Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

仕事人2009・第6話感想(その2)

 昨日は、6話感想の途中まで書いて、力尽きました。
 よって、本日はその続き。
 正直、フォーマットどおり、ちゃっちゃと仕上げて、はい、おしまい、で済ませられるような話ではないと思いましたし、勢いに乗ってドラマ論まで語り出した日にゃ、どう収拾つけるのよ、オイ、ということで仕切り直しの必要も感じた次第。


 ともあれ、感想が1回では済まないほど、密度の濃い話だったということで。

仕事を求める涼次

 小五郎にこだわるとどうも前に進みませんので、他のキャラに目を向けます。
 たまたま表の仕事に入った先で、悪人の企みを知ることになる。前回の涼次はそうでした。
 今週の涼次は、先週の反動からか、完全に不景気。表の仕事ではままならないので、お菊に裏の仕事を求めます。そして、仕事の可能性として当たってみたのが、悪徳陰陽師
 そんなわけで、アクティブに動き回る涼次なのですが、基本的に彼は「裏稼業について熟知した役者」*1、もとい「熟知した仕事人」です。
 よって、彼が積極的に動けば、「仕事人のドラマとして成立しやすい」わけですな。逆に、彼の行動次第で、ドラマの方向性も決まるのでは、と。


 それが証拠に、前回との「ドラマ性の違い」を彼主体に語ることもできます。

5話の涼次

 基本的に、仕事人が日常生活を送っていれば、事件の方から自然に飛び込んでくる。そんなのが後期の仕事人シリーズの特徴と言えますな。
 涼次がたまたま雇われた職場が悪人の巣窟で、涼次がたまたま偶然、腹痛を起こせば悪人僧侶にネタにされて、腹いせのために屋根裏に忍び込めば、たまたま悪の密談を耳にする。実にうまくできています(笑)。
 その「たまたま偶然」を、いかにうまく流れさせるかが、演出であり、役者の演技であり、編集のお仕事。脚本の上手下手はこの際、不問にしておきます。

6話の涼次

 こちらでは、裏稼業関係者は自分の意志をもって、探索や殺しに臨みます。
 これは、被害者が出てから、それまで個々の立場で得ていた情報をつなぎ合わせて悪人を決定する後期型と違い、最初から「裏の仕事」の業務活動を積極的に展開します。その理由として、「序盤から依頼が為されている組織主体の仕掛人型」と、「金になりそうな事件を積極的に漁る、何だか貧乏くさい仕業人型」*2が挙げられます。今回の涼次が後者であることは明らかですね。
 今回の涼次の立場としては、奉行所の役人ではなく、自分たちが「裏の仕事」として事件を解決したい。この行動方針については、4話と比べると違いが明らかです。4話では、「如月がスッてしまった悪党の財布」がどうにもヤバいと感じて、降りかかる火の粉を払うためだけに行動しております。結局、「財布の処分」は町方役人任せになってしまい、対応が後手に回ることに。これが今回の涼次のスタンスであれば、「いかに悪党の財布を、仕事のネタに持ち込むか」思慮をめぐらせることでしょう。少なくとも、「お菊の知り合いである阿片嫌いの顔役」が殺されていることから、「仕事にできる」と判断できたはず。
 つまり、4話や5話は「表の顔の安定」を第一義にしていたのに対し、6話では「裏の仕事」で積極的に動いていたわけです。NOVAとしては、後者の方がドラマ的に面白い、と考えます。

それでも、カラカラカラ空回り♪

 涼次の仕事熱心ぶりは、悪人の手先になった藤五郎に狙われた、商人の護衛で本領発揮。
 忍者らしく棒手裏剣を投げるという技能で、藤五郎を牽制。思わず、屋根の上から「あばよサンピン」とうそぶいて、藤五郎さんが「恐ろしい奴」とつぶやく姿を妄想しました*3
 さすがに、涼次や元締めのお菊が藤五郎の剣の技を見込んで裏稼業にスカウトする話にはならず、涼次は助けた商人に対して闇の営業活動を行います。
 でも、商人が奉行所に駆け込んだため、営業は失敗。


 奉行所の介入を嫌った涼次は、小五郎にも牽制の言葉をかけますが、二人の仲違いはいつものことなので割愛。ともあれ、この際の涼次やお菊とのやりとりが、「藤五郎が裏の仕事の的になる危険性」を小五郎に悟らせます。

源太と主水

 やっぱ、4話に続いて、涼次と小五郎のスタンスの違いと対立が、しっかり描かれていると楽しいですね。


 そして、今回は源太にも、しっかり見せ場が与えられておりました。
 小五郎の「藤五郎に対する思い入れ」を懸念したお菊が、源太に命令して、監視させます。このための人選が見事。仲の悪い涼次に監視させると、組織に決定的な亀裂を与えかねませんから。
 源太の場合ですと、素人の毛が生えたようなものですから、見張っていることがバレるのは明らか。でも、ここは、見張りそれ自体が目的ではなく、裏稼業組織としての「警鐘の意志を示すこと」が目的ですから、涼次だけでなく、源太も動いているのを示すことで、下手すると、情で仕事を邪魔しかねない小五郎を牽制しているわけですな。
 すなわち、やんわりとプレッシャーを示した、と。
 「お菊さんに頼まれました」と正直にバラしてしまうほど、悪意のない源太だからこそ、小五郎も追いつめられすぎることなく、冷静に考えてくれるだろう、というお菊の(すなわち脚本家の人の)気配りかな、と。
 さらに、その直後に描かれる「藤五郎の凶行」を、小五郎と源太が知ったことで、裏稼業の動機が確かなものになった、と。


 一方、小五郎の後見役(?)の主水。
 今回は、直接、小五郎に絡むことなく、しかし小五郎の性格を熟知した者としてフォローの言葉。
 「婿殿なら、情に流される心配はねえぜ」
 おお、このセリフは、以前「理に徹する小五郎」と評価したNOVAとしては、我が意を得たり、というもの。
 ただ、最近はその「情に流される心配がないはずの小五郎が、内面の人情味を示しながら葛藤する」のがドラマとして面白い、と思っているわけですが。4話の安川の死が、小五郎の人情面を揺れ動かした? (さらに、つづく)

*1:演じる松岡昌宏は雑誌インタビューで、自ら必殺マニアであることを公言。確かに、その演技には過剰なほど力が入りすぎており、良くも悪くも芝居がかっている。必殺シリーズのいろいろな要素を自分の演技に取り入れようとする余り、シーンによって涼次のキャラが精神分裂を起こしていると思えるほど、異なる表情を見せる。それを「表と裏の顔を使い分けている」と評価するか、「変わりすぎてキャラが首尾一貫していない」と批評するかは人それぞれ。

*2:仕業人の依頼料は5両と固定されており、元締め無しでメンバーは4人。依頼を請け負った者が2両を受け取るシステムなので、メンバーは積極的に裏稼業のネタを探して動き回っていました。

*3:元ネタは『必殺仕掛人』の第1話。辻斬り浪人の西村左内に対して、藤枝梅安が仕掛け針を投げつけて牽制する、初対面シーン。