今回で戦士編の終了
クローディア(翔花)「前回は、ダンパスの村からビリタンティの村に行き着く途中で、ミニマイトのジャンと遭遇しました」
晶華「4日めの夕方に遭遇して、5日めに別れる形だったから、実質1日だけの付き合いだけど、魔法使いにとっては一生忘れられないトラウマを植えつけたみたいね」
009「まったくだ。ソーサリーのミニマイトといい、バルサスのレプリコーンといい、英ジャクソンが描くイタズラ妖精は絶妙なイヤらしさがあって、プレイヤーをからかってくる」
クローディア「わたしとしては実害がなかったので、ジャンよりもエルヴィンの方が憎らしいと思うけど」
009「ああ、エルヴィンも鬱陶しかったな。それと、ぼくは火吹山よりも先に『魔法使いの丘』をプレイした人間だから、ファンタジーの常識的な種族を理解するのが後になった」
EJ(ジュニア)「ファンタジーの常識的な種族というと……」
009「人間の味方だと、エルフやドワーフなんだが、それよりも敵のゴブリンやオーク、ドラゴンなんかだな。火吹山の方では、ファンタジーの常識がいろいろ学べる入門書の意味合いがあって、逆に言えば、FFならではのオリジナル種族が控えめだったんだな。FFオリジナルの種族は、続く『バルサスの要塞』で変なのがいっぱい出てきて、門番の犬猿と猿犬を始め、円盤人とか、双頭トカゲのカラコルムとか、まさに混沌の要塞という原題にふさわしい場所だった」
EJ「オーソドックスな火吹山に対して、オリジナル要素の強いバルサスってことですかぁ」
009「続く『運命の森』では、またオーソドックスなモンスターが多かったけど、リビングストンは森で暮らす変な人間をいろいろと用意してくれているなあ。この辺は安田社長もあまり評価していなかった面だけど、FFシリーズで豊かな人間NPCのドラマは、ジャクソンよりも先にリビングストンが始めたのだと思う。リビングストンの『運命の森』はバトル志向で、その場限りのイベントに終始した作品と評されていたけど、その場限りのイベントでモンスター種族とは異なる人間種族(森の住人)がいっぱい充実していて、後の『盗賊都市』に見られるアクの強い人間たちが住み着いてる異郷ファンタジーの雰囲気を醸し出していた、と思う」
晶華「何で、ここでFF初期作について語り始めたの?」
009「そりゃあ、『ソーサリー』1巻の立ち位置につなげるためさ。本作は83年に発表された作品。83年のFFといえば、『バルサスの要塞』『運命の森』『さまよえる宇宙船』『盗賊都市』までが次々と発売されて、児童向きのパフィンブックスから出たFFシリーズに対して、ソーサリーはより大人向きブランドのペンギンブックスから発売された。日本でも、FFシリーズが白い背表紙の現代教養文庫(社会思想社)から出たのに対し、ソーサリーは赤い背表紙の創元推理文庫(東京創元社)だったからな」
クローディア「ソーサリーの方が大人向きってことね」
009「そして、リビングストンがFF本家的にアランシアを舞台にした作品を83年から84年の『雪の魔女の洞窟』までで構築していったのに対し、ジャクソンは別ジャンル(SFやホラー)を紡ぎながら、アランシア以外に新たな大陸を作り上げて、リビングストンとはぶつからない舞台で、ソーサリー・キャンペーンを展開していったわけだ」
晶華「世界の成立順は、アランシア、旧世界、クールの順番ね。その辺は『暗黒の三つの顔』で学んだわ」
009「作品発表順はそうなるが、まとまった世界という形だと、ソーサリーの旧世界の方が先だな。アナランドとカーカバードの地図が先に発表され、アランシアが一つの背景世界としてまとめられたのは、84年に『雪の魔女の洞窟』が出版される直前の雑誌上だと聞く。例えば、火吹山、サラモニス国と柳谷周辺のバルサスの要塞、ダークウッドの森と北のドワーフ集落ストーンブリッジ、盗賊都市ポート・ブラックサンドと近隣の都市シルバートンは、それぞれのゲームブックの舞台だったが、それらが一つの世界にあるという情報は83年の時点では特になし。ソーサリーのカーカバードおよび文明国が背景にあるという世界観を描いたのは、ジャクソンが先で、だからこその旧世界という呼称も与えられたのだと思う」
