何て、景気の悪いサブタイトルか。
「無」を「ノン」と読ませるのは、凝っているけど、物語の内容としては、いたってつまらない。
ええと、「リストラ男に、タイヘイが同情して励まそうとする話」ですね。で、タイヘイの「いい人ぶり」に、カノンが複雑な気持ちで半ば無理矢理付き合わされる。
「昔の自分は、こうやって一途に人のために、ひたむきに行動していたなあ。でも、今は裏切られるのが怖くて、そこまで気が乗れないの。ただ、タイヘイさんを見てると、自分の気持ちも昔みたいに温かくなって……」と、まあ、そんな話。
でも、同時に、「タイヘイさんは、そんなことにならないと思うけど、私みたいに裏切られて、落ち込むことにならないか心配」って思いも。
ちなみに、このカノンの気持ちを、この番組見ている視聴者の気持ちに置き換えますと、「昔の自分は、こんな番組を一途に、ひたむきに期待し、応援していたなあ。でも、今は裏切られるのが怖くて、そこまで気が乗れないの。ただ、『カノン』を見てると、自分の気持ちも昔みたいに温かくなって……」とまでは、なりませんね(苦笑)。
むしろ、「『カノン』は、(たぶん)そんなことにならないと思うけど、番組に期待している人を裏切って、落ち込ませることにならないか心配」って感じですか。
明るいカノンと暗いサキ
やっぱり、カノンは明るくなって、バイト先でもタイヘイとのラブラブぶりをからかわれるぐらい、現場に溶け込むようになりましたが、一方でサキの方はギスギスしています。
でも、サキの登場はワンシーンだけで、幸太郎に不満を示すだけ。物足りん。ここで、幸太郎にイパダダが取り付いて、サキに襲い掛かるぐらい物語が加速しないと面白くないじゃないか。
そもそもイパダダ
ええと、前回のラスト。
「イパダダ出現、よ〜し、褌3人組の出動だ!」と盛り上がって、つづく。
今回はアクションでスタート! と思っていたんですよ。
でも、そういうシーンは割愛されて、「結局、イパダダに逃げられた祭りの日の翌日」で話がスタートしたわけで。
見事に、肩すかしを喰らいました。
あのう、巨大なブジンサマの登場が遅くなるのは仕方ないにしても、毎回、普通に特撮アクションぐらい見せましょうよ。
カノン見ている人の半分はアクションを楽しみにしていて、残り半分は女性キャラの色気を楽しみにしているんだから、そういう人たちの期待を裏切って、落ち込ませてはいけませんよ。
「人を信じるのが大事」という話を作っている人が、「視聴者の信頼を裏切る話」を作って、どうすんのよ? いや、それとも、視聴者に「裏切られても、信じ続ける想いこそが大切なんだ!」って苦行に耐えさせるつもり?
は、もしや、こういう「負の想い」がイパダダを強化させるのか? だったら、NOVAはイパダダを応援します(笑)。
敵は赤い彗星
今回の被害者は、「城南大学の助教」*1。
彼が、シャアの声した学部長にリストラされます。曰く、「フフフ、聞こえていたら、君の才能のなさを呪うがいい。君はまじめな助教だったけど、私の気に入ることをしなかったからいけないのだよ」
「図ったな、学部長。おのれ、城南大学に栄光あれ!」
「助教はなぜ、リストラされたか。坊やだからさ」
まあ、こんな感じのドラマがあったかないか分からないけど、理不尽な理由でリストラされた助教。
その話を聞いたタイヘイが、学部長のところに殴りこみに入ったら、学部長はイパダダに取り付かれていて……って、そんな話だったら普通にアクション物として盛り上がるんだけどなあ。
タイヘイさんのやっていることは、ただ助教の愚痴を聞いて、助教が「オレも昔はバンドやってて、人を信じる気持ちとか歌ってて」という話になって、カラオケルームで大いに盛り上がって(一人冷めてるカノンとか)、酒飲んで、今度あおぞらライブやりましょって話になって……ええと、この話を見て、「うわあ、何て面白いんだ。来週もカノン見よ」って気になる人はどれぐらいいるのでしょうか?
