怪獣王子と次元ドルイド
ジュニア「ふう。いろいろと危難の旅を終えて、ようやく空想タイムに到着しましたですぅ」
ハイラス「済まないでござる、ジュニア殿。コンパーニュから空想タイムまで転移門を使えば、すぐに到着できるはずだったのに、あれから半月も掛かってしまったのは、すべてはこのハイラスの不徳の致すところでござる」
さて、賢明なる読者諸氏には、この2人のキャラをご存知だろうか?
賢明だけど、うちのブログには不案内な方のために解説しておくと、この2人は別ブログの住人である。
この2人が、当ブログ(略称『空想タイム』)に来るようになった理由は、こちらの記事を参照していただきたい。
8月まで、『暗黒の三つの顔』の主人公マシロンを務めたシロ君が古巣のコンパーニュに帰還した記事ですが、そこからの新展開が始まったわけですな。
なお、コンパーニュの登場人物のキャラ設定は、この通り。
- ヒノキ・アリナ:コンパーニュの塔の女領主にして、神霊とも称される長寿な精霊少女。TRPG好きの女の子で、スザクの異名も持つ『空の大怪獣ラドン』の眷属。炎の魔術と空を司り、その力は絶大なものがあり、時空魔術についてもたしなみがあるものの、その魔術は精度が低い。すばしっこい相手には命中しないために、戦闘時には戦果を挙げる以上の破壊をもたらすことがしばしばなので、本気で戦うことは滅多にない。普段は絶大な力を抑えるために幼女の姿をとっているが、力をフルに発揮する際は大人の女性の姿にもなれる。NOVAとは「ヒノキ姐さん、新兄さん」と呼び合い、互いに敬意を表明する仲。翔花とは仲の良い友人関係で「ヒノキちゃん、粉っちゃん」と呼び合う。晶華とは、翔花を奪い合うライバル関係だったが、未熟な晶華に老獪な相手を倒すことはできずに、未来送りにされてしまった過去がある。結局は「リナ老師、アッキー」と呼び合う仲に落ち着く。遅ればせながら、一人称は「わらわ」で、語尾が「〜なのじゃ」で喋る、いわゆる「のじゃロリ」属性である。
- ゲンブ:ヒノキ・アリナの側近で、ガメラの眷属。大剣を片手で振り回し、戦闘時は強固な盾と甲羅甲冑にガチガチに身を包んだ騎士スタイルで戦う、豪快な巨漢だが、気は優しく、寡黙な武人である。口調は「我は〜〜でござる」で、現在のコンパーニュ三獣士の筆頭である。魔術のたしなみはない肉弾戦キャラだが、ガメラの眷属だけあって、炎属性と飛行能力を備えた、結構器用な漢である。また、コンパーニュの温泉などの施設管理や、ラビットタンクなどのメカの操作も行う縁の下の力持ち的な存在。仮面ライダー・ゼロワンの腹筋崩壊太郎のファンで、マッスル太郎というキャラを作って、ソード・ワールドのリプレイ主人公を務めたりもした。
- シロ:四天王のビャッコに相当する、キングシーサーの子。リトルシーサーともプリンスシーサーとも呼ばれていたが、本当は女の子である。忍者でもあり、デザート専門の料理人という属性も持ち、スピードに特化した戦闘スタイルも持つ。父親がセイリュウに倒されて、復讐のために男として生きることを誓った過去がある。いわゆる男装の麗人キャラで、一人称は「ボク」。当初は翔花のイヤミなライバルキャラとして登場したけど、翔花の天然無邪気オーラにほだされて、親友から恋人関係に発展した。大地母神ガイア様によって、翔花は神霊候補の「花の巫女」、シロはそのパートナーの「獣の皇子」に認定されて、ラブラブ婚約者みたいな関係になるが、一線は超えていない。セイリュウへの復讐感情も、過去の経緯を知るに際して解消されて、セイリュウ師匠と呼ぶ間柄に。コンパーニュの「成長する若手主人公」の立ち位置だったが、現在は便利なサポートキャラであり、誕生日のたびにマメにケーキを作ってくれたりして、晶華はシロをライバル認定しつつ、餌付けされている。
- セイリュウ:別名セイリュウG様で、泣く子も怖れて黙る怪獣王の眷属。おそらく当ブログ時空で最強の存在。コンパーニュの元四天王だけど、過去に裏切り者の汚名とともに失踪していた。屋久島で息子のリトルを宇宙からの侵略者スペースGに奪われて、シロや翔花の協力も受けながら、激戦の末にスペースGを撃退するも本人の肉体的には死を迎え、ガイア様の元で神霊に昇華される。海と大地の力で転生復活することも可能だが、それには依代を必要とする。怪獣王の強力な魂を受け入れることのできる肉体は限られているので、滅多に受肉しない。普段は屋久島(ウルトロピカル)の守護神霊として待機しており、コンパーニュ三獣士の跡目は息子のリトル改めジュニアに譲っている。
