遅ればせながらの最終章
翔花「とうとう、この日が来たわね」
晶華「去年の12月から始めたゲームブックも、1章から3章までクリアして、残る1章でずいぶんと停滞していたもんね」
翔花「とりあえず、各章の始まりの部分だけ貼り付けてみたけど、過去記事を総ざらいしたい人は、ゲームブックタグを利用してね」
NOVA「お前たち、朗報だ」
晶華「何、NOVAちゃん。私たち、これから『モン逆』の最終章を頑張るんだから、邪魔をしないで」
NOVA「『モン逆』と言えば、ゴブリンが主人公。ゴブリンと言えば、これだろう」
晶華「へえ。今年放送予定って聞いていたけど、とうとう正式に10月からって告知されたのね」
翔花「だけど、残念ながら、ここでの『モン逆』主人公は可愛くないゴブリンじゃなくて、可愛いタヌキなの。今までの元タヌキ少女イースタの進化系譜は、ゴブリン改めタヌキ→人間→狼人間→女巨人→ニャンティコア(ネコっぽくアレンジしたマンティコア)なんだから」
NOVA「マンティコアか。ソーサリー1のラスボスとして、改めて注目を浴びてるモンスターだな。技術点12、体力点18の恐ろしい奴だ」
晶華「FFの話は、ウルトロピカルでしてよ」
NOVA「そうだな。ちょうど向こうでも『モンスター誕生』の攻略が始まったと聞くし、Wモンスター祭りってところだな」
翔花「向こうは、KPちゃんとリバTちゃんのアシモンタッグかあ」
晶華「ドゴラン兄妹ってことね。負けるものですか! こっちはWショーカ、粉杉シスターズの本気ってものを見せてやるわ。ええと、こっちのマンティコアのデータは、殺傷力6、防御力9、耐久力28。殺傷力2のトゲを6本×4回発射できるんだから。そっちのマンティコアなんてトゲミサイルで軽く一ひねりよ」
NOVA「違うルールのゲームデータを比較して、優劣を競っても不毛なんだが。そもそも、『モンスター誕生』にはマンティコアは登場しない。そいつが登場するのは、ソーサリー1巻の『シャムタンティ丘陵』だ。あと、『死の罠の地下迷宮』にも一頭生息しているのが確認されている」
晶華「とにかく、NOVAちゃんがいると話がややこしくなって進まないから、そんなにFFの話をしたいなら、ウルトロピカルへ行って。ここは、私たち2人だけで大丈夫」
NOVA「そうか。では、お言葉に甘えて、よそに出向くわ。じゃあ、後はよろしく」
プレイ再開
翔花「NOVAちゃん、行っちゃったね」
晶華「また、そのうち帰って来るでしょう。それより始めるわよ。『ブリンケンとの対決からさらに1年以上が過ぎた』」
翔花「あれ? ブリンケンを倒したのは今年の3月よ。まだ、せいぜい5ヶ月ほどしか経ってない」
晶華「ゲーム内時間の話よ。とにかく、ニャンティコアまで進化したイースタは、最後の仇、魔法使いストームシャドウを追って、北の果てのデス・アイランドにやって来たの。『北の海の荒波が激しく岩場にぶつかり、雷鳴のような音とともに白い泡となって砕け散る。ごうごうと音を立てて吹きすさぶ冷たい風の中で、粉雪が狂った羽虫のように舞っている。氷に覆われた平原の向こうには、いくつもの火山がそびえ立ち、黒い噴煙を吹き上げていた』」
翔花「アキちゃん」
晶華「なあに、お姉ちゃん」
翔花「今は夏真っ盛りよ。猛暑酷暑でみんな大変なのに、吹きすさぶ冷たい風とか、粉雪とかあり得ないし」
晶華「だから、リアルじゃなくて、ゲーム物語の情景ぐらい想像しなさいよ。ここはスーパー空想(妄想)タイムなんだから」
翔花「それもそうね。よ〜し、イースタの気持ちになって……ガクガクブルブル、震えています。ネコはコタツが欲しいニャン」
晶華「コタツはないけど、火山に行けば暖をとれるかも」
