Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

ダークタワー5巻読了

読書の秋に読んだもの

 

NOVA「コツコツ読み続けているシリーズも、今年度読了に向けて、まあまあ順調に読み進んでいる感じだな」

NOVA「俺が読んでいるのは角川版なんだが、旧版の新潮文庫の表紙も味わい深いので、貼り付けておいた。なお、前の話はこちらの記事になる」

晶華「へえ。前の巻を読んでから2ヶ月足らずで、次の巻を読み終わるなんて、スパロボDDに全力全開だ〜って言っていたNOVAちゃんとは別人みたいね」

NOVA「全力全開と言っても、いつでもどこでもそうだってわけじゃないからな。基本的にゲームは自宅だけで、職場での空き時間は読書に使っていたりする。別に俺はゲームに人生を捧げているわけじゃないからな」

翔花「何に人生を捧げているの?」

NOVA「と言うか、人生を捧げるって言っても、別に一つしかやらないってことじゃないからな。ゲームに集中しているときはゲームに人生の一部の時間を捧げているのだろうし、読書だって、ブログ書きだって、特撮鑑賞だって、仕事だって、日々の祈りだって、それに集中している時には人生を捧げているって言わないか?」

翔花「日々の祈りって、まるでプリーストみたいね」

NOVA「別にプリーストじゃなくても、信仰人を自称していたら祈るだろう? うちには仏壇もあるし、毎日、本尊に手を合わせて祈りを唱えるのは、幼少期からの習慣になっている。旅行とかで祈れないと何だか不安に感じるぐらいには、信仰心旺盛だったぜ、高校時代までは。大学生になって少し吹っ切れて、『祈るのは形じゃなくて心の持ち様なんだから、時と場がそろわない時にまで無理に祈る必要はない』と世間の常識を解するようになったけどな。どうも、物事を杓子定規に考える癖があって、その反動で自分の信仰世界とは異なる別世界へ逃避したいという妄想癖が培われたのかもしれん。祈りながら、違う世界のことを考えて、いかんいかん、祈りに集中しないとって妄想を断ち切ろうとしたり、願いに一心になって、一時間祈り続けたり……俺の一日の祈りの最高記録は10時間だ」

晶華「え? 10時間も? 何を祈ったの?」

NOVA「主に、大学受験の合格だな。すると翌日、昭和の天皇陛下が亡くなって、平成時代が始まることになった。この時期の符合に、え? 俺が10時間祈ったから、昭和が終わった? などとバカな錯覚をしたりもしたんだが」

翔花「その話が本当なら、NOVAちゃんが昭和天皇陛下を祈り殺したことに?」

NOVA「いや、まさかな。ただ、当時は天皇のご病気とかで世の中が自粛ムードだったもので、この暗い雰囲気が明るくなればいいのになあ、なんて考えて祈っていたのかもしれんが、とにかく俺が10時間祈ったら、翌日に昭和天皇崩御されたのも事実なので、因果関係は定かでないにしても、あまりたくさん祈ると何がどうなるか分からないなあって気になった。それから後は、イヤなことがあると、余分に祈ったりすることはたまにあるぐらいで、まあ、日々の生活の中でコンスタントに祈っているぜ。食事や日課のジョギングなんかと同じような習慣って奴だ」

翔花「だから、花粉症ガールみたいな守護精霊に守られているんだね」

NOVA「お前らは仏教とは関係ないだろうが?」

翔花「実は、関係あったりして。花粉症菩薩とか」

NOVA「勝手に菩薩を名乗ってるんじゃねえ。菩薩ってのは、仏道修行の一環として、世のため人のために尽くすことを誓い、精進している者に与えられた称号だ」

翔花「じゃあ、神さまになるために修行しているわたしは、どういう称号を与えられるのかしら?」

NOVA「宗教とか宗派によるが、日本独自の神仏習合理論によれば、八百万の神さまだって後から仏教を信仰して、菩薩の称号を得たりする話もあるそうだ。その元祖が八幡神八幡大菩薩と呼称されたりもする。八幡神応神天皇の神霊であり皇祖神の一柱、後に天皇家の血筋を引く清和源氏桓武平氏の守護神とされ、武芸の神さまの意味合いを帯びていく。その後、仏教との融合政策の影響で、八幡大菩薩とも呼称されていくわけだ」

晶華「神さまが修行して、菩薩になるってことは、菩薩の上が仏如来だから、仏さまの方が神さまより上ってことね」

NOVA「あくまで、そういう説があるってだけで、それを否定する神道側の意見もあるがな。明治になると廃仏毀釈神道重視の考え方になり、八幡大菩薩という呼称を禁じる法令も出たそうだが、結局、八幡大菩薩という言葉は消えることなく、今なお残っている。

