娘たちの昼間(AFFのルール確認)
晶華「NOVAちゃんが朝からお仕事なので、今は私たちだけで、AFFの研鑽をするわ」
翔花「ソーサリーをするんじゃないの?」
晶華「ソーサリーはいつでもできる。だけど、『マジカル・コンパニオン』がウルトロピカルに送られたら、帰ってくるのが当分、先になりそうなので、その前に『マジカル・コンパニオン』を理解できる程度の知識は身につけておかないと」
ジュニア「さすがはアッキーさん。では、早速キャラ作りですね」
晶華「使うダイスは6面ダイスが2個。能力値はFFと同じで、技術点、体力点、運点ね。それに魔法使いや聖職者なんかは魔法点を決めないといけない」
翔花「じゃあ、わたしから行くね。技術点はサイコロ1個に6を足して……」
009「それは、AFF1版までの決め方だ。2版のキャラ作りに、ダイスは使わない。まず、すべてのキャラクターは、技術点4、体力点8、運点8、魔法点0になる。それに合計8点を割り振る」
翔花「だったら、技術点に6点を割り振って10」
009「ところが、技術点には最大で3点しか割り当てられないんだ」
翔花「何それ? 技術点は最大7ってこと? 弱すぎる」
009「ゲームブックからAFF2版に入ったプレイヤーがみんな思うことだな。だけど、過去のFFRPGには重大な問題があって、最初にダイスを振って6が出た場合、そのキャラの技術点は12となって、全ての技術点判定に確実に成功してしまうんだ」
翔花「ゲームブックもそうじゃない?」
009「だから、ゲームブックの通は、技術点12のキャラじゃ判定に意味がなくて、つまらない。10か11ぐらいがバランスとれていいって考える者もいる」
晶華「でもゲームブックだと、冒険中に技術点が減らされるイベントがあったり、判定にペナルティーがあって、絶対成功にならないように数字調整しているのよね」
009「それと作品によっては、最高の技術点12でないと、敵が強くて体力の消耗が激しいので、最初から技術点12、体力点24、運点12の最強能力値キャラで挑む者もいるそうだ。それでも、死ぬときは死ぬのがFFゲームブックってものだが」
翔花「戦闘や判定では全てクリアできても、作中のパズルや必須アイテムの取り損ないでクリアできなくなることもあるからね。キャラの強さ弱さとは別に、正解ルートを見つけるための試行錯誤もゲーム性の一つだと思う」
009「ゲームブックは基本ソロプレイだし、選択肢による当たり外れで、キャラの能力とは関係なくクリアできるものもあれば、力押しだけで何とかなるもの、正解ルートと最強能力値でも、最後は運も味方しないと解けないものがあったりする」
晶華「そういうところが難易度にも影響するのね。とにかく、ゲームブックだと、技術点12って最強能力値が最初から作れるし、古いAFFだと、そのキャラ作りルールを踏襲していた」
009「ソロプレイならともかく、複数プレイヤーが遊ぶことの多いTRPGだと、ダイスのランダムな出目で技術点格差が発生すると、プレイヤー間で不公平感が発生するのが否めなかった。そこでAFF2版は、ゲームブックの主人公よりも弱い能力の一般冒険者キャラをポイント割り振りで作るシステムになったんだ」
翔花「ああ。ゲームブックの主人公は1人旅で悪を倒せる勇者だけど、TRPGの場合はもっと弱いから仲間といっしょに行動するんだね」
009「で、ポイント振り分けルールは以下のとおりだ」
・基本能力は、技術点4、体力点8、運点8、魔法点0。
・振り分けポイントは8点。
・技術点には、最初に3点まで振り込める(最大技術点7)
・体力点には、最初に4点まで振り込める。1点振り込むごとに体力点は2点増える(最大体力点16)
・運点には、最初に3点まで振り込める(最大運点11)
・魔法点は、魔法を使うキャラのみ必要。最初に7点まで振り込める(最大魔法点7)
・種族は人間、エルフ、ドワーフの3種が基本で、人間は運点+1、エルフは魔法点+1、ドワーフは体力点+2のボーナスが付く。
