Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

ユニコーンガンダム1巻感想

 作品名は『機動戦士ガンダムUC』ですが、まあ、ここでの呼称は、「ユニコーンガンダム」と主役機名で。
 UCと省略しちゃうと、「宇宙世紀(ユニバーサル・センチュリー)の略称」と混同しそうですから。
 で、とりあえず、2巻まで読了したので、1つずつ感想書きます。
機動戦士ガンダムUC 1 ユニコーンの日(上) (角川コミックス・エース 189-1)

プロローグ

 この部分は、本作最大の謎アイテムである「ラプラスの箱」の由来を描きつつ、宇宙世紀の設定解説になっています。
 最初に、宇宙世紀元年という時代を舞台に、人類が宇宙に進出した経緯、スペースコロニーの構造、宇宙世紀の理想などの設定が語られます。ええと、この部分は、文章を読み慣れたガンダムマニア(この本の想定読者層)には興味深いですが、下手に書くと、単調な設定羅列となってしまう危険が……。
 しかし、本作では、「テレビ場面のアナウンサーの言葉」と、「それにツッコミを入れるコロニー作業員のセリフ」を通じて、設定が語られるため、マスコミの語る理想と、現場の声のズレが興味深い。


 あと、宇宙世紀が、なぜ正確な字義通りの「ユニバース・センチュリー」ではなく、「ユニバーサル・センチュリー(普遍的世紀)」なのか? 
 こういう「定着した設定ミス」に関して、作者が登場人物の言葉で、見解を述べている部分は、マニア心を満たしてくれました。
 なるほど、宇宙世紀の理想は、「人類が国境で分断されることなく、一つになれる普遍化」を目指すと、連邦政府首相に語られたら、納得するしかないよなあ(笑)。
 つまり、ミスとして粗探し的につつくのでなく、より深い設定に深化させるのがSF的マニア心だと。


 で、コロニー作業員が、実は「反連邦テロリスト」だと分かって、首相暗殺、しかし、その後、テロリストたちも口封じ的に暗殺され、一人生き残った男が「ラプラスの箱」を見出して、宇宙世紀96年(シャアの反乱の3年後)に時代が飛ぶ、と。
 その間に、男の脳裏の夢として、「コロニー落とし」やら「一年戦争以降の動乱」やらが簡単に描写され、ガンダムらしい背景が構築される流れは、背景説明も、うまく計算されているなあ、と感心。

ユニコーンの日(上)

 最初の2行の描写から引きつけられるので、ちょっと抜粋。

 船内警報(アラーム)が鳴っていた。その耳障りな音色が肌を粟立たせる一方、頭の芯を冴え冴えと冷たくしてゆくのを感じながら、少女は壁の一角に設けられた小さな舷窓に顔を寄せた。

 この後、宇宙の景色が描写され、それを見る少女の幼少時の記憶と、今の決意が暗に示され、その後、警報の原因である戦闘に場面が展開されます。
 少女は、本作のヒロインのミネバ・ザビなんですが、「いまは名前はいらない。行くべきところに行き、会うべき人に会うために、この船に密航してきた無名の存在。それだけで十分だ。」と語られ、しばらく無名の少女として描かれ続けます。
 そして、後で、映画『ローマの休日』にちなんだオードリー・バーンという偽名を名乗るわけですな。


 その後、MSの戦闘シーン。
 クインマンサの小型発展形といえる「クシャトリヤ」に乗った女パイロット・マリーダ視点で、3機のジェガンを撃墜する場面が描かれます。
 戦闘後、わざわざヘルメットを脱いで、コクピットの中で周囲の宇宙に身を浸し、体内に澱んだ不快を洗い流すシーンが、いかにも「プルらしい」と感じさせてくれます。さすがに18才に成長していますから、「プルプルプルプルとはしゃぎ回って、シャワーを浴びたがる」マネはしませんが(笑)。


 で、その後に登場するのが、主人公のバナージ・リンクス
 アナハイム・エレクトロニクス工業専門学校の学生、という設定。工業科の学生というのは、F91のシーブックに近い設定です。
 おまけに、ハロ登場。
 うん、やっぱ、ハロは主人公の持ち物であってほしいですな。


 そんなバナージは、授業前に早起きして、プチモビに乗ってジャンク回収のアルバイトに向かいます。これはジュドーの要素を引き継いでいます。うまく、歴代ガンダムの主人公キャラの要素を受け継いでいる、と言えましょう。
 それに……プチモビ経験もなしに、いきなり民間人がガンダムを操縦できるのは違和感ありますから。そういう特殊なのは、マニュアル片手のアムロさんだけで十分。キラは……スーパーコーディネーターに今さらリアリティを求めません(苦笑)。


 その後は……ネオジオン残党側のキャラ描写とか、連邦側のキャラ描写とか、いろいろありますが、1巻めのメイン部分は「バナージとオードリー(ミネバ)の邂逅」でしょう。
 「ボーイ・ミーツ・ガール」ストーリーは、ガンダムシリーズでも、コミックの『クロスボーンガンダム』を連想します。「トビアとベルナデット(テテニス)」のイメージが、本作に一番近いです。
 もちろん、「ヒロインを助けるためにMSに乗る展開」は、F91もそうですし、ガンダムXガロードもそう。こういう男として分かりやすい原動力は好きですね。


 ただし、1巻の最後で、バナージは、オードリーから「必要ない」と言われ、落ち込んでしまうんですが(笑)。
 それでも、しばし逡巡を経て、積極的な行動に転じるのが主人公たる所以です。(つづく)