翔花→イースタ「よし、火山の近くだと温泉だってあるかもしれない。温泉がわたしを呼んでいる〜」
晶華「そうすると、突然、頭上から声がしました。『そこの怪物(モンスター)、待て! 俺と勝負しろ!』」
イースタ「いやだ。わたしは一刻も早く温泉に行きたいの。今はあんたの相手をしている余裕はない……って、ところで誰?」
晶華「灰色の空を見上げると、そこにはヒポグリフがいました。前半分が鳥で、後ろ半分が馬の、空飛ぶ騎獣です。その背中には、鎧を着た人間の若者が乗っていて、ヒポグリフを操って急降下して来ます。明らかに攻撃の意思ありですね。戦いますか、逃げますか?」
イースタ「逃げられるの?」
晶華「ええと、トリトンかヒドラだったら、水中に飛び込んで逃げられるわね。ペガサスだったら、飛行速度がヒポグリフよりも上なので逃げられる。でも、他は無理みたい」
イースタ「他……って何があるのかしら?」
晶華「3章をクリアできるモンスターは、ヒポグリフ、ハーピィ、マンティコア、グリフォン、スフィンクス、ペガサス、ジンの飛行モンスター7種と、ヒドラ、トリトン、それから氷トカゲのフロスト・サラマンダーの合計10種ね。ただし、能力の低いハーピィとかだと、ブリンケンに戦いで勝つのが困難だったでしょうけど」
イースタ「とにかく、逃げも隠れもできない以上は、戦って切り抜けるしかない。そうと決まれば、邪悪の王みたいに高笑いしながら、名乗りを上げるわ。『ワーハッハッハー、袖振り合うも他生の縁。月光の魔女イースタ、勝負を挑まれたからは逃げも隠れもせん。最強のホルダーの力、今こそ思い知らせてくれる。雑魚どもよ、蹴散らしてやるわ。フィックス・リリース! 祭りだ、祭りだ、さあ、楽しもうぜ』」
晶華「いろいろ、混ぜすぎなんですけど。ドンブラ脳と、水星脳と、邪悪の王の3つも混ぜたら、頭がおかしくならない?」
イースタ「大丈夫。オーディエンス(読者)の皆さんはついて来てくれるから。とにかく、トゲビットを6発撃ってみます。防御力はいくら?」
晶華「乗り手は騎獣の操作に忙しいので、敵はヒポグリフね。殺傷力5、防御力9、耐久力20よ」
イースタ「トゲビットの攻撃は、11、8、7、9、11、8。2発が当たって、ダメージは4点か。それと、わたしの攻撃は12で3点ダメージ。合計7点ダメージね。久々の戦いだから、ダイス目が鈍っているのかしら」
晶華「こっちの残り耐久力は13点。反撃行きます。13」
イースタ「4点くらって、残り耐久力24点。わたしに攻撃を当てるとは、なかなかやるわね。しかし、それもここまでよ。トゲビットで連続攻撃、7、10、7、10、9、9……って2点しか与えられない。自分の攻撃は14だから、5点ダメージで、やっぱり合計7点かあ。もう1ラウンド必要みたい」
晶華「残り6点ね。こちらの反撃は11よ」
イースタ「たった2点。それじゃあ、わたしは倒れない。残り22点だし、これでとどめよ。6、9、6、7、9、9……って1発も有効打がないなんて、トゲビットももう使えなくなって来たわね。自分の攻撃は10」
晶華「1点くらっただけで、残り5点。反撃は11」
イースタ「残り20点よ。最後のトゲビットは13、4、13、8、9、9。これで8点ダメージを与えて、撃墜成功ね。結局、トゲビットを使い果たしたので、これ以上の戦闘はしたくなくなった」
晶華「あ、ちょっと待って。ヒポグリフの耐久力を10点以下にしたら、イベント発生するのを忘れていたわ。ええと、2ラウンドめまで時間を巻き戻します」
イースタ「すると、トゲビットは2回しか使わなかったってこと?」
