旅の2日め
クローディア(翔花)「前回、アナランドを出発した勇者のわたしは、カントパーニの交易所で、精霊を宿した剣+1を入手。EJと名乗った精霊剣は、わたしが未来の女王になると予見して、そのためにマンパンの大魔王を倒す協力をする、と約束してくれた。
「カントパーニを出たわたしは、エルヴィンの追いはぎにあったというお爺さんを助けて、イタズラ妖精に天誅を加えることを約束した。そのエルヴィンらしき妖精と夜中に川辺で遭遇したんだけど、お爺さんをイジメた追いはぎかどうかは判断つかず。幻術でからかわれたりはしたものの、ただのイタズラで、追いはぎまでするほど悪い連中には思えなかった。また会って、詳しい話を聞きたいところだけど」
晶華「エルヴィンと再び遭遇するかどうかは、今後の選択肢次第ね」
クローディア「EJや、グランドラゴルの斧に尋ねてみます。どこに行けば、エルヴィンを見つけられるかって」
009「斧の精霊は答えてくれない。一応、ぼくはソーサリーの経験者だが、何もかも話すつもりはない。まあ、少しぐらいは誘導するのもありかもしれないが」
晶華「私はディレクター役として、パラグラフの先をチェックぐらいはするけど、お姉ちゃんは何も知らないプレイヤーとして、試行錯誤でプレイを進めて欲しいのよ」
クローディア「何も知らないのは、わたしとジュニア君かあ」
ジュニア「いいえ。リウは導きの剣として、こういうものを読むように言われましたぁ」
クローディア「それは、AFF用のソーサリー・シナリオね」
009「本攻略記事では、ゲームブックをプレイしつつ、TRPGシナリオと比べてみるのも面白いと思ったんだ。ジュニア君のEJは、TRPGシナリオを手掛かりに、クローディアのプレイを誘導してもらうのもありか、と」
ジュニア「項目1では、カントパーニの門でサイトマスターさんに見送ってもらえますし、項目2では、カントパーニの村でゲームブックと同じアイテムを購入できますぅ。違うのは、アイテムを購入したときも、旅先の情報を教えてもらったり、保存食を買ったりできることですねぇ」
クローディア「ゲームブックよりも、TRPGシナリオの方が融通が効くみたいね」
ジュニア「項目3では、カントパーニ郊外で木の上の老人と遭遇して助けることができますねぇ。その後、谷に下る道は項目4番。やはり、夜営の時にエルヴィンたちと遭遇しますぅ。TRPG版では、エルヴィンがイタズラに使う魔法の細かい設定とかも記されて、ディレクターがプレイヤーをからかって遊べるようになっていますよぉ」
クローディア「それは気になる。どんな魔法?」
ジュニア「相手を持ち上げて、地面に落とす《跳ね飛ばし》の魔法や、武器使用を難しくさせる《不器用》や、言葉を不自由にする《たわごと》などですぅ」
クローディア「それは……ずいぶん厄介じゃない?」
晶華「ゲームブックでは、そこまで具体的な能力は書いてないわ。TRPGの方が、エルヴィンは凶悪なことができそうね」
ジュニア「とにかく、ここまでのゲームブックイベントはTRPGでも大体、再現されているみたいですねぇ。これを攻略本の代わりにチェックすると、十分案内役が務まりそうですぅ」
クローディア「だったら、迷ったときにEJの導きを頼ることにするわ」
●女戦士クローディア(2日め朝、パラグラフ148番)
・技術点11(剣ボーナス+1)
・体力点21
・運点12
・金貨3枚
・食料1食
・所持品:背負い袋、普通の剣、上質の幅広の剣+1(精霊EJが宿っている)、グランドラゴルの斧(233)、呪文書(害虫よけ)の1ページ(102)
・手がかり:自由の鍵にまつわる詩(黒い目のもの)
エルヴィンの集落
晶華「パラグラフ148番です。2日めの朝、川沿いの道を進んでいくと、吊り橋にやって来ました。このまま川沿いに進んで行ってもいいですし、吊り橋を渡って、小さな丘を目指すこともできます」
クローディア「どっちに進んだらいいか、EJに導いてもらいましょう」
EJ(ジュニア)「え? ええと……」