009「能力値決めのルールは以上だね。まあ、魔法点に割り振らないなら、技術点は最大の7にして、残り5点を体力と運に割り振るが、ぼくなら人間で技術点7、体力点14、運点11ぐらいを推奨するかな。まあ、体力16、運10ってケースもありだろうけど、技術点7というのは鉄板だな。11人用意されたサンプルキャラクターも、魔法を扱えるキャラを除けば、みんな技術点7だ」
晶華「技術点格差は生まれないようなシステムになっているのね」
翔花「だけど、技術点が7しかないのでは、不安が多いわ」
009「そこで、ゲームブックに比べて低い技術点を補うAFFのルールが、特殊技能って奴だ」
サンプルヒーローと特殊技能、タレントの話
009「AFF2版のキャラ作りは、従来のダイスを振って、ランダムにキャラクターが生まれる要素を廃している。能力値をダイスを振って決めるのが楽しい、という人には不評だが、元々、能力値の少ない技術点偏重システムなので、キャラの個性づけは能力値ではなく、スキル選択で決まる。そして、いわゆる職業クラスというのは、魔法使い関連を除いて、存在しない」
晶華「戦士と盗賊の違いは、スキルのみで決まるのね。戦士だから体力点にボーナスとか、盗賊だから革鎧しか着られないってことはない、と」
009「強い鎧を身につけるには[防具]の技能が必要だな。金属鎧を身につけるには、技術点+[防具]技能が9以上なければならないし、最低限の革鎧レザー・キィラスでも7以上が必要だ」
翔花「キィラスって何?」
009「胸当てだな。革鎧は2種類あって、キィラスは胸と腹、肩と腰までしか守ってくれない。ホバークだと腕や脚も守ってくれる。敵の攻撃が命中すると、1Dを振って鎧の防御効果を決めるんだが、キィラスは5以上でダメージを1点減らし、ホバークは2以上でダメージを1点減らす」
ジュニア「1点しか減らさないのですかぁ?」
009「金属鎧なら、もっと減らせるんだけど、初期状態だとレザー・キィラスしかもらえないんだな。初期の所持金は金貨2D6枚。キャラ作りでサイコロを振るのはそこだけなんだけど、鎧の値段は高くて、最弱のレザー・キィラスでも金貨20枚もする。金属鎧なら40枚以上もするから、最初から金属鎧を与えられるのは、【騎士叙任】のタレントを持つキャラだけだ」
翔花「タレントって?」
009「そのキャラの個性を強調した特殊能力だな。最初に1つだけ好きなタレントを選べる。技能は訓練や経験によって、手軽に伸ばせるけど、タレントは獲得するのに大量の経験点が必要だし、ディレクターの許可が必要になることも多い」
翔花「例えば?」
009「ドワーフやエルフは最初から【暗視】のタレントを持つが、人間には絶対に無理。個人的に面白いと思うのは、蛮人(バーバリアン)を表現できる【命知らず】だな。防具を一切身に付けない状態で、[回避]技能でダメージを減らすことができる。他にも、食事や睡眠による体力回復効果を高める【頑健】とか、運だめしを失敗しても振り直せる【幸運】とか、交渉系技能に+3ボーナスを与える【雄弁】とか、基本ルールだけでも32種類のタレントがあって、たぶんAFF2版になって一番特徴的なルールだと思うなあ」
ジュニア「数が多いのに、1つしか選べないんですねぇ」
009「新しいタレントの習得には、経験点が200点もいるからな。技能の習得は20点でいいのに」
晶華「1回のシナリオで、いくらもらえるのかしら?」
009「3時間〜4時間ぐらいの冒険で、30点ぐらいとルールブックには書いてある。公式シナリオのソーサリーだと、シャムタンティ丘陵のクリアで150点。カーレでも150点、バクランドには書いていないが、同様に150点。最後のマンパン砦までクリアしたら、最低でも200点から、最大300点と書いてある。つまり、ソーサリー全てで650〜750ぐらいってところか」
晶華「ゲームブック1冊で150点ぐらいが相場か。ゲームブック1冊分で、5セッションぐらいを想定してそう」
009「で、キャラ作りには技能選択、タレント選択、魔法使いだと魔法の選択、司祭だと信仰する神さまの選択、最後に初期装備の決定があって、初心者プレイヤーにはなかなかハードルが高い。そのために用意されたのがサンプルキャラクターで、初心者はここから選ぶか、一部の技能やタレントを別のものに置き換えるかでアレンジするといい」
