バッドエンドの多いゲーム
NOVA「いよいよ、『王子の対決』もこれが最後の記事だ。ゲームブック2冊分の攻略解析なので、単純計算でも2倍の手間が掛かったことになる」
晶華「一冊で500パラグラフ。2冊で1000パラグラフの大冒険だったわけね」
NOVA「FFゲームブックの多くは400パラグラフが標準で、それを越えた作品は大作ということになる」
翔花「FFゲームブックで一番の大作は何?」
NOVA「やはり、ソーサリー4部作の最終巻『王の冠』が、1冊で800パラグラフで、最大ボリュームな作品だと思う。日本のゲームブックだと、1冊で1000パラグラフの『ネバーランドのリンゴ』および続編の『ニフルハイムのユリ』が最高峰だと思うが、あれはゲーム後半の立体ダンジョンがかなり水増し仕様だったからなあ。物語としてのボリュームは500から600パラグラフ程度だと思う。それでも、長い方だな」
晶華「他のゲームブックの話はさておき、本作が大作ゲームブックの一つであることは間違いないってことね」
NOVA「ああ。そして、バッドエンドの総数も大したものだ。『戦士の書』はざっと数えて42パラグラフ、『魔法使いの書』はさらに多くて54パラグラフのバッドエンドになってる。それぞれで8.4%と10.8%ということだな」
翔花「その数字の意味がよく分からないんだけど?」
NOVA「そうだな。俺が今までFF攻略記事を書いてきて、最大バッドエンド数を誇るゲームブックが『モンスター誕生』で、460パラグラフ中で46回、つまり10%。最大バッドエンド率を誇るのは『奈落の帝王』で400パラグラフ中44回の11%だ。バッドエンド率だと、3%以下が簡単なゲーム、5%までは普通、5〜8%前までが十分死にやすくて難しい部類。8%越えは超絶難易度ということになる。10%を越えると、超絶を越えた死にゲーというか、激ムズクソゲー認定されるほどのマゾゲームということになるかな」
晶華「そんな死亡率の高いゲームを初心者の私たちにプレイさせたわけ? NOVAちゃんは?」
NOVA「いやあ、俺もここまで難しいとは思っていなかったんだよ。2人用だから、もう少し手心を加えてくれるかと思いきや、甘かったです。バッドエンド総数だけでも、歴代FFの中でも難易度が最高近くに挙げられるのが『王子の対決』だ。とりわけ『魔法使いの書』の死亡率の高さは、半端ねえことがバッドエンド総数からも分かったわけで」
翔花「でも、バッドエンドの数だけが、難易度を決める指標ではないでしょう?」
NOVA「ああ。ウルトロピカルでの基準に基づいて、本作の難易度を測定してみよう」
戦闘難易度の話
NOVA「まず、難易度を決める指針の一つは、敵の強さ。とりわけ最後の敵であるボスキャラの強さが一つの基準となる」
晶華「だけど、今回はラスボスっていなかったよね」
翔花「最終試練を仕掛けてくる悪魔さんとは戦うことはないもんね」
NOVA「こういう作品って困るんだよな。最初にこの指針を決めたときは、こんな基準だった」
◎:能力的に強いボス。特に弱点もなく、プレイヤー側もガチのバトルで撃退しないといけない。『火吹山ふたたび』の復活ザゴールや、『死の罠の地下迷宮』の強敵連戦など、最強能力の主人公でダイス運にも恵まれないとクリアできない。
◯:普通のボス。ゴールまで行き着ければ、難なく倒せる。素で戦うと強いけど、アイテムなどの諸条件で弱体化するボスもここに含む。『火吹山の魔法使い』のザゴールや、『バルサスの要塞』のバルサス、『トカゲ王の島』のトカゲ王など、弱体化手段を見つけることも攻略の一環である。たいていのゲームブックでは、これぐらいのボスが普通である。
X:ボスと戦わない。アイテムを見つければゴールとか、情報を得ることが目的とか、最後に立ちはだかるボス敵がいないゲーム。『運命の森』や『さまよえる宇宙船』はこのタイプ。
NOVA「◎は2点、◯は1点、Xは0点で換算しているが、この条件に従うなら本作もボス戦がないのでXということになるんだな」
晶華「でも、ボスとは戦わなくても、道中で避けられない強敵の能力を準ボスとして計算できると思う」