「また、青天で物語世界を見守る解説役を担当している徳川家康さんだが、東照大権現という神さまとして祀られているんだな。権現というのは、神さまの化身といった意味で、本来は神さまだったのが地上で困っている衆生を救うために、人や獣の身に姿を変えて救済の力を発揮して天に帰って行ったという設定で、偉人を神として祀る習俗に理屈を与えたものと言える。人間が神さまに昇格したのではなくて、神がその人もしくは獣に化身してから人助けして帰って行った存在なので、神さまと言っていいわけだ。さらに、その権現さまが実は仏の化身でもあったという風につながって、家康さんこと東照大権現さまは薬師如来の化身にまでなった」

翔花「へえ。家康さんは薬師如来としても祀られているんだあ」

NOVA「薬師如来は文字どおり医術を得意とする仏で、癒し系なんだな。一方で家康さんも、イエヤス、イヤスとなって癒し系扱い……というのは、ただの言葉遊びだが、現実に東照大権現薬師如来本地仏としているそうだからな」

晶華「なるほど。長い歴史の中では、神さまと仏さまをごっちゃにして信仰していたこともあるんだね。だったら、神さま修行しているお姉ちゃんが菩薩を名乗っても別に問題ないんじゃない?」

NOVA「翔花は別に仏道修行しているわけじゃないし、衆生救済のために活動しているわけでもないし、ここでダベっているだけで、菩薩を名乗るにはお気楽過ぎだろうが。菩薩を名乗るんだったら、もっと人助けしないとな。俺一人じゃなくて、もっと広い世界のために活動しないと」

翔花「そう思って、コロナ退治に出かけたんだけど、うまく行かなくて、妖精郷に閉じ込められたんだもん(涙目)。それに世界を救うことよりも、わたしには大事なことがある。NOVAちゃんのアシスタントガールとして、NOVAちゃんの心を癒すNOVAちゃん専用薬師如来になるって使命が」

NOVA「菩薩でもないお前が如来なんて、勝手に昇格してるんじゃないぞ!」

翔花「翔花が昇格!? それはアルトじゃナイト級の素晴らしいギャグね」

晶華「ところで、これって一体、何の話?」

NOVA「うおっ、ダークタワー5巻の感想を書くつもりが、日々の祈りから仏教神道談義になっちまった。俺はいつまで、迷える衆生をやってんだよ。前置き終わり」

  

改めて、カーラの狼

 

NOVA「1999年6月19日、大作家のスティーヴン・キング氏は、交通事故によって九死に一生を得る過酷な経験をする。このダークタワー5巻は、その後の2003年に書かれた物語なんだな。もしかすると、1997年に出された4巻の後で未完に終わるかも知れなかったのが、2003年から2004年にかけて一気に完結した形になる。5巻までは21年かけた長期シリーズで、最後の3つ(5、6、7巻)が2年で出した形。そして、この5巻が21世紀初めてのダークタワー新作だったということになる」

晶華「およそ5年に1冊ペースだったのが、自分がいつ死ぬか分からないという事故に遭遇したことで、何としても終わらせようと一気に頑張った結果なのね」

NOVA「タイトルのカーラは地名で、広場を表す単語。正式名称カーラ・ブリン・スタージスという農村が、狼の仮面をつけた騎馬戦士の集団に襲撃されることが分かり、村を守るためにローランド一行が依頼されて戦うのが大筋だが、例によって寄り道脱線が多いので、上下巻合わせて1300ページ近くになるなあ」

翔花「NOVAちゃんに寄り道脱線が多いって言われるなんて、スティーヴン・キングさんも相当よね」

NOVA「ライトノベルなら300ページほどだから集中すれば1日で、集中しなくても3日から1週間弱で読み終わるんだが、キングの本は単純に比例で5倍とは言えないよな。途中でダレて読むスピードが下がり、終盤で加速して一気に読み終わる形。加速するまでが、ちょっとした苦行だな。例えば、キングのモダンホラーで多い作風が、平凡なアメリカの田舎の街の住人たちの生活の様子をじっくり描いて、そこにじわじわと恐怖の影が立ち上ってきて、やがて最初の事件が発生する。そこまでが400ページぐらい掛かることもしばしばだ。登場人物の日常生活の描写にたっぷり字数を費やすんだな」

晶華「いきなり事件やバトルから始めるのがエンタメの基本なのにね」

NOVA「日本の常識と、アメリカの常識は違うのさ。それに、キングをラノベと比べるのも違うわけだし。とにかく、このカーラの狼ではローランド一行がカーラの街に到着するのは上巻の391ページめだ」

翔花「それまで、何をしてるのよ?」

NOVA「〈狼〉の襲撃に備えて、カーラの住人が話し合って旅のガンスリンガーを雇おうと考えるまでが80ページ。ローランドたちは旅の途中で、エディとジェイクが眠りの最中に不思議な力で70年代のニューヨークに魂だけが迷い込む一方で、ローランドは仲間のスザンナが別人格のミーアを発症させて奇異な行動をとっているのを目撃する。かたや異世界転移、かたや幻想的な多重人格の発動という異常な旅の一幕を描いた後で、カーラの住人たちが接触してくる流れだ。住人の一人が、別物語のセイラムズ・ロット(邦名・呪われた町)の世界から来たキャラハン神父で、セイラムズ・ロット好きの俺としては、本書を読むのを楽しみにしていた部分だ」

