冬休みが明けて
NOVA「何だか俺が眠っている間に、アドバンストFFの研鑽がずいぶんと進んだようだが」
晶華「ええ。魔術とまじない。それからソーサリーで用いる妖術の勉強も、あれから進めたわ」
NOVA「そいつはすごいなあ」
晶華「妖術は、魔術と違ってMPではなく、体力点を消費する。また、鎧を着ていても、呪文行使は問題なくできるのよね。そして、呪文を一つ一つ習得していかないといけない魔術と違って、最初から48種類の妖術呪文をマスターしている状態でプレイを始められる」
NOVA「ただし、一部の呪文は原作ゲームブックと同様に、触媒アイテムを必要とする。その数は29種類で、砂(MUDの呪文)や小石(POPの呪文)のように入手が簡単なものや、高額アイテムまで様々。また、原作と違って、呪文の使用に判定が必要なので、サンプルキャラの場合は魔法点を5点にして、呪文発動の判定値を7にしている」
晶華「でも、それだと発動の成功率が半分強(6割弱)で少なくない?」
NOVA「ここで成功率を高める方法が2つある。まず、静かな環境であれば、+3のボーナスが得られる。次に、1ラウンド集中するごとに+2ボーナスが付いてくる。これによって、術者は戦闘中でなければ時間を十分にかけることで、6ゾロ以外は判定成功という状況を作り出せる。例えば、鍵開け呪文DOPや治癒呪文DOCなどは、非戦闘時に使うのが普通なので、そのルールが有効利用できるだろう」
晶華「戦闘中に使う呪文も、前衛で壁になってくれる仲間がいれば、1戦闘ラウンドぐらい集中してから、かけると良さそうね。1ラウンドの集中で、判定値を9にできるんだから、成功率を8割強にまで持っていける。2ラウンド集中すれば、6ゾロ以外で成功できるし、6ゾロは発動失敗でおおっと!表送りだから、判定値11も12以上も同じよね」
NOVA「それでも、敵から攻撃されたりして判定値が下がる可能性もあるから、少しでも高いに越したことはないんだけどな。それと毎ラウンド呪文を使うのは、妖術の場合、体力的に不可能に近いので、呪文発動の合間に集中するターンを挟むのは、時間効率が悪いというわけではない」
晶華「呪文を連発して、体力が先に尽きる方が愚かしいものね」
NOVA「原作ゲームブックと異なるTRPGにおける妖術師の弱点は、2点ほどあって、まず1点は消費コストとなる体力点の低さだ。原作では、2D+12で体力点を決めるので、14〜24、期待値は19になるわけだが、AFF2版は最大16点、サンプルキャラは12点となっていて、使用回数は少ない。サンプルキャラを比べるなら、MP20点の魔術師に比べて、妖術師は使える呪文の種類は多いが、使える回数が少ないと言えるな」
晶華「もう一つの欠点は?」
NOVA「AFF2版は、アイテムを10個までしか持てないという制限がある。背負い袋や身につけている鎧と衣服、少額の金貨、保存食などは制限に入らないけど、武器や盾、ポーションの類など、それほどたくさんのアイテムを持ち歩けない仕様だ。当然、触媒アイテムも限られた数しか持てないということになる」
晶華「それは……使える呪文の種類に著しい制限が掛かるわね。所持アイテム数を増やすことはできないの?」
NOVA「[体力]技能のランクを1上げるごとに、所持アイテムを1つ増やせる。あとは仲間にお願いして、緊急性の少ない呪文の触媒アイテム(通訳呪文RAPやYAP用の緑のかつらとか)を持ってもらうとか、荷運び用の馬や馬車を用意して、普段使いしないアイテムはそちらで運ぶとかだな。ダンジョンに入る前に持っていくアイテムを呪文に合わせて厳選するという手もある。ダンジョン内で必要な呪文と、野外の旅や都市冒険で必要な呪文は違っても来るだろうし」
晶華「ゲームブックとは別の意味で、何の呪文を準備しておくか、吟味する必要がありそうね。とにかく、妖術師は魔術師以上に体も鍛えないといけないことが分かったわ。体力点もさることながら、アイテム運搬のためにもね」
NOVA「D&Dにおけるホールディング・バッグ(多数のアイテムを収納できる魔法の袋)みたいなアイテムがあれば、重宝するだろうな」
楽器演奏について
NOVA「前回、話の途中で話題になった楽器演奏や、吟遊詩人的な技能およびタレントだが、サプリメントをざっと見渡してもないことが分かった」
晶華「え? AFFでは、吟遊詩人は作れない?」
NOVA「楽器は売ってるし、妖術のJIGで竹笛を奏でて、相手を踊らせることはできる。なお、ゲームブックと違って、TRPG版のJIGは単体相手にしか通じない。魔術の《眠り》もそうだが、ゲームブックで複数相手を処理できた魔法が、TRPG版では単体用に弱体化されたのは、1人のキャラでの無双ではなくて、チームでの連携を重視したシステムというコンセプトがあるんだと思う」
晶華「きっと、ゲームブックの主人公は、魔法を複数相手に使えるような【集団化魔法】のタレントでも持っているのよ」
NOVA「D&Dにおける範囲攻撃の専門家であるウィザードのイメージと、AFFの魔法使いのイメージは異なる、と。まあ、敵集団をまとめて処理する系の呪文は、戦闘重視のゲームシステムで、AFFは戦闘外の冒険生活を重視したスタンスと言える。何せ、敵を倒しても経験点が入手できないわけだから」