NOVA「ああ、攻略必須アイテムを入手する際の敵の強さを考慮するのもありだな。他には、必須戦闘の回数や、敵の技術点と体力点の平均値から作品の戦闘難易度を考察する手法もある」
翔花「ラスボスは弱いけど、前座の中ボスが強いってケースもあるしね」
NOVA「では、本作の能力値の最強敵ベスト3を確認しよう。まずはクローヴィス編」
①氷の戦士(技術11、体力12)
雷のハンマーを持っている氷づけの戦士。逃げたらバッドエンドの危険もあるし、攻略上は無理に遭遇する必要がない。避けられるなら避けるべし。
仮に武器によって加算される技術点が原点を越えてもいい、という独自ルールを採用するなら、倒してハンマーゲットで強くなれるのだけど、基本的に武器で加算される技術点は原点を越えてはならないのが公式ルールですからね。武器で加算されるのが、技術点にボーナスを与える攻撃力と明記されていれば、嬉しいのですが。あるいは、最大値の12までは原技術点にこだわらずに加算していい、と独自裁定するといいのかも。
ともあれ、技術点を原点越えて増やせるなら、ハンマーと盾、赤い鎧でクローヴィスもかなり強化されるわけですが、公式ルールの原点縛りに忠実にプレイするなら、こいつを倒すメリットは微小なので、厳しい戦いを避ける方がいい、という結論になります。
②氷虫(技術11、体力10)
雪山で出会う蛇型の魔物。虫という訳語に問題があるが、英語はおそらくアイスワーム。ワームは虫という意味もあるが、ファンタジー界隈では足のないドラゴンである。
羊皮紙の1枚を戦利品に持つので、最後の試練の謎解きのためには、ほぼ攻略必須な敵ということになる。
洞窟の中で〈雪靴〉を入手していれば、技術点を2下げて戦闘できるので、倒すのが容易になる。
③ヒドラ(首1が技術11、体力4。他の2本の首は技術10、技術9で、体力点はそれぞれ4)
オークムート島の橋で遭遇。眠っているときに奇襲攻撃を仕掛けると、最強の首1がいきなり斬り落とせるので、戦いが楽になる。
クローヴィスの技術点が10以上なら戦って倒す方がいいし、9以下なら不利なので運だめしで戦闘を回避した方がいい。
もっとも、クローヴィスのルートでは、技術点10の巨人、サイクロプス、熊、教会の悪魔、ワイト、吸血鬼、火炎魔人などが登場するので、技術点9以下はかなり厳しいわけだが。
翔花「とにかく最強の敵でも技術点11だから、最初の技術点が11や12なら普通に倒せる敵だらけってことね」
NOVA「後は強敵でも必ず弱体化手段が用意されてあったり、必須戦闘ではなかったりするわけで、戦闘面では◎には及ばずに、◯と裁定するのが妥当だろうな。ザコでも技術点が8〜9というのがクローヴィス編の基準なので、最初の技術点が1ケタだと非常に苦労する。最低でも技術点10は確保しないと、戦闘がストレスになるので『戦士の書』を楽しめなくなるから注意だな」
晶華「次にロタール編だけど、実は戦闘面でもこちらが難しいのよね」
①九頭のヒドラ(技術12、体力12)
変身魔法で運悪くパワーアップしてしまったヒドラ。
めったに生じない事故だけど、万が一出現させてしまえば、最大技術点が10のロタールでは、どうしようもない難敵。
②ジン(技術12、体力10)
普通に遭遇する敵では最強で、しかも〈8の指輪〉を入手するために、遭遇は避けられない。
倒すためには、一撃必殺効果の〈エレクトロンの矢〉がほぼ必須。あるいは《のろま》の呪文で技術点を2下げて、何とか対等の争いに持ち込むか(こちらが最強の技術点10の場合)。
まあ、〈魔法のじゅうたん〉で逃げ出す方が最適解かも、という意見もある(その後の海賊イベントで、魔法発動失敗のリスクを冒さずに逃げられるようにするため)。
それでも、撃退した際の「戦闘呪文2回使用可」は魅力的なんだよなあ。
③黒騎士(技術11、体力8)
最大技術点が10のロタールにとって、技術点が10以上の敵は全て命懸けな難敵ということになる。
まあ、《のろま》で技術点を2下げて、ようやく太刀打ち可能か、というレベルだけど、その魔法が1Dで6を出して発動失敗するとギャーと悲鳴が上がる結果に。
