Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

W精霊少女と、元悪霊

娘たちの帰還

 

WPON!!

二つの閃光とともに出現す。

 

翔花「たっだいまー♪」

晶華「合宿から帰って来たよー。はい、これ、お土産のスイカ🍉。熊本産だよ♪」

NOVA「おお、お帰り。早速、EXODUSと言いたいが、お前たちも疲れているだろうから、今夜はゆっくりお休み。俺もワクチンの副作用で、激しい運動は無理だから、GMをしている体力はないし」

晶華「TRPGGMって、激しい運動をしないでしょう?」

NOVA「いや、するぞ。主に脳内でな。パズルやクイズを解くのを頭の体操と言うだろう? 脳と体を分けて考える風潮はあるが、脳だって体の一部であることには変わりない。つまり、脳内活性化状態が続くと、運動しているのと同じぐらい血流や神経が興奮状態になるんだ。筋肉とは違うだけで、分かりやすい肉体的な疲れは感じないが、精神的な疲れは決してバカにできない」

翔花「うん、NOVAちゃんは疲れているってことね」

NOVA「ああ、疲労の理由を聞いてくれよ。今朝はニチアサ・スーパーヒーロータイムが放送しなかったんだ。俺はSHTで脳内疲労を回復する体質になっているから、今週分は回復量が激減状態で、いろいろと欲求不満なんだな。おのれ、雨が降っているのに、2年前の決勝試合の放送を延々としやがって。高校野球は関西特撮ヒーローファンの多くの敵だ! 俺はこの恨みを8月いっぱいは忘れん」

晶華「へえ、NOVAちゃんは今朝のニチアサが見られなかったんだ〜。それは残念だったねえ(ニヤニヤ)」

NOVA「何を他人事みたいに言ってやがる。お前たちも……って、ああ、そうかあ」

晶華「そう。私たちは九州に合宿に行っていたから、リナ老師たちと見ていたのよ」

翔花「NOVAちゃんも一緒に来たら良かったのに」

NOVA「そうか、その手があったか。だが、俺は昨夜から、ここを離れられない事情があったのだ」

晶華「ニチアサSHTを我慢してまで、ここを動けない事情って、余程のことね」

NOVA「ああ、紹介しよう。今度から、うちに住むことになった彼を」

 

暗黒騎士『ケケケケケイソーン!」

 

翔花「!」

晶華「キャーーーーーッ!」

 

和解と不信

 

晶華「何で、こいつがここにいるのよ!?」

NOVA「あれ? ゲンさんには話していたんだが」

翔花「亀おじさんは、ケイソンの件は解決したから心配ないって言ってたんだけど」

NOVA「そうか。まあ、詳しい話は前回の記事を参照してくれ。前回なので、いちいちリンクは張らないけど」

晶華「いいえ。直接、質問するわ。先に言っておきますけど、私はこいつと一緒に住むなんて反対だからね。だって、殺人鬼の悪霊なのよ。2年前のアステロイド観測所では、殺されそうになったことだってあるんだし!」

NOVA「大丈夫だ。こいつとは契約を交わして、普段は階下のダンジョンに引っ込んで出て来ないことを誓約させている。今回はお前たちにも紹介するために、特別に上がって来てもらっただけだ。今後は、14日の土曜日だけダンジョン管理の状況報告しに出て来るだけになっている」

晶華「14日の土曜日に出て来るんだったら、今までと一緒でしょ。もしも、こいつが裏切って、寝首を掻きに来たら、どうする気よ!?」

NOVA「そうはならないだろう。ケイソン、お前が戦意を持たないことを分かりやすく示してくれ」

 

 ケイソン、手にしたケイソンアックスを床に落とす。

 

晶華「そんなんじゃ分からないわよ! と言うか、何を斧を持ったまま、部屋に入って来てるのよ。物騒ったら、ありゃしないわ!」

NOVA「いや、今の世相で一番物騒なのは、家族でもないのにマスクを付けずに、店や他人の家に入って来る輩だ。こいつはしっかりマスクを付けた、きちんと礼儀を弁えた男だ。コロナウィルスは殺人鬼より怖い」