晶華「それで、吟遊詩人みたいなキャラがAFFでは作れないって話だけど?」
NOVA「今回のマジック・コンパニオンや、これまでのサプリを見ても、呪歌という魔法系統はないし、過去のゲームブックの記憶を振り返っても、『各地を旅して、音楽を奏でたり、伝承詩を語り伝えて生業としてそうなキャラクター』ってFFゲームブックには登場した記憶がないんだな。この世界には、交易商人や隊商の用心棒、宗教的な巡礼者、そして旅の剣士などの冒険者はいても、吟遊詩人はいないっぽい」
晶華「でも、大都市の広場で芸を披露している人たちはいるでしょ? 手品師とか、怪力芸とか、大道芸人とかはいるんじゃないかなあ」
NOVA「神さまリストを見ても、芸能系の神さまが見当たらない。まあ、市販されている楽器や、《魅了》《騒音》《笛吹き》などのまじないを駆使して、吟遊詩人や楽人キャラっぽい演出は可能だがな。とにかく、今後、FFゲームブックをプレイする際にも、吟遊詩人的なNPCが登場しないかを注目したいな、と思う」
晶華「冒険者の技能として、実用性に欠ける芸術系の技(楽器以外に、絵画とか踊りとか彫刻とか)が設定されていないだけで、NPCとして、そういうキャラが存在しないってことはないと思うけどね」
NOVA「一応、選択ルールに新たな技能を作るための指針はあるので、[楽器演奏]をハウスルールで作ることは可能だろう。この場合、その技能で具体的に冒険に役立つ効果が得られるかを考える必要はあるが」
★試案:特殊技能[演奏]
この特殊技能によりヒーローは、楽器を演奏して、人々の心に感銘や好意をかき立てることができます。
音楽をじっくり聞いてくれる相手、ヒーローの芸術センスを理解できる相手なら、ヒーローの提案や交渉を価値あるものとして受け入れてくれる可能性さえあります。ただし、音楽が即座に魔法的な効果を発揮するわけではありません。
他のまじないや魔術、妖術などの判定に準ずる形で、[演奏]をヒーローが唱える呪文のように代用として、演出的に使うことが可能です(判定は、各種呪文のものを使う)。また、1ラウンドを費やして[演奏]判定に成功すると、一部の呪文使用の際に、次のラウンドの判定に+4ボーナスを加えることも可能とします(通常の集中ボーナスは+2ですが、[演奏]という手間をかけることで、2ラウンド分のボーナスを1ラウンドで乗せられるわけです)。
[演奏]で行使判定ボーナスが付く呪文は、まじない(《正直》《騒音》《吃り》《笛吹き》《間違い》《魅了》《酩酊》《酔い覚まし》)、魔術(《腕前》《恐慌》《混乱》《舌もつれ》《平穏》《巧打》《精密射撃》《眠り》《命令》)、妖術(GAK、GOD、HUF、JIG、NAP、NIF、DIM、SAP、DUM、LAW)。これらの呪文は、前準備の演奏によってより効果が発現しやすくなるのです。
晶華「わざわざ使う予定のないルールを作りますか? よっぽど暇なのね」
NOVA「まあ、少しだけ時間の余裕はできたけどさ。暇と言うよりは、TRPGやアナログゲーマー、もしくはデザイナーの卵(昔とった杵柄)としての本能がムクムクと湧き上がって来た。AFFに吟遊詩人を導入するルールがないと気づいて、だったら『ないものは作る』というDIY精神こそがゲームマスター精神の発露ってものだろう。
「なお、呪文については、交渉系、音響系、心に働きかけそうなバフ・デバフ系を各呪文から抽出した。もっと大胆にするなら、[演奏]効果の付いた呪文は威力を高めるとか、単体呪文を複数相手に効果を広げるとか、いろいろ考えてはみたが、明らかにゲームバランスを崩すだろうと判断して、単に呪文発動の成功確率を高めるだけにした」
晶華「でも、これで後日、もっと派手なルールで、タイタン世界に吟遊詩人さんや呪歌を本格的に導入するサプリが登場したら、このルールが無駄になるわよね」
NOVA「その場合は、AFFに吟遊詩人キターと喜んで、ルールを紹介するかもな。まあ、まずはFFゲームブックにおける吟遊詩人探しや、『タイタンの神々』サプリに吟遊詩人や旅芸人の神が登場するかどうかの期待をしよう」
そして神術

NOVA「そして、AFF基本ルールの魔法系統4つの大トリを飾る神術だ。『マジカル・コンパニオン』の二本柱の一つと言ってもいい」
翔花「神術は、わたしがあれこれ質問するね」
ジュニア「リウも神さまについては、興味津々ですぅ」
NOVA「ああ。2人とも、ソード・ワールドでは神官系キャラをプレイしたことがあるもんな」
翔花「わたしは妖精神アステリアで……」
ジュニア「リウは炎武帝グレンダールですぅ」
NOVA「アステリアはエルフの創造神でもあり、グレンダールはドワーフの創造神。ファンタジーRPGでは、人間よりも先にエルフやドワーフが文明を構築している世界設定が多いが、ソード・ワールドのラクシアは非常に変わっていて、創世の剣→人間→神々→エルフやドワーフなどの亜人(人族)や蛮族という登場順なんだよな」
晶華「エルフやドワーフが、人間を参考に後から作られたというのが、旧ソード・ワールドのフォーセリアとも違っているところ。世界を作ったのが神さまじゃなくて、インテリジェンス・ソードで、はじまりの剣を握った人間が神に昇格して、始祖神ライフォスになって、ライフォスさんがお友だちに剣を渡して、第一の剣陣営の神さまが次々と誕生する神話は、キリスト教社会のアメリカでどう受け止められるのかしら?」