翔花「21世紀のTRPGは、サンプルキャラクターが定番ね」
009「サンプルキャラに付いてくるイラストなんかも、客引きには使えるからな。ただし、AFF2版には、キャライラストがないけど」
ジュニア「で、どんなサンプルキャラがあるんですかぁ?」
009「リストアップすると、こんなところだ」
- 人間の冒険者:タレント【防具熟練】
- ドワーフの戦士:【強腕】
- エルフの射手:【射撃の名手】
- 人間の盗賊:【罠の達人】
- 人間のバーバリアン:【命知らず】
- 人間の魔法戦士:【天性の魔法使い】
- エルフの魔術師:【集中】
- 人間の妖術師:【魔力分析】
- 人間の司祭(勇気と戦いの神テラク):【祝福】
- 人間のまじない師:【使い魔】
- 人間の騎士:【騎士叙任】
晶華「なるほど。サンプルキャラの職業名とタレント名を並べるだけで、何となくイメージがつかめるわね」
009「細かい個性づけは、習得した特殊技能や呪文などをチェックするとして。能力値については、先に言ったように、魔法使い以外は技術点7で、魔法戦士とまじない師が技術点6、妖術師と司祭が技術点5、魔術師が技術点4になっている」
ジュニア「魔法体系は、普通の魔法(魔術)と、妖術と、まじないと、信仰魔法の4種類ですかぁ?」
009「そうだね。このうち、妖術はソーサリーのZAPとかの系統だ。これと信仰関係が、AFF2版で初採用された。魔術は、旧AFFにもあったバルサスタイプの魔法だが、AFFでは魔力ポイント(MP)を消費するシステムに変わっている。MPは『魔法点の能力値+魔術の技能ランク』の2倍で、魔術師は魔法点を高めておかないと、呪文行使判定を成功させることも、1日の呪文の使用回数もおぼつかないので、他の能力を伸ばしている余裕が全くない。ただし、知識系の技能は技術点ではなく、魔法点をベースに判定することもできるので、技術点が低くなりがちな魔術師も、知識の判定だけは得意ということだ」
翔花「ああ、技術点には技能のランクを足せるのね」
009「そう。だから、技術点7に技能ランク2を足すと、9を判定に使える。キャラ作成時は得意な技能が2ランクになるので、そういう技能は実質的にゲームブックにおける技術点9みたいなものだな。なお、技能の習得は、キャラ作成時にこうなる」
●人間の技能:[共通語]4ランク、[世界の知識][都市の知識]*1[宗教の知識]1ランク、移動もしくは盗賊系の技能を1ランク。
●エルフの技能:[エルフ語]4ランク、[共通語]2ランク、[森の知識][魔法:まじない]1ランク。
●ドワーフの技能:[ドワーフ語]4ランク、[共通語]3ランク、[地下の知識][手仕事]1ランク。
●追加技能:2ランク技能3個、1ランク技能6個を、種族の技能に合わせて習得する。
ジュニア「人間が習得できる移動もしくは盗賊系の技能って、どんなのがありますかぁ?」
009「以下のとおりだな」
・移動系の技能:[泳ぎ][回避][軽業][乗馬][跳躍][登攀]
・盗賊系の技能:[開錠][感知][忍び歩き][手技][変装][罠]
晶華「それぞれ6個もあるのかあ。技能選択で、キャラの個性を決めることになるのね」
009「その昔、TRPGはD&Dに代表されるキャラクターの職業クラスが性能を決める『クラス制』と、もっと細分化された技能スキルで能力を表す『スキル制』のシステムに大きく分かれた(70〜80年代半ばすぎまで)。
「クラス制は、キャラクターを説明するのが分かりやすくて、キャラ作成も比較的簡単。ただし、どうしてもキャラクターが類型的になりやすい。戦士を表現するにも、剣が得意な剣士タイプと、斧が得意なパワーファイターと、刀の二刀流が得意な侍タイプの違いを表現するだけでも難しいし、盗賊の能力を持った忍者とか、魔法を多少使える魔法戦士など、新しいクラスを用意することで対応してきたが、それでも細かい個性が表現しにくいとある。