晶華「ええ、それと2ラウンドめの反撃もないから、耐久点を24点に戻してもいいわよ。ヒポグリフを撃墜したと思ったのは、未来の幻視ってことで。さらに追いつめようと思ったイースタの耳に、シェイナの声が聞こえるの。『お待ちなさい』って」
イースタ「シェイナ?」
晶華「第3章に登場した姫騎士よ。あなたと和解した人間の女友だち」
イースタ「ああ、彼女か。何で、シェイナの声が?」
晶華「それは、この後のイベントの演出で。とにかく、ヒポグリフの耐久力を半減させると、体勢が崩れて、背中の若者が鞍から放り出されるの。戦場が海辺だったので、鎧を着けた若者は海面にポチャンと落ちます。そして『助けてくれ』と溺れ死にそうになります。助けてやりますか? それとも、いい気味だと思ってスルーしますか?」
イースタ「以前のイースタだったら、見捨てていたかもしれないけど、今のイースタは愛を知る優しいモンスターだから、『やれやれ』と言いながら、空から舞い降りて、助けてあげるわ」
晶華「ここで、3章でシェイナを殺していれば、若者が『おのれ、シェイナ様の仇!』と叫んで、攻撃して来ます。実はヒポグリフよりも強い、耐久力36点で、即死効果のある魔法の剣(攻撃の際の出目が11か12で死亡)を装備していて、結構、危険な相手なんですね」
イースタ「だけど、わたしはシェイナを殺していない。モンスターの同族に引き込みたいと思ったことはあるけど、狼人間ならともかく、女巨人やマンティコアにそういう能力はないから、諦めた。もしかして、この人間はシェイナの恋人か何か?」
晶華「恋人未満で、まだ一方的な片思いよ。シェイナがどう思っているかは、分からない。とにかく、若者は『まさか、怪物に命を救われるとは思わなかった!』と言いながら、岸辺で寒さにガタガタ震えています。彼を落としたヒポグリフが、済まなそうに飛んで来たので、積まれた荷物から着替えの衣服と毛布を取り出して防寒対策を取りながら、彼はあなたに謝罪しますよ。『あんたみたいな良い怪物を殺そうとするなんて、どうかしてたんだ。悪かったな。そして、ありがとう』」
イースタ「礼には及ばない。もう少しでとどめを刺そうと思っていたが、知り合いの声が止めてくれた。シェイナ・デルガド、礼なら我が友の彼女にするんだな」
晶華「『シェイナの友だち? 月光の魔女イースタ? そういうことか。うっかりしていて、危うく大事な恩人を手にかけてしまうところだったぜ。本当に悪かった』と若者は土下座謝罪します」
イースタ「勘違いしないでよね。わたしはあんたの手にかかったりはしない。死にかけたのは、あんたの方じゃない?」
晶華「『そ、それはそうだが……とにかく、俺の話を聞いてくれ』と若者、フリントは話し始めます」
フリントの話
フリント『俺の名はフリント。デルガド男爵に仕える戦士の1人さ。姫騎士シェイナ様に惚れて求婚したんだけど、どうしてもOKしてくれない。強くて勇敢な戦士じゃないとダメってことで、ドラゴンの首を取って来いって無理難題を押しつけて来たんだ』
イースタ「ふうん、シェイナも大変ね。こんなストーカーに狙われるなんて。そういう話だったら、こいつを始末するのがシェイナのためかもしれない」
晶華「ちょっと、お姉ちゃん。ここはフリントの恋心を応援しようって気にはならないの?」
イースタ「ならない。シェイナは、わたしが好きになったんだから、わたしのもの。つまり、フリントは百合の間に挟まろうとする男で、生きている価値はないの」
晶華「そういう価値観は、90年代以降に市民権を得て流行したものであって、88年の昭和末期の本作には、百合萌えの要素はないし」
イースタ「僧侶のグレンと、弟子のボッシュさんはいけない関係みたいだけど?」