クローディア「世界としては、先に旧世界の設定の方があった、と」
009「それが84年になって、リビングストンもソーサリーに刺激されたのか、続く『死の罠の地下迷宮』で新たな街ファングはポート・ブラックサンドの北にあって、世界観がつながっていることを示し始め、次に『トカゲ王の島』で今度はブラックサンドの南の火山島を設定、ブラックサンドを中心に世界観を広げて行った挙句、雑誌上で初めてFFゲームブックの舞台であるアランシアの地図を発表したり、北の氷指山脈からファング、ストーンブリッジ、サラモニス近くの月岩山地を経てクライマックスの火吹山に至る壮大な旅物語『雪の魔女の洞窟』に到達する」
EJ「自分たちの作品の世界観を一つにつなげて見せたのですねぇ」
009「ここから、さらに世界が拡張され、86年のワールドガイド『タイタン』に至る話を経て、それを元に『暗黒の三つの顔』が書かれるんだが、83年の段階では、FFシリーズも『村と山の下の地下迷宮』『王国と敵の砦』『森とドワーフ集落』『小町と大きな港街』と少しずつ点在した舞台が構築された頃合い。そこから広野の長旅をテーマの一つにしたのがソーサリーということになる」
晶華「『火吹山』は広い地下迷宮、『バルサス』は縦に広がる階層構造の建築物、そして初の野外冒険が『運命の森』ね」
009「『シャムタンティ丘陵』は発表順だと、『運命の森』に続くファンタジー冒険譚だが、村から村を経て最後に大都市に至る旅もの冒険譚は、FFシリーズでも初の試みで、世界観の進化発展ぶりが著しい」
クローディア「そうかな。先に『モンスターの逆襲』や『王子の対決』をプレイしたから、そういうのが当たり前だと思ってたけど」
009「後から見ると、『シャムタンティ丘陵』はオーソドックスな1作めという評価がなされているけど、83年当時では魔法ルールを除いても、旅ものとして新機軸が設けられていたと考えるな。次回は、その辺を掘り下げて考えてみたい」
クローディア「次回って、今回はまだ始まってもいないんですけど?」
009「おっと、前置き蘊蓄が暴走したか。では、頑張って、物語を続けたまえ」
トレパーニの村
クローディア「とにかく、ミニマイトのジャンと出会って、別れるまでの話ね。それと、暗殺者のフランカーって人の命を助けたんだけど?」
晶華「それは、次巻の『罠の都カーレ』をお楽しみに」
クローディア「プレイするのは来年になりそうね。忘れないようにしないと(メモメモ)」
●女戦士クローディア(5日め、トレパーニ目前、パラグラフ232番)
・技術点11(剣ボーナス+1、腕輪+2で合計14)
・体力点21
・運点12
・金貨1枚
・食料3食
・所持品:背負い袋、普通の剣(マイナス1)、上質の幅広の剣+1(精霊EJが宿っている)、グランドラゴルの斧(233)、呪文書(害虫よけ)の1ページ(102)、ボンバの実(食事による体力回復効果が倍増する)、ラグナーの剣術熟達の腕輪(攻撃力+2)、普通の剣
・手がかり:自由の鍵にまつわる詩(黒い目のもの)
カーレではVIKの呪文で、ヴィックを呼べる
フランカー(カーレの79番)
晶華「では、魔女ガザ・ムーンの小屋で午後のティータイムを楽しんだ後で、旅を再開したクローディア。ジャンが追い払われたので静かな旅になります。そして間もなく日も暮れるだろうという時間帯に、次の目的地トレパーニの村が見えてきます」
クローディア「この村を越えると、いよいよ城砦都市として知られるカーレの街ね」
EJ「別名は罠の都とも言われ、物騒な場所だそうですぅ」
クローディア「アランシアのポート・ブラックサンドと並んで、悪徳都市の評判が高いそうだけど、バクランドやマンパン砦の危険に比べたら、マシだと思う。とにかく、今から怖気づいていても始まらない。女神リーブラ様の加護を信じて、勇者らしく突き進むんだから」