「一方のスキル制は、キャラクターの能力を詳細な技能で表現するので、大雑把なクラス制よりもキャラの再現性が高いが、クラス制よりも大量のデータを扱わないといけないので、より上級者向きのゲームと考えられた。そして、決めないといけないデータの多さは、キャラ作りに時間がかかり過ぎるという問題を露呈した」
翔花「AFFはスキル制のゲームよね」
009「元々のゲームブックは、クラス制だな。作品によって、戦士と魔法使いが選択できる。ただ最初のファイティング・ファンタジーRPGは魔法使いにもなれない、技術点偏重の簡素なシステムだった。だから、ファンの間でもFFに盗賊を導入するならどうすればいいか、という議論があって、能力値をより細分化して、『戦闘技術点』『盗賊技術点』『知識技術点』などで表現すればいいのでは? という意見を雑誌上で投稿して、紹介されたぼくのような人間もいる。おかげで粗品としてカードゲームの『モンスターメーカー』を編集長の近藤さんより送っていただいた高校時代の思い出がある」

晶華「過去の栄光って奴ね」
009「いや、ぼくのアナログゲーム界の栄光は90年代だったから、高校時代のは始まりに過ぎない。が、まあ無知な学生が思いついたことを葉書にしたためて投稿したら、運良く採用されたのは素朴に喜ばしい経験だったな、と。ところで、スキル制云々といったが、FFの場合、『技術点の英語がSkill』なもので、英語だとややこしい。そして今のAFFの詳細な技能群は『Special Skill』だから、正式なルール用語では『特殊技能』と表現されている。まあ、当記事では省略して、技能(スキル)と言っているが」
晶華「すると、『戦闘技術点』はコンバット・スキル、『盗賊技術点』はシーフ・スキル、『知識技術点』はナレッジ・スキルと表現できるわね」
009「コンバット・スキルとナレッジ・スキルは、英語版AFFの正式用語だ。盗賊の方は、ステルス・スキル(隠密技能)が正式なところで、他にムーブメント・スキル(移動系)と、マジカル・スキル(魔法系)に大別されて、さらに詳細な個別技能に細分化されている」
翔花「思っていた以上に本格的だったのね、AFFって」
009「ルールはシンプルだけど、データが多くて奥が深いゲームになっている。そして、ファイティング・ファンタジーのTRPGシステムは、FF→AFF1版→AFF2版と進むにつれて、発展が著しくて、今の版はサプリもどんどん出て、うおっ、よくもこんなに細かいところまで、とデータを読んでいるだけで、ゲームブックとのリンクが楽しめる」
ジュニア「ゲームブックともリンクしているんですねぇ」
009「それは、シナリオ『ソーサリー・キャンペーン』がいかにソーサリーのゲームブックをTRPGシナリオに落とし込んでいるかをチェックしたら、分かるってものだけど、個人的にはソーサリーの48の魔法を導入した時点で、凄いって感じ入ったものだ。実のところ、AFF1版の魔法ルールってゲームブックの魔法とは似て非なるもので、ソーサリーの体力点消費を採用しつつ、ゲームブックにはない『おおっと!表』で、魔法行使に伴う事故を独自に表現しているのが、システムとしてのオリジナリティって感じだな」
AFF2版の特殊技能の掘り下げ
009「TRPGのクラス制とスキル制のシステム論の歴史など、いろいろ語りたい面もあるが、結論として、今のTRPGはクラスとスキルを組み合わせているのが一般的だな。そして、キャラ作りの際のスキル選択の面倒くささを、サンプルキャラという形で半分完成したデータを用意することで、補っているのが現状」
晶華「キャラ作りを楽しむプレイヤーもいれば、準備はさっさと済ませて、用意されたキャラで実際の冒険を楽しみたいプレイヤーだっているものね」
009「1からデータを組むよりも、ありものを少しイジくる方が手間暇もかからないしな。例えば、サンプルキャラの人間の盗賊は、移動系の[登攀]を選んだ後、[感知][忍び歩き][罠]を2ランクにして、[防具][剣][格闘][回避][開錠][手技]を1ランクにしているが、もう少し戦闘能力を高めたいなら、[剣]を2ランクにして、代わりに[忍び歩き]を1ランクにするという手もある」
翔花「忍ばないけど、暴れるぜって感じね」
