又もや、巨匠墜つ、の訃報に、悲しみの念を禁じ得ません。
特撮界で巨匠を3人挙げるなら、円谷英二、石之森章太郎の二氏に次いで、この人が挙げられると思います。まあ、川内氏の場合は、特撮・フィクション以外の分野でも、いろいろ活動された方で、政界や、芸能界*1でも大御所的存在感を持っていたわけですが、それ以上に、うちのような特撮系サイトでは、元祖テレビ特撮ヒーロー『月光仮面』の原作者としての功績を称えるべきでしょう。
テレビ特撮黎明期の『七色仮面』や『アラーの使者』などは、アクション役者・千葉真一の初期作品としても名高いですが、後のレインボーマンのルーツとも言え、康範氏の系譜を感じさせてくれます。
とはいえ、70年代生まれのNOVAにとっては、それらの白黒作品よりも印象深く残っているのが、『愛の戦士レインボーマン』『光の戦士ダイヤモンド・アイ』『正義のシンボル コンドールマン』の3作品。
他にも、『仮面ライダーストロンガー』の後番組としての『まんが日本昔ばなし』を監修、主題歌の作詞をされたなどなどのエピソードもあるのですが、ここでは特撮に絞って、思い出を振り返りたい、と思います。
レインボーマン
「インドの山奥で修行して♪」の主題歌の歌詞も康範さんです。
子供のときは、よく、この替え歌バージョンを歌っていたりしたのですが、例の歌詞改変騒動を知ると、いろいろ複雑な思いに駆られたりもしました。「インドの山奥、でんでんかたつむ、りんごがまっかっ、かあさんおこりん、ぼくはないっちゃった……」って感じの無内容なシリトリ歌詞だったんですが……。
他にも、エンディングや、挿入歌の作詞も行なっております。康範さんを偲んで、全部持参のCDを聞き直してみようか、とも思ったんですが、不謹慎なので断念しました。だって、あの挿入歌はまずいですよね。「悪の組織のテーマ」数ある中で、あれ以上、インパクトのある歌詞はありません。
話を変えます。
レインボーマンと言えば、現在数ある「フォームチェンジ・ヒーロー」の走り、と呼べる作品。日月火水木金土の「7つの化身」に姿を変えることができます。
あと、82年に放送していたアニメ版も、続く『マクロス』といっしょによく見ていました。そちらでは、「レインボーセブン」というロボットが登場し、「元素集合の術」で召喚されます。そういう無から生成されるロボットは、翌年、「サイコアーマー ゴーバリアン」に受け継がれることになりますね。
ダイヤモンド・アイ
悪を見破る「外道照身霊破光線」が印象的なアイ。
「ば〜れ〜た〜か〜」の歌舞伎ノリな正体暴露セリフも、康範さんの提案だとか。
そして、康範さん作詞の歌で、大人になってから一番好きで、よく聞いているのが、このダイヤモンド・アイ関連です。
主題歌の「キラキラキラキラ ダイヤが光る 神の心のダイヤが走る♪」の部分は、サビでもないのに躍動感を感じて、歌っていても気分いいですし、「暗いこの世に光を当てて 前世魔人の正体見たり♪」の部分は、やっぱ明るく燃えられます。
さらに、もっと好きなのは、エンディング。
「ペンが俺の刀だ そこに悪があるから俺は行く♪」で始まる歌詞は、やはり、ライコウと同じ文章の書き手としては、力入りますよ(笑)。
いや、ライコウは原稿書いているよりも、戦っている姿の方が、多いですが……。
「勝つために俺は戦う♪」と言っていますが、だったら、拳ではなく、ペンで戦え〜とツッコミ入れたくなる。いや、ペンを指でクルン、シャキンと回して、延髄を突き刺す姿が見たいわけではないですが……*2
マジメに語るなら、記事書きなどで気が乗らないときに、「ライコウマーチ」なんて聞くのも、いい感じです。
今夜も、康範さんの歌詞に激励されています。「どこまでも勝つために♪」
コンドールマン
コンドールマンは、DVDが出ておらず、画像も見当たらないので、書籍を張り付けておきます。
この作品、幼少時に確かに見た記憶はあるのですが、当時のゴレンジャーなどと違って、カラーリングが地味なせいか、いまいち内容とか、アクションシーンとか、よく覚えていないんですね。
主題歌の映像集は持っていて、エンディングの、怪人たちが踊っている場面とか、すごく印象的。何だか、「カクレンジャー」や「タイムボカン」の走りかもしれない。悪人たちが楽しそうなエンディングって。
もちろん、作詞は康範さんってことで。
「ウッヒヒ ウッヒヒ ウッヒヒのヒッ おいらは化物 ゼニクレージー♪」
しかし、コンドールマンの歌詞の白眉は、やはりオープニングにありますね。
「命を賭ける価値もない それほど汚れたニッポンの 人の心が生み出した(以下、怪人名連呼)♪」
う〜ん、30年前にして、こういうことを述べられていますが、ネットで理不尽に罵られた人間なら、人の心の悪意がよく実感できるというもの(苦笑)。
まあ、それでも、コンドールマンはそういう「悪魔の群れにかんぜんと戦い挑み、愛を説く」わけですよ。つまるところ、「周りの心がどれほど汚れても、ヒーローたるもの、それに打ち勝つ愛と正義の心を養うべし」というのが康範さんの主張なんですな。
改めて、偉大な人だったと思います。
自分自身、ヒーロー番組の好きな人間として、100パーセント完璧に理想どおりに生きているとは到底、申しませんが、ぼくらにヒーロー魂の何たるかを示してくださった康範さんの想いは一分なりとも受け止めたい、と思っております。
それに、康範さん、仏教徒でもありまして、月光菩薩に由来する月光仮面とか、そういう観点からも、印象的なんですね。まあ、個人的にはシャカを裏切ったとされるダイバダッタが師匠ってどうよ? とも思ったこともあったわけですが……ともあれ、いろいろな思い出と激励の歌詞をありがとうございました。
つつしんで、この場にて、ご冥福をお祈りいたします(m0m)。