WショーカとShiny NOVAのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

『暗黒の三つの顔』攻略解析録(旧世界編EX)

第2部も完結

 

シロ「旧世界編も何とか無事に終了した」

翔花「マスコットキャラ兼ヒロインとして活躍できたので、わたしも満足です」

009「ザック役のプレイヤーとしては、第1部ほど美味しい活躍ができなかったのが残念だ。これが第3部になると、もっと活躍シーンが減るので、ピークは第1部だったと思う」

晶華「ザックさんは、ザコ戦で技術点+2のボーナスをくれるのはありがたいんだけど、ボス戦では無力化されがちなのよね」

009「主人公に花を持たせるためとはいえ、第2部のザックはストーリー上の扱いがよろしくないと思う」

シロ「それでもリーブラの巡礼を必死に守ったり、酒場での情報収集を積極的に行ったり、クモが苦手だったり、ただの優秀な助っ人から、さらに描写が細かくなって、愛されキャラ度が向上している」

晶華「第1部のザックさんは、冒険の成否に直接関わる重要なキーパーソンだったけど、第2部は旅の相方として重要な割に、要所要所で役に立ってくれないポンコツぶりが見え隠れするようになったというか」

009「ザックの真価は、最初のリーブラ湖の巡礼を守る際に、主人公が鉤爪獣に怖気づいて、巡礼を見捨てる選択をとった際に表れるんだ。主人公が臆病な振る舞いをしても、ザックは単身残って、鉤爪獣と戦う選択をとる。つまり、とことんヒーローとしての行動を真っ直ぐ貫くんだよな。そして、主人公がザックを見捨てる行動をとっても、『たまたま魔が差したんだろう』と責めずに許してくれる。有能かつ寛大なキャラで、しかも酒代を奢ってくれて気前が良い。FFで彼氏にしたいNPC候補としてナンバーワンじゃないだろうか」

晶華「まあ、第3部では酒場でウェイトレスさんに言い寄ったり、助けた村娘に惚れてみたり、プレイボーイぶりを発揮したのみならず、主人公に熱視線を向けるマルチエンディングさえあるという、ラブウォリアーぶりを発揮する始末」

翔花「え? ザックさんとマシロン君のカップリング? もう少し詳しく!」

009「主人公が裸になったり、女物の下着を着た挙句、しまいには性転換してしまうんだ。いわゆるバッドエンドなんだけど、ヒロイン化してザックとパートナーになるTS落ちも悪くないというか、いろいろ妄想を掻き立ててくれるエンディングだな」

シロ「もしかして主人公のヒロイン化エンドがあるから、ボクがプレイヤーに抜擢されたのか?」

009「シロ君の設定は、宝塚の男役だからね」

シロ「だけど、そのエンディングはあくまでIFルートということで、本ルートはそうはならない王道エンドを目指すのみだ」

 

晶華「第3部のネタバレはそれぐらいにして、今回は第2部の総括です」

 

〈炎の剣〉を確実に入手する方法

 

晶華「さて、第2部の注目武器である〈炎の剣〉ですが、パラグラフ241番から始まる〈魔女の牙連山〉イベントで運だめしに失敗した時だけ行ける〈マンティコアの洞窟〉で入手できることはすでに話しました」

シロ「だけど、運だめしに成功しても〈マンティコアの洞窟〉に行ける方法があったんだね」

晶華「パラグラフ241番(あるいは黒い戦士の演説後に逃げ出す281番)から運だめしに失敗すると、344番でゴブリンの見張りに見つかって、バトルになります。その次の384番で2体の骸骨戦士が現れますが、そこで逃げることを選択すると、パラグラフ354番。洞窟で左の穴(322)を選択して、中のマンティコアの話を聞くと、〈炎の剣〉がもらえるわけですね」

009「そこまでは分かっていた。だが、運だめしに成功したら、安全に逃げられるはず」

晶華「パラグラフ348番で、黒甲冑の戦士の演説を聞きます。そして、逃げようとせずに『魔法を使って軍勢を蹴散らす』(245)を選ぶと、毒蛇(360)、狼(388)、大サソリ(285)の3種類の選択肢が出ます。ここで大サソリ(体力点5消費)を選ぶと、立ちはだかるオーガーを倒して、あっさり脱出できてしまう可能性が高いですし、毒蛇(体力点6消費)だと確実に脱出できてしまいます」

翔花「洞窟に確実に行くには、狼が当たりなのね」

晶華「体力点5点で召喚した狼は、オークやゴブリンの兵士たちにあっさり撃退されてしまいます。そこで、さらに体力3点を消費して、他の生き物を召喚しようとすると、パラグラフ358番で黒い戦士(技10、体10)が召喚を妨害して来るので、バトルになります」

翔花「ザックさんは?」

晶華「オーガー2体と戦っているので、主人公を支援してはくれません。1人で黒い戦士を撃退すること、それが運だめしに成功しても洞窟に逃げ込む条件となります」

シロ「技術点9のマシロンには厳しい戦いだが、運だめしを併用すれば、何とか勝てなくはないか」

晶華「勝ったらパラグラフ293番で、黒い戦士の兜をはがしてみると、中身は空っぽでした。〈闇の精〉の魔力で生み出されたリビングアーマーの類だと思われます」

翔花「確かに、ラガート将軍とは別キャラね。わたしたちは勘違いしていた、と」

晶華「ゲームブックは断片的な情報で紡がれているから、分岐を読み違えると、たまに誤解してしまうこともありってことで」

009「だから、未通過パラグラフを後から分析することで、新発見する楽しみもあったりするんだな」

晶華「戦士の甲冑の腰には、珍しいナイフが差してあって、何やら気になりますが、〈炎の剣〉が欲しいなら、それを取らないことを勧めます」

シロ「もしも取ったら?」

晶華「パラグラフ392に進んで、主人公は呪われます」

シロ「ゲッ」

晶華「このナイフは混沌の魔神の化身で、『ストームブリンガー』で有名になったデーモンウェポンの類です。技術点2点のボーナスがあって、強い武器なんですが、以降はこの武器しか使えず、攻撃を行うラウンドごとに1点の体力を消耗します」