晶華「その前に、本作最大の危機に立ち向かってくださいね。トレパーニは凶暴な外見の人オークの部族、スヴィン族が住む村で、これまでの村に比べても陰鬱な空気が漂っています」
クローディア「疫病の村と、どっちが陰鬱?」
晶華「そりゃあ、疫病の村だけど、とにかく選択肢は宿に泊まるか、村人に話しかけるかです」
クローディア「宿に泊まるお金はないのよね。だから、わたしとしては村人の困りごとを解決して、そのお礼に一晩の宿と食事を提供してもらうWinWin作戦に出るわ。確か、族長の娘さんがマンティコアの洞窟に連れ去られたそうね。勇者のわたしが助けてあげるから、今夜と明日の朝食と、ついでに金貨を要求するわ」
晶華「不安そうな話をしている村人に近づいて行くと、『村の近くに黒ずくめの殺し屋っぽい男が出没していて、友人が殺された』という内容が聞きとれます」
クローディア「ああ、その殺し屋って、フランカーさんのことね。それなら、わたしが成敗したわ。カーレの方に逃げて行ったから、もうここには来ないはず」
晶華「村人は突然、話に割り込んできた余所者を見て、ビクッとします。よく見ると、3本も剣を持っていて、歴戦の剣士らしいオーラが感じとれる旅人に警戒しながらも、友好的な物腰……ですよね? 少なくとも威圧的ではなさそうなクローディアさんに、村の窮状を打ち明けます。グランドラゴルさんから聞いたように、族長の娘さんが略奪者の手でさらわれ、洞窟魔神(ケイブ・デーモン)の生け贄に捧げられるという話です」
クローディア「洞窟魔神って初耳ね。どれぐらい強いのかしら?」
晶華「さあ。少なくとも、モンスター事典のシリーズには、たくさんのデーモンが載っているけど、ケイブ・デーモンという種族のデータはないわ。ぶっちゃけ、ここでのデーモンは種族としての呼称ではなくて、『洞窟に住む邪悪な魔物』というぐらいの意味」
クローディア「う〜ん、プレイヤーは洞窟にマンティコアがいるって分かっているけど、強敵なのは間違いない。だけど、わたしはもっと強いし、リーブラ様の加護もついている聖勇者だし、大魔王を倒すつもりでいるから、頑張れば勝てるはず、と信じるわ。わたしに任せて」
晶華「ここで、ゲームブックの記述だと、無理やり大勢の村人があなたを取り押さえて、強制的に救出任務を押しつけてくるんだけど、その必要はないわね」
クローディア「うん、乗り気だし。粗暴な村人が何かをする前に、EJを抜いて、『この剣にかけて、村の不幸はわたしが断ち切ってみせるわ。お礼は、一宿一飯ってところでどう?』とにっこり微笑みます」
EJ「自分も刃をキランと光らせますぅ。爽やかなイケメンスマイルのつもりでぇ」
晶華「では、族長のプロセウスさんの小屋に案内されて、もう少し詳しい話を聞くことができます。族長の血筋が途絶えると、村に災厄が訪れて、この世が闇に包まれるとか、いろいろ大袈裟な話をされますが、結局のところ、父親として娘のことが何よりも心配で、族長としての責務と関係なしに助けて欲しい、と訴えてきます」
クローディア「うん。ここで助けないのは、勇者の風上にも置けないし、リーブラ様もお許しにならないと思う。その代わり、出陣前の食事はお願いね」
晶華「では、一宿一飯、それから翌朝の朝食まで提供されました。メニューは……ジュニア君のシナリオに書いてない?」
EJ「ここの宿の食事は、丘ヘビのシチューと野菜って書いてますねぇ」
クローディア「ヘビかあ。日本人好みではないけど、沖縄ではハブ料理なんかも普通にあるみたいだし、鶏肉みたいな味だそうね。それにしても、いちいち食事のメニューが書いてあるのね」
なお、各村での宿屋のメニューはこうなってます。その地域の食生活や、近くに生息している生物の情報が分かって、ファンタジー世界の雰囲気を漂わせてくれます。とりあえず、シャムタンティにキツネがいることは分かった。
- カントパーニ:パンとチーズ(金貨2枚)
- クリスタタンティ:スカンクベアのシチューとパン(金貨2枚)
