原作トリビアということで、『ホビット』第1章において、ドワーフ各人の個性を象徴するのが、頭巾の色と、演奏時に使う楽器だったりします。
映画では、そういう個性分けはされていませんし、実際にそれを再現してしまえば、ドワーフたちの渋さよりも、サーカス劇団のようなにぎやかさばかりが強調されて、映画のリアル重視な世界観を崩してしまっていたでしょう。
頭巾をかぶった色とりどりのドワーフといえば、やはり『白雪姫』の七人の小人が思いつくのですが、ディズニー映画のそれが公開された年は1937年。おお、『ホビット』初版と同じ年だ。
まあ、発表が同じ年ということは、『ホビット』執筆時のイメージにはディズニー映画は入ってないでしょうが、色とりどりの頭巾を被った大勢のドワーフ集団というだけで、共通項を感じます。
『白雪姫』でも、原作の小人は特に個別化されていないのですが、アニメ映画になることで、「1.ドク(先生)」「2.グランピー(おこりんぼ)」「3.ハッピー(ごきげん)」「4.スリーピー(ねぼすけ)」「5.バッシュフル(照れすけ)」「6.スニージー(くしゃみ)」「7.ドーピー(おとぼけ)」といったキャラ分けがされた、と。
で、『白雪姫』といえば、昨年6月に映画公開されたダークファンタジー・アクション『スノーホワイト』もありますね。
「鎧を着て戦う白雪姫」という作風ですが、こちらでも別の個性で七人のドワーフが登場してます。
う〜ん、密かに昨年はドワーフブームだったのか?
こちらも、3部作になるようで、ドワーフ目当てにチェックしてみようかな、と。
女性向きの色合いが強そうだったので、ノーチェックだったけども。
頭巾の色
『白雪姫』から話を戻して、13人のドワーフの話。
ビルボの家にやってきた順に、頭巾の色を挙げてみる。
- ドワーリン:ふか緑
- バーリン:赤
- キーリ&フィーリ:青
- ドーリ、ノーリ:紫
- オーリ:灰色
- オイン:茶色
- グローイン:白
- ビフール、ボフール:黄色
- ボンブール:うす緑
- トーリン:銀の房の付いた青空色
この頭巾の色は、原作でビルボがドワーフを見分けるポイントになっています。「青い頭巾だから、キーリかフィーリだな」とか、「バーリンの赤い頭巾」とか記述があって。
なお、ビルボは準備不足で旅に出たので、ドワーリンが頭巾とマントを貸してくれます。だから、ビルボの頭巾はふか緑色ということで、このカラーリングは、忍びの者として野外で隠密活動をするには最適ですね。
もしも、ドーリの紫とか、ボフールの黄色なんかを借りていたら、目だって仕方ないんじゃないか、と。
楽器
オインとグローインを除いて、ドワーフたちは楽器を演奏していました。
ボンブールの太鼓は、実に彼らしいと思ったんですが、基本的に王家に近い者が弦楽器をたしなんでいて、他は管楽器になるみたい。
でも、このドワーフたち、普段から楽器を持ち運んでいるのは、個人的な趣味を通り越して、旅芸人的な稼ぎでもしていたのかな、という気になります。
映画では、音楽をたしなむキャラはボフールということになっていますが。楽器を演奏するシーンはないですね。*1
あと、オインは映画設定では補聴器が必要だから、さすがに楽器演奏は難しいな、と納得。もしかすると、原作で楽器を演奏しない、ということから発展して、補聴器設定が生まれたのかもしれない。
*1:エクステンデッド版のDVDでは、楽器を演奏したり、歌うシーンが追加されてます。ボフールさんは、面倒見が良い宴会部長って感じで、孤高のトーリンとは異なる庶民派リーダーぶりを発揮してます。