Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

水戸黄門第43部3話&4話

 とりあえず、隔週で書いてみる。
 毎週だと、それほどネタがないけど、2週に1度だと何か書けるだろうし。

3話

 これは、普通に面白かったです。
 この「普通に」というのが問題で、見るだけなら楽しかった、で済むんだけど、ブログ記事にしようと思えば、掘り下げるのに困る回、ということになる。


 ええと、5代将軍・綱吉さんの「生類憐れみの令」にまつわる話で、「犬」と「馬」と、それから「幼な娘」を大事にしようって回。
 まあ、動物と子役をテーマにした話は、ドラマとして、あまり外れがないと思うわけですが、この安定した完成度ゆえに下手な批判をするのも大人気ないと感じるわけで。


 あ、この回のポイントは、悪役がずいぶん非道だということ。
 「生類憐みの令」のために、鷹狩りが禁止されたことで、弓好きの代官がストレスを溜めている。そのため、終盤、人間を的に弓矢を射るようなサディストぶりを発揮。
 「ハハハ、早く逃げろ。逃げないと射殺されるぞ」と痛ぶりながら、ヒュンッと矢を放ち、足元をかすめさせたりする描写は、「おお、水戸黄門にしては、悪役が残酷じゃん」と思いました。
 当然、殺害には及ばず、まあ平和的な解決で終わるのですけど。


 あとは、悪人に利用されながらも、見捨てられたお犬様を「弥七が哀れに思って助ける」描写。
 ドラマのメインは「馬」の方なんだけど、細かいことまでフォローをして、遊んでいるキャラが一人もいない、その点ではいい脚本だと思いました。

4話

 で、3話に比べると、どうもなあ、という話。
 いや、メインは「自害して果てた女の幽霊」が助さんに頼みごとをしたことが縁で、という、この時期らしい怪談一発ネタなんですけど、
 おかげで、助さんしかドラマに絡めなくなってしまったという。
 弥七と楓は、まあ、背景情報を収集する役どころで見せ場はあったんですが、格さんはひたすら幽霊に怯えるコメディー役で、もっとも厳しい立場なのが御老公。間接的に情報聞いて、コメントを口にする程度の役どころ。
 水戸黄門と幽霊話が、いかに相性悪いかが、よく分かりました。


 そもそも、幽霊が化けて出るってことは、「晴らせぬ恨みを晴らしてください。さもないと、自分で晴らしますから」という怨念話を想像します。
 つまりは、こういうことだ(笑)。
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 でも、水戸黄門だと、「恨みを晴らします」って話は基本、禁じ手なので、幽霊も「私は先にあの世へ行ったけど、大好きなあの人には生きて欲しいの。だから恨みを晴らすなんて、バカなことは考えず、どうか止めてやってください」って頼みごとになってしまう。
 だったら、「自害なんてするなよ、女幽霊さん」と、ツッコミどころ。


 だからと言って、これが自害じゃなくて「悪人に殺された」ということだと、その悪人を誰が裁くか、という点で、水戸のご老公には手に余る話になる。つまり、ご老公って、叱ることはできるけど、厳しく罰することはできないんですね。権威はあるけど、権力を持っているわけでもない立場だし。
 だから、人死にが出る前に事件を解決するのが、ドラマ的な落としどころなんだけど、幽霊を(狂言とかではなく)登場させた段階で、その前提条件を崩してしまった。


 で、ドラマの中心は、女幽霊の許婚だった松村雄基の侍。
 ええと、彼も一応、仮面ライダーですな。それも、幽霊にまつわるライダー幽汽。
劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン コレクターズパック [DVD]仮面ライダーバトル ガンバライド 幽汽 【スペシャル】 No.2-047
 だから、死んだ女の恨みを晴らすため戦う剣客という設定は、好みなんですけど、ご老公側がそれを止める立場なので、いろいろな点で盛り上がらない。
 しかも、敵役さんからは「ただの逆恨み」と言われ(じっさいにそのとおり)、語られる限りは、あまり悪いことをしてないんですね。ええと、借金の肩代わりをして、親友の許婚に手を出して、代官の立場を手に入れたぐらい? で、許婚が自害して果てた? だから親友が怒って斬りかかって来るのを、どうやって解決しようか、策を企てている? 
 ただの痴話喧嘩の延長でしかない。別に権力を使って、民衆を苦しめているとか、そういう話じゃないので、ご老公が介入する謂れがないんですね。


 そういう話の場合、ご老公を動かす原動力は、ふだんなら「庶民との人情的触れ合い」になるわけです。お世話になった清く貧しい天晴れな庶民が、悪党の卑劣な振る舞いに苦しめられているから、一肌脱ごうか、という話なら納得できます。
 でも、今回はその対象が「自害した女幽霊と、その許婚の暴走侍」。人情的触れ合いがまったく欠如していて、ドラマ性が破綻している次第。
 せめて、その幽霊が「世話になった旅籠の娘さんだった」とか、そういう関わりでもあればいいのですけど、「恨み晴らします」的な話にしないため、直接的な縁は一切与えられない。


 というわけで結論。水戸黄門で、怪談話を考えた時点で、失敗だったと。
 幽霊話って、もっと暗くて、怖くて、哀しい要素が必要なのに、そういうものは水戸黄門とは相性悪くて、しかも格さんの幽霊嫌いを強調しすぎてコメディーにしちゃったものだから、幽霊というギミックがまったく生きなかった、と。


 だから、口直しに「うらごろし」のDVDを堪能した次第。
 幽霊出すなら、「一太刀浴びせて一供養、二太刀浴びせて二供養。合点承知の必殺供養」じゃないとね。