舞台は鳥取。
鉄鉱山の経営のために農家で使う水が汚されて、鉱山師が潤い、一方で百姓たちが苦しむ状況が生まれています。
そんな中で、鉄で儲けた商人を狙う義賊「因幡の黒兎」が活動し、困窮している百姓に小判をばらまく事件が勃発。
そこに訪れた黄門さま一行が事件に巻き込まれるわけですな。
商人の屋敷に招待された美人絵師に八兵衛が惚れ込んで、押しかけ弟子になったものの、彼女が黒兎の関係者であり、八は仕事の囮にされて、役人に捕まってしまいます。
弥七が黒兎の正体を探る中で、鉄山奉行の悪事に復讐したいと願う美人絵師と、幼なじみの若者*1に協力することになって……という内容。
クライマックスでは、奉行に捕まった絵師を助けるために、弥七も「黒ウサギ」に扮してダブル義賊の大乱闘。弥七ファンとしては、屋根の上で黒兎と戦うシーンも含めて、大当たりの回だったり。
後は、鉄山奉行に扮するのが、モロボシ・ダンこと森次晃嗣さんなんですが、基本的に「現在進行形で悪いことをしている」わけではありません。本編中は、義賊の正体を暴いて捕まえるために、いろいろ知恵を練っているお奉行さま。
ただ、彼が現在の地位を築くために行った「過去の悪行」、すなわち美人絵師の父親を十年前に闇討ちにしたことから来る復讐譚に、黄門さまが加担して、という話。
もちろん、鉱山を潤わすために、百姓を犠牲にしている政策は悪いことなんですけど、現在において分かりやすく悪事を働いている描写がないので、ある意味、黄門さまの内政干渉ではないか、と感じたりも。
結論としては、「鉄も大事だが、農作業も大事。どちらも犠牲にするようなことがあってはならない、ということですな」と、まあ、丸く収めるものの、義賊に対しては、「もう二度とするな」以上のお咎めなし。
法を守るべき権力者の立場としては、微妙な生ぬるい裁きに感じたりも*2。まあ、脚本家が女の人だと、時代劇では「法よりも人情」に走りやすいのかも。
ともあれ、森次さんの演技は、派手さこそないですけど、黒兎の正体を探るための策士っぷりが、知性派悪役としての貫禄を見せてくれたなあ、と。
で、次回のゲストは、セブンに続いて新マンの団時朗氏。
何だか、今年に入って、特撮ファンを喜ばせるキャスティングが続いておりますな。当ブログとしては、ありがたいことです。