晶華「聖職者は異性間の姦淫が罪だから、同性間の爛れた関係の温床になりやすいそうね。それはともかく、イースタのカップリング相手は、氷づけの美少女サティンさんが用意されているから、シェイナさんを巡って、フリント君と対立しないでちょうだい。本作は、80年代冒険物語の定番のボーイ・ミーツ・ガールで最終章は彩られているんだから」
イースタ「今の流行は、ガール・ミーツ・ガールね」
晶華「別にそれだけが定番ってわけじゃないけどね。男女のカップリング以外の物語が友情・愛情問わず増えたのと、やっぱり昔は男の子が果たして来た役割をボーイッシュで魅力的なヒーロー少女が担うケースが増えたってこと」
イースタ「男性キャラがヒロイン化するというケースも、性転換(女体化)だけでなく、女の子ヒーローが囚われのヒロイン役の王子さまや少年を助ける立ち位置逆転物語も増えたってことね」
晶華「物語の種類が増えたというのが多様性であって、新しいものが古い伝統的かつ王道の物語を切り捨てることは、多様性とは言えないの。伝統は伝統で大切に扱い、そこに新しい時代の風を吹き込ませて発展進化を目指すのはいいけど、古いものを根こそぎ根絶するように嫌悪するのは偏狭な了見丸出しってこと。まあ、時代ごとの流行があるのは世の常として、今、流行しているものが過去の名作傑作をバカにして蹂躙しようとするのは文化史の上からも愚かしいわけで」
イースタ「だけど、80年代の作品を今の価値観と比べながら、読み直したり解き直したりするのは、面白いわね。昔はこういうのが時流だったんだあ、とか」
晶華「まずは王道のモンスター退治物語があって、80年代半ばぐらいに王道を逆転してモンスター視点の主人公を扱う作品が注目されて、その後、ポンコツ寄りの美少女魔王とか、怪獣娘とか、何でもかんでも擬人化女性化することで、表層的な女の子メインの萌え路線が浸透していったのが平成30年間の歴史ってものよ」
イースタ「そうなの?」
晶華「それには、リアル世界の女性の社会進出や、芸能界の女性のアイドルグループの定着があって、女性が輝いていて、その輝きを男女問わず愛でてチヤホヤすることもあって、でも、チヤホヤする男性を女性が気持ち悪いとか言い出したら……男が女をチヤホヤする風潮を女サイドで否定してしまうと、人気商売みたいなのは成り立たないのであって、まあ、チヤホヤの仕方なんかも考えないといけないんだけど、格好いいものや可愛いもの、キレイなものを好きになる心理は誰にでもあると思うから、そこを否定しちゃうといろいろ歪んだ世相になってしまうと思うの」
イースタ「何だか難しいことを言ってるけど、要は他人の愛を否定するのはさもしいってことね。そういうのは、馬に蹴られて地獄に落ちろってことで、とにかく、ヒポグリフ・ライダーのフリント君は、否定しないでおくわ」
晶華「うん。80年代の熱血少年の代表みたいな子だから。で、本作のテーマの一つである『人間がモンスターを狩ることの是非』を人間サイドで語ってくれるの」
フリント『シェイナ様の試練を果たすために、俺は探したよ、ドラゴンをね。ところが最近じゃ乱獲のおかげでドラゴンの数はめっきり減って、わずかに残ったドラゴンも奥地へ姿を消しちまった。何しろドラゴンを殺すことが勇者の証だなんて思われていて、腕の上がった冒険者はみんなドラゴンの首を狙ってる。世界中の「勇者」の数だけドラゴンが殺されているわけだ。バカげた慣習だと思うけど、それが今の世の中って奴さ。仕方ないよな』
イースタ「う〜ん、ドラゴンってそんなに乱獲されるものなの?」
晶華「88年と言えば、ドラクエブームが真っ盛りだからね。勇者が竜を探して退治する物語が大流行したわけよ」
