Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

メビウス32話

 世間では、リュウさんの「脊髄反射な短絡的行動のせいで、せっかくの和平があわやブッつぶれるところだった」的批評が見られますが、
 NOVAは、違った意見を出してみます。


 まず、この話を『帰ってきたウルトラマン33話 怪獣使いと少年』の続編、すなわちメイツ星人を地球に害意のない友好的宇宙人である、という前提からとらえると、リュウの行動は「かつてメイツ星人を撃ってしまった、心ない警官の弾丸」に相当するものですが、
 メビウスの32話、すなわち前々話の30話、また前話の31話の後に続く話と素直にとらえるなら、謎の宇宙人に今しも襲われようとしている(ように思われた)ミライを救おうとする彼の行動はごくごく当然の物ではないでしょうか? 
 30話のインペライザー、そして31話の円盤生物ロベルガーは共に「謎の宇宙人が地球侵略、あるいはメビウス抹殺」のために送り込んだ侵略兵器(生物)。すなわち、32話の時点で、地球あるいはメビウスの命は謎の宇宙人によって狙われている、というのが通常の判断のはず。
 つまり、このタイミングで、地球に何の予告もなしに来訪したメイツ星人ビオが「間が悪い」のであって、リュウの対応は必ずしも間違っていなかった、とNOVAは主張してみるわけです。

怪獣使いと少年

DVD帰ってきたウルトラマン Vol.9
 さて、過去の『怪獣使いと少年』との比較において、この話が良くない、という批評も聞くので、NOVA自身、もう一度、手持ちのDVDで同話を再鑑賞してみました。
 そして、思ったこと。
 ……メイツ星人、おまけじゃん。


 あくまで、同話のドラマ的焦点は、メイツ星人ではなく、両親を失って孤独に陥った佐久間良少年と、誤解と偏見から彼を受け入れようとしなかった町の住人の軋轢にあり、
 場合によると、警官の銃弾は、メイツ星人ではなく、良少年自身を貫いていたかもしれない! そう思わせる陰鬱さが映像の中にありました。

 よそ者で町外れの工場跡に暮らす良少年は、何かを掘り出そうとする奇妙な行動で、遠目で観察する次郎くんたちにも不思議がられていました。
 そんな良少年に、ちょっかいを掛ける不良中学生たち。最初はただのからかいだったのが、「放っておいてくれ」と素っ気無い対応に、不良学生のイジメがエスカレートしていきます。それに対抗するため、良少年も「念動力」で応戦*1
 「異邦人に対する差別」というよりも、現実の「イジメ」問題を提起されたような気分。


 イジメを止めるべく介入した郷さんは、良少年とメイツ星人の友好的交流を知り、「宇宙船を見つけて帰る」という星人の目的に個人的に協力する気になります。
 この時点で、郷さんが伊吹隊長に与えられた命令は「宇宙人と誤解された良少年の保護」であり、「メイツ星人との交渉および協力」は独断によるもの。もしも、郷さんが「メイツ星人」の件を隊長に報告し、MATという組織が「メイツ星人に敵意はない」ことを公表して、保護協力していれば、この物語にも別の解決方法があったのでしょうが、
 郷さんは個人として、良少年とともに、宇宙船発掘を始めてしまった、と。


 それを見た町の住人は、頼るべき相手である専門家のMAT隊員が、何の説明もなく、「宇宙人と疑わしい子供」と共に奇妙なことをしている。この事件は、自分たちで解決しないと……と焦燥感に駆られ、一種の暴動状態になった、と推察されます。
 ウルトラマンの特殊能力をもった郷さんは、時おり、自分の知り得た情報を周囲に納得させるための説明責任をおろそかにしてしまい、余計な誤解を生じさせて孤立するケースがある*2のですが、今回もある意味、そのケース。つまるところ、周囲との調和を図るべき郷さんの対応能力があまりに未熟で、町の人々の不信を拭い去ることができなかったわけで*3


 ともあれ、町の人の暴動によって、今にも殺されそうだった良少年*4を救うため、宇宙人の名乗りを上げて飛び出してきたメイツ星人。
 それを貫く警官の銃弾。
 メイツ星人の死によって、封印から解放された巨大魚怪獣ムルチ。
 悲劇を止められず、どうしようもない無力感と怒りに苛まれる郷さん。
 それを叱咤激励し、自分の使命を思い出させる雲水姿の伊吹隊長……いろいろな意味で無常観あふれる映像描写に続いて、新マンVSムルチの雨中の戦いが展開されます。
 星人の怒りが乗り移ったかのように暴れるムルチが倒された後。


 良少年は、宇宙船発掘を続けます。まるで、自分を受け入れようとせず、大事なものを奪い去った地球から逃げ出したいかのように。

怪獣使いの遺産

 そして、35年後の話……になるわけですが、
 この時間をつなぐのが、コノミ隊員の勤めている保育園の園長先生。
 成長してからも宇宙船発掘を続ける良少年と、幼いときに知り合って、その想いを受け止めた少女として、物語冒頭に登場します。

 彼女が受け止めたメッセージは、「宇宙人と地球人が偏見なく共存できる社会を目指すこと」。これは、ある意味、メビウスとGUYSの現状にも通じるものがありますね。
 新マンでの良少年の最後の姿からは、そこまでポジティブな気持ちは感じられないのですが、これは良少年が成長して気持ちが前向きに変わったのか、あるいは、園長先生が良少年の言葉を受け止めながら、自分のポジティブ思考に昇華させていったのか、どちらかだと考えられます*5