- ダンパス:丘ギツネの煮汁と米(金貨3枚)
- ビリタンティ:牡牛の炙り肉と新鮮なパン(金貨4枚)
- トレパーニ:丘ヘビのシチューと野菜(金貨3枚)
生け贄の洞窟
晶華「翌朝、心地よい目覚めの後で、芳しい朝食をとった後、スヴィンたちはあなたを近くの丘の上まで案内します。そこには大きな縦穴が空いていて、ロープで降りるようになっています」
クローディア「それって、ロープを引き上げられたら脱出不能ってことよね」
晶華「村の勇気ある若者が送り込まれたが、この穴の下に戻ってきて、引き上げてくれ、と叫んだ者は一人もいないそうです。きっと魔物に食われたか、罠にハマって無惨な死を遂げたのでしょう」
クローディア「ちょっと待って。罠なんてあるの? 怪物退治なら任されたけど、罠は専門外よ」
EJ「大丈夫ですぅ。洞窟の構造は、シナリオに書いてあるからバッチリですぅ」
クローディア「ああ、攻略本があったんだ。それなら安心」
009「実は、この洞窟はルートが4つあって、そのうち3つがデッドエンドなんだよな。初見殺しというか、やり直し推奨になってる」
晶華「まあ、間違ったルートだと、すぐ死ぬので、リーブラ様の加護を求めるか、バッドエンドは見なかったことにして選び直すか、律儀に最初からプレイし直すか、いろいろ対策はあるんだけど」
クローディア「そんな運任せじゃなくて、このダンジョンを抜けるための手がかりはないの?」
009「あるにはある。ヴァンカスという守護者がヒントをくれる。『左ならざる道をたどるのは運なき旅人』だそうだ」
クローディア「その人に遭遇していないルートは、厳密にはハズレだったってことね」
009「ヴァンカスさんに会うには、ダンパスの宿に泊まることが必須なんだな。あと、これはやはり、訳語のミスじゃないかと思うんだが、ビリタンティから先が3つの道に分かれているというのは、ビリタンティの手前が3つに分かれているのが正解じゃないか、と」
晶華「ええと、ダンパスからビリタンティまでの道が3本ってこと?」

009「そう。1つは疫病の村で、残り2つが橋を渡る道と、トロールの森。しかし、ダンパスの宿に泊まらないと、強制的に疫病の村に行くことになってしまうのがゲームブックの仕様で、宿に泊まった場合だけ、残り2つの別ルートが開ける。この仕掛けに気づかなければ、隠しルートみたいなものだが、似たような仕掛けをジャクソンは『さまよえる宇宙船』でも使っているんだよな。だから、作者の想定する完全に正解の道筋は、ダンパスに着く前に宿賃の金貨3枚は残しておいて、しっかり宿に泊まって、それからヴァンカスとのイベントで洞窟魔神の迷宮のヒントをもらって……という流れ。もちろん、そこまで厳密に考えなくても、トライ&エラーでパラグラフ選択すれば、正解は見えて来るんだがな」
晶華「でも、本作は訳本が3つもあるんでしょう? 訳語がすべて間違っているって考えにくくない?」
009「比べてみようか」
- 東京創元社版:カントパーニから先は、ジャバジ河畔の街カーレまで、ビリタンティを抜けて三本の道が続いている。
- 創土社版:カントパーニからは、ビリタンティを抜けてジャバジ川のほとりのカーレという港町に向かう道が三本ある。
- コレクション版:カントパーニから先、ジャバジ河畔の港町カーレへは、ビリタンティを抜けて道が三つある。
009「最終的には原語と比較するべきなんだろうが、三本の道はビリタンティを抜けた先ではなくて、抜ける前にあるのがゲーム攻略上の正解だ。そして、創土社版は明確に間違いということになる。カーレに三本の道が通じているわけでは絶対にないからな。『ビリタンティを抜けて道が三本』というのが正解で、ビリタンティと三本の道を分けてしまえば、フォローしようがない。『三本の道がビリタンティを抜けて、カーレに通じている』という語順を変えた文章なら、攻略ヒントにもなって(ビリタンティに通じる道は他に2本あるはずだ。疫病の村以外に隠されているのか?)、ゲーム攻略上はフェアだと考える」