NOVA「今年は、公式にソード・ワールドが初めて海外進出ということで、いろいろ気にはしているわけだ。まあ、『央華封神』が中国進出しての再始動というのも、昔、公式サプリに多少は関わった人間として気にはなるが」
翔花「今は、それよりもAFFよ。タイタン世界の神さまは、どんな感じ?」
NOVA「創造神の名前がタイタンで、神の名と世界の名が同じというのも面白いと思うが、歴史としては、主神が世界を作って、主神の子供たちが様々な属性を象徴する流れで世界を広げて、そうしているうちに『時』と『死』が解放されて、世界が混乱するなかで善と悪の神話大戦の末に、神々はタイタンの世界から姿を消して、間接的な影響しか与えなくなった。世界は、神に創造された定命の生き物たちの手に託されたまでが、神話だな」
翔花「つまり、最初に神さまの時代があったという点では、よくあるファンタジーね」
NOVA「次に英雄の時代と言われ、巨大大陸イリタリアと古代アトランティス文明の時代だ。それについては、ゲームブック『深海の悪魔』と、AFFシナリオ『アトランティス・キャンペーン』が古代文明の遺跡にまつわる冒険譚ってことで、注目に値する」

NOVA「アトランティス文明は、魔王子マイユールが人間に化けて、帝国の支配者になって、悪行の数々を繰り広げた結果、神々の怒りを買って、大陸が三分裂。アトランティスも海の底に沈んだことで、崩壊する。それが大体、2500年前になるかな。
「そこから文明が復活するのに2000年ほど経ってから、魔術師の時代と呼ばれる時代になる。魔術の学院が各大陸に築かれ、冒険者たちも古代文明の遺跡なんかを探索しながら、世界が発展していくんだが、とある冒険者の一団がクール大陸の遺跡から混沌の眠りを覚ましてしまって、魔法大戦に発展するんだな」
翔花「その遺跡を探索したのが、去年の『暗黒の三つの顔』の第3部クール編よね」
NOVA「『暗黒の三つの顔』は日本オリジナルだから、タイタン世界の公式設定にどこまで採用されるかは不明だが、この魔法大戦終了から284年経った辺りというのが、FFゲームブックおよびAFFの現在の公式設定だ。魔法大戦で一番被害を受けたのがクール大陸で、アリオンのような一部の都市国家を除けば、未開の地が非常に多くて危険だ。
「一方、最も被害が少ないのは、ソーサリーの舞台でもあるアナランドやカーカバードを含む大陸〈旧世界〉。ここは、魔法大戦時代の文明をしっかり残していて、魔法研究や神々の時代の研究など国家単位で資料が管理されている。カーカバードは文明とは無縁の地と言われている危険な辺境地域だが、大陸全体としては歴史ある国家が残存しているために、国家間戦争というレベルの危機が描かれたりもする。
「そして、FFゲームブック開幕の地とされるのがアランシア。ここは大きく、アランシア北西部、南部、東部の3地域に分かれるが、一般的にアランシアと呼ばれるのは北西部。南部はFFゲームブック30巻代で初めて描かれ、日本では『謎かけ盗賊』『最後の戦士』『奈落の帝王』の3作の舞台になっている程度の扱い。実は北西部よりも文明が残されていて、各種王国が舞台になっているが、いずれも崩壊の危機に瀕している。トカゲ帝国とか、異形の虫を尖兵とした奈落の侵攻とか、何だかゲッターロボを想像させる世界観が南アランシア。
「アランシア東部は、日本で翻訳されたゲームブック作品がないので、世界設定資料『タイタン』でしか日本語で読める記述がないんだが、北西部よりは文明が発達しているっぽい。というのも、東部から来たガレーキープ(飛行艇)が出現したり、わざわざフラットランドの荒地を越えて交易に向かう隊商がいるわけで、未知の地ではあるが、未開というわけではない。
「そして、アランシアで最も冒険の多いのが、イアン・リビングストンと、スティーブ・ジャクソンが初期に展開して来た北西部だ。火吹山、運命の森ダークウッド、盗賊都市ポート・ブラックサンド、迷宮探検競技で有名な都市ファングなどリビングストンが広げた地域と、サラモニス王国を中心とする文明国周辺(ジャクソンの領域)が見られる。総じて、リビングストンがワイルドで猥雑な未開の地を開拓し、ジャクソンが文明圏のリアリティある生活感覚に満ちた暮らしと危機を描く印象がある」
翔花「タイタン世界の神さまは、文明を残した旧世界で最初に紹介されて、アランシア北西部に教団が描かれたのは、本当に最近なのね」
NOVA「少なくとも、リビングストンさんがゲームブックで神さまという存在を描くのに、興味を示さない人なので、彼の領域であるアランシア北西部には邪神とか部族神を除けば、信仰というものがほとんど登場しないんだな。これについては、当初は設定がないからだけでなく、『タイタン』で神話設定ができてからも、リビングストンさん本人は神話にタッチしないという点で一貫している。よって、タイタン世界の神さまについては、ゲームブックではなくてAFFのTRPGで初めてルール化されたものの、その実情は不明な点が多かった。