晶華「それとこれとは話が別よ。いや、同じ。コロナウィルスも、殺人鬼も、どっちも怖い。これが世間の常識よ!」

翔花「アキちゃん、落ち着いて。ここは、わたしに任せて」

晶華「ええ、お姉ちゃんからもNOVAちゃんの愚行を諌めてあげて」

 

翔花「NOVAちゃん。重要な質問をするわ。さっき、ケイソンと契約を交わしたと言ったけど、それって、わたしやKPちゃんと結んだ魔術的な契約ってことかしら? 悪霊と契約をしたってこと?」

NOVA「いや、違う。これを見ろ」

NOVA「リバイスにちなんで、こいつには血判状を押してもらった。血の誓約に基づいて、こいつは俺を裏切れない。それと、今のこいつは悪霊じゃなくて、何度かの戦いで魂が浄化された元悪霊だ。主君に忠義を尽くす暗黒騎士の属性も与えたので、もう安心だと言っていい」

翔花「NOVAちゃんが黒魔術を使いこなすとは思わなかったわ」

NOVA「黒魔術? 少し違うな」

翔花「悪魔と契約を交わすのが黒魔術でしょう。ケイソンは悪魔じゃなくて、元悪霊だけど血の絆を結ぶなんて、黒魔術の所業じゃない?」

NOVA「ええと、黒魔術は悪魔が力を貸す代償に、魔術師の魂を支払うのが基本だな。そして、魂の前金代わりに、悪魔に血を捧げる意味合いで『術者が血判を押す』んだ。だけど、今回の場合、俺は自分の魂を代償にはしていないし、俺が血判を押したわけじゃない。俺には何のデメリットもないまま、ケイソンの方が俺に忠誠を誓うような契約なんだ」

翔花「そんな都合のいい契約ってある?」

NOVA「それがあるんだな。元々、こいつは1983年の俺の想像力が生み出した存在。その意味で、俺の中から生まれた悪霊だってことは分かるな。その創作物語の中で、俺はこいつに殺され、ゾンビと化して死を撒き散らす存在となった。所詮はフィクションとは言え、花粉症ガールの物語を生み出すに当たって、こいつも一緒に蘇ってきたので、過去の因縁を断ち切るためには翔花に悪霊を退治してもらわないといけなくなったんだ」

翔花「うん。花粉症ガールは悪霊と戦うために生まれた正義の精霊少女というのは、わたしがNOVAちゃんから聞いた話ね」

NOVA「ただ、その後、時代が変わり、令和の世の中になって、世界には俺の創作した殺人鬼とは異なる規模で、恐怖の殺人ウィルスが蔓延することとなった」

翔花「わたしもコロナの大元を退治するために、はるばる武漢の地まで行ったけど、もはやコロナのアジトは撤収された後だった」

NOVA「そうなのか? 武漢にあったのか、コロナのアジト?」

翔花「わたしの言葉の半分は妄言よ」

NOVA「何とリアクションしたらいいのか……まあいい。どちらにせよ、ウィルスが蔓延した後では、アジトだけ潰しても仕方ないからな。花粉症ガール一人でできることにも限界はあるわけだ。とにかく、殺人ウィルスが蔓延している時代において、たかが一人の殺人鬼など存在価値を失ってしまうのは自明の理。さらに、少年時代と違って数多くのヒーローの知識と加護を身につけた俺も強化されたイメージの力で、令和の光を身に付けたからな。かつては天敵だったケイソンに対しても、パンチ一発で倒せるようになったのがShinyな俺だ」

翔花「ああ、NOVAちゃんとケイソンの力関係が完全に逆転してしまったのね」

NOVA「ちょっと前に、お前も言っていただろう? 賞味期限切れだから、永遠に封印しておかない? って」

翔花「ええ、確かに言ったけど」

NOVA「実際、賞味期限切れだったので、放置しておけば、そのまま消滅を免れないほど弱っていたんだな、こいつ」

 