晶華「街に着くまでに、いろいろな話があるのね」

NOVA「スザンナ=ミーアに関しては、以前に妖魔(おそらくインキュバス)と性行為した際に宿した子どもが成長し、ミーアは子どもの栄養のために沼地のヒルやカエルを貪り食うとか、ホラー特有のグロ描写を見せつけるわけだな。この妖魔の子というのが物語に一つの暗雲をもたらし、しかも5巻で完結せずに6巻に続く流れとなる」

翔花「ヒルやカエルを貪り食うヒロインかあ。斬新ね」

NOVA「斬新すぎるよな。少なくとも、俺の頭の中から出てくるイメージではないし、スザンナ萌えとも絶対にならないな。4巻のメインヒロインのスーザン・デルガドは可愛いとも思ったし、火あぶりの刑に処される姿は内心、涙を流していたが、多重人格で両脚欠損したスザンナの描写はいろいろ新奇すぎて、彼女だけジョジョの敵側スタンド使いとして登場しても納得できるほどだ」

晶華「私としては、NOVAちゃんが『ヒルやカエルを貪り食うヒロイン萌え』と言わなくて良かったと思うわ。もしも、そういう性癖の作者だったら、私たちもいつヒルやカエルを食べさせられるか分からないし」

NOVA「まあ、デビルマンの女性が変身するデーモンに萌えたり、スピーシーズの異形化ヒロインには萌えるんだよ。変身してグロくなるのはOKなんだけど、ゲテモノ食う描写はなあ。とにかく、キングの作品は女性が化け物になったり、悲惨な運命を辿ることが多くて、それなのに良く女性のキングファンが付いているよなあ、と思うばかりだ」

晶華「グロい話よりも、異世界転移の話をしようよ。エディさんとジェイク君が異世界転移したそうだけど、不思議な力って何?」

NOVA「キャラハン神父が教会に隠し持っていた〈暗黒の水晶球〉の作用だ。4巻にも遠隔透視と世界転移の魔力を持ったピンクの水晶球が登場したが🔮、その中でも最も強力で邪悪なものが〈暗黒の水晶球〉らしい」

翔花「そんな物を持ってるキャラハン神父って、闇の魔法使いか何か?」

NOVA「いや、ただのアル中の頼りない神父だったんだけどな。まあ、キャラハン神父の話は後にして、とにかく異世界転移の末にカーラの街の住人となった神父は、〈暗黒の水晶球〉の力を提供してローランドたちの旅に協力する代わりに、カーラの狼事件の解決を依頼するわけだ。異世界転移の力がダークタワー探索の旅に必要だと理解したローランドは、神父の申し出をじっくり検討するために街への同行を許諾する。ここまでが大体400ページになる」

 

キャラハン神父の話

 

NOVA「カーラの街に到着した一行は、〈狼〉に関する情報集めや、街の防衛計画を練ったり、誰が協力者で、誰が反対者かなどを見極めるために行動する」

翔花「街を守るのに反対する人っているの?」

NOVA「〈狼〉は街の全てを破壊するわけじゃなくて、街で生まれた双子の片割れをさらって行くんだな。さらわれた子どもたちは脳から重要な要素を抽出され、知恵遅れ状態の欠陥人間(ルーント)になって戻って来る。街で生まれる年頃の子だけが人身御供的にさらわれるので、それに該当しない家は無事なんだが、もしも〈狼〉に逆らえば、街の全てを滅ぼされるだろうと心配しているんだ」

晶華「すると、私かお姉ちゃんのどちらかが知恵遅れになるの?」

NOVA「……双子が狙われるということなら、そうなるのか」

翔花「でも、双子ってそんなに生まれるものなの?」

NOVA「カーラの街では、基本的に双子しか生まれないようになっているらしい。物語のためのご都合主義だと思うが、ローランドの世界は変転して、ミュータントがはびこるようになっているし、双子しか生まれない街だからこそ、双子を狙う敵が現れて、街の多くの住人が哀しみと憤りを覚えているという状況設定になるわけだ。普通の街で怪事件が発生するのがモダンホラーの原則であるなら、どこかエキセントリックながらリアルに思える街で、その土地ならではの変わった事件が発生するのが異世界ファンタジーってものかもしれん。わざわざ異世界を描写する以上は、何らかの特徴があって然るべきだろう」

晶華「物語を成立させるための、普通と違う設定を全部、ご都合主義だって否定していたら、平凡なことしか考えられないわね」

NOVA「物語に必要な要素なら、ご都合主義でも何でも採用していいだろう。ただし、その特殊な事情は早めに伏線や背景として読者に語られるべきだし、何を語り、何を語らないままにするか、また後から判明する意外な事実に読者を驚かせるかは、作者の判断と力量次第だ」

