだと思うが』

NOVA「良いことばかりじゃない。『自分を中心に3レベル呪文のファイヤーボールが勝手に発動』して自爆したり、『D10だけ年をとったり若返ったり』とか、『1分間、会話を叫びながら行わないといけない』とか、時には致命的な効果とか、場を混乱させる効果が発生し得るわけだ」

009『そいつは面白い』

NOVA「時にはな。しかし、映画で発生したような『重力逆転の魔法効果』は魔法暴走表にはないので、きっとDMオリジナルの魔法暴走表を作ったんだろう。もう一つの『自分を中心に霧雲の呪文が発動する』は表の中にあるので、参考にした部分もあるんだろうな」

 

009『映画を見てから、5版ルールブックを読むのが楽しそうだな』

NOVA「ああ。今回のパーティーは、D&Dでの基本かつ王道のファイター、ウィザード、クレリック、シーフ(ローグ)ではなくて、亜種的なバーバリアン、ソーサラードルイド、バードということで、主人公たちはその点でも王道外しなメンツと言っていい」

009『パーティー構成からして変化球ってことか』

NOVA「まあ、20年前と違って、王道キャラを映像化しても定番すぎて面白くないと判断されたのかもな。90年代からゼロ年代初期は『クレリックが回復呪文を唱えるシーンが描かれるだけで、おおって感じ入れたかもしれんが、今はよくあるシーンでしかない』もんな。それよりも、女バーバリアンの大乱闘とか、ワイルドマジックの映像化とか、ドルイドの獣変身とか、そういうのが映像として新鮮に思えた」

009『なるほど。いかにもD&Dだけど、まだ手垢の付いていないネタを引き出して来て、他に類を見ない映像演出を見せた、と』

NOVA「そう。ただし、主人公だけは地味だけど。それでも仲間を盛り立てる役割で、巧みな話芸で相手の気を逸らせたり、仲間に指示してチャンスを活かしたり、確かにバードだな。落ち込む仲間のために音楽を奏でる場面は、盗賊ではなくバードらしさが引き立っている」

009『5版のバードって何ができるのか、念のため確認したい』

NOVA「仲間の行動を応援することで、ボーナスダイスを与えることができる。あと、劇中では呪文を使っている様子はなかったが、バードの呪文って心術系統の物が多いんだな。例えば、バードの1レベル呪文にヒロイズム(勇壮)というのがある。仲間の恐怖心を打ち払い、一時的HPを与えて打たれ強くする効果なんだが、こういう支援魔法を(派手な映像演出なしで)使っていたのかもしれない」

009『他にどんな呪文があるんだ?』

NOVA「そうだな。同じ1レベル呪文にロングストライダー(健脚)というのがあって、移動速度が10フィート(3m)上昇する。劇中、何度も敵から逃げ出すシーンがあって、その度に『行け行け行け行け』と叫んでいたが、もしかするとあれも呪文なのかもしれない。演出上は、魔法ではない扱いとして描写されていても、ゲーム的なルールでは魔法的な特殊効果なのかもしれないな」

009『それだけ、主人公がリーダーとしてチームを鼓舞していたってことだな』

NOVA「派手な特殊映像効果が付いていないだけで、仲間の士気を上げたり、敵の命中可能性を下げるなどの話術が全て特殊能力だとしたら、しっかり仕事をしていたことになる。口だけ達者なキャラに見えるが、その口でしっかり仕事をしていたわけだ」

 

009『ところで、パラディンのゼンクというキャラが仲間にいるみたいだが?』

NOVA「ああ、彼はパーティーメンバーではなくて、助っ人NPCみたいな立場だな。劇中で、アンダーダークに向かう必要があって、危険なその地へ向かう際の水先案内人であり、用心棒として一時的に同行した。そこで、太ったレッドドラゴンと戦ったり、サーイのアンデッド魔術師の刺客と戦ったりしていた。ハーパーズの一員で、元ハーパーズのエドガンの事情を尋ねたりしながら、彼が道を踏み外さないように忠告&説教をして、ウザがられたりする正義と秩序の勇者だ」

009『そりゃあ、パラディンだもんなあ』

NOVA「凄い(うんざりするほど)良い奴なんだけど、アウトロー揃いのパーティーとは合わないってことで、一時的な支援に留まるが、元々はサーイの出身で、アンデッド化の呪いから逃げ延びて、故郷と家族を奪ったレッドウィザードを倒す誓いを立てている。利害が一致したために協力した関係だ。なお、エドガンはケイオティックグッドな性格なので、法には無頓着だが良心はある。生真面目なゼンクと、チャランポランに見えるエドガンの掛け合いは、そうだな……シャンゼリオンの速水と涼村暁のやり取りに通じるコミカルさだ」

009『例えが古すぎて、読者の多くには伝わらないだろうが』

NOVA「う〜ん、だったら嘘がつけない桃井タロウと、逃亡者の犬塚翼の関係が近いんだが、この2人はあまり掛け合いしてないからなあ。とにかくパラディンの生真面目さと、そこにツッコミを入れつつ、奇妙な友情を育むものの、結局ビジネスライクな信頼関係に留まった2人の距離感が非常に良い。あんたと生き方は違うが、それがあんただ、だけどあんたの善意は信用できるって両者の関係性が変に友情でベタベタな馴れ合いにならず、最初の不信感が短期間の冒険を共にするうちに適度に通じ合うドラマ過程がいい」