晶華「そのまま消滅させれば良かったのに」

NOVA「そういう選択肢も考えなくはなかったが、だったら俺はお前たちも消滅させなければいけなくなる。俺を苦しめる花粉症の精霊であるお前たちに、言霊魔術で名付けの儀を行い、契約精霊として、娘として役割を与えた。そういう情が移ってしまったんだな」

翔花「NOVAちゃん……」

晶華「じゃあ、ケイソンさんにも情が移ったと言うの?」

NOVA「いいや、こいつに身内としての情はこれっぽちも感じていない。あるとすれば、こいつとのこれまでの関わりの記憶を考えた場合、何か別の役割を与えて活用できないかな、という実利的な理由だ。こいつが無害で、有能で、理解できるキャラなら、そして今の状況で有用な役割を与えることが可能なら、俺はこいつを受け入れてもいい。だが、有害で、無能で、理解困難で、当ブログやサイトに見合った関係性を構築できないなら、俺は受け入れられない。そういうわけで、こいつには試験を課した」

晶華「どんな試験?」

NOVA「こいつに与えたい仕事。それはダンジョンの主だ。ならば、ダンジョンを突破するだけの実力がなければダメだと思ったが、こいつは第一関門をクリアした」

晶華「第二関門は?」

NOVA「殺人鬼の自分を捨てて、新たな役割を受け入れることを認めるかどうか。こいつは俺が促す前に、自分から誓約の言葉を述べ、これまでの迷惑を謝罪した。そう、自分からこちらの思惑を察して、為すべきことを為したんだ。しっかり空気が読めることを示したことになる」

晶華「そりゃあ、作者がそのように書いたからじゃない?」

NOVA「いや、いくら書こうとしても、キャラがそれを拒絶したなら、俺が書いていて、しっくり来ないわけだよ。さらにリアルでは、どのように俺が丁寧に為すべきことを説明しても、自分中心のわがままな言動を繰り返して、俺の気持ちを踏みにじる一方なのに、気心が通じているという信じられない言い草を口にする勘違い君がいるんだぞ。それに比べたら、ケイソンの方がよほど感情移入できるってもんだ」

晶華「まあ、フィクションとリアルは違うし、作者がコントロール可能な世界と、コントロールできない人間の差って奴でしょ?」

NOVA「俺感覚では、フィクションもコントロール困難な時もあるし、大抵のリアルの人間は相手の立場や考えを慮って行動してくれるし、そうでない人間とは必然的に距離が開くわけだ。互いに相手を脅かさない程度の距離の取り方を弁えて社交しているわけで、それができない相手は殺人鬼の悪霊以上に、俺の心の安泰を脅かすと言っても過言ではない」

晶華「はあ、なるほど。事実はフィクションよりも狂気なりってことね」

NOVA「で、第三関門なんだが、本当にケイソンと俺は気心が通じ合うのかどうかで、試しに藤岡さんに対する印象を問うてみた。こいつは見事に合格したよ」

晶華「それだけでいいわけ?」

NOVA「たった一つでも、通じ合えるものがあれば、それを土台に話を展開すればいいんだよ。感動を共有できるなら、共通の感性を持っているってことだから、そこを深めればいいし、その通じ合えるポイントを探る試みがあって、その上で互いのツボを上手く刺激し合えるのが気心が通じ合えるということ」

晶華「ケイソンさんとは通じ合えたってこと?」

NOVA「侍の道に感動できる。それって、武士道の話題で通じ合えるってことだろう? 武士がOKなら、西洋人は騎士の道だって分かるはず。斧を振り回す殺人鬼が改心すれば、騎士にだって転職できる」

 

翔花「NOVAちゃんの理屈は分かったような分からないような……まあ、それって分かっていないってことなんだろうけど、とにかく凄い自信があって、ケイソンさんに更生の機会を与えたってことね。だったら、わたしはNOVAちゃんの信じるケイソンさんを信じる」