翔花「つまり、作者さんの仕込みやさじ加減が読者の人の好みに合うかどうかで、ご都合主義かどうかが決まるのね」

NOVA「俺は、キングという作家はご都合主義を堂々とやらかす作家だと思っているが、じわじわと不安がらせる雰囲気作りと伏線のバラまきこそが最大の武器だと考える(もちろん、長大な文章量は言うまでもないが)。日本の作家だと京極夏彦さんに通じるものがあるが、京極さんの場合は妖怪とか日本の伝統的な信仰風俗に関する豊富な蘊蓄が面白くて、本筋よりも登場人物のネタ雑談が醍醐味だと思う。キングの場合は、作家キャラが登場しても、割と奥手な寡黙キャラ、トラウマ抱えた陰キャが多いので、蘊蓄会話はあまり面白くならないのが、京極さんに比べての欠点だな。京極さんの場合は、上から目線の皮肉屋作家が蘊蓄語りしてくれて、冗舌陰キャってイメージがある」

晶華「陰キャばっかりじゃない?」

NOVA「ホラー小説の作家なんだから、陽キャは珍しいだろうが。まあ、ホラーにヒーロー属性が加わると、友野詳氏のようなケースになって、熱血とクールとコミカルの3点揃えた顔を持ってる作家も珍しいと思うが、あの人は若い頃は趣味で映像作りもしていて、文章はパフォーマンスの一手段という御仁だからな。ゲームマスターをするタイプのゲーム作家は、イベント好きで陽性の側面も持っているし、体育会系とかヤクザ系みたいな意外な外見の作家もいるし、多芸な人は状況に応じた顔を持っているわけだよ」

翔花「NOVAちゃんは?」

NOVA「素は陰キャというか、天然系で浮世離れしていると言われることはある。酒を飲んで笑い上戸だったり、場に合わせてヒーホーと踊ったり、ウケると思えば羽目を外すことも多いけど、基本は引きこもりで、一人があまり苦にならないタイプ。別に人見知りというわけではなくて、初対面でも物怖じはしないが、用事もないのに人に会いたいとかはない。友人になるまでのハードルは結構高くて、友人は量より質だと考えがちだな……って、何でこの場で自己分析をしないといけないんだよ? 記事の中心はキングさんだろう? 俺じゃあなくて。まあ、キングさんはダークタワーの6巻で登場して、最後に交通事故で死んじゃうらしいんだが」

晶華「え? 作者なのに?」

NOVA「ローランドとエディが現実世界にやってきて、作者と対面するんだよ。そのシーンだけ気になって先に読んだ。まあ、その辺の話は6巻の感想でまた語るとして、とにかく小見出しに戻って、キャラハン神父だ」

晶華「セイラムズ・ロットの登場人物なのよね。ところで、セイラムズ・ロットってどういう話?」

NOVA「1975年に出版されたキング2本めの長編小説で、映画や連続TVドラマにもなった。ジェルサレムズ・ロット(略称セイラムズ・ロット)という田舎の町に引っ越してきた作家ベン・ミアーズが、幼少期の幽霊屋敷の思い出をネタにホラー小説を書こうとするんだが、その幽霊屋敷マーステン館にはすでに買い手が付いていた。その買い手が吸血鬼のバーローで、町はじわじわと吸血鬼の呪いに蝕まれて行く。ベンの恋人のスーザン・ノートンも吸血鬼の毒牙にかかり、次第に増殖する吸血鬼の脅威にベンは事態を理解した仲間たちと立ち向かうんだが、キャラハン神父も一応、ヴァンパイア・ハンターの一員となってくれるものの、吸血鬼バーローの強大な力に抗えず、呪いを受けて逃げ出してしまうわけだな。最終的には、ベンと両親を殺された少年マークの2人がバーローを倒して、町を炎で焼いて2人きりで旅立つ。しかし、続編の短編小説では町の吸血鬼の生き残りがいて、セイラムズ・ロットはゴーストタウンとして存続。近くを旅した者たちが時折り吸血鬼に襲われ、犠牲となっているそうだ」

翔花「吸血鬼から逃げ出したキャラハン神父の、その後の物語がダークタワー5巻で描かれているのね」

NOVA「ああ、セイラムズ・ロットから逃げた神父は、その後、アル中に苛まれ、吸血鬼の恐怖に苛まれ、いろいろ改悛した挙句、この世界の闇には様々なタイプの吸血鬼が存在することに気づく。バーローのような強力な吸血鬼は稀で、もっと弱い吸血鬼も存在して、キャラハン神父によればエイズのような病気も吸血鬼の呪いの一種だそうだ」

晶華「え? そうなの?」

NOVA「あくまで、キャラハン神父の主観だけどな。神父がローランドたちに自分がどうしてカーラの街に来るようになったのか、延々と語ってくれるんだな。ページ数にして200ページ以上も。上巻を越えて下巻まで」