シロ「だけど、技術点2点ボーナスは大きいな。このまま呪われたナイフ使いとしてプレイを続けるのも一興じゃないかな」

翔花「普通はリーブラ様に頼んで、呪いを解除してもらうけどね。敵の体力点がザコの平均6点から8点ぐらいとして、戦闘のたびに3点から4点の体力を消耗するなんて、割に合わないと思う」

009「リーブラの呪い解除は、ここ(392→362)と、マンティコアを倒した際(330→300)と、〈闇の精〉の呪縛金縛り(393→363)で有効だな。できれば、〈闇の精〉相手のバッドエンドを免れるために、温存しておきたいところだが」

晶華「ナイフを取った場合は、ナイフが身の毛もよだつようなうなり声を上げるために、混沌の軍勢も怯えて手が出せないので、悠々と脱出できます。余談ですが、この作品と同じ88年に発表されたFFゲームブック『魂を盗むもの』でも、ストームブリンガー的な魔剣が入手できますので(作品タイトルもエルリックサーガの黒き魔剣のオマージュ)、この年には何かエルリック的な因縁が洋の東西であったのでしょうか?」

009「日本だと、84年から85年にハヤカワ文庫からエルリックサーガのシリーズが翻訳され、TRPGの『ストームブリンガー』も88年に翻訳出版された。原作1巻とTRPG安田均翻訳なので、本作との関連づけは結構できているが、イギリスの方の88年事情はちょっと分からないな。いずれにせよ、80年代にTRPG方面でエルリックサーガのブームが再燃していたのは事実だ」

晶華「混沌の唸るナイフの話はこれぐらいにして、黒い戦士を倒して、ナイフを取らずに(あるいは呪いを解除して)先に進む場合、ゴブリンの集団に襲われます(251)。ここで逃げることを選択すると、354番から洞窟に入ることができるわけですね」

009「呪いのナイフでエルリック気分を味わうもよし、〈炎の剣〉で正統派ヒーロー気分を味わうもよし、ということだな」

シロ「マシロンは一流の剣士じゃないから、武器もありふれた兵士の剣しか持っていないけどね」

009「それを言うなら、ザックだって魔剣や名剣の類は持っていないよな。まあ、第3部に期待しようぜ」

 

ロードス島戦記との関連づけ  

 

晶華「ストーリー原案の北川さんが、ロードスのパーンだったり、『ストームブリンガー』の展開を担当していた縁で、どうしても関連づけを行いたくなりますが、人に憑依して戦争を焚きつける〈闇の精〉の性質は、やはりロードスの灰色の魔女カーラを連想させるものがあるわよね」

009「だけど、こっちは憑依先が男ばかりで、華やかさに欠けるんだよな」

晶華「ゲームブックのFFシリーズって、元々、女性的な華やかさに欠ける話じゃなかった?」

シロ「日本のファンタジー作品が、萌え要素を強調し過ぎ、という事情もある」

翔花「カワイイは正義というのが、日本のファンタジーね」

晶華「とにかく、87年から88年は『ロードス島戦記』のブームが活性化した時期で、TRPGリプレイから小説化、コンピューターRPG化など次々と展開していき、本作もそういう時期の影響がはっきりと出ている作品ですね」

009「今部の前半の諸国巡りは、ロードスの冒険者一行がアラニア→ヴァリス→モスの山奥や、ライデン→フレイム→火竜山や、フレイム→ヴァリス→カノンなど、キャンペーンごとに諸国巡りして行った物語とかぶるものがある。戦争を背景にしているなら、なおさらだ」

晶華「旧世界の国々をロードスに置き換えるなら、新興の発展国フェンフリィはカシュー王のフレイムに、伝統的な王国ガランタリアは千年王国ラニアに、宗教国家ラドルストーンは神聖王国ヴァリスに相当するとも言えるわね」

翔花「スタート地点のアナランドは?」

晶華「ええと、アラニア北部のザクソン村付近って、ところかしら。そっちには大地母神マーファのターバ神殿があって、リーブラ湖の巡礼地相当と考えられるし」

009「まあ、ワールドガイドとしては、TRPGとしてのロードスの方が後で、FFの『タイタン』の方が先だろう? 日本では『タイタン』の翻訳が遅れたために、ロードスの方が先に発表された形だが」

翔花「ソード・ワールドは少し後だっけ?」

009「最初の版は1989年発売だな。その前に、88年に刊行されたばかりの雑誌『ドラゴンマガジン』誌上で、作成中のゲームシステムやワールドガイド的な記事が発表されていたが。その時の『女魔術師ラヴェルナの諸国漫遊記』をまとめたのがこれだ」

晶華「最初に『タイタン』があって、その後、それを参考に、ロードスやソード・ワールドの世界設定が書かれたってこと?」

009「『タイタン』も元ネタの一つにはなるだろうが、その前に『ルーンクエスト』やら、D&Dのガゼッタシリーズやら、国産の『ローズ・トゥ・ロード』やら、背景世界の魅力を売りにしたRPG作品はいろいろあって、日本では80年代半ば頃から、ゲームの世界設定解説書が各種出版されるようになっていった流れだな。その流れにロードスやソード・ワールドもうまく乗りつつ、ブームをいっそう牽引することになっていた」

