ライオン丸G世界でも、「仕事人エレキテル」と呼ばれた男は壮絶に散っちゃったので、ここは彼を偲ぶためにも、「元祖・仕事人エレキテル」こと西順之助の最期を振り返りたい、と思います。
『必殺仕事人V』の続編『必殺仕事人V激闘編』では降板した順ちゃん。その間に、長崎に留学したという設定なのですが、さらに続編の『必殺仕事人V旋風編』で帰ってまいります。受験生にして医者の卵だった彼も、立派な大人になって、歯医者さんとして開業。
しかし、長崎で学んできたのは医学だけではありません。火薬の知識もたっぷり仕入れ、得意の飛び道具も「殺傷能力のない投石器」から「殺傷能力ありまくりの手製バズーカ砲」にバージョンアップ。もはや、暗殺者の武器ではありませんね(笑)。
そんな最強バージョンの順之助の活躍も、たったの14回で呆気ない幕切れを迎えます。
中村主水がエスカルゴを食べて始まった『旋風編』も、途中バースになったり、ネズミ捕りにかかったりするなどの迷走を見せつつ、ラストは大奥の鶴を食べて失業する……ことになります*1。
炎に包まれた百軒長屋で最後の仕事を果たした後、小船に乗って脱出する仕事人一同。そのとき、順之助の持つ火薬袋に火の粉が舞い散り……彼を助けようとした仲間、夜鶴の銀平を巻き込んで大爆発!
川に沈む銀平を救うべく手を伸ばす鍛冶屋の政。しかし、銀平は力尽き、政の心に重い余韻を残します。
それに対し、順之助の方は、その後のドラマに尾を引くことなく、誰にも語られずに消えて行きました。爆発の間近にいたのだから即死だろうと思いつつ、「きちんとした死が描かれていないのだから行方不明の可能性もある」と考えたことも*2。
死んだなら死んだで、きちんと描いて欲しかった……というのが、必殺ファンとしてのNOVAの、順之助に対する長年の想いでした。
まあ、それでも爆発の中に消える……というのは、かつて『必殺からくり人』において、緒形拳演じる夢屋時次郎の死に様でもあり、後年、中村主水自身、同様の最期を迎えたことを考えると、それも一つの散り方、と今になって納得してみる次第。