ええと、自分? 「うわあ、何てつまらないんだ。こうなったら、どこまでツッコミ入れられるか、呆れながら見続けてやる。来週で、少しはマシになるかな?」って気になってます。何て物好きな自分(苦笑)。
謎のオンバケ・トウベエさん
あ、いちおう、「アクションがないわけじゃない」んですね。
ええと、サワモリ、ハシタカ、トモスケの3人が、イパダダの脅威を語りながら、助っ人の「トウベエさん」が早く来ないか、と期待しています。
トウベエというと、自分は「立花のおやっさん」か「からくり人の八尺のトウベエ」なんかを連想しますが、どちらも役者は故人ですので、そういう期待はできないですね。何だか「刀を振り回して、バッタバッタとザコ妖怪を斬り倒すイメージアクション」を披露していましたが、そういうチャンバラ劇を毎回見られるなら、自分も早くトウベエさんの登場を期待します。
まあ、期待が裏切られる可能性も70%近く想定しながら(苦笑)*2。
カノンとイケチヨの銭湯シーン
今回、一番期待したのは、カノンちゃんを銭湯に誘うイケチヨ姐さんのセリフ。
うお、コミック版のあのシーンが、実写にも? 最近は、由美かおるの入浴シーンもないからなあ。来期の雛形さんは、そういうシーンを見せてくれるのか? とか、違う話も脳裏に交えつつ、期待したんですよ、その一瞬は。
……次のシーン。風呂上がりで夜道を歩くカノンとイケチヨさん。
NOVAのよこしまな期待は木っ端微塵に吹っ飛びました。
いや、朝の子供向き番組で、こういうフェイクをかけられるなら納得するのよ。でも、これって深夜放送……せめて湯煙の向こうで、よく見えないながらも会話の声だけが聞こえてくる、それぐらいの妄想喚起シーンぐらい提示してくれても……と。
ストレートじゃなくても、ちょっとしたチラリズムでもいいから、と思っても、そのチラリすらないのでは、まさに「風が泣き、空が怒る」ですよ。
自分としては、「水が舞い、波が踊る」入浴シーンが見たかった。シクシク。
まあ、番組テーマとしては「大地が震え、花が歌う」が一番近いんでしょうが。
で、風呂上がりの会話シーン。
カノンちゃんのお肌の張りを誉めるイケチヨ姐さんに対して、「そんなイケチヨさんだって、お肌がキラキラしてましたよ」
で、その答えが、「そりゃ、元は金魚だからね」と小声でつぶやく姐さん。
「そりゃ、元は演ドルの水忍だからね」と補完するNOVA。
もちろん、カノンちゃんは、その発言に不思議そうな反応をしますが、はぐらかされます。まあ、オンバケの正体がバレルのはもう少し先。
その後、タイヘイのことについて、話す2人。
イケチヨ姐さん曰く、「タイヘイは、いい奴なんだけど、突っ走ると周りが見えなくなるタイプだから、カノンちゃんに見守ってやって欲しい。私に言わせると、2人で1人みたいな感じだから」とまあ、何だか若い娘を煽るような発言。
この辺は、田舎くさい恋愛ドラマになってます。
で、酔っ払ったタイヘイと助教のところに赴いたカノンですが、タイヘイがオンバケの正体をチラつかせているのに、気付かないカノンって様子は、ほとんどドリフのコント。
この辺の演出が本当に古びているんだよね。大魔神モチーフだからって、センスまで古くならなくても。
基本的に、自分はノスタルジー志向なので古いのは歓迎するところですが、古いを通り越したダサさというものは、この『カノン』で初めて知りました。
さすがに、フォローできないや。