「ただ、他の作家が担当した南アランシアでは、王国とか神さまがきちんと描写されて、主人公が敬虔な信者だったり、敵が神の使徒だったり、奈落の半神だったり、物語規模が膨らむ一方で、リビングストンさんはもっと庶民派冒険者というか、お宝探しと過去の因縁の付きまとう冒険譚を紡ぐのが最近までの作風」
晶華「だから、アランシア北西部の信仰事情は不明な時期が長かった、と」
NOVA「だけど、ジャクソンの小説『トロール牙峠戦争』とゲームブック『サラモニスの秘密』がこの5年ほどの間で翻訳されて、彼の担当する都市国家サラモニスの周辺では、普通に女神リーブラも信仰され、策略の神ロガーンも物語の背景にきちんと登場することが分かった。やはり、ワイルドな剣豪小説風味のリビングストン作品と、もっと魔法や信仰などの幻想物語っぽいトリッキーなジャクソン作品は、ゲームブックでは車輪の両輪のように感じるのが今日この頃だ。もちろん、そこに他の作家がまた違う新鮮な個性を示してくれるのも一興だとは思う」
晶華「それで、AFFの方はジャクソンさんが監修していることが、明言されているのがポイントよね。ゲームブックの方を取り仕切っているのがリビングストンさんで、TRPGの方を取り仕切っているのがジャクソンさんでいい?」
NOVA「それを知るまでは、ただの名義貸し程度に思っていたんだが、TRPG版の『バルサスの要塞』が、矛盾の多いジャクソンのゲームブックと小説のストーリーを上手く辻褄合わせしようとしていることに感じ入った次第」
翔花「どういうこと?」
- ゲームブック版バルサス:要塞に侵入した魔法戦士に倒される(魔法戦士の過去が、『サラモニスの秘密』の主人公という可能性も提示)。
- 小説版バルサス:女神リーブラの化身(アバター)である魔女リッサミナに、異次元で対峙して、封じ込められる(神々のゲームでのイベント扱い)。
- TRPG版バルサス:異次元に囚われていた状況から脱出して、改めてゲームブック同様の展開に流れる。ゲームブックでは、1対1だったが、TRPGでは冒険者の一団に敗れた形にアレンジ。
- TRPG版バルサスのその後:ゲームブックでは描かれていないバルサスの宝物庫があって、様々なアイテム(と罠)が用意されていて、面白い。そして、小説『トロール牙峠戦争』で主人公と相討ちで散ったかのように見えたザラダン・マーも復活したとの噂を聞いて……TRPG版『モンスター誕生』に続く?

ジュニア「『ソーサリー』もそうですが、ゲームブック原作の物語を、どうTRPGのシナリオにアレンジするかが比べてみると、面白いのですねぇ」
翔花「とにかく、ジャクソンさんが女神リーブラに対する愛着が大きいことは分かったわ。それで、AFFでもリーブラ様の司祭になれる。どういうルール?」
NOVA「司祭の使う神術は、判定の必要なく確実に発動する。だから、魔法点と[神術]技能のランクの合計(信仰力)は、判定値ではなく術の効果の大きさに影響する。例えば、体力点を回復する《治癒》の神術は、信仰力と同じ量だけ回復する。だから、サンプルキャラは魔法点5、[神術]ランク2に設定されているので、1回の《治癒》で7点の体力点を回復するんだな」
翔花「神術は何回使えるのかしら?」
NOVA「司祭は、その神固有の神術1つと、一般的な神術3つを与えられて、それらを1日1回ずつ使えるんだ」
ジュニア「たった1回だけですかぁ?」
NOVA「運点を1点消費することで、もう1回使えるようになる。3回めは無理だ。だから、司祭は最大4種類×2回の8回分、神術を使える計算だ」
翔花「1日2回の《治癒》と、あと何が使えるのかしら、リーブラ様は?」
★正義と真実の女神リーブラ
固有神術:(信仰力)分の間、耳にした会話のあらゆる嘘を見抜くことができる。
一般神術:《保護》《防御》《治癒》
翔花「《保護》と《防御》の違いが分からないんですけど?」
NOVA「《保護》は、アンデッドやデーモン、邪悪な精霊を寄せつけない結界を張る術だな。《防御》は自分と仲間(信仰力と同じだけの人数)の鎧の効果を高める。鎧なしがレザー・キィラス相当になったり、レザー・キィラスがレザー・ホバーク相当になったり、それなりに防御効果が上がる」
翔花「でも、たかが1点上がるだけでしょ?」
NOVA「D&Dやソード・ワールドと違って、FFはそれほど多くのダメージが飛び交うシステムじゃないぞ。ゲームブックだと、1回のダメージが2点だし、それが1点減るってことは、ダメージ半減ってことじゃないか」
翔花「2点が1点になるのは、少し美味しいわね」
NOVA「盾でさらにダメージを1点減らせる。金属鎧だと、さらにダメージを減らせて、盾と組み合わせると4点ぐらいは普通に減らせるぞ。まあ、武器のダメージもゲームブックよりは少し大きいんだが」
翔花「どれぐらい?」
NOVA「剣のダメージは、ダイス目によって2〜4に変動して、平均3点だな。ダガーは1〜2で変動して、グレートソードは2〜5ってところだ。まあ、1Dで7以上が出るようなボーナスが付けば、あと1点ダメージが増やせるが、ゲームブックでは固定値2点だったダメージが、AFFだと武器の種類ごとにダメージ表を振って、それに対して防具表を振ってダメージを減らす。
