Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

商売人を4話まで見て

 昔は、ドラマ部分をじっくり見ることもなく、何となく地味で、よく分からない作品と思っていた商売人。
 その後、研究書籍などの受け売り知識で補完し、アダルトムード満載のマニア向き作品という印象だけを強く持っていた作品。いや、まあ、中学以降も、何度か見る機会はあったんですけどね。一度見た作品だから、改めてじっくりとは見てこなかっただけで(要所、要所を飛ばし見程度)。
 なお、サイトでの自分の必殺シリーズ作品紹介文句は、「仲間を次々と失ったあげく、ついにプロの頂点に達した中村主水の物語。とにかく、シリーズ最高の主水の剣術が見られます」 
 まあ、この文面に間違いはないのだけど、他の作品のコメントに比べると、淡白で実感が薄い気がする。どうも、借り物の言葉みたいで、手直ししたい感じ。いや、それを言ったら、他の作品のコメントもずいぶん昔のネット慣れしていない時期に書いたものなので(2009を除く)、一部愛情表現に難あり、に思えてきた。そのうち、追記とか修正を考えましょう。次の必殺作品が始まった折にでも(笑)。


 では、まあ、記事の手直し(追記)ネタのためにも、ここまでの感想をまとめておきましょう。

第4話「ベムスター参上!」……じゃなくて「お上が認めた商売人」

 間違えて、別のサブタイトルを張り付けてしまいましたが、ネタとして面白いので、そのまま残すことに(オイ)。


 で、前回の記事で、商売人の第一印象として、「地味で、アダルトで、難解」ついでに「ハードなドラマ」なんて思い込みもありましたが、この回は違う、と断言します。
 3話で、序盤の緊迫した仲間関係が雪解けしたせいか、この回は妙にコミカルな描写が目立ちます。


 まず、驚いたのが、主水と新次の会話。
 新次が釣りをしているところで、主水が「裏の仕事のネタ」を話しているんですね。

主水「今度の事件は、仕事になるぜ。このままじゃ、あの坊主は間違いなく殺される」
新次「そうかよ」
主水「何だ、ずいぶん、つれねえじゃねえか」
新次「ああ」
主水「何でだ?」
新次「……釣り針を付けてないからな」
 主水、思いっきりずっこける。


 まじめなシーンだと思っていたら、実はドリフターズばりのリアクションで落としたギャグでした。
 一瞬、ずっこけた主水の反応がよく分からず、このシーンをもう一度、再生して理解した次第。
 裏稼業の大事な話をしているのに、ギャグで落とすんじゃない! と、ボヤキつつ。
 家庭や職場でのいびりに、「顔をしかめる主水のギャグ描写」はよく見るけど、「体ごとずっこける主水」というオーバーリアクションはちょっと珍しいのでは? とも思ったり。


 続いて、おせいと正八の会話。
 標的の大名に近づくため、寺小姓風の化粧を施した正八。

正八「(鏡を見て、一瞬驚きつつも)よく見ると、俺っていい男♪」
おせい「どうでもいい男だね」


 いや、ちょっとした言葉遊びなんですが、正八はともかく、おせいってあまりギャグキャラの印象がなくて、いつもと違うノリに違和感を覚えたりも。
 おせいと言えば、『必殺必中仕事屋稼業』で、前半、影のある女元締めだったのが、放送チャンネル変更後の後半に入ってから、庶民的な明るい演技もするようになっていたのですが、
 今回は3話までの割とまじめな話から一転、ここまで急変したのもビックリ。
 こんな変な脚本書いたのは誰だ? とチェックしてみても、安倍徹郎氏。別にコミカルなノリで定評って人じゃなく、仕掛人21話「地獄花」とか、仕業人最終話「あんたこの結果をどう思う」とか、むしろハードで正統派な人。ちょっと意外。


 で、最後に大きなオチが。
 大名殺しということで、仕置料は、「芦屋雁之助*1演じる権力者に通じた坊主*2」が、切り餅4個と約束します。ええと、切り餅というのは、「山吹色のお菓子」と同様の裏社会の隠語で「一つが25両」という意味ですな。破格の報酬に、いろいろ期待する商売人の4人ですが、ラストで報酬として届いたのが「本当に切り餅4個」で、全員、騙されたと引っ繰り返る強烈なオチ。
 高額の報酬は何だかんだ言って手に入れられずに終わることの多い主水が「どうせ、こんなことだと思ったんだ!」と叫ぶのが、印象的でした。


 ちなみに、標的の悪党の方も、身分は高いものの「窃盗癖のある大名」という、やっていることは小物。
 彼が盗みを働いたせいで、濡れ衣を着せられた坊さんが処刑される話だったわけで、しかも、その退治方法が、「大奥の女に化けたおせい」が大名を誘惑して、大奥に忍び込ませて、それを発覚させて死罪に追い込む、という手の込んだ展開。
 まあ、いろいろな意味で異色回だったということで。

ここまでの作品印象

 必殺シリーズのパターンを大きく2つに分けると、「元締めが仕事を回すパターン」と、「知人が事件に巻き込まれて、その恨みを晴らすパターン」になります。
 で、前者は組織としての非情な掟が描かれ、後者はまあ人情路線になる、と。


 本作は、元締めシステムをとっていないので、基本的に後者になるのですが、割とプロフェッショナルらしく、被害者に感情移入している話は少ない感じですね。
 むしろ、距離を置いて事件の推移を観察しながら、金になるチャンスを窺っているような。これに似た作風だと、「仕業人」を思いだしますな。毎回のように仕事にならないか、と、やたらがつがつしている主水は、本作と仕業人ぐらいじゃないかな、と。
 そして、「事件が飛び込んできて、被害者を助けられず、哀しみと怒りで出陣」ってパターンじゃなく、「事件が起こりそうなのを分かっていながら、被害者あるいは加害者に接触、調査をしつつ、適度な距離をおいて、きっちり仕事は果たす」
 まあ、もちろん、「あいつはムカつく奴だ。必ず事件を起こすに違いない。ほら、女が殺された。俺一人でもやってやるぜ」と息巻く主水だったけど、真犯人が別に分かって……という3話とか、プロらしくない感情まる出しの回もあって、一概には言えないんですけどね。


 総じて言えるのは、この商売人は、「元締め制の新仕置人」や「旅物として初回で一括請負しているからくり人」と違って、物語パターンが固定していない作品と言えます。
 1話では、主水が結局、殺しに参加せず、
 2話では、おせいが囮役、
 3話では、またもや主水が、新次とおせいに的を譲り、
 4話では、主水と新次がザコを殺すも、肝心の本命は罠にはめて、権力者に殺させるなど、殺しのパターンさえ、確立しておらず、わざとマンネリを打破しているように思えます。
 ある意味、王道を極めた新仕置人から一転、新しい展開を模索した実験作と言えるでしょう。

*1:前作「新からくり人の火吹きのブラ平」、続く「富嶽百景のびく殺しの宇蔵」と出続けているのに、本作でも違うキャラでゲスト出演とはちょっと珍しいと思ったり。まあ、本話での元締め役なんですけど、いつもと違った役柄のごろつき坊主の演技がちょっと新鮮。

*2:河内山宗俊。本作オリジナルではなく、実在の人物を元にした歌舞伎・講談のキャラだったりします。70年代以降も、高松英郎や、勝新太郎丹波哲郎石坂浩二らがこのキャラを演じたりして、時代劇ファンや必殺ファンにとっても結構、トリビアネタと言えるキャラ。でも、自分は今回、この回を見た後でネットで調べるまで、知らなかったわけで……まだまだ、この世界も奥が深いと思ったり。