イースタ「でも、ドラゴンの血筋が勇者の証になるのもドラクエでしょ?」
晶華「それは、90年のドラクエ4からね。ドラゴンが倒すべき魔物の王から、天空城の神さま(マスタードラゴン)に立ち位置の変化があったり、人間に味方する仲間モンスターの概念ができたのが90年代と言えるわ。少し早いのは、80年代後半から展開された『女神転生』のシリーズだけど、モンスター使いの主人公が一般的に定着したのは90年代。だから、80年代のモンスター視点の作品は先駆者とも言える」
イースタ「なるほどね。モンスターと人間の調和する姿が見られる前の時代の物語ってことか」
晶華「フリントの話を続けるわね」
フリント『俺はドラゴン探求の最後の希望を託して、この島に来たんだ。ここにはレッドドラゴンの王と、ホワイトドラゴンの女王が住んでいるって聞いたんだが、ストームシャドウって魔法使いがとっくにドラゴンの王を殺してしまっていた』
イースタ「ストームシャドウ! そいつがわたしの家族の仇よ。どこにいるか分かる? この島のどこかに隠れ潜んでいるってところまでは突き止めたんだけど」
フリント『そうか。まったく大悪人だよ、あのストームシャドウって奴は! 人間だろうと怪物だろうと、見境なく狩り集めて、魔法の実験台にして殺してるんだ! 俺も危うく騙されて殺されるところだった。奴が住んでいるのは、島の北の端の谷間にある大洞窟だ。ドラゴンの王の洞窟を奪ったそうだが……』
イースタ「だったら、いっしょに協力してストームシャドウを倒しましょう。ドラゴンの王を倒した悪の魔法使いを倒せば、あんたも勇者としての箔が付くでしょう。何なら、わたしがあんたの強さをシェイナに証言してあげてもいいし」
フリント『本当か? いや、ドラゴンが倒せないなら、別の怪物を代わりに倒せばいいかな、と安易に考えたところに、ちょうどあんたが飛んできたものでな。本当に済まなかった。まさか、シェイナ様が心酔している「月光の女神イースタ様」とは知らずに』
イースタ「知らずに……って、わたし、名乗ったよね」
晶華「お姉ちゃんが名乗ったのは、『月光の魔女』よ。イースタがデルガド男爵の城を旅立ってから、シェイナはストーンゴーレム像を女巨人の姿に改装して、守護女神として称えるようになった。だから、イースタの姿は女巨人として知られているの。ニャンティコアのイースタを知る者は、あの日に城にいた者だけ。フリントの頭の中では、女神イースタと魔獣ニャンティコアがすぐにはつながって来なかったのね」
イースタ「見た目に騙されて正しく判断できないなら、変幻自在っぽい魔法使いの相手は難しそうね。とにかく、協力を要請したら、フリント君はついて来てくれるかしら?」
晶華「いいえ。怪物と協力して、人間の魔術師を倒すというのは、自分の使命を逸脱しているので、乗り気にはなれないそうです。ただ、いくつかの情報はくれますね。3つの質問選択肢が出ます。『ストームシャドウの弱点』『洞窟の構造』『黒いヒスイ』の3択ね」
イースタ「どれかを選ばないといけないの?」
晶華「攻略記事としては、全部を明かした方がいいし、ヒスイ→洞窟→弱点の順で質問すれば全部聞けるようになってます。最初に弱点を質問すると、洞窟攻略の手がかりが得られませんので要注意」
・黒いヒスイ(320):フリントは何も知らない。
・洞窟の構造(434):魔法使いの部屋には「左→右→あと2回曲がればいい」。方向音痴のフリントは、残り2回を覚えていない。
・相手の弱点(351):魔法を封じるか、魔法を使いきったタイミングなら勝てる。島の南端の火山の麓の岩場で、魔法の修行をしているから、そこで疲れたところを襲うといいのでは?