晶華「どっちが先か考えることに、あまり意味はないと?」

009「アイデアの早いもの順で人気が決まるってものでもないしな。大事なのは、魅力的なアイデアを分かりやすく咀嚼して、皆が受け入れやすいようなスタンダードを構築できるかってこと。あと、世界設定は単独で面白さを味わえるものではなくて、面白いストーリーの副読本、より深く味わうための調味料的添加物だから、面白いストーリーも発表していないのに、世界設定を先に提示しても読者ウケはしない。世界設定は先に概要だけ決めて、ストーリー展開に合わせて膨らんだ部分を後から発表するぐらいでちょうどいい。

「まあ、濃密な背景設定を先に示して、それからストーリーを動かす壮大なファンタジー(もしくはSF)大作が流行した時代が80年代から90年代にはあったが、それは『スターウォーズ』や『ガンダム』や後付けの壮大さがブームとともに形作られたからであって、壮大さの前にキャッチーな分かりやすさ、オリジナリティが前提として受けたという理由がある」

翔花「『スターウォーズ』や『ガンダム』は、今、関係ないと思う」

009「でも、80年代に背景設定の資料が売れた作品の両軸だからな。それらは壮大な背景があるから面白いのではなくて、面白い作品だから壮大な背景が後付けで構築されていったという経緯がある。で、『タイタン』はシンプルなFFゲームブックが継続して発展していく中で、まとめてみようという目的で出版され、以降はそれに基づいた作品展開が為されて行くわけだけど、日本では『タイタン』やAFFが翻訳出版されたと思ったら、社会思想社ゲームブックRPG展開が終了してしまったからな。T&Tやウォーハンマーは、それぞれ角川やホビージャパンが後を引き継いだが、ゲームブックのFFシリーズはゼロ年代に少し復刻したものの、大きな流れを生み出さないまま、再復刻したのが10年代後半から近年ということになる」

晶華「『ロードス島戦記』も同時期に復刻したかと思えば、後が続かなくなってしまったのよね」

翔花「続きは出ないの?」

009「前に復刻したのは30周年記念だから、次に復刻するとしたら、40周年記念が狙い目かもな」

翔花「それって、いつ?」

009「TRPGリプレイが発表されたのは1986年だから、来年が40周年になるんだが、一般的には小説がスタートした88年を基準にするんだろうなあ。つまり、2028年にロードス新刊が出るかもしれないし、出ないかもしれない」

晶華「どっちよ?」

009「出るかもしれない、というのはファンとしての切実な願望だ。出ないかもしれない、というのは期待しすぎても裏切られて残念に思うのを避けたいという、ファンとしての心理的保険だ。少なくとも、作者自身は打ち切りとは言ってないし*1、一応は『鋭意執筆中』とか、ストーリー展開について『最も深き迷宮をさ迷っている途中』という作者の発言があって、遅筆ながら頑張って書き続けているのだと思う、たぶん」

シロ「でも、TRPGについては、メインデザイナーの川人氏が昨年、亡くなったことで、続きを出すよりも仕切り直しになる可能性が高そうですね」

009「原作つきゲームだし、一応、基本ルールとサプリメントで、英雄戦争編と過去の魔神戦争編の設定はカバーしている。スパークの時代の邪神戦争編はGMウォーロックの前身のGMマガジンでサポート記事があるので、これ以上、ゲームサポートのネタがないだろう。いや、まあ、新しくリプレイを出版したり、クリスタニアアレクラストを舞台にしたサプリメントが出たら、欲しくはなるだろうが」

晶華「ロードスで再びブレイクすることってあるのかしら?」

009「80年代から90年代にファンになった人向きの懐古シリーズだが、海外のゲームファンに『ロードスのリプレイの歴史的意義』が認められたらしいので、そっちからのムーブがあるかもしれない。これを機に、もしも仮に『ロードス島戦記』の前時代の『ロードス島伝説』がアニメ化されるようなことになったら、ブレイクするかもな。六英雄の話はまだアニメ化されていないので、リメイクではなく、新作アニメとしての題材にはなると思うんだ」

シロ「ところで、そろそろFFシリーズの話に戻りませんか?」

009「ああ。ロードスと本作・第2部の接点について語るつもりが、何だか違う話になってるか。これはFFコレクションの安田解説にありがちなんだが、『島というネタが出て来ると、ついついロードスを語りたくなる癖』があるようだ。まあ、安田社長にとっては、ゲームブックのFFシリーズと、ロードスが時期的に強い関連づけを持ってるのだろうし、それは同時期のファンである自分にとっても同じだ。何しろ、当時の設立直後のSNEの主力作品がゲームブック雑誌『ウォーロック』(FFシリーズおよびT&T)と、ロードスと、D&D系の『ドラゴンランス』だからな(あと解説書の『コレクション』シリーズ)。89年に『ソード・ワールド』が出る前は、D&Dからの派生作であるFF、T&T、ロードス、ドラゴンランスを安田社長中心に盛り上げていった流れがある」

晶華「FFとロードスはつながっているのね」

009「どちらも起源をたどれば、D&D入門という形から企画がスタートしたわけで、根っこが同じなんだよ。で、今回の第2部はクライマックスで2大精霊が激突するわけだが、そのインパクトが小説『ロードス島戦記2巻 炎の魔神』で、風の精霊王ジンと炎の精霊王イフリートの対決に通じていると考える」

翔花「どっちが先?」

009「『炎の魔神』が89年2月出版だからわずかに後になる。ところで、本作の第3部の作者として、最初に候補として挙がっていたのは、水野良さんじゃないかな、と自分は考える」

晶華「どうして?」

009「山本さん、北川さんと来たら、トリを飾るのはロードス・リプレイのGMである水野良さんがふさわしいんじゃないか、と。あるいは別の可能性として、当時のウォーロック誌で記事書きしていた清松みゆきさんの可能性も考えられるが、いずれにせよ、実現しなかった理由も明らかだ」

