Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

大魔神カノン11話「憾温」感想

 タイトルは「残念な温かさ」だけど、自分的には「当たり」と言える回でした。
 さすがは、「赤い彗星」を特別出演させた甲斐はあります。まあ、ここでネタにする以上の絡みはあまりなかったのですが。


 とりあえず、話の切れ目が見えずにダラダラ続いた8話までと変わって、
 「10話と11話」で前編・後編になって、ドラマの区切りが付いたのが大きいです。
 これが平成ライダーシリーズだと、2話で1シナリオ、前編に怪人が登場して後編に撃退されるという大枠の区切りがはっきりしているのですが、カノンの場合は、怪人(イパダダ)も倒されず、事件が解決するわけでもなく……で、これまで来たわけですね。
 まあ、事件物ではなくても、登場人物が楽しく日常を過ごしながら、コミュニケーションをとるだけで楽しめるドラマもありますが、カノンの場合、そのコミュニケーションをとることができるようになるまでに、ずいぶんと引っ張ってきましたから、いわゆるカタルシスがないドラマだった、と。


 でも、今回は大丈夫。
 事件はうまく解決し、収まるところに収まって、ハッピーエンドでした。
 でも、精神的に成熟していないタイヘイやカノンは、そのハッピーエンドに割り切れない思いを抱いたわけですが……。

夢と現実

 この話、現実でリストラという厳しい状態に立たされた大人(大学の助教さん)が、前向きなタイヘイに励まされて、過去の夢(バンドで歌うこと)を思い出し、「リストラに抗議し、人々の信頼を大事に思う」歌を歌って、元気を取り戻した話。
 で、ここで終わると、ただの「地に足付いていないファンタジー」でめでたしめでたしなのですが、その歌っている映像をカノンがネットに公開したら、大いに反響を呼ぶという「プチミラクル」発生。
 ネットのことを何も知らないタイヘイは、それでも「自分たちの歌が人々に信頼を呼び起こす」と無邪気に大喜び。
 一方で、リストラしたシャア学部長は、自分の学校がネットやマスコミの風評被害の的になることを危惧して、リストラを取り消します。この辺、マスコミに敏感なのは、シャアよりもデュランダル議長に近いかな。
 おかげで、助教さんは仕事を取り戻し、タイヘイたちに感謝しつつも、「いい夢見させてもらったよ。でも、夢だけでは食べていけないんだ」と、これ以上の歌唱活動を断ります。


 「せっかくの気の合う相方なのに……」と一時の躁状態から落ち込んで、自棄酒を呑むタイヘイ。
 その気持ちに過敏に反応して、「夢や信頼よりも大切なものがある現実」の重さを受け入れ難く思うカノン。
 それを励ましながら、カノンが自分のことではなく、「タイヘイの気持ちに共感して落ち込んでいることを『強くなった。成長した』」とフォローするイケチヨ姐さん。
 こんな構図ですね。

大人視点では

 カノンの気持ちではなく、助教さんの気持ちに寄り添うなら、この話、いい話やなあ、と思いました。
 助教さん、仕事を失い、再就職も決まらず、「自殺さえ考えていた」ことが今回、ほのめかされます。奥さんと子供を抱えて、行き詰まっていた状態が明らかになったわけで。


 前回、カノンの大学の屋上に登った助教さんを、タイヘイが救ったのですが、
「自殺を止める」タイヘイに対して、助教さんは「自殺なんて考えてない。ただ、昔みたいにここから歌いたいと思って」と言っていたんですね。
 でも、実は「やっぱり自殺を考えていた」んだと。
 こういう「前編で与えられた情報」に、「後編で別の意味が与えられて、深みが増す」ってのは、いい脚本だ。さすがは、荒川さん。


 そこまで追いつめられた大人を、タイヘイが持ち前の真っ直さで励まし、夢を取り戻させるのはファンタジー
 そして、その歌唱活動が、ネットで功を奏し……という流れは、いささかご都合主義のような気もするけど、その辺は物語テーマを回すために必要な嘘と考えます。ネットの風評が、現実よりも速いスピードで展開するのは、ネット経験者なら「ありえなくはない」と理解できる。
 また、タイヘイがネットには全く無知で、カノンちゃんの説明を聞いても、「何だかよぐ分がんねけど、オラたちの歌が世界中に信頼さ呼び起こしてんだな」と短絡的に納得するのがいい。
 これ、タイヘイの気持ちに共感できる人(物事を疑わない純粋な人)は、このセリフを素直に受け入れるだろうし、
 そうでない世俗にまみれた大人(とか批判精神旺盛なネットワーカーとか)は、「そんな甘いもんじゃねえよ。それに一時期にネットやマスコミで騒いでも、すぐに廃れるのが普通に決まってる」と反応するでしょう(笑)。
 NOVAは、やはり前者寄りの後者ですね。「夢はエネルギーになるけど、それを現実に切り替えるには、別の思考も必要」と。


 そして、助教さんの決断が、一人の大人として地に足ついて良し。
 この人、先週の放送でも、「タイヘイと酒を飲んで、非常に明るく元気よく振る舞っていた」んだけど、タイヘイと別れてから、「現実に戻ったように、暗い表情を見せる」演技が印象的でした。
 で、その結末がどうなるかな? と思っていたのですが、「夢のエネルギーで現実を取り戻した後は、妻子のために現実に戻る選択」をとる、と。精神年齢の幼いタイヘイやカノンに引きずられて、夢の世界の住人「ピーターパン」になるバカな真似はしない。
 こういう姿は、カノンを見ている批評者ちっくな大人にとっては、非常に納得できるものです。逆に、これに納得できないということは、タイヘイたちに感情移入しているということだから、それはそれで物語の作り手としては、してやったり、と。
 どっちの視点で見ても、共感できるキャラがいて、その行動や気持ちの描写に納得できるというのは、いい話だなあ、と。


