書いても書いても、書き足りない感の残る電王記事。
幸い、Vシネマという続編があるので、最後はそちらで昇華しようと思いつつ、ここではイマジン中心に書くことで、筆を置くことにします。
何せ、47話でキン、48話でウラについて書いたものの、他のイマジンについても触れておかないと、不公平じゃないですか。
では、スタート。
ジーク
良太郎に名前を呼ばれなかったことで、不満を表明していた王子ですが、ここでは最初に触れてあげましょう。
最終回で、突如ナオミちゃんに拾い上げられて、決戦に参加。
小さくなった姫(コハナ)に拝謁すると、彼女のガード役として華麗に戦ってくれました。
惜しむらくは、「電王ウイングフォーム」にはならなかったこと。
この回では、ゼロノスも各フォームになり、電王も次々と早変わりして行ったのですが、ウイングフォームと、クライマックスフォームのみ登場しなかった、と。
まあ、クライマックスフォームは、登場するとギャグになってしまうし(笑)、内容そのものが「てんこ盛り」だったからいいかな、と。
ウイングフォームについては、ジークともどもVシネマ版での再登場を願いたいです。宣伝ポスターを見ると、難しそうだけど。
リュウタロス
最終話のリュウタは、当初、消えるのが怖くて、デンライナーでぶるぶる震えています。この演出はよかった。やっぱり、彼って子供だったんだね、と、はっきり伝わって。
脚本家の小林先生によれば、リュウタの「答えは聞いてない」ってセリフも、子供らしさの表現だそうです。生意気とか、人をバカにしているのではなく、「子供って好奇心旺盛で、いろいろ質問するけれど、大人が説明を始めると、途中で退屈しちゃって、最後まで話を聞いてくれないから」だそうです。
その記事を読んだときは、「なるほど」とポンっと手をたたいた次第。確かに、子供の関心を逃がさないよう、端的に分かりやすく説明するのって、神経使いますもん(笑)。
子供は飽きやすく、自分本位。ガンフォームの射撃が当たらないのも、子供は集中力がないからねえ。何だか、脚本家インタビューを読んで、改めて全てがうまくつながった気分です。
あと、声をやった鈴村さんも、「当初、リュウタは、ウラのクールさとかぶりそう、と心配していたら、そんなことはなくホッとした」そうです。
ともあれ、リュウタが子供役だったおかげで、デンライナー内の描写がホームコメディとして楽しめるようにもなったと思います。ガラの悪い長男と、クールで知的だけどスケベな次男、浪花節のオヤジと、ノリのいい世話焼きのお姉さん(ナオミ)、あと、よそから親戚のオカンも来るようになっていたなあ。
……で、そんな子供のリュウタが、勇気を出して、良太郎を助けに来るのも、児童番組では泣かせる演出でないですか。
それだけでも一つのドラマが作れそう。最終回の密度の濃さが分かるというものです。
デネブ&侑斗
これも、最後のシイタケのシーンでは泣けました。
役者の人も、本当に泣いたそうです。
ヤング侑斗も途中で死んじゃうんじゃないか? と心配させましたが、幸い、生き残ることができ、最終決戦ではゼロフォームの変身解除後、生身での大奮闘を経て、
「桜井が最後に託したカード」で、見事に錆びてない元祖ゼロノス復活。
アルタイルフォームとベガフォームで活躍してくれました。
デネブの決め台詞も、「『最後』に言っておく」と芸コマ発言。でも、Vシネマ版では言ってくれないの?