シロ「お二方とも、別の作品で忙しかったから?」

009「だろうね。清松さんはT&Tのサポートや翻訳に加えて、ソード・ワールドのシステムデザインがある。水野さんはロードス小説や、ソード・ワールドのルールブック執筆もあって、それを踏まえるなら、仮にリレー・ゲームブックを担当することになっていたとしても、やはり無理となったのも納得できる。いずれにせよ、状況証拠だけで根拠の乏しい憶測に過ぎない話なので、作品を書いた作者について論じることに意味はあっても、書く予定で書けなかった作者について論じても今さら不毛だとは考える」

晶華「だったら、語らなければいいのに」

009「当時の背景情報とか、知っていることは多少とも語りたくなったんだよ。寄り道はこれぐらいにしておく」

 

バッドエンドの話

 

009「では、201番から400番までのバッドエンドだ」

 

・205:モーリステシアの山中で、運だめしを行う。成功するまで山から出られない。運点が枯渇すれば、遭難して飢えと寒さで死亡する。

・219:ディナス軍を支援するためにバジリスクを召喚するものの、コントロールできずに、敵も味方も石化させてしまう。動揺した自分自身も、バジリスクの視線の餌食となった。

・220:ラガート将軍の正体をあばくのに失敗し、上官に剣を向けた暗殺者として処刑される。

・229:ゴンチョンに寄生されて、闇の操り人形として世界を破滅させるために働くことになる。

・247:混沌の軍勢に周りを囲まれて逃げられない。多勢に無勢で、ザックともども勇敢に戦って討ち死にする。

・289:ディナス軍で混沌と戦っている間に、シャスール軍の部隊がブライス軍に攻撃を仕掛けて、戦争が始まる。

・290:正体を現した〈闇の精〉に対抗できる手段(〈炎の書〉もしくは〈炎の剣〉)がなくて、あるいは呪いを受けて金縛りになって、太刀打ちできないまま、〈闇の精〉の新たな器として憑依される。

・296:洞窟の底無しの裂け目を跳び越えるために技術点判定を行う。失敗したら、落下死する。

・315:ラガート将軍の投げたナイフが胸に突き刺さる。即効性の猛毒が塗られていて、相手の高笑いを聞きながら、むごたらしい死を迎える。

・356:ラガート将軍の部隊がブライス軍に攻撃を仕掛けて、戦争が始まる。

・367:シャスール将軍の命令に反対して、反逆罪で逮捕、監禁される。戦争を止めることができなくなった。

 

晶華「バッドエンドの数は11回(5.5%)。第1部が8回(4%)に対して、増えてるわね」

009「5%越えは難しいという基準だったな。今回の必須フラグは、〈魔封じの水晶〉と〈炎の書〉の入手にあって、前者はシャスール将軍との戦いで、後者は〈闇の精〉本体との戦いで必要になる。フェンフリィの2つの都市で、それらを入手することがほぼ必須だろうな」

シロ「前者は、アークレトンで購入できる〈聖水〉でも何とかなりますし、技術点が十分に高ければ、剣でシャスール将軍を倒すことも可能でしょう」

009「技術点11(聖水使用時)もしくは12に対抗できればな。相手の体力点も高いので、厳しい体力点の削り合いになるだろうが、最強技術点が11でザックの支援効果+2が付けば、何とか倒せなくもない。一方、後者だが、こちらはザックの支援効果がないので、仮に〈炎の剣〉があっても、技術点13にこちらの最強技術点11では、相手の体力25点を削る(〈炎の剣〉で7回攻撃を当てる)のは、まず不可能と言っていい。勝率は0%ではないけれど、0に限りなく近いと思うぞ。技術点2差を乗り越えるには、相手よりも3高い出目を出さないといけないので、約24%。4分の1を7回出すのと、4分の3を最大12回出すのと、どちらが先かって勝負だな」

シロ「リーブラの体力点回復効果を考え合わせるなら、自分の体力点が最大24+22の46ダメージまで耐えられますので、相手は4分の3を最大23回出す必要があります」

009「ややこしい計算になるな。ええと、期待値で考えよう。自分が相手に与えるダメージは4点が4分の1で毎ラウンド1点。つまり、25ラウンドで削りきる計算になる。一方、相手側は2点が4分の3で毎ラウンド1.5点だから、こちらの最大体力点24点を削るのに16ラウンドでいいので、これは勝てない。しかし、リーブラの回復効果を考えるなら、相手はもう14ラウンドを要するので、これなら相手の合計が30ラウンドを費やすから、こちらが競り勝てる計算になるな」

翔花「でも、実際にわたしが技術点2差で出目を振り合ったときは、16ラウンド戦って、13勝1敗2引き分けで余裕勝ちだったわ。4分の1で相手の攻撃が命中するなら、もう少しダメージを受けてもおかしくないと思うけど」

009「運が良かったんだろうな。実のところ、ルビーKの攻撃は毎ラウンド1.5点の期待値で相手の体力25点を削るから、17ラウンドかかる計算になるので、16ラウンドだったらほぼ近いとなるな。一方で、〈闇の精〉側のダメージ期待値は2点の4分の1だから、毎ラウンド0.5点。これで〈火の精〉の体力点20点を削るには、40ラウンドもかかるから、よほど運が悪くなければ、〈火の精〉が負けることはあり得ない。万が一、負けたときの保険として〈炎の剣〉を持っていれば、相当弱った〈闇の精〉にとどめを刺すことも不可能ではないかも」