「おおよその期待値で考えたら、剣で3点ダメージを与えて、革鎧で1点ダメージを減らして、攻撃が命中すると2点ダメージに落ち着くような計算だが、《防御》の神術で鎧の効果が1段階アップするのは、仲間全員から感謝されるんじゃないかなあ」
ジュニア「他に、どんな神さまがいますかぁ? バトルに強い戦神みたいのはぁ?」
NOVA「サンプルキャラに推奨されているこれだな」
★勇気と戦いの神テラク
固有神術:1戦闘の間、自分の技術点+2、ダメージと防具のダイスの出目を+1できる。
一般神術:《勇敢》《神撃》《治癒》
ジュニア「技術点+2ですかぁ。それは強そうですぅ」
NOVA「《勇敢》は自分と仲間が恐怖に対する完全耐性を得る神術。《神撃》は(信仰力)ラウンドの間、神敵(テラクの場合、邪悪な人型生物)に対して、ダメージダイスを2回振って、両方の効果を相手に与えることができる」
ジュニア「それって、2回攻撃ってことですかぁ」
翔花「実はリーブラ様よりも強い?」
NOVA「攻撃特化だが、はっきり言ってテラク神官は強いぞ。FFゲームブック『最後の戦士』の主人公は、テラク神から啓示を受けたヴィモーナ国王子だ。トカゲ帝国に包囲されて滅びに瀕した祖国を救うために、敵陣を突破して伝説の武器を手に入れる探索行に赴く勇者の物語。作者のガスコインは『タイタン』の作者で、旧AFFの作者の1人。まあ、偉大なゲームデザイナーの1人ということだ。今も、AFFをバックアップする大御所の1人と認識」

NOVA「リーブラ、テラクの他に、シンドラ、ロガーンを紹介して、神さまガイドは終わっておこう。基本ルールには、善神16、中立神7、悪神7が紹介されていて、全部で30の神の司祭が作れる。まあ、普通は悪神の司祭をプレイヤーが作るようなことは稀だが、ディレクターが敵キャラを作る際に必要だからな」
★幸運と運命の女神シンドラ
固有神術:プレイヤーかディレクターの1回のダイスを振り直させる。
一般神術:《神の祝福》《神の凶運》《治癒》
★策略の神ロガーン
固有神術:戦闘ラウンド中に起こったこと全てを逆転させる。ダメージを与えたものは、その攻撃を自分に受け、他人にかけた魔法は自分に返ってくる。
一般神術:《神の祝福》《神の凶運》《治癒》
翔花「シンドラ様も、ロガーンさんも一般神術は同じなのね」
NOVA「どっちも、運命を司るとされているからな。《神の祝福》は(信仰力)ラウンドの間、対象1人のダイス目に+1のボーナス。《神の凶運》は、逆にマイナス1のペナルティ。ただ、このダイス目+1って、戦闘での判定やダメージダイス、防具ダイスは出目が大きい方がいいのだが、技能判定や魔法の行使判定、運だめしは出目が小さい方がいいので、その場合はダイス目マイナス1と解釈すべきなんだろうな」
晶華「つまり、祝福された相手が得をするようにダイス目操作を行えばいいってことね。杓子定規に何でも+1で考えるのではなくて」
NOVA「FFが本来、旧世紀D&Dみたいに古いシステムで、ある判定ではダイス目が大きい方が良く、別の判定では小さい方がいいため、ダイス目を1良くするのを+1と表現してしまった、と解釈すると。祝福なのに、出目+1されると運だめしが成功しにくくなるというのは、常識的におかしいわけで」
翔花「ところで、リーブラ様の神術って、ソーサリーでお馴染みの『窮地からの脱出』がないんですけど?」
NOVA「ああ。それは神術とは別の〈救済〉というルールで再現されている。絶体絶命のピンチで、司祭が一生に一度の神への願いとして、自分と仲間を救うように求めることができる」
ジュニア「一生に一度って厳しいですねぇ」
NOVA「ソーサリーだと、一巻に一度だから、制限が緩いわけだが、それについても説明されている。『真に歴史に残るような冒険を行っているときに限り、非常に稀ながら、神は司祭、もしくは司祭でなくとも選ばれし者に、追加の〈救済〉を与えることがある』という趣旨のルールが書かれてあるんだ。つまり、ソーサリー全4巻は紛れもなく〈真に歴史に残るような冒険〉ってことさ」
プリーストの追加ルール
NOVA「そんな感じで、AFF2版で信仰魔法(神術)のルールが登場したわけだが、それを拡張するのが『プリースト・コンパニオン』だ。実のところ、基本ルールの神術には一つの欠点があった」
翔花「それは何?」
NOVA「他の魔法使いは、新たな呪文の習得や、呪文発動の判定の成功のしやすさ、そして呪文の使用回数など、いろいろ成長させられるんだが、司祭の神術は技能ランクを上げても、術の効果が高まったり、持続時間が伸びたり、多少の成長はできるものの、できることが増えたりはしなかった。言い換えれば、司祭って最初から術使いとして完成されているので、それ以上、信仰者として強くなるルールがなかったんだ」
ジュニア「でも、追加ルールで、さらなる成長ができるようになったんですねぇ」
NOVA「まず、[神術]技能のランクを4に上げた司祭が、経験点100点を使うことで新たな神術を授かる。ランク5とランク6でも同じく経験点100点の使用で、神術がそれぞれ一つずつ増えるので、最初の固有神術1つ、一般神術3つに最大3つの神術が加わることになる」
