カブトのクリスマス回顧編といえば、「全てにおいて頂点に立つ男」神代剣の退場編。
44話において、愛するミサキーヌを命がけで守った神代剣。その行動が報われて、クリスマス前にラブラブ関係が成立か! と思いきや、
45話で、視聴者および爺や&加賀美にしか知られていなかった「剣の正体がスコルピオワーム」であることが明かされ、
46話で、剣が「オレは全てのワームの頂点に立つ男」と言い放ち、あろうことか、それまで強者ぶりを誇っていた乃木閣下すら配下に従えて暴走した挙句、
最後は、カブトに自ら討たれる道を選ぶ、という激動の展開。
男と女の違いこそありますが、何だか「ファイズ」のクレインオルフェノク=長田結花退場劇にも通じる、「罪を犯した異形の者」のせつなさを覚えました。
ただ、まあ、ラストにおいて、爺やの前に姿を見せ、「ようやく眠ることができる」とつぶやいた剣の安らいだ表情には、救われた思いですね。
また、最終話において、「愛するミサキーヌ」がディスカビル家再興のために、「剣君の愛した爺やの味」を元に、レストランを経営することが語られたのは、剣ファンにとっての喜び、と言うべきでしょう。
剣で遊ぶな(BY井上敏樹)
元々、神代剣は「天道に匹敵するオレサマキャラ」言わば、ライバルとして登場しており(19話より)、風間大介と並ぶ、井上敏樹氏の持ちキャラでした。
カブトのメインライターは米村正二氏ですが、NOVA個人は、井上版剣の「天道にやたらと張り合おうとするギスギスした雰囲気」よりも、米村さんが遊んでくれた「ネタキャラ剣」が好き。
まあ、特撮ニュータイプ誌上での、米村さんのインタビュー話では、井上氏に怒られたそうですが(笑)。
●取材者 剣の性格や行動は、米村さんの担当回でより濃くなっていったような印象がありますが。
●米村 それは山本くんの頑張りもあったでしょうし、ホッとする要素としてはまりましたね。でも井上さんからは怒られたんです。「剣で遊ぶな」って(笑)。確かに登場の頃を見返すと最後のほうとは違ってますね。
NOVA自身が23話で書いた記事ですと、
ガタックはNOVAが応援しなくても、人気が上がっているようですし、ここは大穴を狙って、改めてサソードに注目するとしましょう。(中略)
きちんとメインライターの回でも結構な活躍をしてくれているわけで。もちろん、ネタキャラとして(笑)。井上脚本の登場編では、剣ぼっちゃまと天道が同格扱いで描かれていましたが、米村脚本では、ぼっちゃまの格がどんどん下がって行って、天道の頂点ぶりが引き立っているのがいい感じ。
次回は、「ラーメンVSラ・メーン」対決に期待したいところ。
……といった感じで、井上脚本では、「ただのライバルキャラ」「嫌な奴」でしかなかった剣が、米村脚本で遊ばれることによって、どんどん「好感が持てるキャラ」に変化していく様子がはっきり描かれています。
自縄自縛
44話で、トリプルライダーキックに参加し、格好良さを見せつけた矢車さんでしたが、それは「闇に生きる住人としてふさわしくない」と反省し、45話では自分を縄、もとい鎖で縛ってしまいます。
一応、46話で鎖を解除して戦ってみせるわけですが、そのままドラマのメインに現われることなく、主流から外れたところで活動を続けるだけ。
最終回で、せめて影山の仇討ちに参加して欲しかったなあ、と思いつつ。
闇・天道
44話のラストで、ひよりを襲って、危機感を盛り上げたダークカブト。
でも、その後が意外と振るわなかったような気がする。
乃木閣下に誘われながらも、それを拒み、独自の行動を志す。ただ、「世界を壊す」という言葉を口にした割には、その行動は結局、天道に対する粘着に過ぎず、しかも力量を伴わず。
出現当初は、「ラスボス?」とまで言われたけれど、それは買いかぶりでしかなかった、と。
ま、彼の顛末については、後の話で。
乃木閣下
41話で派手な登場をし、その後、倒されても倒されても復活する、しぶとさを見せてくれたカッシスワームこと乃木閣下。
でも、まさか剣退場のドサクサ紛れで、ついでに退場することになるとは思わなかった。43話や、44話でボコボコにした剣に、46話で下僕にされるとは……。
出現当初は、やはり「ラスボス?」と思われたけれど、一気に格が下がってしまい、年を越せずに終わる……合掌。