クローディア「分かれ道で、EJを地面に立てて、倒れた方向で決めるわ。ゲーム的にはサイコロ1個振って、1〜3が出たら川沿いルート、4〜6が出たら橋を渡ります。(コロコロ)5。よし、橋を渡るわ」
EJ「! そのサイコロをひっくり返して、2にしますぅ。物語的には、橋を指すように倒れたと思ったら、精霊の力で何とか川沿いを指しますよぉ」
クローディア「え、何?」
EJ「とにかく橋を渡ろうとするクローディアさんを、剣が強引に引っ張って、橋を渡らせないようにしますぅ」
クローディア「ちょっと、どういうこと? 橋を渡ったらダメってこと?」
009「まあ、解説すると、その橋を渡ると非常に高い確率でバッドエンドを迎えることになる。試しに覗いてみるのもいいが、それは後からIFルートの楽しみにして、ぼくもここでは危険を避けて、川沿いの道を進み続けることを勧める。
「なお、NOVAが本作を初プレイしたときも、橋を渡って、いきなり死んだ。何も知らない純粋な少年だったNOVAくんは、しばらく呆然とした後、キャラを作り直して最初からやり直した、と記憶する。今だと、そのパラグラフを見なかったことにして、違う選択肢を選び直しただろうけど、この橋を渡るとバッドエンドの嵐に見舞われて、リカバリーが非常に困難なんだな」
晶華「それって、いわゆるデッドエンドブロックってことね。一度、そこに入ると、どういう選択肢を選ぼうともバッドエンドは免れない。バッドエンドを回避するには、ずいぶん前から選び直さないといけない。まさか、最初期から、こんないやらしい罠を仕掛けてくるなんて、イギリスのスティーブ・ジャクソン恐るべし」
009「FF初期作では、リビングストンよりもジャクソンの方が難易度高かったんだな。リビングストンが殺意の波動に目覚めるのは、第6作『死の罠の地下迷宮』(84年)以降の話で、83年時点では『バルサス』『ソーサリー1』『さまよえる宇宙船』で、本国ではジャクソンのバッドエンド地獄が評判だった……らしい」
クローディア「ジャクソンさんのゲームブックって難しいんだ」
009「その中では、『ソーサリー1』っておとなしい方だけどな。バッドエンドさえ避けられたら、攻略必須アイテムはないので、一応はどのルートでも解ける。ラストのマンティコアを倒せるならな」
クローディア「橋を渡ったら死ぬ。どんな死に方をするかは、後でチェックするとして、今はEJの懸命な導きに従って、川沿いに進むわ。エルヴィンと出会うのはこっちでいいのよね」
EJ「その通りですぅ。なお、TRPG版の表記では、橋を渡った項目5が『首狩り族の村』、川沿いに進んだ項目6が『打ち捨てられた集落』になってますぅ」
晶華「では、橋を渡らずに進み続けると、小屋が何軒かある村に行き着きました。小屋に囲まれた中央の広場には、焚き火があって、煙が立ち上っていますね。だけど、人の姿は見えません。村に入りますか? それともスルーして、道を離れた藪(やぶ)を通って、丘に登ってみますか?」
クローディア「そういう選択肢で、わざわざ初見で藪の中に入りたがるプレイヤーは珍しいと思うけど? 普通は村に入るでしょう。できれば、食べ物を提供してくれないかなあ」
晶華「村に入りました。小屋を覗いてみますか? それとも村人がいないか呼びかけてみますか?」
クローディア「勝手に小屋を覗いて回るのは不作法だから、とりあえずは声をかけてみるわ。反応がなければ、小屋に入って、タンスやツボなんかを漁(あさ)るのも勇者の道だけど」
009「NOVAがソーサリーを初プレイしたのは86年。ちょうど、ドラクエ1が発売された時期とかぶる」
クローディア「日本のRPGというゲームのジャンルが黎明期から、一躍メジャー路線に昇る頃合いってことね」
晶華「ドラクエ1の頃は、まだタンスを漁るってシステムはなかったそうよ」
009「タンスの中にアイテムが入っているのは、ドラクエ4からだな。つまり、ロトの勇者や子孫は元々、タンスをあさる泥棒勇者じゃなかったんだ(リメイク版を除く)。泥棒勇者の起源は、天空勇者と導かれし者たちから、ということになる」
クローディア「違う世界の勇者の話は置いておいて、わたしは食べ物をくれないか、と村人を探す。人の物を勝手に持っていくほど、育ちは悪くないので」
