Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

ターミネーター3

 先週のターミネーター記事で、深く考えずに、「再評価はまあ、気が向いて再視聴した折にでも」と書いたら、日曜洋画劇場で放送することと相成って、ちょうどいいや、と録画して視聴。うん、レンタル代が浮きました。


 自分、この作品は好きでないのですが、冷静かつ客観的批評を心がけようと思い、

 今の視点から見ると、上映当時は見逃していた長所がいろいろ見つかるかもしれない、いや、見つかればいいなあ。

 と期待しながら、見てみたんですが、やはりダメでした。
 何と言いますか、「T1」→「T2」までのファンを裏切るストーリー展開に加え、肝心のアクション演出もいまいち冴えず、金を掛けて凄い撮影をしている割に、見せ方のセンスがケレン味に欠け、NOVA好みとは言えません。
 いや、まあ、「リアリティを重視して、感情を込めずに淡々と見せている」ということで、そういう描写の方がいい、という方なら、これを評価するのかもしれませんが、「非情なサイボーグよりも、少年ジョン・コナーに教育されて人間っぽいセリフとアクションをこなすようになったヒーロー・サイボーグが見たい」とか、「無口な女サイボーグよりも、憎らしいけど何だか芸達者で、チッチッチと立てた指を振るT1000の方が敵として魅力的」と感じる人は、NOVAの同志と言えましょう。
 本記事では、そういう人のみ、ご歓迎ということで、「好き嫌いの明らかな主観的感想」をどうぞ。

君は殺人女サイボーグに萌えられるか?

 本作を評価する上で、一番のポイントはここではないか、とNOVAは考えるのですが、実のところ「悪女」とか「クールビューティー」というのは、個人的に嫌いではありません。


 でも、本作のT-Xには、ちっとも萌えられない。
 何でだろう? と考えてみるに、「悪女」にしても「クールビューティー」にしても、人間的な感情がどこかで描かれているからだろうな、と。
 一方で、本作のT-Xは、本当に「人間の女性の姿をした機械」に描かれており、そこは徹底しています。たとえば、標的を抹殺する際に「にっこり笑顔を見せる」だけでも、萌え要素にはなるのですが、T-Xにはそんなサービス精神も皆無です。
 NOVAには「アンドロイド萌え」とか「サイボーグ萌え」とか「(一部)モンスター萌え」の属性も少なからずあるわけですが、そういう非人類に対する想像力(妄想力)を駆使しても、萌えられないT-Xは、ある意味、稀な女性キャラと言えます*1
 あ、一つ、他のアンドロイドキャラと比べて、分かったことがある。例として挙げるのは、ウルトラセブン9話『アンドロイド0指令』に出てきたアンドロイド少女ゼロワン。彼女には、チブル星人という「れっきとしたご主人さま」がいた。アンドロイドの場合は、そもそも何かの目的のために作られ、命令されるわけですな。そして、それを命令するキャラとの関係が妄想できるかが、一つの萌え要素と言えるかもしれない。


スカイネット「さあ、T-X。お前に、指令を与えよう。これから過去の世界に飛んで、ジョン・コナーその他関係者を抹殺するのだ」
T-X「了解。指令を遂行します」


 うん、こういう過去を妄想したら、少しは萌えられるようになった。でも、スカイネットって、そういうことを言うキャラでもないんだよね(本作では、意志を持ったコンピューターウィルスの集合体という設定なので、なおさら)。

ヒロインとのロマンスは描かれていたか?

 前項では、「萌えにくいキャラであるT-Xを、どうすれば萌えられるように補完できるか?」について考察しました(何だか当初の予定とは違う方向ですが)。
 で、敵が萌えキャラじゃなくても、メインヒロインが萌えキャラであれば、作品としては充分、堪能できます。まあ、萌えキャラなんてのは人によって、許容属性が異なっており、一口に語ることはできないと存じてはいるのですが、ここでは、とりあえずメインドラマの中に「主人公とヒロインのロマンスが描かれているか」を基準にしたいと思います。
 T1では、ヒロインのサラ・コナーがターミネーターに襲撃され、未来世界の戦士カイル・リースに命を救われ、当初の疑惑から一転、恋愛感情が燃え上がり、運命の子ジョン・コナーの懐妊に至る、切ないラブストーリーが印象的に描かれています。
 T2では、そういう男女のラブストーリーは排除されており、サラ・コナーの戦士としての強さと、母親としての厳しい愛情が描かれたわけですが、それでもジョン少年視点による「サラの母性」と「ターミネーターに感じる父性」の両方が、恋愛にも匹敵する家族愛の物語として成立しています。