 そして、この園長先生および彼女の教え子である園児たちの「偏見なく相手をいたわる姿」にほだされ、かつ「一度は自分を撃ちながらも、その後、真剣に過ちを認め、歩み寄ろうとするリュウ隊員」に感じ入ったのか、メイツ星人ビオは自分と脳波でつながっている怪獣ゾアムルチの破壊活動を止める気になります。
 しかし、一度暴れ始めた破壊と憎悪の化身であるゾアムルチは止まらず、その脳波は逆にビオの意識をさいなむわけで……破壊のために作られた生物兵器は、それ自体、一種の呪いとして機能していた、と。
 ビオの苦悶の願いに応えるべく、ゾアムルチを撃退するメビウス


 殺された父親の想いを受け継いだ地球人の誠意を見たビオは、正式な和平を未来の世代に託すべく、地球を去ります。果たして、我々地球人は、「怪獣使いの遺産」を心に刻み付け、偏見なき世界を築くことができるでしょうか?

ビオの本心(大いに妄想混じり)

 さて、このビオ、「メイツ星と地球の和平のために来た」と語っていますが、その言動は少々怪しい、とNOVAは感じています。
 公式HPによれば、「地球来訪の目的は、かつて気象観測のために地球を訪れ、悲劇的に命を落とした同胞のメイツ星人(父親)に対する賠償の交渉」とあります。
 一方で、彼が用意した怪獣ゾアムルチは、「地球人の持つ戦力メビウスに対抗するため」と劇中語っていますが、公式HPによれば、「巨大魚怪獣ムルチの別個体を、怪獣頻出期後の10年前の地球でメイツ星人が接収、改造を加えた」とあります。
 10年前だったら、メビウスいないじゃん! 
 いや、メビウスどころか、他のウルトラマンも……ん? 一応、神戸にいるか、4人(笑)*6


 まあ、他のウルトラ兄弟はともかく、ビオがゾアムルチを用意したのは、あまりに計画的。わざわざ地球から怪獣をつかまえて改造、交渉決裂後の生物兵器として準備するなんて、まるで、まるで、X星人みたいじゃないですか*7
怪獣大戦争 [DVD]地球防衛軍 [DVD]
 地球のことを、いろいろ調査して、研究して、何しに来たかと言えば「賠償の交渉」……って、10年前に来たときにやっておけよ。その時なら、活動できるウルトラマンいないんだし*8


 どちらかというと、ビオ君が来た目的は、「交渉と言いつつ、無体な要求を突きつけ、決裂させた後、父親の恨みを晴らすべく、怪獣を暴れさせること」だと。もちろん、父親の恨みを晴らすのに一番ふさわしい怪獣は、ムルチだと考えたのでしょうね。
 さらには、それは「メイツ星人」全員の意思ではなく、ビオ君個人の意思だという可能性が高いですね。何しろ、やっていることが小規模すぎる。


 問題は、ムルチにせよ、父親が殺害された経緯にせよ、異星の事情にずいぶん詳しいのは何故? と考えた場合、
 もしかして、佐久間良くん、メイツ星にたどり着けた? と考えてしまうわけですよ。メイツ星についた良くんは、当然、地球での悲劇的な出来事をメイツ星人に語ります。その話は、差別と偏見による悲惨さを味わった良くんの経験に基づくものですから、いろいろとネガティブな物だったと推察されます。その後の良くんの運命は分かりませんが、メイツ星では長生きできなかったのではないでしょうか? 
 一方、良くんから父親の悲惨な死を聞いたビオ君は、凝り固まった恨みの念で、行動を開始した、と。


 この後、ビオが地球人について考え直し、星に帰ったことは劇中で描かれたとおりですが、和平交渉は「未来の世代」に託す……というのはやはり、方便でしょうね。メイツ星と地球の和平の全権なんて、元々、預かっていないでしょうから、変に和平条約なんて話になっても、彼個人の判断では処理しようがありません。
 元々、父親の恨みの念を晴らす目的で来ていたわけですから、その恨みの念を昇華されてしまった以上、地球に留まる理由がありません。適当なことを言って、うまく地球から去ることができて、まあ、ラッキーだったと言えましょう。
 ただ、メイツ星への帰途で、別の地球を狙う侵略者に攻撃されないことだけは願っております*9


 次回は、人に憑依するフェミゴンフレイム。ちょっとしたカオスヘッダーみたいなものかな? ウルトラマン・コスモスなら解決は容易なんだろうけどね。
 斉藤麻衣ちゃんの運命やいかに?

*1:じっさいには、良少年を守るための、メイツ星人の介入だったのですが……。

*2:第3話のサドラの回など

*3:イジメ問題ということであれば、これがウルトラマン80こと矢的猛先生なら、どう対応していただろうか? と妄想するのも楽しそう。

*4:この時の映像は原作マンガ版『デビルマン』を髣髴とさせる。

*5:NOVAとしては、後者と考えますが……詳しくは後述。

*6:その情報をもし、メイツ星人ビオが知っていれば……できれば、郷さんと連絡をとって仲介役を依頼して欲しかったんだけどなあ。

*7:いや、多少、ミステリアンと混同しているかも

*8:10年前の1996年なら、「ゼアス」が上映、「ティガ」が放送されましたが、それは「メビウス」とは別ワールドって設定ですから

*9:ビオが母星への帰還中、侵略者の宇宙船と遭遇。地球を守るべく、交戦して窮地のところをレオ、あるいはヒカリなどに救われる……といった妄想ストーリーもありかな。