009「いや、1ランク分は忍べるんだから。本当に忍ばないキャラをやるなら、[忍び歩き]を切って、力自慢的な[体力]にするというのもあり」
ジュニア「[体力]自慢の盗賊ですかぁ」
009「[体力]は、開かない扉を無理やり破壊したり、重い岩を持ち上げたり、仲間をロープで引っ張り上げたりできる。よりマッチョなパワフルシーフを表現できる」
晶華「とにかく、技術点を7にして、[剣]とか[斧]とか得意武器に合わせた技能をランク2にすることで、7+2=9を戦闘での判定の基準値にできるわけね。実質、ゲームブックで言うところの技術点9に相当する」
翔花「いわゆる技術点判定も、得意な技は9以下で成功するということなら割と成功しそうね」
009「6分の5で成功するなら、まあ、普通にゲームとして妥当だな。ランク1技能は基本的な訓練ができている。ランク2技能は一通りの訓練を終えて、ランク3に成長すると熟練者の領域。ランク4が達人レベル。人に技を教えるには、ランク3以上が必要になる」
晶華「ランクを持たないのは素人で、ランク1はきちんと練習をしているレベル。仕事で言うなら、それをしたことがあって、手順とか段取りとかもつかんでいる、と」
009「それをやってみせて、と言われたらできるんだな。楽器演奏が分かりやすくて、ランク1だとピアノやギターで簡単な曲なら弾ける、と」
翔花「確かに、素人だと、楽器でドレミファソラシド、ドシラソファミレドも演奏できないもんね」
009「まあ、音を鳴らすことはできても、きちんとした演奏にはならないか。ランク1は簡単な曲ぐらいなら弾ける。ランク2だと履歴書の特技欄に記すことができて、これが得意です、と言い張れるレベルだな」
ジュニア「ランク3になると、日常的にそれを扱っていて、生業にすらできるレベルですかぁ」
009「ランク2で普通のプロ、ランク3でプロとして実績を積んで、ベテランに達した。ランク4は一応、極めたと言えるけど、さらに精進が可能で、最大のランクは6だ」
翔花「そこまで達するのに、経験点がいくら必要?」
009「未修得からランク1に20点、ランク2まで伸ばすのも20点。その後はランクを1つ上げるごとに新たなランク×10点だから、素人が1つの技能を極めるには、20+20+30+40+50+60で220点だな。タレントを1つ得るのに200点だから、ゼロから技能を極めることと、タレントを得るのがほぼ同じぐらいの経験、と」
晶華「でも、技能って技術点との合計で判定値を決めるから、伸ばせるなら技術点を伸ばす方が効率良くない?」
009「技術点は、新たな技術点×20だから、7から8にするのに160点、8から9で180点……と気軽には伸ばせないんだな。まあ、技術点4の魔術師が5に上げるなら100点で済むが、能力値を伸ばすのは大変。魔法点は新たな能力×15点、体力点はルールブックに×15とあるが、エラッタが入って×5になったのが正解で、運点は伸ばせない」
翔花「え? 運は最初に決めた数値から伸ばせないの? だったら、体力点よりも運の方を優先しないと」
NOVA「ただいま〜」
晶華「あ、NOVAちゃんが帰ってきた。魔法について教えて〜」
009「魔法以外のAFF2版ルールは、大体チェックしたぞ。技能とタレントはばっちりだ」
NOVA「ご苦労、009。じゃあ、続きの魔法についても、よろしく頼む。俺は寝る。ZZZ」
009「おい」
AFFの魔法ルール(魔術とまじない編)
晶華「NOVAちゃん、寝ちゃったね。眠らせる魔法は知っているけど、起こす魔法は知らないのよ」
翔花「ドラクエだと、ザメハってのがあるけど、AFFにいい魔法がないかしら?」
009「実は……基本ルールにはないんだな。魔法で眠らされたなら、《呪文封じ》で魔法の効果を打ち消したりできるんだが、普通の睡眠を起こすタイプの魔法はない。なお、《眠り》で寝ているものを起こすには、大きな音を立てたり、ダメージを与えたり、体を揺さぶらせればいいが、疲労で眠っている相手を叩き起こして、眠らなくてもいいようにする魔法は……何かないかなあ」
ジュニア「朝から仕事で疲れているんだったら、無理に起こさなくてもいいのではぁ?」