シロ「それは技術点2差の話でしょう? じっさいには、マシロンの技術点は9点で4差もあったんだから、〈火の精〉が負けると、どうしようもないですよ」

009「相手にダメージを与えるには、出目で5差で勝たないといけないから、約8%か。それだと1ラウンドに出せるダメージ期待値は0.3強になるので、相手に1点のダメージを与えるのに3ラウンドか4ラウンドを必要とする。一方、相手のダメージ期待値は2点の92%だから1.8点ほど。つまり、6倍のダメージを与えてくるから、こちらが1点のダメージを与える間に、相手は6点のダメージを与えてくる。すると、相手の残り体力が3以下なら勝ち目があるって感じかな」*2*3

晶華「面倒な計算に時間を使うんだから。要は〈火の精〉パワーがなければ勝つのが難しい。〈火の精〉パワーがあれば、大抵は勝てるけど、もしも〈火の精〉が負けても、〈炎の剣〉があれば、もしかしたら何とかなるかも……ってことでしょ?」

009「ああ。これで『自分は〈炎の書〉なしで、〈闇の精〉を自ら倒しました』って人がいれば、真にラッキーなヒーローだろうな、ダイス目操作などのチートは考えないとして。だから、そんな稀な勝ち方をしたプレイヤーは誇りに思っていいだろう」

 

難易度の話

 

009「最後に、難易度だ」

 

①ラスボスが強い(◯)

 技術点13、体力点25のラスボスというのは、普通に強いわけですが、対峙する味方精霊が技術点15、体力点20ということで、「人の力では倒せない。精霊召喚のアイテムを用意しているかどうかで勝負が決まる」という意味では、第1部の鋼鉄ゴーレムほど面倒な相手ではない、と。

 要は、アイテムを使えば、ほぼ間違いなく倒せるわけですし、その情報も最初に教えてもらっているという点では、ラスボス退治自体は難しくないわけですな。

 難しいのは、ラスボスの〈闇の精〉を倒す前に、ゴンチョン憑依のラガート、シャスールという前座ボスをどう処理するかも含めた攻略手順です。

 そして厄介なのは、ゴンチョン憑依のラガートの方が技術点も高く、主人公には絶対に倒せない相手だという点。いや、『炎の書』を使えば、一発で倒せちゃうわけですが、それをするとラスボスが倒せなくなるという罠が。

 

 ゴンチョン憑依のラガートを背後から不意打ちするのは、うちの技術点9のマシロンでは成功確率6分の5。つまり、6分の1の確率で失敗するわけです。よって、これを失敗しなかった時点で、マシロンが「ほぼクリアしたも同然」と発言したわけですね。

 次の判定の難関は、ラガートから分離したゴンチョンが主人公に取り憑こうとするのを避けるもの。ゲームオーバーになるのは、技術判定に失敗して、かつ運だめしにも失敗すること。運点は10あるので、バッドエンドは(6分の1)×(12分の1)で、72分の1。

 うちの攻略記事は、選択肢で先読みチートすることはあっても、ダイスの出目では決して誤魔化さないというポリシーがあるので、バッドエンドの可能性が6分の1ではドキドキしつつ、72分の1だったら、まあ余裕だな、と。

 でも、そこで36分の1のピンゾロを出して、「おお、救世主!」と思わせたのがマシロン君でした。

 そういう出目のドラマに比べると、シャスールおよび〈闇の精〉とのバトルは、ほぼ計算どおりの予定調和で片付いたな、と。

 

 主人公自身の力で〈闇の精〉を倒せないのは、昭和の初プレイ時、何だか興醒めだった記憶がありますが、ラスボス戦をポッと出の〈火の精〉ではなくて、〈火の精〉の力を宿した仲間のルビーKに決めたのが、今回の攻略記事の2次創作オリジナリティです。

 なお、88年の時点では、召喚モンスターはまだ一般的ではなかったですが、その後、ファイナルファンタジーとか、ポケモンとか、真メガテンとか、召喚モンスターで敵にとどめを刺す主人公ってのは当たり前になりましたからね。

 敵へのとどめは自分自身の手でないと興醒め……ってのは、昭和のゲーマー時代の感覚ってことです。

 

②全体的に罠が多くて死にやすい(◎)

 物理的な罠ではなくて、環境的な要因や、軍隊行動での不自由さ、および狡猾な〈闇の精〉の陰謀のせいで、突然死したりする展開が、初プレイ時には閉口させられました。

 この第2部は、表面的な自由度の高さ、選択肢は多いのですが、正解ルートはほぼ一つしかありません。『リーブラ湖で巡礼を助ける→レンドルランド→チャランナブラッドで『炎の書』入手→水晶都市で〈魔封じの水晶〉を入手→〈炎の剣〉にこだわりがなければ、〈魔女の牙連山〉は大ワシで越える→ガランタリアではラガート軍に入る→命令に従うフリをして、将軍の背後から奇襲→ゴンチョン撃退後はシャスール将軍を追う→シャスールは〈魔封じの水晶〉で倒し、ボスの〈闇の精〉は〈炎の書〉で倒す→ゴール』というのが最適解ですね。

 〈炎の剣〉が欲しい場合は、前述の攻略法を参照ですが、正解ルートだとほぼ使うことはありません。唯一〈魔女の牙連山〉でのランダム遭遇で使うぐらい。

 ともあれ、FFでよく言われる「正解への道筋は、能力値が少しぐらい低くても、最小限の危険でゴールまで行ける」のは、本作ではその通り。上手くできている作品です。

 ただし、正解ルートを外れると、非常に危険度の大きな作品でもあります。

 

 まず、モーリステシアの山中で迷った場合。ペナルティーが非常に大きいので、そんなところに行くな、と断言できます。まあ、観光目的とか、一度クリアしての物見遊山とか、で危険を承知なら止めませんが。元々の運が低いなら、連鎖的に山で転がり落ちるのも笑い話にはなるでしょうね(笑)。