晶華「すると、村の中央の焚き火に近づいた辺りで、急に目まいを感じます。気づいた時には遅かったみたい。炎から立ち上る煙を吸ったことで、意識が朦朧として、あなたはその場に倒れてしまいました」
クローディア「バタンキュー……って何それ、ひどい!?」
晶華「意識を取り戻すと、あなたは小屋の中で手を縛られていました。もがいていると、扉のそばで見張っていたエルヴィンが仲間を呼びます。どうやら、あなたはエルヴィンたちに捕まったようです。この村はエルヴィンの集落だったんですね」
クローディア「ええと、わたしはクローディア。リーブラ様の使徒で、あなた方に害意は持っていない。この縄から解放してちょうだい」
晶華「エルヴィンは、あなたが魔法使いか、と尋ねます」
クローディア「魔法は使わない」
晶華「つまらないと言いたげな顔をして、エルヴィンはあなたの持ち物をあさり始めます。気に入った物があれば、奪いとる気が満々ですね」
クローディア「分かった。例の追いはぎって、こいつらのことね。そんなの許せない。EJ、何とか動いて、縄を切って。こいつら、みんな叩き斬ってやる。女王らしい殺意のオーラに目覚めるわ」
晶華「女王らしい殺意……って違うゲームのリプレイよ。とにかく、あなたが持っているアイテム一つ一つにつき、運だめしをしてください。成功すれば、そのアイテムは持って行かれずに済みます。ただし、この判定で運点は減らさなくてもいいです」
クローディア「それって、運点12のわたしは全部成功なんですけど?」
晶華「そうね。あなたの殺意のオーラ、にビビったのか、女神の加護か、勇者の威厳か、とにかくエルヴィンたちはあなたから物を奪うことを避けたようです。何も奪われることなく、クローディアは解放されます」
クローディア「実害がなかったなら、暴れる必要もないわね。さっさと村を後にします」
晶華「川岸に沿って、さらに進むと橋がまたありました。今度は橋を渡って、小高い丘に続く林に入ると、木の上に無数のエルヴィンが潜んでいて、あなたに次々とドングリを投げつけてきます」
クローディア「ドングリか。イガ付きの栗を投げられなくて、幸いね」
晶華「度重なるドングリの攻撃で、3点ダメージを受けます」
クローディア「ちょっと!? 何で、ドングリがそんなに痛いのよ?」
晶華「きっと、何らかの魔法がかかっていて、投石みたいに固くて重さがマシマシなのよ」
クローディア「ふえ〜ん。急いで走って、エルヴィンの領域から逃げ出します。わたしが女王になったら、イタズラ妖精に罰を与える法令を出すわ。エルヴィンのイタズラに悩まされているシャムタンティの旅人の窮状を何とか解消しないと」
晶華「そんなわけで、エルヴィンのイベントはこれで終わり。あなたは大きな被害なく、次の村クリスタタンティに到着します(パラグラフ28番)。ひとまず、ここで休憩しましょう」
クリスタタンティまでのIFルート
さて、多少の被害を伴いながらも、クリスタタンティに行き着けたクローディア。
ここに到達する前に、彼女が選ばなかったルートを再確認しておきます。
①首狩り族のイベント
まず、エルヴィンの集落ではなく、最初の橋を渡った場合。
これが先述のように「首狩り族の村」に通じる恐怖のバッドエンド地獄になっています。
足を止めて保存食を食べる選択肢を選ぶと、吹き矢が飛んできて、いきなり毒によって気絶し、首を狩られてバッドエンド(272)。
道を進み続けると、落とし穴。ここで運だめしをして成功すると、落とし穴に落ちずに済みますが、次のパラグラフ170番で、杭の罠が心臓に突き刺さって、唐突な死を迎えることに。NOVAのFFシリーズ初の死亡事故がこれでした(遠い目)。
どうして、運だめしに成功した方が、死亡直行なんだよ!? と理不尽さに心の中で叫んだのも、今だに忘れられない39年前の思い出です。
来年がNOVAのFFゲームブックプレイ40周年になるんだなあ。