NOVA「おお、翔花には分かってもらえたようだな」

翔花「勘違いしないで。こんな悪霊の一体や二体、今のわたしの力があれば、たちどころに消滅させることができるってことよ。そう、NOVAちゃんの期待を裏切ることがあれば、どうなるか、神霊候補の力をたっぷり思い知らせてくれるんだから(石川賢風グルグル目)」

ケイソン『!』(すかさず土下座🙇‍♂️)

晶華「何こいつ? 突然、土下座するなんて、もしかして下僕志願? だったら、この私、秋風の化身アキカイザー、またはシキリンジャーのシキイエローこと粉杉晶華が試験してやるわ」

NOVA「何だよ、シキイエローって。アキカイザーは聞いたことあるが」

晶華「花精戦隊シキリンジャーについては、この記事参照よ」

NOVA「俺のいないところで、ヒノキ姐さんを中心に新ヒロイン戦隊の企画が勝手に立ち上がっただと?」

晶華「私たちのいないところで、勝手に元悪霊と契約したNOVAちゃんに文句を言う資格はないわ」

NOVA「いや、文句じゃなくて、コントロールできない娘たちの縦横無尽な言動に、キャラが育ってるんだなあ、と感慨深くなってなあ。何だか頭で考える前に、本能のままに、条件反射的にストーリーが生まれていくモードに入っているぜ」

翔花「それって、全知全能の書に導かれているのよ」

NOVA「時々そう感じる時もあるな。まあ、そういう状態を面白いと感じる時もあるってことだ。物語の神に導かれているというか、愛されている者だけが感じられる境地だからな」

翔花「ストリウスさんみたいに絶望したりしないのね」

NOVA「ストリウスが何を言ったのか、今朝の放送を見ていないから、よく分からんが、自分が頭を使わずに、自分好みの話が紡ぎ出されるなら、作者としては楽ができていいし、読者としては自分が読みたい面白い話を真っ先に読める。こんなラッキーなことはないんじゃないか? 話が気に入らなければボツにして、改稿すればいいんだし」

翔花「もしかすると、NOVAちゃんの寄り道脱線回路も全知全能の書に記されているのかもしれないわね」

NOVA「だったら、嫌なことがあれば、何もかも全知全能の書のせいにすれば良いってことだな。まあ、良いことも全知全能の書のおかげってことになるんだが、その辺の哲学論争はどうでもいいや。俺は俺のしたいこと、すべきこと、できることをするだけだ。そういう俺の意志が実現できるなら、誰にも邪魔されないなら、それが俺の人生って奴だ」

晶華「うん、NOVAちゃんがそう言うなら、私も私のしたいこと、すべきこと、できることをするだけよ。さあ、ケイソンさん、外に出なさい。あなたの資質、この私がたっぷりと見極めてやるわ!」

 

晶華の試験

 

 塔の外、クリスタル湖畔の岸辺にて。

 

NOVA「それで、ケイソンに目隠しさせて、お前は何がしたいんだ?」

晶華「ここに一つのスイカがあります。だから、ケイソンさんにはスイカ割りに挑戦してもらいます」

ケイソン『!?』

NOVA「何で? スイカ割りって何? って言ってるぞ」

晶華「言ってないわよ」

NOVA「いや、俺にはケイソンの言いたいことが分かるんだよ。契約を交わした相手だからな」

翔花「自称・気心の知れた仲と言っている人は?」

NOVA「ラーリオス企画が展開していたときは、契約を交わしていたみたいなものだったが、それが終了してからは、新しい契約を交わしていない。というか、メール相手、ブログのコメント客、そして掲示板書き込みなど、ことごとく社交のためのルール違反を犯していて、自分の衝動的な感情を自制できずに、契約を自ら踏みにじっている相手だからな。したいこと、できることはしているが、すべきことをせずに、すべきでないことばかりをしていたら、契約もへったくれもないだろう。こっちの利益にならないことばかり繰り返してちゃ、相手が悪魔でも神でも契約しようとは思わないぜ」