- ジュニア:セイリュウの子で、元リトル。ゲンブの弟子にして、シロを姉さんとして慕うショタキャラ。幼い口調で「リウは〜〜ですぅ」という口調で喋るが、本人はパワーファイターに憧れて、体を鍛えている最中。だけど、実際には「暗算能力が非常に高い知能派キャラ」としてキャラが確立しつつある。悟空の息子の悟飯みたいなイメージですな。成長枠の少年キャラなんだけど、あまり成長するエピソードを与えられずに来たので、どうするかを模索中なのが今です。
- ハイラス:通称ハイラスおじさん。ウルトロピカルの前身である『GTライフ』でD&D話を展開していたときに、NOVAの会話相手として生まれた次元ドルイド。故郷のアレクラスト大陸(無印ソード・ワールドの舞台)で生まれた彼が、何の因果か多元宇宙の各世界への転移を繰り返す時空のさすらい人になってしまい、故郷に戻るためのTRPG研鑽を行うという設定だったのだが、大地母神ガイア様のいる屋久島を新たな故郷として定めて、現在はその地の神官キャラとして大地の平和のために働いている。当ブログ時空では珍しい「普通の人間」だが、怪獣への親和性という能力を獲得するに及んで、アウトドアの達人でもあるという便利キャラ。ただし、人間文化には疎いので、TRPGなどには無知という設定。つまり、おじさんなのに「成長する少年枠」という属性も持っている稀有なキャラ。独特のドルイ道という哲学も持っているので、戦力としてはあまり頼りにならないけど、サポーターとしては役に立つ。屋久島にいる間は、ガイア様の加護で時空転移の呪いは発動しなかったけど、今回、コンパーニュから空想タイムに転移する際に、事故って、ジュニアとともにしばらく各世界をさまよっていたという設定。決して作者がスパロボYにかまけてしまって、こちらの記事書きが遅れたってことではないんだからね(苦笑)。
ハイラス「ということで、9月6日にコンパーニュを出発したはずが、今の今まで時空の迷子になって半月ほど。ようやく目的地に到着したでござる」
ジュニア「ここでの実時間は半月ほどですが、リウたちの体感時間ではもっと長くて、文庫本1冊ほどの冒険物語が展開されたという設定ですぅ」
あるいは、ゲームブック一冊ほどか。
怪獣王子の少年ジュニアと、次元ドルイドのハイラスおじさんがどのような冒険をしたかは、作者の脳内イメージしかないということで、今回は割愛。
改めての現状確認
晶華「なるほどね。NOVAちゃんが、コンパーニュでスパロボYにハマっているから、その間に、私たちに『戦隊考古学』とやらの続きを研鑽しろって話ね」
翔花「では、早速ドンブラを……」
ジュニア「いや、そこは順番どおり、ゲキレンジャーやゴーオンジャー、シンケンジャーなどを……」
晶華「う〜ん、9月に入って、ゴジュウティラノが交代の危機だったり、リアルでゴジュウユニコーンが面倒なことになっていたりして、戦隊については先行き不透明なのが現状なのよね。だから、状況の見通しがよくなるまで、戦隊話には手を触れたくないのが現状だ、と」
009「そうだな。しかも、作者が現状スパロボ脳であることは確かなので、戦隊よりもスパロボ記事を書きたくなりがちなのが事実だ」
ハイラス「ですから、スパロボY話はコンパーニュで展開することになって……」
009「まあ、あれから半月も経って、その間にスパロボY記事が6つも書かれたとあっては、既成事実を作られているからな。それを止めることはできまい」
ジュニア「だったら、こちらで『戦隊考古学』を……」
009「戦隊考古学かあ。コンパーニュで、5月から7月にかけて展開された記事群だな」
009「記事総数は7つ。獣にまつわる戦隊を振り返ってみようとしたら、80年代は『サンバルカン』『チェンジマン』『ライブマン』と限られていたが、90年代に入って『ジェットマン』『ジュウレンジャー』『ダイレンジャー』『カクレンジャー』『オーレンジャー』『ギンガマン』と倍になって、現在は獣要素が一切ない戦隊を探す方が困難になって、途中で面倒くさくなったという話だな」