 ともあれ、ガランタリアに入るまでは、フェンフリィで必須アイテムを入手することさえできれば、自由な攻略が楽しめます。とは言え、リーブラの加護があるに越したことはないので、山も海も苦労するだけのハズレと言えます。

 個人的には、ワイヴァーンが仲間になって、戦闘でも使えたら良かったのになあ、と思いましたが。ドラゴン使いを夢見るなら、第3部で実現できるので、それを楽しみにしつつ。

 

 そして、3将軍選択イベントですが、結局、ラガート将軍以外では攻略困難なのが事実。

 ディナス将軍ルートが、最も激しいバトル、戦場の空気を堪能できるわけですが、主人公の能力的に厳しい戦いを求められ、生き残っても戦いに時間を浪費したせいで、戦争を止めることはできないという憂き目に。これも大きな罠だと考えますね。

 たぶん、主人公適性の高いザックにとっては、ディナス将軍ルートで戦場を駆け回るのが、王道戦記ファンタジーとして相応しいのでしょう。

 そして、表ルートはザックに任せて、自分はストレートに怪しいラガート将軍を探るのが正解なんですが、裏読みをし過ぎると、ミスリードに騙されるんですよね。

 

 ミスリードその1。水晶都市のイベントで、白鎧の騎士が怪しいという情報を得た場合。

 それでシャスールを探ろうとしても、演技派の〈闇の精〉は決定的な証拠を示してくれずに、非常に友好的に振る舞いますので、結局は先にラガート将軍との対決になるわけで。

 

 ミスリードその2。「策士として知られるシャスール将軍」というキャラ紹介。

 こんな紹介をされたら、白鎧の情報がなくても、怪しいと思って調べたくなるじゃないですか。

 

 事実、シャスールが本命だし、途中でパラグラフをチラ見してしまうと、シャスールが黒幕だということは分かる。

 しかし、シャスールを調べることが正解じゃなくて、あからさまに怪しい黒甲冑のラガートを調べることが正解なんて、ストレート過ぎて、かえって選びにくいっての。

 

 おまけに、深読みをしない性格のプレイヤーが素直にラガートから調べようとした場合、そういうプレイヤーは背後から奇襲しようとは考えにくいものです。

 大体は正面からラガートに挑みかかって、「技術点14なんて勝てるか!」と悲鳴を上げて敗北。次に別の将軍ルートに回り道して、結局、バッドエンドを積み重ねた挙句、正解に行き着く。

 このパターン、まるで『さまよえる宇宙船』ですな。ミスリードが結構多くて、正解ルートへのヒントが皆無で、試行錯誤の末に、ようやく正解の一本道に気づく。

 まあ、運よく3回チャンスがある「正面からラガートに挑んで兜を弾き飛ばす可能性」で勝ったプレイヤーもいるかもしれないし、成功可能性を上げるために、混沌の唸るナイフで技術点+2を頼りにした人もいるかもしれない(かなり少数派だと思うけど。混沌の唸るナイフ攻略というのは、混沌をもって悪を制すというオリジナリティあふれる攻略法ではあると思う。試してみるのも一興か?)。

 

 ともあれ、本作はボリュームが少ない割に、正解ルートを見つけるのが難しい類のゲームだと考えます。

 まあ、正解以外のルートは、バトルが厳しくて、バッドエンド・パラグラフでなくても、戦闘で体力点が尽きてしまう可能性も高そうですし。

 バトル自体が罠なんですな。

 正解ルートだと、主人公の通常戦闘での決着がゼロ回で済みますし*4。バトルをほとんどしなくてもクリアできるってのは、やはり『さまよえる宇宙船』風味だな。

 

③パズル構造が複雑(X)

 ここも山本さんっぽくない点。

 パラグラフ・ジャンプは、リーブラの呪い解除だけだし、作中唯一のリドルは水晶都市でサイコロの期待値を計算させるだけだし、その謎も物語の雰囲気にはあまりマッチしていない。

 第1部と、第3部の凝ったパズル性に比べて、この第2部は物語的には非常にストレートで、ややこしいのは3将軍の誰を探るのが最適解かという犯人当てぐらい。

 いや、犯人当てそのものはシャスール将軍と分かりやすいのだけど、彼を糾弾するための証拠固めの道筋が見えにくいという点が、本作の難易度の高さに通じている、と。

 でも、これってパズル性なのかどうか。

 

 ともあれ、答えを知ってみると、黒幕は巧妙に振る舞って証拠をはっきり残さないから、手下のチンピラ実行犯(腕っぷしだけは強い)を何とか倒して、口を割らせて、事件の真相を突き止めるという「推理ドラマというより、アクション的な刑事ドラマの作劇パターン」に沿っている、と。

 実験的で面白いゲームブックの作り方だとは思いますが、個人的には、犯人の証拠を探すために、獣使いの能力をもっと活用してくれても良かったのにな、とは思います。

 3部作の中で、獣使いの能力が最も活用されていない話で、自然界での移動手段とか、ランダム遭遇での解決手段ではあっても、第1部や第3部でのボス戦相手の決定打になり得る主人公の特殊能力に対して、今部は精霊召喚で解決する形。

 まあ、自然界の精霊召喚が、D&Dドルイドの上位能力で主人公の特性と解釈したらいいんだけど、FFシリーズやウォーハンマーなんかでは、獣使いと精霊使いは別物解釈だし、ともあれ、主人公本来の特殊能力が事件解決にあまり寄与しないという点でも、ややストーリー的に持て余しているような印象を覚えます。

 獣使いと推理劇を絡めるなら、ネズミを使った諜報活動とか、獣の発達した五感でゴンチョンの臭いを嗅ぎ当てるとか、いろいろできたかもしれませんが、88年当時はそこまで獣使い、モンスター使いの活用法が研究されていなかったゆえの、今の目から見ての不満でしょうな。

