Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

大魔神カノン22話「貫温」感想

 何て見事な総集編。
 この話だけで、カノンの良い所のほぼ全てが網羅されているので、本編が必要ない……というか、本編がいかに冗長に描かれてきたかがよく分かります。
 ある意味、これまでのカノンで、一番、傑作だった回じゃないかな。
 イベントなんかでも、この話を上映すれば、「カノンって、面白そう」って思ってもらえる。


 で、これまで辛抱強く追跡してきた身としては……「真マジンガーZ」みたいに、第1話でこれを流してくれれば、その後はじっくり内容を追跡する楽しみがあったのでは? なんて思ったりします(笑)。
 いや、「真マジンガー」の1話は、謎の多い話でしたが、この総集編では、ほとんど謎がないか。むしろ、本編ではやや断片的であいまいに描かれてきたイパダダの正体*1なんかが、イケチヨ姐さんの断定的推測できちんと示され、本編の謎の補完にもなっていますな。
 ともあれ、今週の深夜特撮追跡分では、珍しくカノンが一番、内容密度が高かった、ということになります。他の2つが、ストーリーを進めるよりもお祭り的エピソードだったので。

イケチヨ姐さんと若松さん

 総集編の演出ですが、
 イパダダとの決戦前に、消耗した治癒力を回復させようとしたイケチヨ姐さんが、若松さんの働く水族館を利用したという状況設定で、これまでの物語を語って聞かせる内容ですね。


 カノン視点や、タイヘイ視点ではなく、割と客観的に物事を見てきたイケチヨ姐さんの視点なので、特にツッコミどころもなく視聴できました。
 若松さんも割と常識人で、話し手、聞き手ともに恵まれた流れ、ということで。

イパダダ編

 語りは大きく二部構成。
 前半がイパダダとの戦いで、後半がカノンの成長。
 本編では、イパダダ2〜3割、カノン7〜8割ぐらいの比率なので、今回イパダダに半分ぐらい割いた、ということは、それだけ特撮アクションシーンも充実していたわけですね。
 時々、大当たり映像はあるものの、基本的にはもっさりしていた戦闘シーンが、ダイジェストになると、傑作選と言えるものばかり。


 で、イパダダの成長が急激で、オンバケたちの力では対抗できなくなったため、ブジンサマの力が必要という段取りで、それを目覚めさせる歌姫カノンの話に移ります。

カノン編

 山形の田舎から都会に出てきた純朴ないい子のカノンが、人の裏切りに会って傷ついて、人間不信の引き篭もりになっていたところを、純朴なオンバケのタイヘイに会って、自分らしさを取り戻す流れが、テンポ良く描かれます。
 で、「優しさだけじゃ生きていけない」というハードボイルド精神もあって、「打たれ強さ」も身に付けたカノンが、人付き合いで傷つくリスクも受け止めながら、それでも想いは必ず通じる、という一途さで歌詞作りに励む。そういう想いの込もった歌なら、ブジンサマにも通じるだろう、という物語ですね。
 ブジンサマも、カノンと同様に、人間のために戦ってきたのに、人の裏切りに傷ついて、引き篭もった身ですから。


 こう、まとめると悪い話じゃないと思うんだけど、やっぱりカノンがタイヘイと出会って立ち直るまでが長すぎた。総集編でも、そこまでは短くまとめられ、むしろ挑戦するカノンの姿に主眼が当てられたため、この一話だけ見ると、カタルシスが満たされます。
 それと、自分的に良かったのは、サキに対する評価。イケチヨ姐さんは、サキに出会ったことはないはずですが、カノンから聞いたことになっているのか、きちんと評価してくれます。
「この娘は、カノンちゃんよりも先に、都会の厳しさを経験して、それを乗り越えてきたのかもしれないねぇ」
 本編では、サキの方がカノンに対して妙に下手に出ていたのですが、役割ドラマ的には、サキはカノンに生き方を示す先輩格なので、その部分を補完してもらったのが何より。
 先ほど、「ハードボイルド精神」という言葉を使いましたが、比較的、周囲から過保護にされて、ようやく試練を乗り越えただけのカノンよりも、むしろサキの方がその言葉にふさわしいかな、と感じています。
 もう、自分としてはカノンに期待したいのは、サキとのダブル歌姫の実現ですね。あ、ついでにブジンサマにもパートナーを用意して、ニューヨークから「自由の女神様」が助っ人に駆けつけてくるとか……妄想暴走。

ブジンサマ

 ともあれ、後は、ブジンサマが目覚めて、イパダダとの決戦劇を期待するしかないのですが、
 ドラマ重視なら、イパダダの悲哀とか苦悩を、カノンが受け止めて浄化する……という流れも、当初は考えていました。でも、今回の話で、イケチヨ姐さん曰く、「イパダダには同情する面もあるけど、こうなってしまった(人の世界を脅かす殺人鬼となってしまった)からには、何とか倒さないといけない」とのことで、まあ、その辺は、何でもかんでも許して終わり、よりもいいのかな、と思います。
 世の中には、許されない過ちもあるわけで、特にイパダダは「反省することのない亡者」ですし、仮に許すとしても、だったら許すに値するだけの、カノンたちとの心理交流という段取りが必要なのですが、今さらそれを描く時間はないだろう、と。
 カノンがどこまでイパダダに関わるか、単にブジンサマを目覚めさせる以上の役割は果たさないのか、そこが若干気になるところです。
 あと、タイヘイ。カノンを支えるのが役目なのですが、イパダダとの決戦でアクションを披露したりはしないのか。
 まあ、どういう結末かは分かりませんが、ここまで追跡してきた自分をがっかりさせることのないよう、終わりよければ全てよし、でまとめてほしいものです。


PS:本記事の最初に、「カノンの良い所のほぼ全てが網羅」と書きましたが、この「ほぼ」と言うのは、ブジンサマが戦っているスペクタクル映像は、まったく描かれていないため。その部分も含めて、クライマックスに期待ってことですかね。

*1:愛情のないスパルタ教育に耐えかねて、親を殺し、その後も周囲の人間を殺しまくった死刑囚・冴木賢人