晶華「いいえ。私たちは『ナイトメアの呪いで眠り続けているNOVAちゃん』を起こすための呪文を求めて、私たちだけで魔法の研鑽を続けないといけないのよ」
009「ナイトメアの呪いって、何だよ、その設定は?」
晶華「今の時代にタイムリーでしょ。その昔、私と闇の分身アナザー・ショーカ(今はウルトロピカルのダイアンナ)を切り離すために、NOVAちゃんは『ナイトメア・ハンター』の書物の力を駆使して、悪夢を狩ってくれた。その時の恩返しを今こそ果たすとき」
009「『ナイトメア・ハンター』かあ。いろいろ懐かしいなあ。歴史は繰り返すって奴かあ」
ジュニア「元は88年にA5版書籍として登場したTRPGだったのが、2007年に続編の『ディープ』としてリメイクされたんですねぇ」
009「FFゲームブックで、ナイトメアというキーワードだと、次の2作を思い出すが」

晶華「とにかく、『眠れる魔術師のNOVAちゃんを目覚めさせるための魔法研鑽』ということで、気合を込めて、話を続けるわよ」
翔花「何だかよく分からないけど、今回の記事が終われば、NOVAちゃんが目覚めるってことね」
晶華「きっと、そのはずよ。それじゃあ、ナイン君。基本ルールの魔法について語って」
009「結局、ぼくが説明するのかよ。ええと、AFF2版の基本ルールには、魔法系の技能が6つある。そのうち2つは[魔法の知識][魔力感知]で、残り4つが[魔法:魔術][魔法:まじない][魔法:妖術][魔法:神術]だ。後ろの4つが基本ルールの魔法系統で、それぞれ細かいルールが違う。なお、魔術師はウィザードで、まじない師はコンジャラー、妖術師がソーサラーで、神術使いは司祭(プリースト)と通称される」
ジュニア「ソード・ワールドと同じですねぇ」
009「ただし、意味合いがずいぶん違うので、混同しないように」
晶華「ルール的にどう違うのか、分かりやすく説明して」
- 魔術:魔法点を最も必要とする魔法系統。魔法点7に[魔法:魔術]2ランクを加えて、判定値を9にしておくのが無難。それを2倍した数値がMPとなって、呪文を使うとMPを消費する。つまり、キャラ作成時の初期状態だとMP18である。エルフは魔法点+1のボーナスがあるので、MP20を狙うことができる(サンプルキャラもそうなっている)。魔術師が習得できる呪文の数は、呪文の消費MP合計がキャラのMP以下まで。また、鎧の着用は、呪文の消費MPを増加させるので、基本的に魔術師は鎧を身につけない。
009「魔術師は、呪文行使に魔法点に基づく判定が必要で、MPが習得呪文の数と、呪文使用時の消費に関わってくる。鎧を身につけるとMPコストが増える。そして、習得できる呪文の総数が最も多いのが特徴か」
翔花「多いって、どれくらい?」
009「MP1点消費のランク1呪文が19種類。2点消費のランク2呪文が23種類。4点消費のランク4呪文が17種類。同様にランク6呪文が10種類。ランク8呪文が3種類の合計72種類の中から習得呪文を選んで行くことになる」
晶華「え? いきなり最強の8ランク呪文も選べるの?」
009「それは無理。最初はランク4までだ」
晶華「念のため、ランク8にはどんな呪文があるの?」
009「呪文名が《暗殺者の短剣》《死》《地震》だ。物騒だったり、強力すぎて、敵キャラ専用にした方が良さそうだ」
晶華「でも、プレイヤーが《死》の呪文を覚えたいと言ったら?」
009「ランク6以上は、認めない方が無難だな。ランク6でも、スケルトンを作ったり、相手と肉体を交換したり、石化させたり、相手をカエルやネズミ、ゴキブリに変えたり、未来視したりが揃っていて、ゲーム運営に支障をきたす可能性が高いから」
晶華「実質、59種類の呪文から選ぶってことね。ランク4の強力な攻撃呪文は《電撃破》かあ。2D+2点の単体攻撃……って、もっと強力な範囲攻撃呪文ってないの?」
009「元がソロプレイのゲームブックらしく、D&D的な集団殲滅魔法は少ない感じだね。そういう魔法はサプリメントにあるようだ。範囲攻撃は戦争用の魔法と定義されていて、それ用の上級魔術が追加されているみたいだね」