EJ「何だかややこしいんですねぇ」
009「ぼくも、ソーサリーのシナリオ集の地図と、ゲームブックの文章を照らし合わせて、初めて気づいたことだからな。とにかく、ダンパスからビリタンティに向かう道が3本あるということに気づかないと、何の疑問も持たずに疫病の村に誘導される。ヴァンカスさんやトロールはイラストもあって、そのパラグラフは読んだこともあるが、そこに至るルートまでは細かくチェックしていなかったから、今ごろ新発見をした気になってる」
クローディア「そんな細かい話よりも、今はもっと大事なことがある。ええと、その『左ならざる云々』のヒントは、リーブラ様からの啓示ということにしましょう。そのヒントを元に、考えを巡らせるわ。『左ならざる道』とは要するに右ね。『右に進んだら運が悪くて死ぬから、左へ行け』ってこと?」
EJ「正解ですぅ。それでは、左へ進みましょう」
クローディア「うん。左へ進むけど、右のトラップもチラ見しておきたいの」
晶華「では、正解の道は左左で151番。他は左右が174からの130番、右左が63番、右右が26番になってます。その結果は以下のとおり」
- 130番:174から扉を開けると、背後の床から壁が立ち上がり、部屋に閉じ込められる。そして大量の水が部屋にあふれてきてそのままだと溺れ死んでしまう。
- 63番:足元の地面が崩れて、深い落とし穴にはまる。穴の中には大量のヘビがいて、脱出不能で死ぬ。
- 26番:転がる大岩に踏みつぶされて死亡。
クローディア「酷いトラップダンジョンね。何も知らなければ、4回に3回は死んでしまう」
晶華「一応、魔法を使うことで助かることもあるのよね」
クローディア「戦士のわたしに無理を言わないで」
009「その場合は、神頼みだな。リーブラ様にお願いすれば、苦境を乗り越えられる。1回だけだがな」
EJ「あのぉ。シナリオ集では、デストラップが緩和されていますねぇ。水攻めは難儀ですが、落とし穴は運だめしで回避できますし、マイナス2のペナルティーで4mを登攀できれば、脱出できますぅ」
009「パーティープレイだと、全員が穴に落ちることは稀だし、誰かがロープを持っていれば、それで引き上げることもできそうだ」
EJ「大岩も、運だめしか、回避の技能で脇道に逃げ込めますし、岩にはねられても2D6ダメージだけですぅ。即死するわけではありませんよぉ」
晶華「TRPGだと、選択ミスで死亡って可能性を減らすように考えているのね」
クローディア「リーブラ様は、どうやって苦境の勇者を救うのかを見てみたい」
晶華「水攻めに対しては、あなたの頭の周囲に空気だまりが生じます。やがて時間が経つと、水が排出されて、壁も消えて脱出できました」
クローディア「息ができるって素敵ね」
晶華「ヘビの穴は、ヘビが友好的に振る舞い、お互いに絡み合うと生きた梯子となって、あなたはそれを伝って穴から脱出できます」
クローディア「ヘビを手懐けるなんて、さすがはリーブラ様」
晶華「大岩は、その動きを神の障壁が止めて、転がる前の状態まで運んでくれます」
クローディア「リーブラバリアーか。ゴブリンスレイヤーさんの女神官さんが得意そう」
009「その元ネタはこっちだ。呪文のWALを使えば、同じことが再現できる」
クローディア「ああ、魔法使い編も楽しみね。でも、今はわたしの番。それでは神さまの奇跡をあれこれ心に思い浮かべた後は、正しい道を左左と進みます。さあ、出て来い、マンティコア。勇者さまが成敗してあげるわ」
死闘! マンティコア
晶華「それでは、正解パラグラフの151番です。しばらく通路を進むと、すすり泣く声が聞こえてきました」
クローディア「どうやら、マンティコアは女の子だったみたいね」
晶華「そうじゃなくて。あなたの持ってる松明の光が、幼いスヴィンの少女を照らし出します」
クローディア「本物かどうか、外道照身霊波光線を浴びせます。汝の正体見たり、洞窟魔神!」
晶華「いいえ、ただの人間……じゃなくて、人オークです」