 さて、本作のメインヒロインであるケイト・ブリュースター(後のケイト・コナー)は、ジョンの未来のパートナーとして登場します。基本的には、サラ・コナーの再来として、「当初はただの巻き込まれヒロインで、悲鳴を上げてジョンに悪態をつくだけだったのが、後に行動的にシフトチェンジし、未来を変えるために行動し、ジョンに『まるで母さんみたいだ』と言わせる」流れ。
 でも、恋愛感情が育まれる前に、物語が終了してしまうわけですね。要するに、ロマンスとして大切な部分はお預けにされたまま。こりゃ、そういうドラマを求める人には、欲求不満もたまりますよ。
 ジョンとの関係性は、「少年時代のジョンとのファーストキス」とか、「未来において、命を落としたジョンの代わりに、ターミネーターを派遣」などと、言葉だけで淡々と語られます。ドラマは過去とか、未来の話だけで、現在において描かれている部分は皆無に等しい。
 もし、本作において、ラブロマンスを挿入するなら、「少年時代のファーストキスの続き」とか、「絶望的な未来への不安から肌を寄せ合う2人」など、いろいろドラマ性を付与するネタはあったのですが、そういう一時の感情の交流をも許すことなく、物語は進展します。

あと3時間で、世界は崩壊する!

 ケイトとジョンを救ったターミネーターT850(シュワちゃん)から、突然知らされる衝撃的な事実。
 映画鑑賞時に、思わず「オイ。そりゃ、ないだろう」とツッコミを入れましたよ。
 ええと、今回の録画視聴時にも。
 一体、何なんでしょうね、この急展開は? 


 まあ、本来なら「1997年に『審判の日』が訪れる」はずだったのが、T2の物語のおかげで延期になって、「2004年の今日が『審判の日』」ということになった次第。
 ええい、もっと早く来い、ターミネーター! って感じですよね。
 で、そのシュワちゃんを送り出したのが、ジョンではなく、ケイトだってのも衝撃。
 未来のジョンは、そのT850(再プログラム前)に殺されていたというのも衝撃の事実。
 未来のジョンは、T2の物語の中でシュワちゃん型のターミネーターに特別な感情を寄せており、そのために油断して同型のターミネーターに殺された……という話が、シュワちゃん本人の口から淡々と語られるのですが、T2ファンはそれを聞いて、「何じゃそりゃ」と空いた口が塞がらないわけで。何て、救いようのない未来……いや、それ以上に「未来のジョンが情けなさすぎる」と。
 ええと、未来は2032年の話だそうで、その時のジョンの年齢は48歳。48歳のいい年した親父(しかもレジスタンスのリーダーという責任ある立場)が、「少年時代に付き合った父親代わりのロボットの姿に惑わされて、あっさり死亡」という顛末。お願いだから、T4から後の話のジョンは、そんな情けない死に方をしないよう祈りましょう。


 あ、でも、T3物語内のジョンは、現代も母親を失った後、目的を失ったホームレスのヤク中と化していたわけだから、情けなさでは同レベル? う〜ん、「政治家として活躍するT2後のパラレル未来のジョン」と比べると、まさに雲泥の差です。
 とにかく、ジョンが情けなくなってしまい、シュワちゃんもジョンの命令は聞きません。本作でシュワちゃんに命令できるのは、ケイトの方。さらに、機械コントロールの特技を持つT-Xにも操られたりして、シュワちゃんが女に弱いという演出が随所に見られたりして、いと哀し。


 もう、まさにキャメロン監督の美学とはズレにズレたこんな世界、「滅んでしまえ」と叫びたくなった瞬間です。いや、ラストで、本当に核戦争で滅びてしまいましたが。

世界を救うために……と思っていたのに

 とにかく、シュワちゃんから、いろいろと衝撃的な事実を聞いて、何とかしようと、ヒーローらしく行動を始めるジョン・コナー。
 観客としては、「よっしゃ、がんばれ、ジョン」と言いたくなった瞬間。
 それまで、ジョンとシュワちゃんに拉致同然に保護され、不満たらたらだったヒロイン・ケイトも、婚約者をT-Xに殺され、今また軍の高官である父親まで狙われていると知って、俄然、やる気を出します。
 ジョンとケイトの救出任務を優先しようとしていたシュワちゃんも、ジョン……ではなく、ケイトの「お願い」に従い、スカイネットの核戦争計画と、T-Xのケイトパパ抹殺任務を阻止するのに協力しようとします。
 普通のアクション映画なら、これらのミッションに成功することでハッピーエンドとなることが期待できるのですが、本作では残念ながら「崩壊した未来」という確定した未来につなげるために、ミッション失敗のバッドエンドとなるわけですな。
 ヒーローの無力さを痛感できるハリウッド・アクション映画……という何だか珍しい作品と言えます。


 とにかく、ケイトパパはT-Xに重傷を負わされ、娘と、将来の婿どのに後を託します。
 「この恨みを、仕事人というお方に……」などと言うことは申しませんが、
 「お前たち、急いで核シェルターに避難して生き延びろ」ということを遠回しに伝えます。でも、それを聞いたうっかりコナー君は、「そうか、その軍事施設に行けば、スカイネットが止められるんだな!」と勝手に誤解して、観客をも騙します。さすがはヤク中、冷静な判断力がどこか欠如しています。
 で、T-Xの妨害を何とか切り抜け、シュワちゃん自爆という犠牲を経て、核シェルターに無事入ったジョン&ケイト。「スカイネットの正体はコンピューターウィルスで、中枢なんて物は最初から存在しなかった*2。『審判の日』は止められねえよ、畜生」ってなわけで、世界は核の炎に包まれる。まさにYouはショックってな展開で、世紀末……ならぬ新世紀救世主伝説が開始されるわけですな。
 シクシク。