晶華「ふうん。だったら、次はまじないね。チチンプイプイって感じ?」
009「どんな感じか解釈を要するが、魔術よりも扱いが簡単な小魔法って意味合いなら、確かにそうだ」
- まじない:別名、小魔法(キャントリップ)とも呼ばれ、日常使用が便利な簡易魔術。呪文行使に+6のボーナスがもらえるので、魔法点が最低限の1点あれば、[魔法:まじない]ランク2で、判定値9で判定できる。つまり、他の能力を犠牲にして魔法点に注ぎ込まなくても使用可能。さらに行使判定に成功すれば、消費MPなしで扱えるので、MP確保のために魔法点に注ぐ必要すらない。[魔法:まじない]ランク1につき、3つのまじないを習得できて、鎧による制約もないので、戦士が成長して魔法点を1点伸ばして(経験点15消費)、[魔法:まじない]の技能を習得(経験点20消費)することで、手軽に学習することもできる。また、副次魔法に分類されて、他の主要魔法系統(魔術、妖術、神術)と同時に習得することも可能(主要魔法どうしは、原則として同時習得不可)。
翔花「お手軽気軽な魔法かあ。わたしでも習得できるかなあ」
009「花粉症ガールは精霊少女だから、素で身につけているんじゃないかなあ。例えば、AFFのエルフは最初から魔法点1点と[魔法:まじない]技能を1ランク持っているから、サンプルキャラのエルフ弓手は《燃焼》《熟成》《天候防護》のまじないを習得している」
翔花「《燃焼》は手のひらに小さな火を灯して、マッチやライターみたいに使える呪文ね。攻撃には使えないけど、油断している相手にそっと火を近づけて1点ぐらいのダメージは与えられる。《熟成》は熟す前とか賞味期限切れの食べ物1つを食用にできる呪文。確かに、日常生活で便利ね。《天候防護》は風雨を防いでくれたり、暑さ寒さも和らげてくれる。ちょっと便利すぎない?」
009「小魔法は、冒険中に派手に劇的に活躍するような呪文系統ではないが、日常生活に便利な魔法や、ちょっとした手品、もしくはイタズラなんかに使えそうな小技が揃っているな。しかも、他の呪文系統と合わせて習得できるので、サンプルキャラでも魔法戦士、魔術師が余芸として習得している。もちろん、専門家はまじない師だが」
翔花「全部でいくつのまじないがあるの?」
009「基本ルールで31種類だ」
翔花「思ったよりも、多かったわ」
まじない師を掘り下げる

009「まじないは少し変わったものが多いので、ゲーム内での効率よりも、キャラのロールプレイに合わせて選ぶ楽しさがある。例えば、まじない師のサンプルキャラを分析してみると、このキャラの技術点は6で、[剣]技能のランクは2。一応、ショートソードで戦うこともできるが、キャラの方向性は、カラスの使い魔を連れた旅芸人に近い」
翔花「吟遊詩人みたいなものかしら?」
009「……基本ルールには、芸人的な技能もタレントもないなあ。楽器演奏みたいな技もないけど、サプリを探したら見つかるかも。ともあれ、得意技能(ランク2)は、剣とまじないの他に[口先]。つまり、嘘や演技で相手を騙したり、その気にさせたりして要求を通す交渉人だ」
ジュニア「いわゆるペテン師って奴ですかぁ?」
009「他に目立つ技能(ランク1)は、[変装][感知][手技][交易][統率]といったところ」
ジュニア「[交易]というと、商人っぽいですねぇ。しかも[統率]ってことは、リーダーシップをとれる人ですかぁ?」
009「技能だけだと、何で[統率]を持ってるのか分からないけど、実は習得したまじないに《魅了》があって、自分や他の誰かを好きにさせる小技が使える」
翔花「自分だけでなく、他の人を好きにさせるってのが珍しいわね」
009「他の誰かの良い噂を流して、応援してもらうこともできるんだな。この《魅了》は、飲み物に《注入》して使うと効果的らしい」
晶華「お酒を飲んで、ほろ酔い気分にさせたところを、惚れさせるってコンボね」
009「《注入》も面白いまじないで、他のまじないと組み合わせて使うと、普通なら1時間ほどで消える効果を、1〜3日持続するようにできる。1時間で消える《魅了》効果を数日間、持続できると、商取り引きにも活かせそうだ」