 乱戦における戦場で、主人公の獣使いの能力が大して役に立たないというのも、第1部と比べての残念仕様。

 獣使いは山本さんの考えた設定だから、北川さんのストーリーではうまく扱いきれなかったのかも、と推測してみる。

 

 そんなわけで、本作は犯人当ての推理劇の形式を持ち、主人公の特殊能力も手掛かり発見に便利な設定にも関わらず、「凶悪なチンピラを後ろから殴る暴力的な手段を経て、口を割らせる」という原作物語になっていて、そんな脳筋キャラじゃなかったはずなのに、とチグハグ感は否めませんが、きっとザックに感化されたのか、戦場の空気に当てられたか、ゴンチョンの持つ殺意のオーラに影響されたか、とテキトーに解釈しておきます。

 まあ、パズル性とは関係ないストーリー解釈で、無駄に頭を使ってるってことで(苦笑)。

 

 余談ながら、技術点14で暴れ回っている上官を、強引に取り押さえるラガート軍の参謀兵士。

 参謀だけど、ずいぶんと武闘派なんですね。

 何人がかりで取り押さえたのかは知りませんが、おかげで助かった主人公。ラガート軍には、脳筋ながら機転の利く有能な兵士が多いと考えておきます。

 きっと、上司の急変に心悩ませながらも、上官命令は絶対だという戦場哲学を叩き込まれていたから、どこまでも付いて行こうとマジメに考えながら、日々の調練に励んでいたのでしょう。

 もしかすると、主人公とも気さくに会話を交わし、良好な関係を築き上げたからこそ、ゴンチョンが上官に取り憑いていたことを知ると、いち早く手助けしてくれたのかもしれません。

 そういうドラマも今さらながら想像しつつ、攻略記事ではそこまで考えが及ばず、ルビーKが役割を横取りしてしまいました。

 名もなき参謀兵士に陳謝しつつ。

 

④ゲームシステムが難しい(◯)

 獣使いの能力は、今部ではあまり役に立ちませんが、女神リーブラの加護とか、『ソーサリー』のプレイヤーを喜ばせるシステムがあって、そこは好印象でした。

 前述のとおり、ガランタリアまでの旅では獣使いの能力も役に立ったりするわけですが、〈闇の精〉の捜索や、戦場ではほぼ使えない能力になり下がった点が、残念に感じたりもしました。

 ただ、FFシリーズを通してみても、「せっかくの新ルールが上手く活用されていない作品」は結構あって、とりわけ『さまよえる宇宙船』がそうですな。本作と『さまよえる宇宙船』の接点は一見、つながらないようですが、実はゲームブックとしての構造スタイルが近かったようです。

 とは言え、『さまよえる宇宙船』はもっと徹底していて、最適ルートを通れば、サイコロでの判定すら一切しなくてもクリア可能な作品というのは、こちらで語ったとおりですが。

 本作の場合は、そこまで徹底した作品ではありませんが、最適ルートを通ると、一番危険なのが「ラガートを後ろから不意打ちするのに成功するかどうか」ですね。

 

 他にシステム面で気になるのは、第1部で入手した〈骨の首飾り〉が第2部では活用できないこと。ネズミやコウモリをただで召喚できる便利アイテムですが、今回は召喚機会のあるコウモリが役に立ってくれないので、無償召喚の恩恵がない。

 せっかく第1部から引き継げる連作ものなのに、各部の独立性を優先したらしくて(本来は別作者の予定だったということもあって)、引き継いだ恩恵があまり感じられないのが残念な点。

 これについては、金銭面での問題を、こちらのサイトでも取り上げていまして、「前の部で金貨を残しておかないと、次の部での攻略に支障をきたす」「金貨の入手があまり多くない作品なので、便利アイテムが購入したくてもできない」という点が指摘されています。

 また、第2部から第3部は技術点+1の成長があるのですが、第1部から第2部の場合は成長がないので(入手アイテムの腕輪による強化はある)、初期作成が1D+4から順当に+5、+6に増えていく引き継ぎなしでプレイする方が安定してお得と考えられます。

 もっとも、これは第3部のとある場面で、「手持ちの武器、アイテム、金貨、食料を全て失う攻略必須イベント」があって、入手アイテムに愛着を持つプレイヤー泣かせの展開なんですが、そのイベントを避けようとすると、もっと大切なもの(生まれついての肉体)を失うオチになる。

 体(性別)を失うか、所持品全てを失うか、究極の選択となるわけで。

 まあ、その辺の詳細は、第3部の折りにでも改めて語りたいと思います。

 

 また、仮に『暗黒の三つの顔』が追悼本ではなく、山本さんがSNE在籍時に単行本でまとめられることがあったとしたら、連載分割ではなく、一つの作品として引き継ぎ要素も含めてブラッシュアップされていたのかもしれませんね、とIF妄想してみる*5

 

⑤フラグ管理がややこしい(X)

 第1部に比べると、入手アイテムが多くなく、ストーリー的にもシンプルというのもあって、フラグ管理の手間はそれほどでもありません。

 ガランタリアまでは、その場その場のイベントをクリアするだけだし、ルート選択の有利不利が明確なので、「こっちに進む方が得なんだけど、攻略必須アイテムが手に入らないので、やはり多少不利でも、別ルートを進まざるを得ない」というジレンマもなく、話を進めやすい。

 ただ、店で買い物をするメリットがほぼなく、必須アイテムは無料のイベントクリアで手に入る。最初に購入して使う機会があるアイテムは、縄(金貨2枚)と、聖水(金貨6枚)と、ハンマー(金貨6枚)と、食料(金貨2枚)ぐらい。