運だめしに失敗、あるいは運だめしをわざとせずに落とし穴にはまると、気絶して首狩り族に捕まることに。そのままだと脱出不能で、首狩り族の鍋に煮られて、美味しく召し上がられてしまいます(242)。
唯一の助かる方法が、1回だけ使える女神リーブラの加護を求めること。女神の奇跡で、大雨が降って、鍋を煮る火が消えて、縛られた縄も緩んで脱出成功。
その後は、1Dの出目でランダムに3つのルートが待っています。
- 1〜2:パラグラフ68番。シャンカーの鉱山へ。
- 3〜4:パラグラフ13番。スカンク熊と遭遇。それを切り抜けると、クリスタタンティへ。
- 5〜6:パラグラフ98番。エルヴィンのドングリイベント。
とにかく、首狩り族の集落に向かうと、女神リーブラの貴重な加護を消費しない限り、連続バッドエンド地獄から脱出できないという、シャムタンティ丘陵の危険地帯その1ですな。
なお、TRPGシナリオでも、首狩り族の村は採用されているけど、さすがに即死罠は削除されています。回避不能の罠で即死すると、ディレクターがプレイヤーのブーイングを招くことは間違いないでしょうね。
それでも迷い込んだ場合の脱出は困難で、戦いになった場合、キャラクター1人につき4〜5人の首狩り族と戦わないといけません。AFFの場合、敵の攻撃のダイス目が2Dで12が出た場合、クリティカルで即気絶というゲームシステムなので、敵の数が多いほど、出目による事故が多発しやすい傾向があります。*1
プレイヤーキャラが4人の場合、それぞれ5体の敵が襲って来たなら、ディレクターは20回もダイスを振る計算になります。20回振れば、結構な確率で6ゾロが出るので(今、試しに振ったら、15回めで出た)、毎ターン誰かが気絶させられるという絶望的な戦いがあり得ますな。
大体、TRPGの場合、範囲攻撃なしに3倍以上の頭数の敵と戦うのは危険が大きいというのが、ゲームバランス的にも定石かと。
ともあれ、AFFの首狩り族イベントでは、敵に見つからないようにこっそり逃げるか、原作ゲームブックどおり神に祈るか、プレイヤーが何かのアイデアを出すことを推奨していました。アイデア例として、《GOB》の魔法でゴブリンを召喚して、それを囮にして自分たちは逃げ延びるとか。
まあ、魔法の使用(特に幻術)で何とかできそうな気もしますが、ゲームブックだと「捕まった状態で魔法を使おうとしても、腕が自由にならないので魔法が使えない」という裁定でした。
結論。首狩り族のルートは、避けるべし。
②エルヴィンの集落
小屋を調べることなく、あっさり捕まったクローディア。
だけど、小屋を調べる選択肢が結構、充実していて、まず建物がカーテンの色で、赤、緑、茶色の3つに分かれています。
赤いカーテンの小屋では、2つの箱があって、箱の中に潜んでいた精霊マナンカに呪われたり、54と書かれた鍵を金貨5枚とともに入手したり(中にサソリも入っていて、リスクもあるけど)。
緑のカーテンの小屋では、笛の音が聞こえて眠くなり、エルヴィンに捕まることに。あるいは、自分が竹笛を持っていれば、いっしょに演奏するという選択肢も選べて、体力と運が回復します。
茶色のカーテンの小屋では、ウルフハウンド(技7、体6)とバトルになって、倒すと《宝石付きの首輪》が入手できます。
いずれを選ぶにしても、ゲームブックではどれか一つのイベントしか選択できず、54の鍵と首輪の両方を入手したりはできない仕様。まあ、首輪は何の役に立つか分からないけど。
これだけだと鍵の入手が最適解のような気もしますが、それよりもNOVAが最適解だと考えるルートは、次の集落を避けた場合。
③集落を避ける道
こちらは道を外れて、藪に入ったときに、透明の「二股の尾の蛇」(技7、体8)と遭遇。
抵抗すると相手の正体が分かって、バトルで切り抜けることもできますが、実はこの蛇、安全な道を誘導してくれるように振る舞うので、敢えて抵抗しない方が正解という(運+1)。その場合、相手は姿を消したままなので、正体不明の謎を残したままで、スッキリはしないんだけど、ゲーム的にお得なのはこっち。