翔花「ランク3からランク4に上げるのに、経験点40点を使うので、新たな神術を得るのに経験点140点が必要になるのね。やっぱり他の魔法よりも、神術の習得は大変だと思う。もっと手軽にパワーアップできる方法はない?」
NOVA「そんな場合にお勧めの新ルールが、新たな特殊技能[祝祷]だ。これは神術の簡易バージョンで、魔術に対するまじないみたいなものだな。司祭でない俗人でも習得できて、魔法点や[神術]技能を持たなくても、[祝祷]技能の1ランクごとに1つの祝祷を授かる。[神術]技能を持ってる司祭は、[祝祷]ランクを得たときに[神術]+[祝祷]の合計ランク分の祝祷が使えるようになる」
翔花「祝祷は簡易神術ってことだけど、どんなことができるの?」
NOVA「祝祷は全部で19種類あって、例えば《幸運の祝福》だと、1回の遭遇の間、運だめしの出目を1点引くことができる。《幸運付与》だと、司祭の運点を他人に与えることができる。《祝福受けし者の運命》は1日1回、サイコロを振り直すことができる」
翔花「振り直しができる能力って、結構便利なのよね」
NOVA「他には、一晩徹夜をしても体力が減らない《寝ずの番》というのがあるが、連続して使うと、毎晩、体力点の最大値が1点ずつ減っていく」
ジュニア「普通は、寝ないとダメージがどうなるんですかぁ?」
NOVA「TRPGのルールだと、十分な睡眠で体力4点回復、だけど最低限の睡眠しかとれない徹夜のフラフラ状態だと、3点ダメージだ」
晶華「差し引き7点差かあ。あの夜、無理やり叩き起こさずにゆっくり眠らせてあげた私たちの愛に、NOVAちゃんは感謝すべきよ」
NOVA「それだけじゃない。頑張って、俺の魔法研究に付き合ってくれて、勉強してくれる君たちに感謝だ」
晶華「そ、そう? 私は別に、魔法の研鑽が楽しいから好きでしているだけのことよ。感謝されるほどのことではないわ」
NOVA「こっちが感謝を表明しているんだから、素直に受け入れろよ。とにかく、《寝ずの番》があれば、1日程度の徹夜は平気だが、もっと凄いのは《信者の糧》だ。食事を1回とったように、体力を2点回復して、飢えや渇きによる体力減少を免れる」
翔花「ソーサリーで使えたら、保存食が必要なくなるのね」
NOVA「そんなわけで、冒険だけでなく普段生活でも便利な小技があれこれ揃った祝祷ルールは、ファンタジー世界での快適ライフを実現するにもお勧めってことだな」
翔花「他に面白いルールは?」
NOVA「そうだな。[神術]技能が3ランクになると習得できる[儀式]技能だな」
晶華「これもゲームによって、ルールが違うのよね」
NOVA「D&Dでも4版と5版で違って、結構混乱した記憶がある。4版では、戦闘中に使うパワー以外の呪文を儀式と言って、単に鍵開けやアイテム鑑定のような魔術も儀式という形で執り行った。それまでは大掛かりな準備が必要な儀式というものが、低レベルでも利用可能になったんだな。
「一方で、5版だとウィザードやクレリック、ドルイドが、呪文スロットを消費せず、準備不要で、単に一部の呪文を10分程度の時間をかけて行使する便利作業のことを、儀式と称するようになった。だから、儀式使用できる呪文をチェックしておき、それらの扱いはコストなしで行えることを理解していれば、冒険生活が多少便利に快適なものとなる」
翔花「本来、儀式って手間暇かけて大掛かりなイメージがあるけど、D&Dの最近のルールが変えちゃった?」
NOVA「ゲームの魔法って、戦闘ラウンド中に使うことが多いから、10秒とか、集中に時間を費やしても、長くて1分足らずの間に呪文を唱えて、ささっと紋章でも描いたり、一定のアクションで行う技だろう? 言ってしまえば、ヒーロー物における変身とか蒸着とか、技の発動が普通の呪文だ」
ジュニア「たまに合体とかは、主題歌や挿入歌の1コーラス分、たっぷり時間をかけて流しますけどぉ?」
NOVA「近年は、プリキュアとか魔法少女の変身がたっぷり時間をかけているよなあ。それでも2分には満たないと思うが、さておき。とにかく10秒から数分で完成するのが通常呪文の扱いとするなら、儀式というものは最低でも10分程度はかけて、長ければ1時間以上、そして決まった時間に同じ作業を毎日連続して行ったりすることも儀式には含まれる。そして、信仰儀式なら聖別された空間とか、あらかじめ準備された陣図とか、大掛かりな術を施すのに相応しい場のセッティングにも注意を払う必要があって、儀式というものはいかにも厳かなイメージがある」
晶華「時間をかけることが最低限で、他には場所の雰囲気作りというのが儀式には大事、と」
NOVA「そして、プリースト本で用意された儀式は13種類。[儀式]技能が1ランク上がるごとに1つの儀式を習得できる。ただし、冒険中に行うことはまずなくて、自分の神殿や教会を持っている高司祭が弟子や信徒を集めて執行するようなものだ。よって冒険者にとっては、自分たちが行うのではなくて、NPCに執り行ってもらうとかだろう。
「まず、[儀式]技能を習得した段階で最初に教えてもらう(無条件に獲得できる)のが《聖別》で、1週間の時間をかけて、同じ信仰を持つ司祭3人の協力を借りて、さらに魔法点1点を犠牲に捧げることで、新たな神殿や寺院、聖地を構築することが可能」
翔花「魔法点を捧げるって、MPじゃなくて能力値そのものよね。回復する?」