 引き継ぎなしで始めた場合、金貨10枚しか持っていないので、アイテムを満足に購入することはできません。食料については、最初に5つ持っていれば、それ以上買うことはできませんし、レンドルランド行きのルートだと、道中の獣を倒して食料補充ができるので、最初に食料を売って空きを作っておく方が、お得となる。

 その他のアイテムも、縄はマンティコアの洞窟の外れルート(大グモのいる右側)でしか使わないし、聖水はラスボス戦の決定打にはならないし、ハンマーは骸骨戦士相手に役立つものの、骸骨戦士からは逃げた方がいいという……つまり、結果論ながら、この買い物には意味がない、と。

 第1部に比べると、第2部は攻略の道筋が限定的で、自由度が感じられないという意味で、いろいろと退化した、つまらない部ということになります。まあ、これは北川氏のストーリー原案に合わせて、山本さんが分岐とかをあれこれ調整して完成させたという事情もあって、自由度が制限された中での調整不足ということになるのかな、とは思います。

 後半の犯人探しについても、現在の目から見ると、推理してどうこうってものではなくて、原初のゲームブック的ないろいろな分岐を試行錯誤しながら、正解の道筋がどこにあるかをあれこれ探す古いアドベンチャーゲーム的な内容。

 まあ、古いゲームなのは事実なので、こなれていないのも当然なのですが、それでも物語的な矛盾は感じられないので、手堅くまとまっている点は職人芸としてお見事と評価します。

 

 面白いのは、3将軍の全員ルートをきちんと辿ると、〈闇の精〉の作戦がどのように展開されていったのか、全体構造がしっかり分かるように作られているところ。

 ただクリアしただけだと、「ラガート将軍が味方を攻撃するように命令した理由」がよく分かっていなかったのですが、シャスール将軍のルートとつなげて考えると、「ラガート傭兵部隊が、シャスール前衛部隊の陣を攻撃することで同士討ちに仕向けたのを、ブライス軍の襲撃だと宣言して戦争の大義名分にするという自作自演」がよく分かる、と。

 まあ、高校時代は人生経験もフィクション体験もまだまだだから、そもそもそういう陰謀を想像できなかったろうし、年を重ねて、いろいろな角度から見ることで、全体構造が把握できるようになっているのだろうな。

 

 ともあれ、オーソドックスな冒険者の自由な旅と、ダンジョン探索と、迷宮奥深くのラスボス退治(そこにフレーバーとして、悪い美女の陰謀謎解きを挿入)という王道冒険譚が第1部なら、

 第2部は、未知の大陸(アナランドとカーカバード以外は名前しか知らない旧世界)の新鮮な旅(フェンフリィやモーリステシアってこんなところだったんだ)と、不自由で規律を求められる軍隊生活(FFゲームブックでは割と新鮮)、その中で展開される戦争に向けての陰謀劇の解明という変化球が第2部。

 第1部にあった自由度が、後半は非常に制限されて、自分の意志とは関係なく状況が推移していくのにどう対応するか、という割と受け身なストーリー展開なのを、事前に準備していた切り札アイテムを駆使して解決する形。

 決して好きな作風ではないし、粗も散見されるけど、まだ日本では発表されていなかった〈旧世界〉の諸国の初紹介や、ロードスを想起させる戦記ものっぽい雰囲気と、最後の精霊バトルで、意欲的なストーリー体験だったと思います。

 

 そして、今部で削られた自由度とパズル性については、第3部できちんと盛り込まれていますし、印象的なマルチエンド(パラグラフ600番のトゥルーエンドよりも、593番のTSエンドの方に妄想を掻き立てられる人が多かった模様)もあって、いかにも山本さんっぽい作品に感じたな、と。

 

 最後に難易度の合計ですが、「1+2+0+1+0=4」と、1部の6に比べると、意外と低かった。理由は、大筋が一本道で、〈闇の精〉の倒し方(フェンフリィで入手できる『炎の書』を使え)も最初から分かっているので、迷う仕掛けがそれほどでもないから。厄介なのは、本命の前の伏兵であるラガート=ゴンチョンへの対処の仕方と、キーアイテムに見えて、実はそうでなかった〈炎の剣〉の入手方法への考察ぐらい。

 少なくとも、本作の特徴である召喚獣をいろいろ駆使することが攻略の鍵」というゲーム性を第2部のストーリーではさほど重視していないので、「ラガートの兜をいかにはがすか」という点だけクリアすれば、攻略難易度的には低いのかな、と。

 

 で、第2部での不満材料、物足りなさは、第3部でいろいろ解消されるので、全体を通すと変にマンネリ化せずに、良い塩梅の傑作、と思います。

(当記事 完)

*1:そう主張しているサイトも見たが、根拠が水野さんのXポストで、しかも『クリスタニア』に関する打ち切り発言を勘違いしたものらしい。

*2:厳密には、敵の与えるダメージ計算に引き分けの可能性を考慮に入れていないので、もう少し敵は弱くなるが、微妙な誤差の範囲だと思う。

*3:後から追記。コメント欄で山原コウさんに指摘されたことですが、〈火の精〉が負けても〈炎の剣〉があれば、ダイスを振らずに自動的にとどめを刺せる、とのこと。そうなると、〈炎の剣〉に対する残念武器の評価も改めないといけませんね。万が一のための保険として、安心と安全をお届けしてもらえるということで、入手する価値は十分あるか、と。

*4:鉤爪獣やレンドルランドの遭遇は獣使いの能力で対処できる。魔女の牙連山はスルーして、ラガート将軍ルートからゴンチョン憑依ラガートの攻撃を3回だけ凌いで、唯一の戦闘は最後の〈火の精〉によるバトルのみ。

*5:山本さんのゲームブック『モンスターの逆襲』が、87年のウォーロック誌連載版を88年の単行本化に際して、追加要素を投入したように。