 

NOVA「一方で、全く信用できないのが詐欺師のフォージだ」

009『そりゃあ、詐欺師は信用できんだろう』

NOVA「キャラのタイプとしては、エドガンと同じなんだが、より要領が良くて、狡猾だ。魔女のソフィーナと手を組んで、エドガンから娘のキーラと宝を奪い、さらにネヴァーウインターの街の領主を呪いで病気にして、自らその座に収まった」

009『不正に地位を得た悪徳領主ってことか』

NOVA「彼とソフィーナの陰謀と裏切りが、エドガンとホルガが投獄された原因なんだが、エドガンはフォージの裏切りに気づいていなかったんだな。信頼できる仲間として、娘と宝を預けたんだが、それが裏切られていたことに後から気付いて、娘と宝を取り返す物語になって行く」

 

さらに改めてアウトローたちの物語

 

NOVA「キャラ紹介だけで、ずいぶんと字数を費やしたな」

009『それだけ、どのキャラも魅力的だったってことだろう?』

NOVA「キャラのやり取りが非常に軽妙で、どのキャラも生き生きと演じられているんだな。エドガンも口八丁の嘘つきな面があるが、彼がその場を取り繕うように嘘をつくと、仲間の誰かがポロリと本当のことを漏らしてしまって、揚げ足をとるシーンが結構あって、騙し通せなかったりする。基本はドタバタコメディなんだが、それもTRPGの雰囲気なんだな。口八丁で場を切り抜けようとするプレイヤーAに対して、他のプレイヤーがそれはないだろうってツッコミを入れる場面って感じで」

009『ドラマなのに、ゲームの雰囲気を感じさせるやり取りか』

NOVA「20年前の映画には見られなかった雰囲気だな。ゲームのルールにツッコミを入れる点とかな。死者と会話するスピークウィズデッドという呪文があって、中盤のギャグシーンに一躍買った名場面なんだが、死人を一時的に蘇らせて5つの質問をすることができる」

 

エドガン『何で5つなんだ?』

サイモン『知らないよ。そんな風に決まっているんだから。そういう魔法なんだってば』

エドガン『テキトーなんだな』

 

NOVA「で、劇中ではスピークウィズデッドの呪文を使えるキャラがいないので、マジックアイテムの力で代用することになる。サイモンは後半に覚醒するまで、自分の扱う呪文には(暴走するので)信を置いていないんだが、代わりに便利なアイテムをいっぱい持っていて、パーティーのアイテム管理係になっているんだ。視界内に見える範囲に転移ゲートを開く魔法の杖とかあって便利だ。とりあえず、冒険中によく分からないマジックアイテムを入手すると、『お前、持っとけ』とサイモンに渡されるのもギャグになっている」

 

ゼンク『信頼の証に、この品を渡しておく』

エドガン『ああ、ありがたく受け取っておくよ。信頼の証だな。(サイモンに)お前、持っとけ』

サイモン『ええ、ぼくが?』

エドガン『信頼の証だから、俺よりも君にふさわしいだろう。いいから持っとけ』

ゼンク(この男は……と言いたげな絶妙な表情)

 

NOVA「で、スピークウィズデッドはクレリック呪文だから、パーティー仲間にいないのでアイテムで代用した形だが、ルールブックを調べるとバードも使えるんだな。劇中ではもっぱら死者に質問していたのはエドガンだったから(悪ノリコメディー調だったけど)、ゲーム的な解釈としてはエドガンが呪文を使っていたのを映画的な脚色でアイテムの効果に置き換えられたのかもしれない。とにかく、エドガンの目的は『レッドウィザードの刺客に殺された妻を生き返らせるためのアイテム探し』から始まって、それで裏切りにあって投獄されて、娘まで失いそうになっているんだから、大義でなく個人的感情で動いていることになる」

009『パーティークレリックがいないのはそのためだな。いたらレイズデッドの呪文で復活させられる』

NOVA「いや、レイズデッドじゃ無理だ。死後10日以内に限られるからな。エドガンの妻が死んでから、赤ん坊だった娘がティーンエイジャーになってるわけで、彼女の復活にはより高位のリザレクションが必要だ」

009『なるほど。パーティーに高レベルのクレリックがいれば何とかなるんだがな』

NOVA「それなんだが、これもルールブックをよく読むと、レイズデッドやリザレクションはバード呪文の中にも入っている」

009『エドガン、自分で呪文を習得しろよ』

NOVA「まあ、それだからこそ、エドガンが劇中では呪文の使えないキャラに設定したんだろうな。とにかく、失ったものや欠落したものを取り戻したり手に入れることが物語の大きなテーマと言えるわけだが、エドガンの家族、ホルガの愛、サイモンの自信、ドリックの自然保護の想いがそれぞれのドラマの焦点になる」

009『ところで、当記事が1万字を超えたんだが?』

NOVA「俺にD&Dを語らせると、長くなるってことだな。本当はグリッドマン映画の感想も語りたいのに」

009『どうやら、仕切り直しが必要みたいだな』

NOVA「仕方ないので、最新の宇宙船誌でも貼って、お茶を濁すか。これも表紙がグリッドマンだ」

宇宙船vol.180 (HOBBY JAPAN MOOK)

(当記事 完。まあ、話は続くけど)