翔花「キャラハン神父の冒険譚が挿入されるってこと?」

NOVA「そうなんだ。ザコ吸血鬼なら自分にも倒せると思った神父は、表の職業で貧民救済事業のボランティア職員として働く一方で、裏では見つけたザコ吸血鬼を退治して回る二重生活を始める。ヴァンパイア・ハンターと言えば格好いいが、ただの妄想でエイズ患者まで殺して回っている可能性もあって、視点を変えれば狂った神父の殺戮劇にも思えて、それ自体がホラーだったりもする」

晶華「狂っているわけ?」

NOVA「ローランドたちと会話している神父は割と冷静で常識人のように振る舞っているけどな。ただ一度、吸血鬼の話になると恐怖に怯えると共に、妙な使命感にも駆られて、ハンターモードにスイッチが切り替わるようなんだ。バーローの呪いの影響か、吸血鬼に対して鼻が利くようにもなり、相手に察知される前に奇襲攻撃で仕留めたりしているうちに、やがて吸血鬼側もキャラハン神父の存在に気付くんだな。自分が敵に狙われていることをいち早く察知した神父は、職場を辞めて放浪の旅に出た挙句、セイラムズ・ロットの生き残りベンとマークのその後も知ることになる。ベンが寿命で亡くなり、マークが息子代わりに葬式を挙げている場面で、昔の小説のファンは感慨深い気持ちになるわけだな。何せ、30年近く前の小説の主人公の死に立ち会えた形だから」

晶華「でも、ゲッターチームの隼人さんだって、1974年に始まったアニメのナンバー2主人公が47年めにして、ようやく死ぬシーンが描かれたわ」

NOVA「それはそれで感慨深いけどな。まあ、ゲッターの場合、アークで死んだ隼人も多元世界のゲームでは健在なわけだし、死んでも別の世界では生きているのがフィクションならではだな。ムサシなんて一体、何回死んだことやら。俺の知っている限り、TVで1回、原作コミックで1回、劇場版で1回、スパロボで思いつくだけでも5回以上、OVAで2回、アークの原作とアニメでクローンが1回ずつで合計12回以上は死んでいる計算になる」

翔花「そこまで何回も死んじゃう味方キャラって珍しいわね」

NOVA「ゲームプレイで、負けてゲームオーバーみたいな死じゃなくて、ストーリーイベントの一環として死亡シーンがその都度、用意されているんだな」

翔花「でも、セイラムズ・ロットの話で、ゲッターロボのムサシさんにつながるとは思わなかったわ」

NOVA「スティーヴン・キングさんの作家デビュー年が1974年で、ちょうどゲッターロボが始まった年なんだよ。つまり、3年後にはどちらも50周年を祝うことになる」

晶華「そこまで無理やり話をつなげなくてもいいのに」

NOVA「とにかく、吸血鬼ハンターとして戦い続けるキャラハン神父だが、とうとう敵勢力の罠にハマって殺されてしまうわけだな。で、現世で死ぬと、ローランドたちの世界に転生してしまうようで(ジェイク少年の前例あり)、カーラの街の近くの洞窟にキャラハン神父が出現し、比較的安らいだ生活が始まるわけだが、異世界転移のキーアイテムである〈暗黒の水晶球〉が神父にもたらされ、自分の手に余る力を持ったアイテムを封印することになった」

翔花「封印しちゃうんだ」

NOVA「お前だって、屋久島にモスラの力を封印してるだろう?」

翔花「だって、強大な力を持ってると、日常生活が送れないもん」

NOVA「そうなんだよな。多くのヒーローは、変身というスイッチの切り替えで、日常モードと戦闘モードを切り替えてるし、時と場合による思考や能力の切り替えってのは大事なんだ。キャラハン神父は死ぬことで安らぎを得たんだが、〈暗黒の水晶球〉という呪いが付いて回り、それを託せる相手を望んでいたんだな。自分には必要ない、と。そこにローランドたちが登場することで、新たな物語に参加するわけだ」

 

〈狼〉との戦い

 

NOVA「本巻の物語は全部で3部構成になっている。第1部がローランド一行がカーラの街に到着するまでの話で、前述のとおり400ページ近い。第2部はキャラハン神父の話と、街の住人たちとの情報収集を兼ねた交流話で、上下巻をまたいで500ページぐらい。最後の第3部が〈狼〉たちとの決戦で400ページぐらいだな。とは言え、実際の戦闘シーンが描かれているのは50ページぐらいしかなく、そのシーンに至るまでの登場人物(街の多彩な人々やロボット)との関わりが大部分なんだが」

翔花「ロボットが出て来るんだ」

NOVA「スターウォーズC3POみたいなタイプだな。アンディという名前で、おしゃべりな子守りお手伝いロボットで、当たらない星占いとジュークボックス機能と、必ず当たる〈狼〉の襲撃予告をしてくれる。素朴な農村風のカーラにおいて、こいつだけがメカの象徴で、キャラハン神父と異教のマニの集団たちが神秘と魔術の象徴になっている」