そして、この黒騎士はバッドエンドの罠と同じで、パラグラフ選択で避けるべき敵なんだけど、なまじアイテムを落とすものだから、それが攻略必須アイテムの可能性を考えて、何とか倒そうと頑張るロタールもそれなりにいたと思われ。
なお、同じ技術点11だけど、体力点4の悪霊とその前に戦っていて、技術点11の難敵が連続出現するのがペレウス王国ルートである。今にして思うと、危険の多い外れルートだったんだなあ。
さらに、技術点11の強敵が、魔女ハンターのドラジェシマ。彼には魔法が通じないという特徴ゆえ、魔法で相手の技術点を下げるという前提で強敵の能力が設定されている、と思しきロタールにとっては、最大級の難敵と言ってもいい。体力点は6のため、能力的に黒騎士よりは弱いが、弱体化されないという性質のために、実質的に最強ボスと言ってもいいかも。
NOVA「ロタール編は、ザコの技術点が6〜7とクローヴィス編よりも弱いので、そこは問題ないんだが、技術点10以上の難敵もしばしば出現するので、いかにそういう相手と戦わないルート選択をとるかが攻略の鍵となる。姑息に、クレバーに立ち回る魔法使いらしさをイヤでも味わえる仕様だな」
晶華「明らかに、『魔法使いの書』の方が難易度が上ね」
NOVA「クローヴィスと比べても、技術点で格上の敵が続出するという意味で、戦闘難易度が◎と認定してもいいだろう。おまけに命綱の魔法が、6分の1で発動失敗というリスクを常に抱えているうえ、魔法点の回復手段も乏しいので余裕を持った無駄遣いもできない。一人旅の不安さはクローヴィスの比ではないと思われ」
●結論1:戦闘難易度は、クローヴィス編が◯、ロタール編が◎。
その他の難易度の話
NOVA「次に、難易度を決める2つめの要素として、『全体的に罠が多くて死にやすい』というのがある。これは単純にバッドエンド・パラグラフの数で測定できるから、本作の場合、クローヴィス編もロタール編も◎でいいだろう。ロタール編の場合は、◎+に認定してもいいぐらいだが、彼の場合は『魔法発動に失敗』というケースでのバッドエンドで水増しされているというシステム面での問題を考慮して、罠自体の数はクローヴィス編と同程度と考えた」
●結論2:致命的な罠の数量による死にやすさは◎。
NOVA「3つめに『パズル構造の複雑さ』が、ゲームブックの難易度の要素として考えられる」
晶華「パズル構造の複雑さって?」
NOVA「例えば、ゲームブックを読み物として楽しむ場合、一番楽なのはダイスを振らず、『戦闘は全て勝った。判定は全て成功した。必須アイテムは全部入手した』とご都合主義的に考えて、どんどん話を読み進めていくという手法もある」
晶華「それって邪道よね」
NOVA「それでも解けない仕掛けが用意されているのが、パズル構造ってものだ。例えば、FF第1作の『火吹山の魔法使い』は初心者向きの簡単なゲームとされているが、2点のパズル的仕掛けが用意されている。
「1つは終盤に入る前の迷路で、出口を見つけるためにパラグラフ番号をメモしたり、フローチャートやマッピングみたいな解析作業を要する。もう1つは、ラストに3つの鍵に記された数字を合計して、宝箱を開く必要がある。入手した鍵の数が足りなかったり、間違った鍵を使った場合はバッドエンドになる。正解の鍵3つがダンジョンのどこに隠されているかを探し回るのもゲーム性って奴だ」
翔花「パズル性のあるゲームは、手がかりを紙やノートにメモしておかないと、読むだけでは攻略しにくいってことね」
NOVA「必須アイテムがどこで見つかるのかも重要要素だが、それは5つめの『フラグ管理の困難さ』と考えている。ここでのパズル構造は、例えば隠し扉を開けるための手がかりとか、隠しルートの情報とか、パラグラフ・ジャンプや数字の組み合わせを駆使した仕掛けだな。ズルして、入手していないアイテムを持っていることにしても、そこに記された数字などの情報は見つけていないと分からないので、『ひすいの指輪を持っているか? 持っているなら23へ進め』という選択肢と、『ひすいの指輪を持っているなら、そこに刻まれた数字に5を加えたパラグラフへ進め』という選択肢だと、後者の方がパズル構造の難易度が高いということになる」
