Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

大魔神カノン16話「価音」感想

 次回のサキ話は、荒川脚本の18話に期待するとして。
 今回は、前編・後編の前編に当たります。前編は、仕込みの回とも言えて、問題を抱えたゲストキャラの紹介、主人公たちとの交流が中心になるため、カタルシスが得にくい傾向があります。
 これがアクション物だと、「バトルに突入→ピンチの主人公でつづく」という黄金パターンがあるのですが。
 通常の連続ドラマですと、「一つの事件が解決して、次の事件が勃発」という流れで、次回への興味を引く。


 ただ、今回の話は、「横暴な母親に悩まされて、自分を押し殺し、ストレスをためている娘」ということで、自分的には「料理が難しいよ、これ」と思ってしまいます。*1
 前回の仮面ライダーWが、「我が子への愛情のために、他所の子を排除しようとする歪んだ母親の醜さ」を示した話で、悲しむ子供の姿とか、いろいろ突きつけることで母親にも改心させる、という展開で後味は悪くなかったですが、
 今回のカノンは、似て非なる話。
 母親が、本当に自己中丸出しのモンスターペアレントで、娘にすら愛情を持っていないような描写。こういう極端な描写を見せて、後編でどう解決するの? って思ってます。表面上、厳しいように見せて、実は……と人情の機微を感じさせる作劇なら拍手だけど、前編を見ている限り、この母親に同情の余地はないでしょう。
 でも、ダメな親を気にせず、子供は子供で、自分の意思で好きにしていいんだ、と自立を促す話ってのも、ゲストの娘(演・美山加恋)が10代前半じゃ成立するのかな。こういう親子間の問題に、他人が口をはさむのもどうなの? って気もするしね。


 ということで、後編見ないと評価できないなあ、というのが実感。

オンバケ地方編

 逃げたイパダダが、今度は田舎の村に出現し、鉈とか振り回して、村人を惨殺した状況が発生。
 そこで暮らしていたオンバケのカエンジ(元タイムイエロー)。村人を助けようとした彼ですが、イパダダの強さに太刀打ちできず、傷ついたまま、サワモリたちに介抱されます。
 それだけで、つづく、と。アクションは次回にお預け。

幸太郎

 カノンの元カレにして、イパダダの元依り代。
 イケチヨ姐さんの治療で、後遺症が残らないよう処置された後、自宅に帰されます。意識を取り戻して、自分が4日間、ずっと寝ていたことに驚きつつ、「4日間も寝続けるなんて、俺って凄くね?」と呑気な反応。
 何も知らない一般人ってのは、平和だなあ、と思いつつ、もう少し、サスペンスフルな展開であってもいいのに、と感じたり。

万引きピアノ少女

 バイト先のカノンが出会った少女「くらら」は、ピアノの天才だけれども、母親のスパルタ教育の賜物とも噂されている。そんな彼女に、自分と同じ音楽好きの親近感を覚えるカノン。
 その後、買い物先でタイヘイと遭遇したカノン。そこで、タイヘイは店の商品を万引きしようとしているくららに会って、注意したら痴漢扱いされてしまう。
 店の奥の部屋で、店員たちに尋問され、互いを嘘つきとなじるタイヘイとくらら。両方の顔見知りとして、当惑するカノン。タイヘイを「怪しい人じゃない」と擁護する一方で、くららにも「この娘は万引きなんてする子じゃない」と、どっちつかずのことを口にする。そういうカノンに対して、「私のこと、何も知らないくせに……」と不満を示すくらら。
 そこに、連絡を受けたくららの母親が現われ、横暴な態度で娘を引き取る。くららと対立していたタイヘイも、「あんな母親じゃ、娘っこが可哀相だ」と母親の方を敵視するように。

親父編

 くららのことを父親に話すカノンだけど、「他人の家の事情に、お節介に口をはさまない方がいい」というのが父親の意見。「他人に干渉するなら、その相手の人生に責任を負う覚悟を持たないと」と諭すように話す親父さまですが、
 それでも「くららが他人事のように思えない」と感情移入してしまったカノン。横暴な親の押し付けに反発する娘として、自分に重ね合わせたりも。
 この回は、親子のコミュニケーション不全というテーマも入っています。イパダダについても、「勉強を強制されて、親を殺害して、その後、暴走した連続殺人犯」という過去世が語られましたし、間接的につながってはいるんですよね。
 よって、この回で、カノン父の態度が、娘のやっていることを一切認めないように描いているのも、横暴な親の見せ方、と。


 ただ、父親が反対することで、意地になったカノンが、自分のやりたいことを押し通そうとする精神的強さを示すのは、物語的にはOK。やはり、「反対者」の存在があってこそ、主人公の意思というのが明確に描かれますから。

想い

 万引きを止める際、タイヘイに腕をつかまれたことで、「腕が痛くてピアノがひけない」と訴えるくらら。
 それに対して、「ピアノがひけなければ、あの娘に何ができるというの? 責任をとってもらうから!」とラーメン屋に来て、言いたい放題の文句いいの母親。
 一度、くららとじっくり話そうと動き出すカノン。


 くららの想いに、カノンが向き合うところで、つづく。


PS:問題提示だけで終わった、少々ストレスフルな回でしたが、「問題を抱えたゲスト」と「それを解決するために、お節介に動き回る主人公」という意味では、定石的な展開。
 その意味では悪くないんだけど、カノンが大した力も持たない傷つきやすい少女という設定なのに、がむしゃらに動き出すので、見ている側が不安になる。まあ、「自分より弱い立場の人間を励ますことで、自分の問題に対しても向き合うきっかけにする人間」ってのもいますからね。そういう方向性で、カノンの内的成長を描こうって方針なら、納得できなくはない。
 ともあれ、後編を見ないとしっくり収まらず、良いか悪いかも断定できないなあ、って一話。

*1:ヒーロー物なら、問題の元凶の怪人倒して終了にしやすいのだけど、そういうアクション要素を排除するなら、納得できる人間心理が描かれないと、どこかカリカチュアライズされた人間が単に矮小化され、何の解決にもなっていないのに、主人公の心情だけで視聴者の想いも揺さぶられることになる(そこで、主人公に感情移入できているなら問題ないのだけど、カノンの場合、ぼくはカノンに感情移入しにくいからなあ^^;)。