そこから、57の道(人が通った跡あり)と、32の道(人は通っていない)があって、正解は前者。後者に行くと、こそ泥草のせいでアイテムを2個失ってしまいます。前者は、アイテム1個で済むうえ、金貨12枚入りの財布を入手。さらに小さな女性の肖像画の入った【ロケット】を入手。

このイラスト付きで印象的な【ロケット】だけど、すぐに役立つ物ではありません。しかし、このアイテムを大事に持っておくと、ソーサリー4巻の難局を乗り越えるのに役立って、長大な伏線になっているので、印象度がかなり深まりました。
NOVAとしてはそれ以降、ソーサリーの再プレイのたびに、この【ロケット】は必須だと考えてきたほど。
だけど、今回のクローディアはそれを入手できず、というか、ここは《54の鍵》か肖像画入りの【ロケット】のどちらかを手に入れるのが正解と考えるのですが、どっちも入手しなかったのは、果たして、どんな結果になることやら。
クリスタタンティの村
クローディア「自分が選んだ道が、最適解じゃないと言われると、何だか不安になるけど、わたしは自分の道を進み続けることにするわ」
009「初見のゲームブックでは、いきなり最適解を当てることの方が、難しいからな。調べられる村が目の前にあるのに、いきなり村を避けて、藪道に突入する選択肢を選ぶ方がおかしい。もちろん、バッドエンドは避けて通るべきだが、ベストじゃなくてもベターなルートで攻略を楽しめたら、それはそれで正解だと思う。むしろ、ゲームブックは試行錯誤の過程が楽しいとも言えるし、最適解を知って、それしかプレイできなくなると、幅が狭いゲームに思えてくる」
晶華「たった一つの正解しか、解法のないゲームってつまらないもんね。いろいろな解き方が楽しめるゲームの方がいいと思う」
クローディア「それでも、お金がないし、食料もない今の状況は改善したいの。金貨12枚を拾える藪の道ルートが正解というのは納得できる。とにかく、クリスタタンティの村にたどり着いたのはいいけど、誰かお金か食料を恵んでくれないかしら?」
晶華「今夜泊まる宿に行くか、酒場で情報収集するかの選択肢ね」
クローディア「情報は大事。酒場に行きます」
晶華「エール代は、金貨1枚よ。それが払えない無一文は、情報も得られず、野宿するしかないわね」
クローディア「泣く泣く金貨1枚を払います。残り金貨2枚(涙目)」
晶華「酒場の店主は、この村がクリスタタンティだと言います。実のところ、この酒場に来ないと、村の名前を教えてもらえないという。酒代を払うと、老人か若者のどちらかと話ができます」
クローディア「EJ、どっちがいいと思う?」
EJ「そんなことまで、ぼくに振りますかぁ。ええと、クリスタタンティは項目13番。若者は頭がおかしくて、突然、『スナタ猫だ!』と叫んでから、ぶつぶつ自分のお婆ちゃんの話をするそうですぅ。役立つ情報は何も得られないようですねぇ」
クローディア「だったら、お婆ちゃん好きの若者じゃなくて、お爺ちゃんから話を聞くわ」
晶華「老人は、近くの丘に住む農夫だそうです。ゴブリンジョークの好きな快活爺さんで、役立ちそうな話を語ってくれます」
- クリスタタンティから北には、2本の道が伸びている。1つはアリアンナの小屋に伸びる道で、彼女と接する際は知恵を使うように。
- もう1本の道は、丘を登って、リー・キに続く。そこには大きな奴らが住んでいる。
晶華「老人は、シンドラ様の加護を祈り、あなたの旅がつつがなく続くよう願ってくれます」
クローディア「シンドラ様って、確かリーブラ様のお母さんね。もしかして、そのお爺さんは司祭か何か?」
晶華「いいえ、ただの一般農夫ですよ。シンドラ様は幸運の女神なので、タイタンの庶民の間では、普通に幸運を祈るときは、その名前が出ることが多いですね。そして、農夫らしく、お爺さんは《ボンバの実》をくれます。普通の食事をとった後に、これを食べると回復する体力が倍になるそうです」
クローディア「わ〜い。ところで、このフルーツだけ食べても一食にはならないのよね」
晶華「食事の代わりになるとは書いていないから、あくまで食事の効果を高めるだけ、と裁定するわ」
クローディア「では、残り金貨2枚だけど、宿屋に行きます」