晶華「前者なら、指輪を持っていなくても、23に進む文章は読めるけど、後者は指輪を見つけていない場合、数字情報込みで探さないと先へ進めない、と」
NOVA「で、本作の場合、クローヴィスは4枚の羊皮紙に示された数字が必要になるし、ロタールは〈1の指輪〉と〈8の指輪〉を入手するのが最低限必要だ。ただ、このパズル構造はFFゲームブックではせいぜい普通程度で、◯と認定する。とりわけ、一人旅ルートだと高い確率で見つけることができる。問題は2人用の同行ルートを考慮に入れた場合、ルート選択そのものが錯綜したパズル構造になって、一気に複雑化することだ」
翔花「一人旅だけだと簡単なことが、同行ルートを加えた場合、話がややこしくなるってことね」
NOVA「一人でじっくり試行錯誤を重ねるパズルの楽しさが、2人だと機能しにくいということもあるな。21世紀のパズルゲームには、みんなで意見を出し合ったり、相談することで試行錯誤を共有できるシステムの作品も多いが、本書の書かれた86年にはまだそこまでアナログのパズルゲームは発展していなかったと思う」
晶華「本作は、対戦ではなくて協力ゲームの走りだけど、まだ完全とは言い難い実験作って段階ね」
NOVA「日本のアナログゲーム史だと、ここからTRPGの協力ゲームに発展紹介される流れがあって、2人用の協力ゲームというジャンルが上手く育たなかったという」
翔花「それでも、2人でプレイする場合、相手が追いついてくるのを待機したり、気絶した相手を起こす際に、進むべきパラグラフ番号を教えたりすることで、ちょっとしたキャッチボール的な絡みをシステムが用意してくれているのね」
NOVA「お互いに情報交換するやり取りを本が提供するのが本作の特徴だな。それを解析すること自体が、俺的には面白いパズルだったとも言える」
●結論3:パズル構造は、一人旅で進める分には割とシンプルで◯だが、2人プレイになるとルートが錯綜して複雑化するので◎扱い。
NOVA「4つめに『システムの難しさ』がある。FFシリーズの基本は、戦闘も一般判定も技術点で判定し、HP的な体力点と、使えば減少する運点の3つが基本で、それに基づくシンプルなシステムをX(0点)と計算している」
翔花「戦士のクローヴィス編は、Xってことね」
NOVA「一方で、ロタールの使う魔法のように作品ごとの追加ルールが1つ加わると、◯扱いだ」
晶華「魔法使いのロタール編は、難易度+1だ、と」
NOVA「そして◎は追加ルールが多い作品。例えば、『さまよえる宇宙船』のようなSF作品は、通常の白兵戦の他に、銃を使った射撃戦、宇宙船戦闘、そして複数キャラクターの使用など、一気にルールが増えた実験作として◎扱いだな。同じスティーブ・ジャクソンの『サイボーグを倒せ』も4種類のスーパーヒーローの特殊能力によって、4種類の攻略方法があるという非常にプレイバリューの高い傑作だ」
翔花「テーマ的にもNOVAちゃんの大好物だもんね」
NOVA「実は80年代当時には、アメコミに詳しくなかったので、スーパーヒーローのイメージが宇宙刑事だったりする。そうなると、日本のスーパーヒーローが割と万能で何でもできる傾向があったから(戦闘能力が高くて、空も飛べて、飛び道具も普通に撃てて、特殊装備もいろいろ持って、時にはサイコキネシスやテレパシーみたいな超能力さえ有しているなど)、ゲームブックの単機能型ヒーローが何だか物足りない感じに思えたりした」
晶華「宇宙刑事を基準にしちゃうとね」
NOVA「90年代にXーMENが日本でメジャー化した辺り(本国での誕生は60年代だけど日本への紹介は20年以上後になった)から、改めて多彩な超能力を持った超人チームというのが定着したり、TRPG的な役割分担に馴染んだこともあって、21世紀のスパイダーマンやその後のアベンジャーズなど、いろいろアメコミヒーローのモデルが分かるようになって、『サイボーグを倒せ』の本当の面白さを実感するようになったのだと思う。やはり、インターネットもない時代の高校生の俺じゃ、元ネタへの知識が欠けていたから*1、楽しみきれていなかった作品だった、と」