クローディア「名前を尋ねるわ」
晶華「え? ええと、ジュニア君、そっちに任せた」
EJ「ええ? シナリオにも書いていませんよぉ、スヴィンの少女の名前なんてぇ」
009「父親の名前がプロセウスだろう? だったら、プレシア……だと魔装機神の妹キャラなので、アレンジしてフレシアだ」
クローディア「じゃあ、フレシアちゃんね。わたしはクローディア。お父さんに頼まれて、あなたを助けに来たの。歩ける? と安心させるように微笑みます。ニヤリ」
晶華「その微笑みは怪しい」
クローディア「ええと、松明に照らされた顔なので、普通よりも陰影が濃くなっているの。ホラー映画に出てくるオバケみたいな不気味な笑顔よ。さあ、こっちにおいで〜、怖くないわよ〜と悪霊みたいな声を出す」
EJ「やめてください、クローディアさん。こうなったら、ぼくが聖剣らしい神々しい光を放って、クローディアさんを聖勇者らしい輝きに染め上げましょう」
クローディア「うっ、この光。まるでキラキランランね。では、アイドルらしく歌いましょう」
晶華「何だかよく分からないけど、心キュンキュンしたフレシアちゃんは、庇護を求めて、あなたに抱きついてきました。『お姉ちゃん、怖かったよ〜、ふえ〜ん』と泣きじゃくります」
クローディア「おお、よしよし。こんないたいけな少女を脅かすなんて、人さらいめ、許さないんだから」
009「君も、怖がらせようとしていたのは、気のせいか?」
クローディア「気のせいよ(きっぱり)。さあ、後は脱出するだけだ」
晶華「その時、あなたの入ってきた通路の天井が突然崩れて、出口を塞いでしまいました」
クローディア「ちょっと、どうしろと?」
晶華「先に進むしかありません」
クローディア「なら進む」
晶華「やがて、通路の先に太陽の光が見えてきました」
クローディア「どうやら、奥から出られるようね。でも、警戒は絶やさない。マンティコアが出現することは、とうに調べがついているんだから」
晶華「そこで出現したのは、このような魔物です」

クローディア「可愛くないので、グロックさんに萌えるマンティコアを描いてもらいましょう」

009「何で、萌えソーサリーにするんだよ!?」
クローディア「だったら、間をとって、これで」

009「それはそれで、割といいラインだが、やはりベストは原作の表紙のこれだろう」

クローディア「じゃあ、魔法は使えないので、正々堂々と武器で戦うね」
晶華「こちらの技術点は12、体力点は18。攻撃が命中すると、1Dを振って、5か6が出るとダメージが通常の3倍の6点になる。運だめしに成功すれば、普通の2点ダメージになるけどね」
クローディア「それは厄介な相手ね。でも勇者は負けない!」
晶華「では、1ラウンドめ。出目10で、攻撃力22」
クローディア「こっちは(コロコロ)7で攻撃力21。惜しくも負けた(涙目)」
晶華「さあ、ダメージはどうなるかなあ。(コロ)3かあ。じゃあ、通常ダメージで2点ね」
クローディア「残り体力19点。まだ、こちらの方が上よ」
晶華「2ラウンドめ。出目3で、攻撃力15。今回はショボかったわ」
クローディア「何を出しても勝てるけど、8。はい、ダメージ2点」
晶華「残り16点。運だめしでダメージを増やしてもいいけど?」
クローディア「今はまだいい。長期戦になりそうだから、運は防御に残しておいた方がいいと思う」
晶華「それなら、3ラウンドめ。(コロコロ)いい目きた。9。攻撃力は21点」
クローディア「これはEJに任せたわ。7を出して、攻撃をうまく受け流して」
EJ「分かりましたぁ。(コロコロ)出目は8ですぅ」
クローディア「ナイスよ、EJ。相手の残り体力は14点」
晶華「くっ、こっちのいい目を防がれるのは悔しいわね。4ラウンドめは、よし、12。これなら勝てる」
クローディア「10が出れば、弾き返せるんだから。(コロコロ)7。ダメだったorz」
晶華「フフフ、これで1Dで5か6を出せばいい。くらえ、サソリの毒尻尾! 出目6だわ。はい、6点ダメージね」