晶華「宿賃は金貨3枚、食事なら金貨2枚です」
クローディア「ううっ、食事だけ注文して、外で寝ることにするわ。これで無一文になった(涙目)」
晶華「では、スカンク熊のシチューを召し上がれ。体力3点回復します」
クローディア「スカンク熊って、美味しいの? 何だか臭そうなんだけど」
009「毛皮は臭いけど、肉は臭味をとって、上手く調理しているんじゃないかなあ」
EJ「シナリオには、『名前よりもはるかにまともな味』と書いていますよぉ」
クローディア「だったら、安心して温かいシチューをいただくわ。温かい食事をとれるのも、これが最後かもしれない、と悲観的に考えながら」
晶華「何だか悲壮ね。お姉ちゃんらしくもない」
クローディア「無一文で、明日の保存食1食しかないって状況で、楽観的になれる?」
009「いざとなれば、残飯漁りをして、宝探しでも始めればいい。そういう英雄の物語だってある」

こうして、勇者クローディアのカーカバードの旅2日めは、宿代もなく野宿でクリスタタンティを出ることになった。
旅の3日め
晶華「一夜が明けて、パラグラフ45番です。クリスタタンティから先へ行く道は2つあります。125と226のどちらへ進みますか?」
クローディア「何、その選択肢は? EJはどっちを示してくれる?」
EJ「そんなの分かりませんよぉ。東へ行けば、巨人の住処(リー・キ)で、西へ行けばアリアンナの家があることは分かりますがぁ」
クローディア「仕方ないので、125番を選んでみる」
晶華「それは西ルートになるみたいね。道は曲がりくねっていますが、やがて2つに分かれて、そこに立て札があります。そのまままっすぐ進むとダンパスの村で、西に進むとアリアンナと書かれています」
クローディア「アリアンナって女魔法使いの名前よね。FF紹介コミックで読んだことがある。プレイヤーとして、どんな人か気になるので会いに行くわ」
晶華「では、そちらの道を進むと、一軒の家がありました。なかなか絵になる光景ですね。木々の向こうに花が飾られた壁と、凝った装飾の扉が見えます。扉をノックしてみますが、返事はありません。家に入りますか? それとも諦めてダンパスに向かいますか?」
クローディア「お邪魔します、と言って扉を開けてみると?」
晶華「きちんと丁寧に片付けられた部屋で、テーブルと4脚の椅子、そして台所の雰囲気から察して、料理好きの女性らしさを感じます。そして、部屋の片隅の戸棚の陰から、すすり泣く声が聞こえてきました」
クローディア「何事?」
晶華「奥に踏み込むと、大きな檻に一人の美女が閉じ込められていました。女性はあなたに気付くと、『親切な旅人さん、この檻から出してください! イタズラ者のエルヴィンに2日も閉じ込められているのです』と訴えてきます」
クローディア「またエルヴィン! 性悪のあいつらは許しておけないわね。わたしが女王になったら、エルヴィン狩りを推奨してやるんだから。ええと、檻の鍵はどこ?」
晶華「ここにはありません。エルヴィンの集落にはあったのですが」
009「54の鍵だな。そこから10を引いた44番に進むと、鍵が開けられるんだが」
クローディア「そんな鍵は持っていないので、力技で鍵を壊します」
晶華「武器でそれをすると、武器の刃が傷んで、なまくらになるので攻撃力が1点下がりますが」
クローディア「EJを傷物にするわけにはいかないので、斧を使います。檻を壊すには、斧の方が向いているし」
009「『ちょっと待て』と斧の精霊が慌てるぞ。『使うなら、初期装備で持っていた剣にしておけ。わしはグランドラゴルの大事な斧。雑に扱わんでくれ』」
クローディア「ええ!? 檻を壊すには斧の方がいいと思うんだけどなあ」
晶華「壊すのは錠前にして、檻を粉砕したりはしないでね。中のアリアンナさんも怪我してしまうから」
クローディア「ああ、檻ごと粉砕しちゃダメなのね。仕方ない、普通の剣で錠前をガンガン叩き割るわ」
晶華「技術点判定をして下さい」
クローディア「12を出さなければいいのね。(コロコロ)5。鮮やかに鍵を壊しました」