イースタ「なるほど。火山で温泉につかってくつろいでいるところを、狙えばいいってことね」
晶華「温泉のことは、お姉ちゃんが勝手に言っているだけだからね。ゲームブックには温泉のことなんて書いてないし」
イースタ「作者の山本弘さんだったら、女性キャラを温泉に入れるシーンを用意するはず!」
晶華「それは確かに、ソード・ワールドのリプレイで前科はあるけど。同じような時期にアドバンストFFのリプレイでも、ポート・ブラックサンドの浴場で敵に襲撃されるシーンもあったけど、『女性の入浴シーンは先日やったから、今回は男で』と発言して、ブーイングをくらったという話も聞くけど、それは90年代になってからだし」
イースタ「とにかく、わたしは火山に行く。温泉があったら入りたいので、サービスシーンをよろしく。捏造でも何でもいいから」
晶華「とにかく、情報をくれたフリント君は『じゃあ、頑張りなよ。俺はこの島をもう一回りする。ひょっとしたら、まだどこかにドラゴンがいるかもしれないからな。縁があったら、また会おうぜ!』と言い残して去りますが?」
イースタ「縁ですと? それは、わたしのドンブラ脳が反応せずにはいられない。お前とも縁ができたな。わたしとの縁は良縁だ。祝え祝え、ワーハッハッハー、ラッキーハッピーと、今だけキツネの神様の加護も付けてあげる」
晶華「それは、先日、見た映画関連、4分の1だけの幸運キツネ様のネタね。シシレッド様でも、グリージョ様でもなくて」
火山での魔法使い戦
晶華「パラグラフ314番、火山の麓にある魔法使いの修行場にイースタは飛んできました」
イースタ「いいえ。飛ぶと目立ってしまうので、現場の近くに来た時点で、着地して歩いて行くことにします」
晶華「了解しました。辺りは不思議な光景の場所で、小さな太陽のような球体が空に浮き、大きな半球形の岩がいくつも空中に浮かんでいます。ただ、よく見ると、その岩は浮いているのではなくて、下半分が透明になっているようですね」
イースタ「手品か何かの仕掛けかな」
晶華「他には、植物生長の呪文で巨大化させられたコケとか、消し忘れた幻影とか、落雷で焼け焦げたような跡が分かります」
イースタ「エコじゃない」
晶華「日本でエコマークが制定されたのは1989年なので、平成になってからよ。モン逆の時代は、まだエコという言葉が一般的ではなかったの」
イースタ「で、その環境破壊の魔法使いはどこにいるの?」
晶華「岩陰に隠れて、しばし待っていると、黒ローブの魔法使いが飛来して、気合を入れながら特訓を始めました。大きな岩の壁を無から生成しては、消し去る練習とか、岩に電光をぶつけて打ち砕いたりとか」
イースタ「意外と体育会系なのね」
晶華「昭和の作品だから、特訓が美学なのよ。魔法使いといえども、強い奴は必ず特訓して然るべき。天才だから、努力しなくていいなんて事はあり得ないのが昭和トピアってもの」
イースタ「努力は必ず報われるって幻想が、無邪気に信じられていた時代って聞くわ。実力はあるけど、努力だけではラッキーに勝てないというラッキーマンはいつの時代?」
晶華「原作マンガは1993年スタート……って今年がちょうどラッキーマン30周年みたい。どうでもいい話のネタだけど。そんなことより、ストームシャドウがそろそろ呪文の特訓を終えるみたいだけど? ずいぶんと魔力を消耗したように見える」
イースタ「よっしゃ、ラッキー♪ 素早く飛び出して、奇襲攻撃を仕掛けます」
晶華「お姉ちゃん、卑怯」
イースタ「卑怯もラッキョウもあるものか、とはメフィラスさんの名セリフ♪」
晶華「悪名高い2代目だけどね。とにかく、こちらの能力は、殺傷力4、防御力8、耐久力32。1点でもダメージを与えたら、イベント発生よ」
イースタ「だったら飛び道具は温存して、直接殺りに行く。(コロコロ)出目3で、攻撃力9。ちょうど1点ダメージよ」
晶華「ぐおっと魔法使いはうめき声を上げると、呪文を唱えて姿を消しました」
イースタ「透明化の呪文だと? この卑怯者め」
晶華「卑怯もラッキョウもないんじゃなかったの?」
イースタ「仕方ないわね。魔法使いの臭いをクンクンと嗅ぎます。あ、見つけた」
晶華「そんなご都合主義……と言いたいけど、血の臭い、そして雪の上に点々と血の跡が続いているのよね」
イースタ「よっしゃ、ラッキー♪ ラッキョウはなくても、ラッキーはあったみたいね。血の跡を追って行きます」