NOVA「しない。《聖別》された空間を作るってことは、そこに自らの拠点となる信仰施設を作って、神に魂を捧げることと同義だから、『この儀式を自ら行う=冒険者を引退して、その地の信仰守護者となる』ことに通じる、と。まあ、冒険者司祭がこの儀式に関わるとすれば、補佐役の3人の司祭の役割を務めるぐらいだな。儀式の主催は知人のNPCで、彼が新たな土地に神殿を作るのを、護衛兼儀式の補佐役として助けるシナリオなんかが考えられる」
晶華「儀式って、もしかして自分の能力値とか、いろいろと削って行うものなの?」
NOVA「そうなるな。もちろん、神に捧げた魂の一部みたいな扱いだから、『神の介入』によって失われたポイントが返ってくることもあり得る。特に邪神に顕著だが、神官の持つ魔力や体力を捧げる代償として、絶大な恩恵を与えて、ますます信仰活動に励むように強要することは結構ある」
翔花「そこまでして自分を犠牲にする信仰心って、なかなか持てないよね」
NOVA「ゲームのルールで、信仰心をどう表明するかはなかなか難しいが、ルーンクエストでは魔法を獲得する代償が自分の能力値であるPOWで、神に捧げたPOWは基本的に回復しないから、クトゥルフの正気度なんかと同じで、冒険すればするほど身を削る結果となり、長期のキャンペーンがなかなか難しい。いわゆる教会の大神官と呼ばれる人物が、かつての力を失ったのも、単に年をとったとか、体がなまっているとかだけでなく、儀式のために身を削って、神に尽くしたからという背景を感じさせるルールだな。
「その結果、アンデッドやデーモンの大軍勢が襲撃してきたときに、聖別された土地を守って、戦いを有利にする結界を張ったり、神の戦士として超パワーの化身に変わったり、神から国家の存亡にまつわる重要な予言を賜ったり、土地の信徒全員に影響する癒しや心の平穏を与えたり、個人的な冒険のレベルを超えた大規模な効果を発動できる。要は、国や街の教会が教団として、どういうことができるかの存在意義や、教会のトップである大司教とかがファンタジー世界でどういう位置づけかを提示したルールということになる」
晶華「街を守るために、大掛かりな儀式を発動しまくって、身も心も削りまくった大神官が、邪神軍との戦いに勝った後で引退し、若手に後を託す物語も再現できるルールね」
NOVA「そう。かつては優秀な冒険者として活躍した大神官。その経験と習得した技の数々は卓越したものがあるが、その土台となる技術点、体力点、運点、魔法点が儀式の代償として枯渇したために、もはや教団のトップとしての激務に耐えられなくなった。だから、トップの座を後輩に託し、自らは己の技や術を若者に託すために神殿経営の道場の老用務員に身をやつしているのはありそうだ」
ジュニア「何で、用務員の爺さんがこんなに強いんだ! と事情を知らない若者がビックリする話ですねぇ。ゲームのルール(儀式における個人的犠牲)から、よくもそこまでアイデアが出せたものですぅ」
NOVA「じっさい、AFFの儀式ルールは代償が能力値の永久的喪失だから、プレイヤーキャラが積極的に活用したいルールじゃなさそうなんだな。だけど、ファンタジー作品におけるお約束『大規模な儀式を発動することで、主人公チームをバックアップする。そんな凄い手段があるのなら、さっさと使って状況を改善しろよというツッコミに、この儀式は準備も必要だし、いろいろと犠牲も大きいから、めったなことでは使えんのだ。しかし、今こそ覚悟を決めるとき。後を託す若者が育った今、わしもできるだけのことをせねばな』というシチュエーションを納得させてくれる」
NOVA「他にも、能力値を犠牲にすることで神術の効果を倍増するルールとか、強力な信仰力の化身に変わるルールとか、神殿経営のルール的なガイダンスとか、興味深い情報がたっぷりだが、最後に特殊なプリーストとして、4つが紹介されている」
- ドルイド:[ドルイド神術]で《動く植物》《獣の友》《変身》の術が使える。ランク4で一般神術の《治癒》、ランク5で《聖域》、ランク6で《神との交感》を習得。〈救済〉も使用可能。その他の推奨技能は、[森の知識][生存術][植物の知識]。ドルイドは植物の女神ガラナや、獣の王に親和性を持つが、もっと広く自然全体に関わりが深く、信徒を増やしたり、社会的地位を上げることには関心を持たない。
- 修道僧:神殿経営を重視する一般的な司祭や、冒険重視のヒーロー司祭と違い、修道僧は各地を旅して、神の言葉を世界に広めることを重視する。信じる神固有の[神術]を使うが、一般神術は1つだけ残して、他の2つは《説教》《住居祝福》に置き換わる。《説教》は神の教えを説くことで、集団相手の反応を好意的に変える交渉術。《住居祝福》は修道僧を泊めてもらった家や小屋、テントなどに(信仰力)だけの「祝福ポイント」を与え、その住人の判定に+1ボーナスを与える。その他の推奨技能は、旅を続けるのに必要な生存系技術と、旅先の人と話すのに役立つ[交易][礼儀作法]など。