晶華「アリアンナさんは、あなたに感謝しながら、お礼に【ラグナーの剣術熟達の腕輪】をくれました」
クローディア「これは?」
晶華「剣で戦う際に、攻撃力を+2できます」
ソーサリーの戦士キャラにとって、最高クラスの贈り物がこの腕輪だ。
攻撃ボーナス+2のこのアイテムを入手できたかどうかで、最後のマンティコア戦の難易度が大きく変わるし、その後の冒険でも重宝する。
これ抜きで、マンティコアと戦うのは、ダイス運任せになって、安定した勝利が得られないと思う。
晶華「さらに、アリアンナさんは金貨7枚の入った袋を渡してくれます」
クローディア「それは、何て親切なアリアンナさん。助けてよかった。ついでに、わたしのために食事を作ってくれないかしら?」
アリアンナ(晶華)『いくら何でも調子に乗りすぎよ、剣士さん。助けてもらったお礼はしました。しかし、あなたが贈り物にふさわしい力量の持ち主か、今一度、確かめたいと思います。それこそが魔女アリアンナの流儀だから』
そう言って、アリアンナは椅子に呪文をかけて、ウッド・ゴーレム(技8、体6)に変化させた。

クローディア「イラストが不気味で、あまり美女に見えないんですけど、アリアンナさん」
晶華「それは、魔女が恐ろしげな姿に化けたからよ。普段のアリアンナさんは、お花が好きで料理好きの可愛らしい魔女さんだから」
クローディア「だったら、グロックさんに頼んで、可愛いアリアンナさんを描いてもらいましょう」

クローディア「ウッドゴーレムが何だか妙に格好いいロボット風になったけど、技術点8なんて今のわたしにはザコもいいところよ。こんな物で、これからマンパンの大魔王を倒しに行くわたしを止めようなんて、舐められたものね」
言葉のとおり、技術点11に+3のボーナスが加わったクローディアに、ウッドゴーレムはあっさり倒されたのだった。
アリアンナ『驚いたわ。マンパンの大魔王を倒しに行くって本気で言ってるの?』
クローディア「そうよ。女神リーブラ様から予見を賜ったの。大魔王を倒して、わたしがこの地を統べる女王になれって。もしも、わたしが女王になったら、あなたもわたしの統治を助けてくれるかしら? 今だと、宮廷魔女の位を約束してもよくってよ」
晶華「アリアンナさんは、半信半疑の目であなたを見ます。『確かに、剣の腕は抜きん出たものがあるけれど、その腕輪を託すに足る剣士だけど、マンパンの大魔王を倒すなんて、そんなことができたら正に勇者じゃない』」
クローディア「だから、わたしは勇者なの。それに過去世で試練を果たして女王になったこともあるんだから、女神リーブラ様の加護も厚き聖勇者クローディアとは、わたしのこと。わたしの言葉が真実かどうか、魔法を使って確かめてもいいわよ」
晶華「それなら、アリアンナさんは専用のスカルキャップを取り出して、TELの呪文を唱えました。そして、クローディアの目を見つめると……ため息をつきました」
クローディア「何、その反応は?」
アリアンナ(晶華)『あなたの心を少し覗かせてもらったんだけど、嘘はついていないことは分かった』
クローディア「当然よ。リーブラ様にかけて、心にやましいことは何もないもの」
アリアンナ『あなた、アナランドから《王の冠》を奪還するために派遣されたエージェントなのよね。それって、国の存亡に関わる極秘任務じゃないの? 他人に知られたら、マズいと思うんだけど?』
クローディア「うっ、それは確かに。もしかして、貴女に心を読ませたことは大失敗になる? 秘密を知った貴女を抹殺しないといけないのかしら?」
アリアンナ『それは勘弁してちょうだい。あなたの任務は誰にも言わないって約束するから』
クローディア「それなら、問題ないわね。貴女とは良いお友だちでいましょう」
アリアンナ『……友だちねえ。あなたはエルヴィンに捕まった私を助けてくれた。もう、2、3日、遅かったら、食事もろくにできないまま、私は弱りきっていたかもしれない。その点で、あなたは命の恩人だし、感謝もしているし、凄腕の剣士と友人になるのは、将来、得をするかもしれない。だけど、あなたは正直すぎて、危なっかしい。バカ正直な相手を友人に持つのは、リスクが大きいと思う』