翔花「それを楽しみ切った攻略記事がこれだ、と」
NOVA「それに匹敵するぐらい力を注いだのが、今回の『王子の対決』だと思っているが、この2人用の独自システムを、『システムの難しさ』に含めるかどうかを少し悩んでな」
晶華「クローヴィスの状態と、ロタールの行動の2つの数字を絡めて、互いの物語に影響を与えるシステムね」
NOVA「80年代は割と斬新なシステムだと思ったけど、90年代に入ると、スパロボEXのISS(インタラクティブ・シナリオ・システム)とか、バイオハザード2のザッピングシステムなど、複数主人公制で、片方の主人公の行動が別の主人公のシナリオ展開にも影響を与える相互作用的な分岐がメジャー化したと思う」
翔花「コンピューターゲームの容量が増えたことで、シナリオの複雑な分岐ができるようになったのが90年代ってこと?」
NOVA「まあ、90年代のゲームシステムの進化は特筆に値すると思うな。それはそれとして、『王子の対決』の状態と行動のフラグ立てシステムは、プレイヤーの処理がシンプルで負担にならないから、プレイ難易度はさほど上がらない。解析難易度はルート分岐がややこしくなるので結構難儀したから、個人の心象としては難易度をさらに1段階上げたくもあるが、プレイそのものに負担を上乗せするほどではないと慎重に判断して、難易度を高くは勘定しないって結論だ」
晶華「プレイ難易度と、解析難易度は意味が異なるってことね」
●結論4:システム難易度は、魔法を使わないクローヴィス編がFF標準ルールでX判定。魔法使いのロタール編は◯判定。2人用の状態行動システムは、プレイ難易度を大きく変えるほどではない(シンプルながら奥深いシステムではある)ので、計測はせず。
NOVA「最後に『フラグ管理がややこしい』というのは、主に攻略必須のアイテムその他の情報総数を基準とする。要するに、戦闘以外でゲームを攻略するために必要なアイテムや情報の入手難易度だ。必須アイテムが多いほど、攻略難易度が上がるわけだが、本作の場合、謎解きの手がかりである羊皮紙や指輪が最大4つあるものの、全部集めなくても問題ないし、入手アイテムも使う機会がそれほど多くない。
「アイテムはそれなりに出てくるけど、アイテムゲームとしてはさほど面白くない(あれば便利なこともある。なくても攻略は普通に進められる)うえ、情報収集もそれほど重要ではない。むしろ突発的な事故で死ぬことの多いゲームで、フラグを積み重ねて段取りを楽しむゲームではないから、一応、◯程度の認識だ」
晶華「フラグ管理がXってのは?」
NOVA「どんなルートを通っても、死にさえしなければ最後まで行き着けるゲーム。攻略必須アイテムもほぼ皆無で、『このゲームをクリアするには、このルートを進んで、このアイテムを入手しないといけない』という縛りがほぼないゲーム。FFだと、大抵3つか4つは攻略必須アイテムや情報があって、それを入手できるルート探しが攻略の本質だと考える。そういう要素があまりなくて、単に出会った敵を倒して、どのルートを選んでも普通にゴールまで行き着けるゲームは、フラグ管理が必要なく、単にその場その場のイベントを楽しみ、処理するだけとなる。
「一方、ルート選択が非常にシビアで、間違ったルート(攻略必須アイテムが入手できない)を選ぶと、詰んでしまうゲームは難易度が高い。道中に遭遇する敵や罠の凶悪さで外れルート認定するケースもあるが、そういう意味ではなくて、アイテムや情報入手というフラグをしっかり立てないと、力押しで危機を乗り越えるという脳筋プレイが成立しないのが◎だな。攻略に必要なアイテム総数が多いとか、入手に一定の段取りが必要で、とか複雑なことを考えないといけないゲーム」
翔花「ええと、魔王を倒す伝説の剣を見つけるには、とあるダンジョンの奥の扉に合言葉を唱えないといけなくて、その合言葉を知ってる賢者のところに赴いて、彼の求める薬草を入手しないといけなくて、薬草のある森で迷わないようにするためには、案内人の狩人の娘の協力が必要で、その娘が山賊に捕まっているから助けないといけないとか、ストーリーがいろいろ連結していくゲームってこと?」