- 隠者:特定の神を信仰せずに、自らの魂の清らかさで、全ての神を崇める聖人キャラ。[隠者神術]は全ての神々に通じる技能で、固有神術の代わりに毎日好きな一般神術を1つ選び、他の3つはランダムに与えられる。[隠者神術]のランクが4、および6になると、ランダムに与えられる一般神術の数が増え、ランク5の場合は、自ら選択できる神術の数が増える。最終的には、自ら選択できる2つとランダム習得の4つを扱うことになる。また、〈救済〉も使用可能。
- シャーマン:原始的な部族の司祭であり、神々ではなく、先祖の霊に懇願し、神への願いごとを間接的に伝えてもらう信仰形態を持つ。[シャーマン神術]は、先祖霊を仲介することで、その先祖にまつわる性質の一般神術を習得できる。初期状態で2人の先祖霊を持ち(2種類の神術を自由に選ぶ)、ランク4で3人の先祖霊が、ランク6で4人の先祖霊が守護してくれることに。また、1日に1度の儀式で、1つの先祖霊(神術)を別のものに入れ替えることも可能。加えて、〈救済〉の能力も持つ。
翔花「ドルイドさんは、分かりやすいわよね」
ジュニア「身近に実例もいますからねぇ」
NOVA「分かりにくいのは、修道僧だな。原語では、モンクじゃなくて、フライアー(托鉢修道士)の方らしく、それなら伝道士とか説法師という方が能力的にも通じやすいと思うなあ。モンクのイメージで考えるなら、旅の修行僧で格闘(武術)が得意なキャラを連想するし(他のサプリと組み合わせて、そういうキャラにすることも可能)、一般的に修道士というと、人里離れた僧院にこもって集団生活しているイメージがあるからな。そういうキャラではないので、旅の僧というのが事実」
翔花「すると、三蔵法師?」
NOVA「若干、違うイメージだが、とにかく信仰教団というのは割と内輪の組織運営と、神殿付近の住人とのやり取りが日常なので、保守的になりやすい。それに対して、自分の視野を広げながら、世界に信じる神の教えを……という対外任務に派遣されたり、自ら志願したのが旅の聖職者となる。まあ、冒険者向きの設定ではあるが、この《住居祝福》というオリジナル神術が同行する冒険仲間の行動にボーナスを与える点で、良きサポーターということになるな。タイタン世界には、旅の僧侶をもてなす文化が根付いているらしいので、彼と仲間たちは宿代抜きで宿泊させてもらえる可能性が高い」
翔花「隠者さんとシャーマンさんは、固有神術を持たずに、使える一般神術が入れ替え可能なのが特徴ね」
NOVA「隠者は、ランダム要素が強いが、いろいろな神術を幅広く使いたいプレイヤーには向いていると思う。《治癒》の神術はパーティに必要だが、信仰を固定されるのは気に入らないというプレイヤーには、お勧めかもな。NPC隠者は、冒険中に時々出会う世捨て人タイプだが、ヒーロー隠者はある日、突然、天啓を受けて旅立つとか、気まぐれに神の言葉を弄しても許される面がある」
ジュニア「そんなので、聖職者が務まるのですかぁ?」
NOVA「特定教義に縛られないけど、毎日の占いみたいに神術をランダムに授かり、『今朝は太陽神のグランタンカが常より輝いている。アンデッドを倒す《神撃》を授かった。光あれかし』とか言って、次の日は『今日は動物の王が夢に出て来た。クマに変身することもできようぞ』とか、その日の獲得呪文ごとにそれっぽい神の名を挙げて、行動指針にするという遊び方もあり」
晶華「それに対して、シャーマンさんは使える神術の数が普通の司祭よりも少ないので、明らかに不利よね」
NOVA「普通は4つの神術が使えるのに、2つしか使えないもんな。基本的にはNPC専用となるんだろうが、プレイヤーがシャーマンを使うメリットは何かを考えたときに、《呪い》や《衰弱》といった邪神官が扱う神術を、本人は悪でないのに堂々と扱える術師ということだ。まあ、隠者もランダムで邪悪系の術をもらえる可能性はあるんだが、シャーマンは『自分ではなく、ご先祖さまが呪われし戦士だとか、大ガラスの系譜の術師だった』とか言って、《呪い》の使用を正当化できる」
翔花「隠者さんにはできないの?」
NOVA「隠者は、邪神であっても神がくれた術だからなあ。『今日は何だか邪神さまが《呪い》の術をくれたから、誰かを呪いたくて仕方ないんだ』とか言って、他人に《呪い》をかけるロールプレイをすると、邪悪そのものじゃないか。これがシャーマンだと、『我が先祖、黒ヒゲ・マッシュは邪神に呪われながらも、強い意志で呪縛を打ち破り、敵の呪術師に呪いを弾き返した逸話がある。わしもマッシュ様の伝承にあやかり、悪に呪いを返すべく導きを受けた。そう、わしの呪いは悪を滅ぼす善行のため。反論するは、我が先祖への侮辱と見なす』という言い訳が成り立つ」
ジュニア「よくも、そんな作り話が語れますねぇ。感心しますぅ」
NOVA「だって、シャーマンの解説文で書いているもんな。『シャーマンのヒーローを使うプレイヤーはぜひ、それぞれの一般的な神術にどんな先祖が結びついているのか、具体的に考えるようにしてください』と。こういう創作伝承を物語る資質こそ、部族の語り部たるシャーマンをロールプレイすることだと思う。まあ、シャーマン神術だけだと、あまりに数が少ないと思うので、実際にシャーマンをプレイするなら、[まじない]技能もとって、できることを増やすんだろうけど。《滑り(スリップ)》とかで相手を転ばせるのが、シャーマンっぽいかな。昔、ソード・ワールドでそういうエルフがいたわけで」
(当記事 完)