アクション映画としては

 ええと、ここまで「萌え要素」的にも、「ドラマ」的にも、何だかいろいろ裏切られた感満載の本作ですが、アクション映画として、評価すべき点はあることは認めます。
 すごく金を掛けているよなあ。製作費1億8730万ドルだって*3
 

 問題は、それだけの金を掛けて、どういうアクションを見せてくれたか、ですが、
 まず注目は、前半のカーチェイス。ここでジョンの運転するミニトラック(ケイトは荷台に監禁)を追跡するのは、T-Xのクレーン車。さらにT-Xには、機械にウィルスを仕込んでコントロールする能力がありますので、パトカー群を「いけ、ファンネルたち」というように操って、追跡に協力させます。
 たくさんの車に追跡されるミニトラックという映像は、非常に豪華なんですが、画面としては非常にゴチャゴチャして分かりにくいのが欠点。
 そこに白バイで駆けつけるシュワちゃん……ということで、画面の焦点は「シュワちゃんVST-X」と「無人パトカーの追跡を逃れるジョン」の2重構成。次々と目まぐるしく切り替わる画面構成のため、スピード感には溢れているものの、1枚絵のインパクトあるシーン、という物は皆無。
 いろいろな要素を詰め込んでいるものの、「見せ場への注目視点」という感覚が欠如した演出なので、後から思い出しても、「何だかいろいろあって凄かった」という印象だけで、「あのジャンプするバイクのシーンが凄い」というT2的感覚とは程遠い印象。
 この辺は、NOVAの求めるアクション映像が「細かい動きよりも、重量感あふれるカット」なんだと分かりました。「こまごまと走るアメリゴジラ(イグアナ)よりも、ドシドシ歩く和製ゴジラの方がいい」という感覚。あるいは、「リアルロボットの演出よりも、スーパーロボットの演出の方がいいな」という感覚かも。


 次にT-Xの能力ですが、正直に言って、制限なく、いろいろなことが出来すぎ、と思いました。
 前作でのT1000は、液体金属製で、銃で撃ってもダメージを与えられないのが特徴その1。特徴その2は変身能力で、特徴その3は武器の製造能力。ただし、制限はあって、武器は刃など単純な構造のものに限り、銃や爆弾などの複雑な構造はダメと。
 で、T-Xの方は、T1000の能力に加えて、前述の機械コントロールと、未来世界の強力な武器(プラズマガンとか、火炎放射器とか)に変形できる腕。ただし、完全な液体金属製ではなく、T800同様の金属骨格も持っており、液体金属が表皮を覆っています。
 T1000の場合は、その液体金属のボディーがインパクト抜群で、CG描写の凄さと相まって、絵作りという面において非常に貢献していました。でも、T-Xはいろいろできる反面、「女性型」という特徴を除けば、映像演出的に能力の扱いが地味だったように思えます。何だか、当たり前に凄いことがいろいろできると、その凄さが実感できないという昨今のCG映像と似たような印象を覚えました。
 しかも、T-X最大の能力的特徴と考える機械コントロールが、どうも「ターミネーター同士のガチンコバトル」という分かりやすいアクション映像を邪魔したなあ、とNOVAは思ったわけで、この辺、複雑すぎるのを見せられると、「シンプル・イズ・ベスト」と言いたくなる懐古主義者なのかもしれません。
 まあ、見せ方の問題もあるので、「ここぞという場面では、スローにしてじっくり見せる」という手法があれば、もっと評価は上がっていたかも*4


 最後に決着のつけ方。
 伏線はあったものの、「水素電池による大爆発」という味も素っ気もない結末は、何だかなあ、と。
 前作の「溶鉱炉で熔かす」というインパクトには劣る、と。


 そんなわけで、アクション映画としても、NOVAの好みとは異なる見せ方、方向性に進化した本作。
 まあ、初鑑賞時と違って、続編とか、好みの外伝(SCC)とかがいろいろ堪能できるわけですから、文句があるなら、新しいのを見ればいい、と思えるのは素直に幸せですなあ、と。
 本当にT3で終わりにならなくて、シリーズファンとしては良かった、と思います。

*1:小説やコミックなどで、あまりに描写や演出が下手で、萌えよりも先に脱力が来る、といった作品は別ですが、T3の場合、そういうことはないわけで。あまりにも、NOVAの萌えエリアと異なる方向に緻密に構築された女性キャラなんだろうな、と理解。

*2:でも、スカイネットに中枢はない、ということなら、未来世界でどうやってジョンはスカイネットを破壊できたんだろう? ウィルス対策ソフトでも開発したのかな?

*3:ちなみにT1は640万ドル。T2は1億ドル。T4は約2億ドルとのWiki情報。

*4:最近のアクションに目が付いて行きにくくなっている年のせいかも(^^;)