NOVA「一定のストーリーラインがあって、縛りが多いゲームだな。イベントごとの攻略順番がガチガチに決められていて、一本道を辿らないといけない自由度の薄いゲーム。90年代以降のコンピューターゲームは、一応のストーリーラインを用意しつつ、寄り道的なミニゲームやサイドストーリーをいろいろ用意したり、マルチシナリオで攻略順番を自由に決めることができるとか、世界中に隠された5つのキーアイテムを求めて、探し回るゲームとか、ラスボス退治のゴールだけを達成するのなら途中の過程は自由なゲームとか、いろいろあるが、80年代のゲームブックの場合は、そこまでの自由度はないので、基本は一本道ということになる」
晶華「当たりルートと外れルートを見極めて、何度かの失敗バッドエンドを経験したりもしながら、最適解ルートを見つけ出して、最後まで行き着けたらゴールってことね」
NOVA「来た道を引き返して、入手し損ねたアイテムを後から取りに行くということがFFではできないから*2、攻略必須アイテムが多いほど、正解までの道筋が一本道に限定されて、自由度が制限されることになる」
翔花「当たりと外れがしっかり分かれている場合、順調に当たりを選んだら、わざわざ外れルートを進みたいのって、よほどの物好きか暇人ね」
NOVA「物好きではあるが、暇人ではないはずなんだがな(苦笑)」
晶華「30年以上も昔のゲームブックの解析記事を書いて悦に入ってるなんて、世間一般では暇人と思われても不思議ではないわ」
NOVA「まあ、昔やり損ねたことを、余力があるうちにやり尽くしておきたいという青春の残務処理が、半分ライフワークというか生き甲斐みたいになっている気がする。やるなら徹底的に、という凝り性も加わってだな。そこに実益が加われば最高なんだが、趣味人って実益度外視の自己満足研究に現を抜かすことも多々あるのではないか」
翔花「それでNOVAちゃんが幸せならいいんだけどね」
NOVA「少なくとも、やり切った男の充実感ぐらいはある」
●結論5:フラグ難易度は、FFゲームブックでは標準の◯。一応、羊皮紙と指輪の数字情報という縛りがあるからね。そこを度外視するなら、割と自由度の高いゲームで、ルート分岐もいろいろあって、普通では遭遇しにくい隠しイベントもいろいろあって、解析作業による発見がいろいろあって楽しかったです、ハイ。
NOVA「では、総合すると、クローヴィス単独が◯◎◯X◯で5点。ロタール単独が◎◎◯◯◯で7点。これに2人プレイのルート選択の複雑化を加えると、3つめの◯が◎になるので、クローヴィス6点、ロタール8点になる」
晶華「10点満点でそれってことは、本当に難しいってことね」
NOVA「なお、これまでの記事書き攻略済みゲームブックの難易度はこうなる」
・8:火吹山の魔法使いふたたび、モンスター誕生
・7:地獄の館、天空要塞アーロック、サラモニスの秘密、奈落の帝王、王子の対決(魔法使い)
・6:バルサスの要塞、危難の港、サイボーグを倒せ、死の罠の地下迷宮
・5:さまよえる宇宙船、アランシアの暗殺者、真夜中の盗賊、王子の対決(戦士)
・4:雪の魔女の洞窟
・3:火吹山の魔法使い、魂を盗むもの、トカゲ王の島、巨人の影
・2:盗賊都市、運命の森
NOVA「2人プレイによるルートの錯綜化は、どちらかと言えば、解析を困難にするだけだったし、実プレイだと2人で相談という難易度を下げる心理的作用も働くから、他のソロプレイゲームブックとの兼ね合いでスルーした。事実、『王子の対決(魔法使いの書)』が、『火吹山ふたたび』や『モンスター誕生』並みに難しいかと考えたら、死にやすいゲームだけど、そこまで難しいとは思えないという主観込みだな」
晶華「せいぜい、『地獄の館』や『アーロック』と同じだと」
NOVA「それでも難しい作品群だな。一方、『戦士の書』は『さまよえる宇宙船』や『アランシアの暗殺者』と同じレベル。まあ、何にせよ、2冊の書を読み比べながらの攻略解析記事だから記事書き難易度は非常に高かったという実感だな」
翔花「おつかれさま」
NOVA「あと、ロタールの魔法リストも仕上げたいんだが」
晶華「長くなったので、記事を分けましょう」
(当記事 完)