翔花「つまり、狂える神の信徒みたいな感じかしらね」

NOVA「やってること、言ってることに論理的整合性が感じられないって意味では、そうかもな。まあ、それでも不条理ギャグコメディの住人だったら、トンデモ本好きの一部の読者の受けを買うかもしれないが。ところで、と学会って今、どうなってるのかなあ、と思ってチェックしたら、まだ存続していたんだなあ。2014年に山本さんが会長を辞めて脱退してからは、チェックすることもなかったけど、2017年に25周年だったり、活動は続けていたようだ」

晶華「と学会の話はどうでもいいし。今、大事なのはスイカ割りなのよ」

NOVA「とりあえず、スイカ割りについて、ケイソンに説明しないとな。ヘイ、ケイソン。スイカ割り・イズ・ア・ジャパニーズ・ウォーターメロン・クラッシュ・ゲーム。OK?」

ケイソン『!』

NOVA「おお、スイカ割りが何かは分かってくれたようだ。でも、どうしてスイカ割りなんだ?」

晶華「スイカ割りは、料理と武道の精神が巧みに融合した遊びなのよ。目隠しをするのは心の目を鍛えるため。そして周囲の声を頼りに標的を目指すのは、チームワークとか視覚以外の情報を大切にし、空気を読む練習。そして、何よりもハイスクール・ヒーローズの面々は、このスイカ割りを昨年、経たからこそヒーローになれた」

NOVA「本当かよ」

晶華「証拠はこの映像よ」

NOVA「いや、確かに役者がスイカ割りをしているけどさ。スイカ割りを経たから、ヒーローになれたってことはないだろう。因果関係がおかしい。それはともかく、メンバーのカラーリングは、赤と黄がハイスクールヒーローズとは入れ替わっているんだな。あと、生徒会長役はオレンジか。個人的には、緑の子が1年前はメガネキャラだったのもへ〜って感じ入った」

晶華「とにかく、ケイソンさんにこのスイカ割りの意義を説明してちょうだい」

NOVA「無茶振りだなあ。ええと、ヘイ、ケイソン。イフ・ユー・クラッシュ・ザ・ウォーターメロン、ユー・ウィル・ビー・ア・スーパーヒーロー。OK?」

ケイソン『!』

NOVA「ふ〜、何とか通じたようだぜ」

翔花「ええと、何て言ったの? わたしは英語が分からないから通訳して欲しいんだけど」

NOVA「スイカ割りに成功すれば、スーパーヒーローになれるって言った」

翔花「本当になれるの?」

NOVA「だって、晶華の言い分をシンプルにまとめたら、そうなるだろう?」

翔花「それは、美少年だからハイスクールヒーローになれたのであって、ケイソンさんは美少年じゃないから、敵役の魔人にはなれても、ヒーローになるのは無理じゃない?」

NOVA「いや、スイカ割りに成功して、マジメにコツコツ、ダンジョンの管理人を務めていれば、どこかの神さまがこいつの地道な努力に敬意を表して、スーパーヒーローに生まれ変わらせてくれるかも知れないじゃないか。その可能性はゼロじゃない」

翔花「もしも、ヒーローになれなかったら?」

NOVA「全知全能の書に書いてないなら、諦めるしかないな」

翔花「何よ、それ? NOVAちゃんは全知全能の書の信者なの?」

NOVA「そんなわけがあるか。都合の良いときだけ、話のネタとして全知全能の書を利用しているだけだ。物語の結末は俺が決める」

翔花「だったら、ケイソンさんがヒーローになる話をNOVAちゃんが書くってこと?」

NOVA「そうなる可能性も考えてみたが、こいつがヒーローになれるだけの下積み時代をしっかり精進してからの話だな。なりたい自分になるためには、努力と才能と運の3つが必要になる。運には、タイミングとか巡り合わせとか人の縁みたいなものも関係してくるが、運をしっかり味方にできるかは、その人間の才智や人柄にも影響される。せっかくの出会いも、その人間が鈍感だったり、人格的に問題があって信用を得られなかったり、様々な事情で台無しにすることだってある。