晶華「街に一体だけいるロボットかあ。ドラえもんさんみたいな日常ファンタジーの雰囲気ね」

NOVA「カーラ・ブリン・スタージスの設定描写は詳細で、そのままTRPGの背景世界にも流用できそうだな。で、アンディを登場させる必然性なんだが、実は〈狼〉の正体がアンディと同様のロボット兵士だったんだな。アンディは〈狼〉のスパイロボットだったわけ」

翔花「〈狼〉までロボットなんて」

NOVA「かつて街を襲撃した昔話から、狼の仮面を着けた甲冑の騎士で、騎乗する馬は普通よりも高速で移動し、ライトソードと飛び道具のスニーチ(飛び回る手投げ武器)で武装して、こちら側の攻撃はほとんど通用しないように見えるが、一度だけ頭部に刃が突き刺さった時だけ倒されたことがあるが、その一体を倒すために勇敢な村の若者4人が犠牲になって、1人だけ生き残ったとか、いろいろ噂話が語られるんだな。そういうのが70体以上、双子の片割れをさらいに何十年に一度、やって来るわけだ」

晶華「何十年に一度、生贄を要求する邪神配下の魔物って感じね」

NOVA「途中まで読んでいて、俺のイメージはこれだったな」

NOVA「カーラの街の住人は、〈狼〉を呪われた吸血鬼のような魔物だと信じていたし、キャラハン神父の登場もあって、せいぜい人狼みたいなモンスターかな、とミスリーディングさせられるんだが、実はアンドロイド兵士の集団だった。何の伏線もなく、そういう種明かしが行われると、読者は怒っていいが、アンディというキャラが登場してるし、これまでも3巻から時折、ロボメカが登場している世界観だからな。ロボット熊とか、コンピュータ制御された古の大都市とか、高速列車を制御する狂ったAIとか、古代文明の遺産として機械は普通に登場しているわけで。

「とにかく、〈狼〉は遠隔操作型のロボで、フードの下に隠してあるアンテナパーツが弱点。弱点と行動パターンが分かれば、倒せないことはない。問題はその数が脅威ってことだけど。何せ味方はローランド、エディ、スザンナ、ジェイクしかいなくて、武器も少ないから、どうしても戦える街の住人の助けはいるんだな。

「そこで、マニ教団の物語が加わってくる。この物語のマニ教団は、キング風の東洋多神教の象徴で、キャラハン神父の教会信仰とは異なる自然主義神秘主義を解説する役どころ。元々、ローランドの世界観はアーサー王伝説やローラン伝説などの中世騎士道文学に、西部劇の荒野をさすらうガンマンと邪悪な黒魔術師を入り混ぜた物語が基本。そこに文明崩壊後の環境悪化によるミュータントの出現や、壊れた機械などのSF要素が加わる一方で、キングのファンタジー世界にはあまり宗教要素がなかったんだな。魔術や宗教は敵陣営に関わるものであり、ダークタワーそのものがローランドの信仰観に通じるわけで。キングの世界観は、魔物とか闇の勢力の跳梁跋扈に対して、信仰は無力なものとして描かれがち。それよりも個人の信念とか情念、極限状況における人間の絆なんかが描かれる世界観だ」

晶華「吸血鬼に対して神父さんが無力で無様な姿をさらしたという時点で、信仰に対して懐疑的なキングさんの作家性が表れていると思うわ」

NOVA「ただ、ファンタジー世界を突きつめるに当たって、多元世界がどういう仕組みで成り立っているのか解説する必要が出てくる。超常現象が起こっているなら、その超常現象を科学か魔術か神秘か何らかの視点をもって解き明かされねばならない。ダークタワーが多元世界の中心であり、聖杯のようにローランドの探索目的であり、世界が滅亡に近づいているのもダークタワーを構成する力が枯渇していることと、破壊を促進している邪悪な勢力(そのボスが赤目に象徴される真紅の王クリムゾン・キングとされる)が世界の壁を越えて存在することがほのめかされてきた。

「でも、それはローランドと対峙した敵の黒魔法使いウォルター(とかマーテンとか、ランドル・フラッグとか名前を変えて暗躍し続けてる)が断片的に話しているだけで、味方側に魔術や信仰に詳しくて世界を解説するキャラがいなかったわけで、それがキャラハン神父や、マニ教団の長ヘンチックとの会話で、いくぶん補完されることになるんだな」

翔花「ダークタワーとは何か、というシリーズの究極テーマに対して、宗教側からの視点での見解が語られる……と言ったところね」

NOVA「この辺は多元世界らしく、宗教的視点も一元的ではなくて、複数の視点それぞれの意見が提示されて、安易に結論が出されず、読者の解釈の余地が示される。ローランドも、仲間のエディも、そして後で登場するキング自身も懐疑的なスタンスを崩さないけど、懐疑的視点だけでは読者に対して正解を示せないので、もっと素直に超常現象に親和的なキャラを用意する必要が出てくる。それがジェイクであり、キャラハン神父の役割となるわけだな」