ハイラス「そんな身も蓋もないことを……」
009「この手の総括記事は昔、頑張って書いた記憶がある。確か、こちらだな」
009「ゲキレン以降の戦隊総括は個人的にしたことがないので、考古学的に系譜を掘り下げることに関心はある。しかし、今はそれ以上にスパロボの話をしたいのが本音だ。ちょうど、DDでも新しいイベントが配信されたし、スパロボYはコンパーニュで話すにしても、他の作品なんかで『戦隊考古学』に対応した『スパロボ考古学』を試みることは可能だ」
ハイラス「スパロボ考古学?」
009「たとえば、これだ」
009「スパロボにおける獣メカの系譜で、最初に語るべきはゴッドバードに変形するライディーンだと思う。もちろん、敵ロボだと『マジンガーZの機械獣』を始めとするメカ怪獣的なモチーフはスーパーロボットの定番だと言えるが」
ハイラス「敵はメカ怪獣でござるか」
009「機械獣、妖機械獣、戦闘獣、円盤獣、ベガ獣と、ダイナミック系の敵は◯◯獣が定番で、一方のゲッターは恐竜帝国だからメカザウルスだな。ただし、ゲッターロボGになると、敵が百鬼帝国になるから、メカ百鬼あるいは百鬼ロボと称される角の付いた人型スタイルが定番となる」
ハイラス「敵が獣から人型に移って行った、と?」
009「で、ライディーンでも化石獣、巨烈獣と◯◯獣パターンが続き、コンVでは奴隷獣やマグマ獣、ボルテスになって獣士、鎧獣士となって、たまに人間みたいに知性を持った敵メカが出てきて、ドラマを構築したりもする。敵幹部に操られるだけのメカ怪獣から、人間もしくは知性を持ったサイボーグ、アンドロイド的なドラマが仕込まれるケースも増えてくるんだ。そのきっかけはマジンガーZのこれだろうが」
晶華「割り込み、失礼するわ。ドナウα1は原作マンガ版の名称で、東映アニメ版だとラインX1の名前に改変されていたのよね」
009「初期スパロボでは、ミネルバXと並んで、マジンガーの定番ドラマの一つと言えたが、ゲームでその悲劇性が描写されたのは、『真マジンガー』の参戦する第2次ZとBXだけらしい。それらでは条件を満たせば、ドナウα1を味方ユニットで使えるようにもなるそうだが」
ハイラス「初期のロボット物の敵は、知性を持たない獣だったけど、次第に知性を持った敵パイロットや人工知能との悲劇の戦いが描かれるようになる、と」
009「手強い敵メカとガチで戦うバトル編もあれば、倒すことに抵抗のある悲劇キャラもあったりして、それらはドラマ的に盛り上がる印象的な変化球エピソードとして、傑作とされたりもする。そうして物語のヴァリエーションを広げる試みもあったわけだが、敵との本格的な和解エピソードにはなかなか至れない」
翔花「敵を説得して、味方にできたロボットアニメって最初は何かな?」
009「難しいな。マクロスの時には、マックスが敵の女パイロットのミリアに惚れて、味方にする恋愛ドラマもあったが、70年代だと、そこまでハッピーな敵キャラ説得劇は稀だと思う」
晶華「有名なのはダイモスのエリカさんだけど、彼女は敵勢力に所属するけど平和主義者だったから、敵メカのパイロットってわけでもないしね」
009「ロボット物で、敵だったキャラが説得されて味方になって、しかも劇中で死なずに生き残るケースの元祖だと……ダンガードAのトニー・ハーケンかな。まあ、最後はラスボスにとどめを刺して、自らも失踪する行方不明エンドだけど。ボルテスVのプリンス・ハイネルと同じ年の作品だが、スパロボにダンガードが出てないので、マイナーなキャラだろうな」
009「味方になる敵キャラで当時、一番有名なのは、『宇宙戦艦ヤマト』のデスラー総統だろうけど、はっきり味方になるのは78年の『宇宙戦艦ヤマト2』以降の話だし、それ以前だと『未来少年コナン』のダイス船長やモンスリーさんが有名だな」
ジュニア「スパロボ参戦作品に話を絞りませんかぁ?」
009「う〜ん、それだと81年の『ゴッドマーズ』になるかな。敵ヒロインのロゼが敵から味方になった。その前年の『イデオン』は敵のギジェがイデオンのBメカのパイロットになったが、戦死しちゃったからな」
晶華「イデオンはみんな死んじゃったのね」
009「話を戻して、獣メカの系譜の話題だったんだが、味方だとライディーンの次に、鋼鉄ジーグのパーンサロイドが来て、それから76年の『大空魔竜ガイキング』が恐竜という形で獣メカのオンパレードとなる。ここから大型母艦にも話を持っていくことが可能だ」