晶華「すると、魔法使いの姿が現れるとともに、ふわりと空中に飛び上がります」
魔法使い『よくも天才のこのわしに傷をつけてくれたな! あいにく今日はお前を倒すための魔法を使い果たした。だが、こんど会ったときは容赦はせんぞ! わしを倒したければ、この島の北の端にある白骨の谷の大洞窟に来るがいい。お前にふさわしい無惨な最期を用意しておいてやる!』
晶華「激しい怒りに燃えた目でそう言うと、魔法使いは衣の裾をひるがえし、一直線に飛び去って行きます。空が飛べるなら、後を追いますか?」
イースタ「せっかくだから追うわ。それにしても、捨てゼリフがいかにも昭和の悪役って感じね。大仰なところとか、NOVAちゃんが好きそう」
晶華「演技している私は、少々恥ずかしいけどね。とにかく、飛んで逃げる魔法使いの後を追跡すると、追われているのに気づいた相手は速度を上げます」
イースタ「逃がさないんだから。こっちも全速で追うわ」
晶華「すると、魔法使いは火山の中腹へ突っ込んでゆきます」
イースタ「温泉に飛び込んで、魔力を回復するつもりね」
晶華「いや、温泉なんてないんですけど。山腹に激突するかに思われた瞬間、不意にぽっかりと大きな穴が出現し、その中に飛び込みます」
イースタ「洞窟を幻影で隠していたって感じ? 拠点は北にあるって話だから、ここは別荘か修行のときの休息場? とにかく、相手に態勢を立て直す余裕は与えたくない。相手の後を追って、やみくもに飛び込みます。それで死んだら、時間を巻き戻してやり直す覚悟で」
晶華「それが正解よ。もしも警戒して慎重に飛び込んでいたら、天井から降ってきたスライムにまとわりつかれて、場合によってはゲームオーバーの危険があったわけだし」
イースタ「スライム……ってKPちゃんみたいな感じ?」
イースタ「温泉はいいけど、粘液まみれでベタベタなのは勘弁して欲しいわ。サービスシーンって考える層の人には謝っておいて、全速前進!」
晶華「一直線に突っ切ると、火口です。魔法使いは別の横穴に飛び込もうとしながら、『ワハハハハ、ここだここだ』と挑発します」
イースタ「だったら、わたしも同じように笑い返します。『ワーハッハー、そこか、祭りの場所は? 待て待て〜♪』とダーリンを追うラムちゃんのように追っかけます」
晶華「その例え、変と思わない?」
イースタ「変と変を集めて、もっと変にするのが昭和イズムって聞いたし」
晶華「しつこく追って来るニャンティコアに対して、炎の壁が出現します」
イースタ「ただの幻影と見た。飛び込みます」
晶華「あなたがハーピィかヒポグリフなら、パワー不足で突破できないんだけど、マンティコアだから突破できちゃうのね。ただし、炎は本物なので、1Dダメージを受けます。(コロコロ)2点だけか」
イースタ「残り耐久力は22点。ついに追いつめたわよ」
晶華「いいえ、魔法使いが飛び込んだ穴は、奥が狭くなっています。人間がギリギリ通れる横幅で、マンティコアのサイズだと、翼がつかえて通れそうにありません。穴の奥から魔法使いの声だけが響き渡ります」
魔法使い『よくぞここまで追ってきたな。その心意気はたいしたものだ。ほうびとして、ひとつだけ教えてやろう。わしに会いたければ、右と左に二回ずつ曲がるのだ。どういう順序で曲がるかは、自分で試してみるのだな』
イースタ「祭りは終わったみたいね。がっかりしながら、記念品に、何か拾って行くわ。高校球児が甲子園の砂を持って帰るみたいにね」
晶華「すると、魔法使いが慌てて落としたと思しき黒いヒスイが見つかります」
イースタ「よっしゃ、ラッキー♪ これで新たな姿に変身できるわ」
晶華「それは次回に回すわ。パラグラフ304番を覚えておいて、続きはまたのお楽しみ♪」
こうして、火山を舞台にした魔法使いの追跡行は、終了した。
なお、ここまで追跡して、黒いヒスイをゲットできるのは、マンティコア、ジン、グリフォン、スフィンクス、ペガサスの5種類のみ。
パワー不足のハーピィやヒポグリフは、最終戦の勝利が危ぶまれる。
また、飛行能力のないヒドラやフロスト・サラマンダーは、それでも十分な戦力を持っているが、トリトンはどうだろう?
ともあれ、火山追跡イベントは、まっすぐ魔法使いの後を追わないと、スライムの他に、意外と手強い巨大アリ3体と戦って、追跡失敗する可能性もあって、当リプレイではまっすぐ最適解を突っ切る結果になりました。
まあ、猪突猛進・脳筋気味の翔花の選択だから、キャラ性には合ってたってことで。
(当記事 完)