翔花「何だか難しいわね」

NOVA「本来、ファンタジーって不思議な幻想物語なので、不思議な現象に際しての登場人物や読者の驚きを喚起しないといけないジャンルなんだな。そこに安易なたった一つの正解を示すと、ワクワク感が失われる。事件を解決する探偵役が登場するミステリー作品なら、たった一つの解答が示されて然るべきだけど、ファンタジーは作者すら絶対ではないぐらいのさじ加減、世界はまだまだ神秘に包まれているという曖昧さがあってこそのリアリティって奴なんだ」

晶華「世界はこうなってます……って作者が上から目線で語ると、読者は興醒めってことね」

NOVA「真実はこうかも知れないし、また別の真実が隠されているかも知れない。どちらが正解か決めるのは、これを読んでるあなた次第です……というぐらいの余裕を持った書き手スタンス、語り部スタンスがある方が、読者は興味を持って世界に入り込める。これが真実だ、と作者が大上段に構えがちなのは、物語が閉じてしまって、どれだけ作者が壮大だと言い張っても、読者は白けるわけだ。壮大かどうかは作者が決めることではなく、読み手が感じることだし、実際のところ作品を描写する上で、作者の引き出しが狭いと壮大には感じられないね」

翔花「だけど、『壮大なファンタジー大作』とか『雄大なSFロマン』って宣伝文句はあるよね」

NOVA「それを言ってるのは、作者じゃなくて出版元の編集者だろ? 編集者は作者の物語の当初の読者なんだから、自分で読んで壮大だと感じたから、その壮大さを読者にも味わって欲しくて、そういう宣伝文句をつけた。書き手と宣伝の訴え手が異なるからこそ、客観的に壮大さを伝えられるんだね。これを作者が自分で自分の作品を壮大だとホザいていたら、読者視点ではアホらしいと感じる」

晶華「作者は自分で自分の作品を壮大だって言っちゃダメってこと?」

NOVA「壮大な物語のつもりで書くのはいいだろう。ただ、自分の作品を客観視できない作者はマヌケだし、『渾身の力作』『頑張って書いた』という主観的感想なら問題ないが、壮大なファンタジーやSFに必要なものは何だと思う?」

翔花「読者さんが広がりを感じるために必要なのは……語り部キャラが世界の広さを感じて、自分は何てちっぽけなんだろうって視点かな?」

NOVA「そうだな。よって、登場人物が『俺が世界を紹介してやろう』なんて言って、世界の壮大さをいきなり解説し始めるような作品は、読者から見れば、最初から箱庭を覗き込まされているに過ぎない。世界なんて、一人のキャラの視点で語り尽くされるものじゃないし、世界の壮大さを感じるのは最初から答えが出ているものではなくて、『今まではこうだと思っていた世界が、実はさらに広がりを持っていたと感じる瞬間』とか、ゲームで言うなら『5階建てだと思っていたダンジョンが、さらに5階層加わった』とか、『探索範囲を一通り調べたと思ったら、さらに奥があった』とか、段階的に広がりを実感した時だな」

晶華「NOVAちゃんが壮大な物語を書こうとしたら、どうする?」

NOVA「若いときは架空の歴史年表を作ったり、凄い背景設定を想像したりしていたけど、今だとキャラに驚きを感じさせるための仕掛けを用意するな」

翔花「たとえば?」

NOVA「ごく普通の民家の地下に格納庫が隠されていて、巨大ロボットがあったらビックリするだろう? 何でここにこんな物が? この家は一体どうなっているんだ? と登場人物に感じさせたら、読者も同じ疑問を持ってくれるはず。メインキャラクターは何も知らなくて、それでも好奇心旺盛で、一体どうなってるのか? を追求したがる。これは一体どうなってるんだ? と感じさせる事件と、感じられるキャラクターを用意して、さらに解説役を用意する。

「解説役が少し解説して、ある程度、解説した段階で、主人公に『ちょっと待てよ。いっぺんにいろいろ言われても、訳が分からないよ。とりあえず、悪い奴が攻めて来たから地下のロボットで倒せばいいんだろう? やってやろうじゃないか』と言わせて、解説役が『バカには話してもダメか』と言わせたり、『ちょっと待てよ。まだ話は終わってないんだ。最後まで聞いて行け。おい!』と言わせたりすれば、読者や視聴者は続きを聞きたがる。解説は少しずつ小出しにして、まだまだ続きがあるって匂わせる方が、相手の好奇心を刺激できる。こういうテクニックで興味を引き続けて、それがある程度、溜まった段階で、『世界にはさらなる秘密が』と示されると、凄いと感じさせるわけだ。溜めもないのに、中身も伴わないのに、皮だけ大風呂敷を広げられても、スカスカで興醒めになるだけだからな」

 

晶華「キングさんのダークタワーは壮大よね」

NOVA「何だかんだ言って、イベントが多いからな。各巻の大筋プロットは割と単純なんだが、意外な仕掛けが用意されている。今回の大仕掛けは〈狼〉の正体で、散々吸血鬼だとか魔物だとか噂されていたら、正体はロボットで、しかもスターウォーズライトセイバーを振り回して、ハリー・ポッター製のスニーチを投げ、デザイン元がマーベルコミックのドクター・ドゥームというオチが付いている」