クローディア「運だめし! 最初の1回は絶対に成功。一応、振って出目は5。ダメージを2点に抑えて、残り体力は17点。今回はそちらのラッキーヒットだっただけ。次、行くわ」
5ラウンドめ。マンティコア16VSクローディア19。マンティコアの残り体力12点。
6ラウンドめ。マンティコア18VSクローディア20。マンティコアの残り体力10点。
7ラウンドめ。マンティコア17VSクローディア20。マンティコアの残り体力8点。
8ラウンドめ。マンティコア22VSクローディア20。1Dの出目は4。通常ダメージで、クローディアの残り体力15点。
9ラウンドめ。マンティコア18VSクローディア19。ここでクローディアは運だめしでダメージを増やそうとする。出目8で成功。残り運点10。マンティコアに4点ダメージを与えて、残り体力4点。あと1回、運だめしの攻撃に成功したら、勝ちである。
10ラウンドめ。マンティコア19VSクローディア22。
クローディア「よし。ここで運だめしに成功したら、わたしの勝ち確定。10以下だったら、普通に出るでしょう。(コロコロ)5。フッ、余裕ね」
聖勇者の華麗な一撃が、マンティコアの脳天を叩き割って、未来の女王の体が赤く染まる。
凄絶にして、壮麗な輝きがそこにあった。
クローディア「決めたわ。わたしへの報酬は、香油を混ぜた温かいお風呂を用意してもらうこと。旅の汚れを落として、新鮮な気分でカーレに乗り込むんだから」
エピローグ(パラグラフ456)
こうして、クローディアはスヴィンの少女フレシアをともなって、外界に歩み出た。
丘の側面からトレパーニに続く道を見出して、族長の娘を連れ帰った勇者に、族長プロセウスは大喜びで、すぐに2人の少女のために浴場を準備した。
村の陰鬱な空気は晴れて、祭りのような雰囲気に包まれる。
洞窟の魔物マンティコアとの戦いで、クローディアは傷を負ってはいたが、たっぷりとした食事と睡眠で、翌日にはすっかり元気になっていた。
6日めにマンティコアとの戦いを果たし、翌朝またも出発しようとする勇者に、族長や村人たちはもう少し滞在してもいいのに、と引き留めてみたが、「わたしにはリーブラ様に託された使命がありますので」と、さわやかな笑顔で断るクローディア。
「だけど、使命を果たし終えたら、必ず帰ってきます」と、勇者は宣言した。
この地に王国を築きたい、という自分の夢は口にしなかったけれど。
旅立つクローディアに、族長は2つの贈り物を渡す。金貨10枚が入った袋と、大きな鍵だ。
「勇者どのは、カーレに向かっておるとか。あの街は邪悪な場所、気をつけられよ。2年前、カーレからの旅人がこの鍵をくれた。街の門の鍵だという。これを使えば、衛兵にわずらわされずに街に入ることができよう」
クローディアは族長に感謝の言葉を述べて、旅立った。
族長の娘フレシアは旅立つクローディアの背中を、熱っぽい瞳で追っていた。
娘の首には、簡素ながらリーブラの聖印が掛かっていた。クローディアが今回の事件の記念に手渡したものだ。仮入信という形で、女神への祈りの仕方を教えることで、クローディアは崇拝する女神の信徒を増やしていたのだ。
この村で、将来の有力な信者を得たことで、クローディアの原運点が1点向上した。
もしかすると、この地にガンドバッド王国が成立した際、このスヴィンの娘がリーブラの司祭として王国に献身を捧げる未来があるかもしれない。
●女戦士クローディア(7日め、シャムタンティ丘陵クリア)
・技術点11(剣ボーナス+1、腕輪+2で合計14)
・体力点21
・運点13
・金貨11枚
・食料3食
・所持品:背負い袋、普通の剣(マイナス1)、普通の剣、上質の幅広の剣+1(精霊EJが宿っている)、ボンバの実(食事による体力回復効果が倍増する)、ラグナーの剣術熟達の腕輪(攻撃力+2)、カーレの門の鍵(12)
・手がかり:自由の鍵にまつわる詩(黒い目のもの)
カーレではVIKの呪文で、ヴィックを呼べる
フランカー(カーレの79番)
(当記事 完)