ジュニア「その後が79年のダルタニアスから、胸ライオンの系譜になるわけですねぇ」
80年代の獣モチーフロボ
009「さて、戦隊初の獣ロボは、88年のライブマンからで、アニメの10年遅れということになる」
ジュニア「絵で表現するアニメに比べて、実写はミニチュアギミックや着ぐるみなどで合体機構やアクションを再現しないといけなくて、技術的なハードルが高かったんですねぇ」
009「だから、総じて80年代の特撮は海外のスターウォーズと、アニメの演出を後追い的に取り入れようとしていた時代だな。一方で、アクション技術の発展はワイヤーアクションなんかも駆使して、どんどん高度になっていくのも80年代の特撮の魅力だが。とりわけ、忍者というモチーフが活性化して、『影の軍団』を始め、『水戸黄門』や『暴れん坊将軍』などの時代劇も進んで忍者アクションを取り入れるようになる。70年代までも忍者はあったが、そちらは特撮を駆使した忍術の表現が中心で、体術アクションはそれほどでもない。アクション活劇として派手にスピーディーになっていくのが80年代だが、ロボの話ではなくなっていくので、これぐらいにしよう」
晶華「80年代の獣モチーフロボの始めは、81年のゴライオンでいいのかしら?」
009「タイムボカンシリーズや、ムテキングの支援メカを除けば、そうなるが、一応、80年のトライダーG7も鳥モチーフが使われている」
翔花「ええと、必殺技のバードアタックは、胸の鳥の紋様がエネルギーを発してロボを包み込んで、相手に体当たりする攻撃ね」
009「他にトライダーの変形形態で、高速戦闘機のトライダーイーグルと、頭部が分離して小型戦闘機になるトライダーホークがあったりする。G7の名前の通り、7種類の変形パターンがあり、さらにトライダーシャトルとの合体機構も付いている、玩具のプレイバリューの高いロボだな」
晶華「トライダーG7は、変形合体ギミックも優れものだと思うけど、小学生社長の企業ロボという物語設定が何よりも斬新よねえ。その後の勇者特急マイトガインとか、若い社長が操縦するロボの後継者はいくつかあるけど、トライダーはその元祖としてアイデア満載のロボ作品だと思う」
009「70年代後半から80年代にかけては、革命的な設定のロボ作品が大量生産されていたからな。次の獣ロボは81年のゴライオンを経て、83年のダンバインかな。ファンタジーの異世界転移作品で、ダンバインなどのオーラバトラーは強獣の甲殻を利用した虫っぽい形態のロボ、後継機のビルバインは鳥モチーフだったりして、異世界メカっぽさを演出。その次は85年のダンクーガと、飛影が人型と獣型に変形する合体マシンという共通点がある」
009「88年の『魔神英雄伝ワタル』は、龍神丸が獣要素を備えていると言えるかな」
009「そして89年の『獣神ライガー』は文字どおり獣モチーフだ」
ジュニア「なるほど。80年代は戦隊よりも、アニメのロボットの方が獣モチーフはいっぱいだったんですねぇ」
009「そりゃあ、戦隊は1年に1作だが、80年代だとロボアニメが毎年平均で3作以上は必ず作られているからな。当時はリアルロボットのブームが5年ほどあったが、スーパーロボットもないわけじゃない。獣モチーフはスーパー系に分類されるが、獣と鎧というのが80年代後半のイメージモチーフとして流行した時代でもあった」
009「伝説獣モチーフは、85年の『電撃戦隊チェンジマン』が、星矢よりも少し早いが、とにかく技を放つ際に、背後に伝説獣のイメージが演出的に浮かび上がるのが80年代後半の流行になっていく。他には、ダンバインのオーラの光が体から放出される演出も、87年の『光戦隊マスクマン』や、『北斗の拳』『ドラゴンボール』といった格闘アクション物の定番演出になっていく。アニメや実写で、表現技術の違いは多々あれど、格好良い演出を積極的に取り入れて行こうとするセンスはどちらも大事だな、と思うし、その系譜を確認する作業も考古学のポイントだと考える」
翔花「その延長に、90年代の勇者ロボやエルドランシリーズがあるってことかしら?」
009「その辺から先は、次回以降にチェックしよう」
(当記事 完)