翔花「え? どういうこと?」

NOVA「それまでずっとマジメなファンタジーだと思って読んでたら、いきなりパロディー続出な敵キャラという種明かしだったんだよ。エディは80年代のアメリカから来て、ジェイクは70年代のアメリカから来たんだけど、エディはスターウォーズを知っていて、ジェイクは知らない。だけど、マーヴェル・コミックはどっちも知っているので、敵の〈狼〉のデザインがまるで、マンガや映画の世界から出て来たかのような出立ちであることに気づくんだ。さらに、敵の武器のスニーチに商品登録票が付いていて『ハリー・ポッター』って書いてある。当然、どちらも知らない名前だ」

晶華「ハリー・ポッターは原作が97年スタートで、最初の映画は2001年公開。本巻は2003年の作品だから、キングさんは知っていても、物語の登場人物は知らない、と」

 

エディ『スニーチはきっと未来から来たんだ。90年代のマーヴェルコミックに登場するんじゃないかな?』

 

翔花「本当に、そんなセリフがあるの?」

NOVA「あるんだよ。このパロディーには苦笑を浮かべるばかりだが、さらに6巻には、ロード・オブ・ザ・リングネタも出て来て、当時の流行をそのままネタとして登場させるキングの臆面なさを感じさせてくれる」

晶華「作者のユーモアと思えばいいのか、おふざけが過ぎると思うかは、読者次第ってことね」

NOVA「俺が若いときに読んでいたら、世界観が台無しだ、と興醒めしていたかもしれないが、この後はもっと凄いメタフィクションネタが待っているからな」

 

ヒロインの顛末と、メタフィクション

 

NOVA「〈狼〉の正体がロボットであり、マンガや映画から飛び出したキャラだというのは、壮絶なオチだと思うが、そこに至る流れはマジメそのものなんだよな。70体の敵に奇襲攻撃を仕掛けるための準備をしたり、〈狼〉と通じている裏切り者を探ったり、助っ人戦士としてマニ教団出自の女戦士を3人スカウトしたりして、元ネタの『七人の侍』っぽい数合わせをしたり」

NOVA「この世界の神話伝承に、レディ・オリザという女神戦士の物語が語られ、彼女は鋭く縁を研いだ皿を投げて相手を斬殺する技を持っている。マニ教団のアクティブな女性は、レディ・オリザの故事に習って、皿を使った円盤投げで戦ったりするわけだ。ローランドの仲間のスザンナもその円盤投げの技術を短期間に磨いて、戦いに参加するんだな」

翔花「円盤を投げるって、この人みたいね」

NOVA「さすがのキングさんも、マンホールのフタを投げる女王は想像しないだろう。まあ、ただの銃撃戦ではなくて、ライトセイバーとスニーチと皿円盤が飛び交う戦場を映像化したら面白いことになると思うが、長い戦いの末にオリザの女一人と、避難していた子どもの一人が犠牲になり、さらにスザンナが失踪するという展開になる」

翔花「失踪って何があったの?」

NOVA「別人格のミーアに乗っ取られて、戦いの終わった戦場から姿をくらまし、〈暗黒の水晶球〉を盗んで1999年のニューヨークに転移したんだ。妖魔の子を産むためにな」

晶華「悪魔とかエイリアンの子を受胎したために、女性が悪堕ちするというホラー映画もあったわね」

NOVA「ダークタワーのスザンナは、完全に汚れヒロインになってしまったな。〈狼〉との戦いで、ダブルソーサーブーメランで戦う場面は凛々しかったんだが」

翔花「失踪したスザンナさんの行方は6巻に続くのね」

NOVA「タイトルが、スザンナの歌だからな。スザンナと妖魔の母ミーアの多重人格脳内会話が興味深い」

晶華「複数人格の脳内会話って、NOVAちゃんにとっても十八番じゃない?」

NOVA「かもな」

 

NOVA「さらに、6巻に通じる話として、謎の作家スティーヴン・キングの名前が登場した」

晶華「どういう経緯で登場するのよ?」

NOVA「ダークタワーに通じる手掛かりとして、ニューヨークに古書マニアのキャラが登場するんだが、彼の本棚に『セイラムズ・ロット』の小説があって、キャラハン神父がそれを見つけて、ビックリするわけだ。自分の物語がフィクションとして綴られている? 自分は一体、何なんだ? 作者のスティーヴン・キングって何者なんだ? と、フィクションとリアルがつながる様相を呈して、5巻が終了。

「スザンナの行方はどうなったのか? エディは彼女と再会できるのか? スティーヴン・キングは果たして、どんな男なのか? 彼のライフワークであるダークタワーは果たして上手く完結するのか? そういうことを気にしながら、現在、6巻を読んでいる最中と言っておく。近い将来、感想の続きを書く予定」

(当記事 完)