「ケイソンがヒーローになれるかどうかは、彼が物語の神に愛されているかどうかにも関わってくる。まあ、俺が物語の神なら、強くて、義侠心に篤くて、誠実な男を格好良いと思うし、変身できなくても心はヒーローってこともあるだろう」

 

 ともあれ、お膳立てが整って、ケイソンのスイカ割りが始まった。

 そして……

 

ケイソン『ケケケケケイソーン!』

翔花「すごい。ケイソンアックスで、スイカがきれいに真っ二つ。見事に断ち切ったわ」

NOVA「ちなみに、今の叫びは、ケイソンアックス唐竹割りと技名を言ったようだ」

翔花「本当に?」

NOVA「俺の言葉は……」

翔花「半分が妄言って言うんでしょ。今のは妄言ってことね」

NOVA「いや、正確には意訳ってところだな。とにかく、これで晶華の試験は終了ってことでいいな」

晶華「信じられない。どうして目隠ししているのに、ここまでキレイにスイカを割れるのよ」

 

 ケイソン、自分の鼻を指す。

 

NOVA「どうやら、匂いで探り当てたらしい。正にワイルドな野生のパワーってところだな」

晶華「辺り一面、花粉をばら撒いて、スイカの匂いと花の香りを混ぜ合わせるべきだったかもしれないわね」

NOVA「そこまでして、ケイソンを認めたくないのかよ」

晶華「当たり前じゃない。たとえ、改心したと言っても、殺人鬼の悪霊だったのよ。そう簡単に信じられる方がおかしいと思うわ」

NOVA「俺は罪を憎んで人を憎まずを旨とするし、殺人鬼の悪霊を受け入れられないなら、吸血花粉症ガールだって受け入れられなかったろうな。こんなことは言いたくないが、たとえ娘であったとしても、俺の命を脅かす危険な存在だったわけで」

晶華「! ゴメンなさい。私だって闇堕ちしたところを、NOVAちゃんに助けられたんだったわね」

NOVA「誰だって過ちを犯すこともあれば、闇堕ちする危険だってあるんだ。その中で自分の弱さにしっかり向き合って、旧悪を繰り返さないように精進し続けることで、本当のヒーローになれるんだよ。光と闇、善と悪は紙一重。だからこそ、二度と罪を犯さないと誓った相手の想いは信じてやりたいじゃないか」

晶華「分かった。NOVAちゃんがそこまで信じるって言い張るなら、私は……NOVAちゃんみたいに契約するわ。ねえ、ケイソン、あなたはNOVAちゃんみたいに、私に忠誠を誓える?」

ケイソン『オブ・コース、ミストレス(もちろんです、女主人さま)』

翔花「へえ、意外と聞き分けがいいじゃない。わたしは?」

ケイソン『ウィリングリー、マイ・ゴッデス(喜んで、我が女神)』

NOVA「一応、お前たちに対する礼儀も教えたからな。きちんと教えれば、学習能力は悪くないぜ。まあ、素で話せる言葉は割と片言って感じだが」

晶華「分かったわ。敵味方をしっかり弁えて、私たちの大切なものを傷つけたりしないなら、ここのルールをしっかり守れるなら、この地、クリスタルタワーのダンジョン管理人として、認めてやってもいいわよ。じゃあ、みんなで仲良く、スイカを食べましょ」

 

 こうして、暗黒騎士ケイソンはWショーカ姉妹にもしっかり受け入れられたのだった。

 長きに渡る、花粉症ガールと殺人鬼の悪霊の対立関係もこれにて終結したのである。

 さしあたり、今のところは。

 

 全知全能の書に、この先どう書かれているかは、作者も知らないってことで。

 (当記事 完)