ジュニア「情報収集にも活用できそうですねぇ」
009「他にも、物の見栄えをよくする《見てくれ》や、手のひらサイズの小さな幻を作る《小幻像》、アイテムに開いた穴を塞ぐ《修復》、それと《天候防護》が使えて、口八丁手八丁で芸人兼行商人みたいに立ち回れるキャラ」
翔花「それって、トルネコさん?」
009「基本ルールに用意されたサンプルキャラで、一番ロールプレイが難しそうに感じたキャラだな。ペテン師になるか、芸人になるか、それとも立派な交易商人になるか、技能を見ると、どの可能性も思い浮かぶが、自分でキャラ作りすると、こういうキャラは思い浮かばないだろうから、AFFに限らず、たまにサンプルキャラのデータを分析して、キャラコンセプトを想像すると、いい勉強になることもある、と」
魔法戦士を掘り下げる

009「もう一つ、いい勉強になるのが魔法戦士。普通にルールを考えるなら、魔術師は魔法点に点数を注ぎ込まないと使えないから、技術点はあまり伸ばせないんだけど、このキャラは剣と魔法を上手く両立させるためのメイキングをしている。技術点は6、魔法点2の振り分けで、[剣]2、[魔法:魔術]2、[騎乗戦闘]2という技能データだが、剣はともかく、魔術使用の判定値が4しかなくて、つまり魔法発動のためには2Dで4以下を出さないといけない」
翔花「それじゃあ、成功しにくいわね」
009「それを補うタレントが【天性の魔法使い】。これを持ったキャラは、コストが[魔術]や[妖術]のランク未満の魔法は判定なしで使える、とある」
ジュニア「つまり、[魔術]ランク2だと、ランク1の魔法は使用判定をしなくてもいい、ということですねぇ。このキャラの場合、ランク1の呪文4つと、ランク2の呪文2つを習得していますが、そのうちランク1の《火炎》《鍵あけ》《閃光》《腕前》は無条件で使えますぅ。ランク2の《衝撃》や《巧打》は使いにくいですが、経験点30点を費やして[魔術]技能のランクを3に上げたら、判定なしで使えるようになる、と」
009「つまり、【天性の魔法使い】のタレントがあれば、魔法点をそれほど伸ばさなくても、[魔術]や[妖術]を扱いやすくなるわけだな」
晶華「もちろん、魔法点が低いからMPは8点しかないみたいね。あまり、たくさんの呪文は使えない」
009「だけど、このサンプルキャラは[まじない]技能もランク1で習得しているので、《微光》《加熱》《固定》の3つのまじないを判定値9で使える。うっすらとした明かりを灯したり、物を温めたり、物を動かないように30秒間押さえたりできる。最後の使用例は、剣が鞘から抜けないようにするとか、靴を床から離れないようにするとか、戦闘中に3ラウンドは武器を封じたり、移動を封じたりすることもできて、うまく使えば結構、強力そうだ」
翔花「30秒間、物を動けないように固定するって、日常でもイタズラや、スポーツ競技での妨害工作なんかにも悪用するといろいろ厳しいよね」
009「一応、相手が運だめしに成功すると、《固定》の効果を免れるようなので、確実に効果を発揮するわけではないんだが、まじないの活用方法をあれこれ研究するのも楽しいと思われ」
目覚めの歌
晶華「ところで、NOVAちゃんを目覚めさせるために、いい物を見つけたわ」

009「それはFFシリーズではなくて、ソード・ワールドの呪歌じゃないか」
晶華「これさえあれば、寝ているNOVAちゃんを起こすことができるんだけど……今はやめておくわ」
009「へえ、どうしてだ?」
晶華「だって、仕事で疲れて眠っているんでしょ? 無理に起こして、魔法の解説を喜んでしてくれると思う? たぶん、不機嫌モードで、つまらない解説しかしないと思うの。ただ起こせばいいだけじゃなくて、解説役には最高のパフォーマンスを発揮してもらいたいじゃない? 今夜は気分よく眠らせてあげましょう」
009(良かったな、令和NOVA。あんたの弟子の娘は、魔法の悪用を企てて、人さまに迷惑をかけようとしないだけの倫理観は持ち合わせているようだ)
妖術や神術の話は次回にて。
(当記事 完)
*1:都市に慣れていないキャラの場合は[森の知識]や[砂漠の知識]に変更してもいい。