クローディア「だったら、慎重にして賢明な魔法使いとして、わたしの旅に同行してくれると助かるんだけど?」
アリアンナ『イヤよ。あなたが本気で、マンパンに向かうと分かった以上、そんな危険な旅に同行するのは私には無理。私の平穏な生活を脅かさないで』
クローディア「……うん、分かった。だけど、わたしの旅が終わったら、この地に我が王国を建国したいの。その時には、貴女にも協力してもらえると嬉しいんだけど」
アリアンナ『……見果てぬ夢ね。あなたが本当に大魔王を倒して、任務を達成したなら、その時は考えてあげてもいいけど。今は、たぶん失敗する方に賭けるわ。友だちとしての忠告だったら、そんなバカな夢はさっさと諦めて、命を粗末にしないでって訴えるけど。関係ない知人だったら、無責任にあなたに頑張れって言って、気分よく送り出して、明日にはあなたのことなんて忘れて、自分の日常を大事にするけど……とんでもない秘密を知ってしまったものね(ため息)』
クローディア「忘れてくれて結構よ。友だちであることが重荷になるんだったら、押しつけるわけにはいかないし。今は、お互いの道を行きましょう。だけど、使命を果たしたら、わたしが真の勇者として人々から認めてもらえるようになったら、魔法使いの貴女にも力を貸して欲しいの。ここで知り合えたのも何かの縁だし」
アリアンナ『では、将来の友人になるかもしれない剣士さんへの忠告よ。むやみやたらに、マンパンに行くとか、大魔王を倒すとか、女王になるとか、極秘任務に関係する話をベラベラ喋らないこと。相手が私だから、たぶん害にはならないだろうけど、これからの旅路で大魔王の間者がどこに潜り込んでいるか分からないんだから。隠密剣士として、正体は絶対に隠すこと。命の恩人に、不幸なめにあっては欲しくないからね』
晶華「というわけで、こうしてアリアンナさんは、クローディアの将来の友人になってくれました。この旅には再登場しないはずだし、ゲームブックにはないオリジナルエピソードだけど、良い魔女としてキャラ立てしようと思いました」
本作のNPCの中で、おそらく一番人気だと考える魔女アリアンナ。
パラグラフ87番の強烈なイラストのせいで、邪悪な魔女だと誤解されたりもしますが、彼女が邪悪っぽい振る舞いをするのは、「主人公が彼女を助けようとせずに、家探ししようとしたのを止めるために技術点マイナス2の呪いをかける」「助けてもらったお礼の贈り物を渡した直後に、ウッドゴーレムをけしかけて来る」の2点のみ。
後者については、それゆえに後年ツンデレ扱いするようなファンもいて、アリアンナの気難しい複雑な性格がかえって印象を強めたような気もします。
アリアンナを助けると、きちんとお礼のアイテムをくれるので、義理堅い性格だというのは分かります。悪行に対しては呪い、恩義に対してはきちんと報い、そして贈り物に対してはバトルと引き換えという流儀。ただ人が良いだけの善良キャラではないけど、秩序正しくはある。
そして、家の外見や、内装から女性らしいきめ細やかな日常生活が察せられる、と。
なお、AFFシナリオでは、ウッドゴーレムをけしかけるのは、プレイヤーが彼女を攻撃しようとした場合に限り、あくまで護身用のため。
その場合、ウッドゴーレムを4体も召喚して、自身は呪いをかけた後、空中に消えます。ゲームブックでもそうですが、アリアンナの能力データは用意されておらず、戦いで倒すことはできなくなっていますね。
また、ゲームブックでは非常に強力な【ラグナーの腕輪】ですが、AFFでは攻撃力+1、かつ魔力が続くのは1週間のみ、と期間限定に弱体化されています。
それ以外に、複数パーティー対応に、魔法(妖術)使用の触媒の他、ゲームブックでは登場しない、司祭用のマジックアイテム(数珠)とか、回復用のポーションとか、MP3点分のエナジー・クリスタルとか、独自のアイテムが用意されていて、面白いなあ、と。
ともあれ、今回はアリアンナとの遭遇で終了します。
次回は、パラグラフ176番、ダンパスの村に到着するところから再開予定。
(当記事 完)