そして最終回トピックは、侑斗がハナの父親、と分かったこと。良太郎が叔父さんだってことよりも、そっちの方が驚きでしたよ。
これを踏まえて、侑斗とハナ(コハナではなく)の絡みをもう一度見れば、新たな感慨が沸くか、と。結構、ハナって侑斗に感情的になって絡んでいましたからねえ。
大人桜井さんは、消滅してしまいましたが、愛理さんは記憶を取り戻しましたし、侑斗も生き残ったので、時間の復元作用により、「いつか未来で」会えるでしょうね、きっと。
デスイマジン
こいつが最後の強敵ですが、デザイナーインタビューを読んでビックリ。
「顔はモモタロス」です。おお、そうだったのか。
ちなみに体は「ウルフイマジン」の改造だそうな。そういう話を知って、デザイン画を比べてみるのも、面白いです。
キンタロスの遺品
いや、亡くなってはいませんが、良太郎の願いに対して、置いていったもの。
画質の悪さのため、放送中は、「モモヒキ」と「金太郎人形」しか分かりませんでした。ええと、ウラタロスは「カメゼリー」で、リュウタは「シャボン玉マシン」ですか。
雑誌で、情報補完したので、ここにもメモっとく。
ともあれ、結果論としてですが、「最後まで、みんな良太郎といっしょに戦えた」ので、キンちゃん、きちんと願いをかなえたことになりますね。
「俺、参上」クライマックスのモモタロス
そして、トリを飾ってもらうモモタロスです。
もう、ライナーフォームに変身した良太郎と、たった2人で大勢のイマジンと戦うシーンから、最終回は燃えましたよ。
冷静に見ると、良太郎がモモに「最後の願い」を言う前から、モモは現代で実体化しております。あれって、結局、どういうことだったんでしょうか? その時点から、消失しないことは確定されていたのか、それとも、カイが次元を乱していたことで、あの時点ではイマジンの実体化が世界的に許されていたのか。
「ええい、そんな細かいことはどうでもいいんだよ。大事なのは勢いだ!」と、モモの声が聞こえてきそうです。まあ、勢いだけで「昭和ライダー最終回回顧記事」をやらかしてしまった身としては、「勢いなら、すでにクライマックスだぜ!」と言うのみですが。
ドラマとしてのモモタロスは、44話「決意のシングルアクション」で、結実していますので、後は本当に怒涛のクライマックスで、最後まで突っ切るのみ。
良太郎にカイとの戦いを委ね、自分は大勢のザコと孤軍奮闘するモモタロス。もう、バトルマニアという基本属性をフルに活かした大アクションです。
一方の良太郎はライナーフォームでカイと対峙し、ドラマの最後の結実を担います。
アクション担当と、ドラマ担当のキャラを分けたことで、結果的にどちらも満たすことができた珠玉の最終回、と言っていいかもしれません。
その後、「揺るぎない意志の力」と「本質を見抜く洞察力」で、結果的にカイを圧倒した良太郎は、リュウタのフォローも受けて、モモの戦う戦場に合流します。
そこに次々駆けつけてくる仲間たち。
30分の間に、よく詰め込むことができましたね。当ブログや、多くの1時間ドラマのように、「最終回だからって、いつもより特別に枠を増やして、分量的に盛り上げる」って手法を使えませんから。
むしろ、脚本家の先生曰く、「最終回は、本当は普段より短くしないといけないくらい」だそうです。そりゃそうだ。物語に決着をつけて、キャラクターの去就をきちんと描き、後日譚やら何やら描こうとすると、最終回に詰め込める内容って限られてくる。 NOVAが「最終回より、最終回1話前の方が盛り上がる」と主張したのも、自分の実感以外に、そういう裏づけがあるからです。そもそも、「番組が終了する」ってだけで、盛り上がった勢いが収束するのが最終回ってもの。「盛り上がったまま終了」ってケースがいかに稀か、分かるでしょう。
電王は、そんな稀な「本当の意味で充実した、熱く燃えられる最終回」でした。
しかし、ファンにとって喜ばしいことに、「電王」は続編が予定されています。平成ライダー初の快挙のVシネマです。
『俺の必殺技ファイナルバージョン』で、デスイマジンを撃退し、
カイが滅び、正常な時の運行を取り戻した世界でも、「人の記憶」がモモたちの存在をつなぎ止め、
そして、自転車に乗ったライダー良太郎が、過去と未来に去り行く2つの電車を見送って終了した後も……「いつか未来で」再会できる。
そういう物語として、「電王」は一度、幕を閉じました。
スタッフの皆さんには、素敵な「記憶」をありがとう。この思い出は、大切な「時間」として刻まれ続けるでしょう。
PS:次は、ヴァンパイア作品について書くつもり。