 なお、この話、普通にハッピーエンドに描くことも十分できます。
 タイヘイたちの活動が功を奏して、一人の男性のリストラを撤回させることに成功したのだから、「人の幸せを考えるオンバケ」としては、喜ぶべきことなんです。でも、そこでタイヘイが落ち込んだりしたのは、「人間社会(とりわけ都会)のルールが分かっていなかったから」なんですね。
 この話をもう少し、気持ちよく終わらせようと思えば、「タイヘイたちの行動は無駄じゃない。一人の人間を幸せにできたんだから」と誰かに語らせるだけでいい。まあ、その辺は、見ている人が語ればいいわけだから、自分もここに書いてみた、と。

IFワールド

 ちなみに、ここで助教さんが、シャア学部長の和解提案に乗らず、「お前の理不尽な悪行リストラ三昧を世間に公表してやる!」と子供みたいに聞き分けのないことを言ったとしたら? 


学部長「フッ、雉も鳴かずば撃たれまいに。死人に口なしと言うことさ。おとなしく従っていれば、いい目を見られたものを」
助教「ううッ、おのれ、学部長。この恨み晴らさでおくものか」


 そして、チャララーと鳴り響くトランペット。
 刀を振り回すタイヘイ。仕込み扇を舞いかざすイケチヨ姐さん。その他、裏稼業に出陣するオンバケたち。
 ……で、何も知らずに、泣いてるだけのカノン。でも、涙に反応して暴れ回るブジンサマ。崩壊する学部長の城南大学……って、それはまずい? 


 「必殺オンバケ人」とか「暴れん坊ブジンサマ」がまずいなら、恨みを晴らす役どころは「イパダダさま」に任せるとして……って、どっちにしても、城南大学が崩壊してしまう。
 やっぱり、世の中丸く収めるには、助教さんが大人の判断をして正解だったというのが、NOVAの脳内シミュレーション。いや、まあ、別の流れも考えられるけど、その辺のパラレルIFストーリーは、興味のある人に任せます。

イパダダ

 メインの敵役なのに、暗躍しては逃げるの繰り返しで、セリフでだけ「どんどん強くなっている」と語られるだけのボス。
 で、今回の悪行は、「犬の大量虐殺」。これには、犬妖怪のトモスケが激怒します。いや、別にそういう描写はないけど、ここは激怒していることにしておいてください。脳内補完。
 次回、その「大量虐殺された犬」がイパダダ配下の魂式となって出現するそうな。少なくとも、次回予告は、オンバケとイパダダの一大決戦になるように見えた。まあ、アクションがどれぐらい充実しているかは、カノンだから期待しすぎない方がいいのかもしれないけど、サブタイトル「オンバケ」じゃなくて「化恩」だし、これまでにない派手なアクション大殺陣が見られたらいいなあ、と少しは気持ちがホットになってます。
 そろそろ、1クールも終わりだし、この辺りで展開が加速してもいい頃合い。


 あ、イパダダを逃がしてばかりいる見習いオンバケの不甲斐なさに、超進化したオンバケナイトが登場して、これまでの主役陣差し置いて大暴れする話でもいいですよ(笑)。

ブジンサマ

 超進化したオンバケナイトは、たぶん出ないけど、元祖オンバケたるブジンサマは出たんだよね。回想シーンですが。
 ええと、自分で祈り歌を歌いながら、田んぼさ耕したりしだもんだ。さすがはブジンサマ、広か田んぼが、あっどいう間に仕上がっただ。
 ……って、NOVAは別に、野良仕事している大魔神が見たいわけではありません。何だか、洗濯出動したターンAガンダムみたいな、もやもやした気分。

トウベエさん

 次回登場することが判明。声優はチョーさんで、やっぱりミニサイズの刀ですね。
 まあ、コミック版では、刀持って、装甲つけた「フルアーマータイヘイ」が割と格好良かったので、そこは実写でも「アームド響鬼」ぐらいには格好いい絵を期待しておきます。
 いや、「折れた〜」みたいな笑撃的な絵でも、ネタにはできますけど。


 でも、トウベエさん、折れないでね。

そして、タイヘイ

 今回のラストのラストで、やけ酒のあまりオンバケの姿に戻ったタイヘイ。
 その姿を見て硬直するカノン……で、つづいた、と。


 ようやく、ここまで話が進んだなあ、と一安心。
 お願いだから、カノンちゃん、心を閉ざさないでね。一気に加速して、怒涛のアクションに流れ込んで欲しいけど、大石さんの脚本は、どうも展開が遅そうだからなあ。評価が変わるきっかけになることを望む。


PS:この記事を書き終わってから、前回の記事を読み直して、「話の評価が100%変わっている」ことに気付く(苦笑)。後編を見ると、前編の仕込みに改めて気付いたりもするので、評価基準が変わるのが理由。
 まあ、2話で1つの話と思ってみれば、「前半だけ見て、うかつな評価をしないようにしよう」とは昔、平成ライダーで学んだことなんだけど、カノンでは、そういう感覚が今まで前提になかったですから。改めて、「2話で1つ分の話」というのを意識しよう、と。