今回はフェンフリィから(〈王の冠〉の話)

晶華「前回は、アナランドからレンドルランドを越えて、大陸西の王国フェンフリィの首都チャランナブラッドに到着するところまでプレイしました」
マシロン(シロ)「フェンフリィって、どういう国?」
ザック(009)「旧世界で最も伝統的な国は北西のガランタリアだが、フェンフリィは現在(ソーサリーの物語前後)において、一番繁栄している国と言っていい。理由は、英雄王チャランナが見つけた秘宝〈王の冠〉のおかげでもあるんだが、その効果は指導者に比類なき指導力とカリスマ性をもたらしてくれる。しかし、チャランナ王の賢明さはただ〈冠〉だけに依存するものではなくて、世界に平和をもたらすために、とある決断をするわけだ」
ルビーK(翔花)「世界に平和ですって? そんなの簡単よ。強力な指導者が現れて、力で世界を統一すればいい。力こそ正義。これぞリーブラ様の教え」
晶華「そう言うルビーKさんの頭が、強烈な痛みに襲われます」
ルビーK「えっ、何、この頭痛は? わたしが何をしたって言うの!?」
マシロン「嘘をついたからじゃないか? リーブラは〈正義と慈愛と真実〉を司るので、力の信奉者ではない。力こそ正義なんて教えを肯定するはずがない」
ルビーK「だったら、何が正義なのよ?」
ザック「愛と真実ってところじゃないのか? 愛なき力、優しさのない強さは肯定しないだろう」
ルビーK「愛の大切さを知ることが、暗黒魔女だったわたしが、真のリーブラ使徒になるために必要なのね。初めて知った人の愛、その優しさに目覚める女になるわ」
ザック「悪魔の力に飲まれないようにな。それより、チャランナ王の英断は、〈冠〉を独占せずに、各国の王に順番に貸し与えることで、フェンフリィ同盟を強固にしようとしたことだ。それぞれの国王が英知を示して、自分の国の内政をきちんと整えて、国を発展させていけば、戦争ではなく平和を広げることができるだろう、という理想だな」
ルビーK「そんなやり方で上手く行くの?」
ザック「4年間の期限で〈冠〉を貸し与えられるという約定で、まず北東の宗教国家ラドルストーンに〈冠〉がもたらされた。この国は、秩序を重んじる神官戦士たちが治めるものの、隣国ブライスの頻繁な軍事活動や、無秩序な海賊の横行に苦しめられて、いまいちまとまりきらずに来たのだが、〈冠〉の力で何とか秩序側の優勢で国を維持できるようになったらしい」
晶華「だけど、今回の冒険の舞台としては登場しません」
ザック「次に〈冠〉が与えられたのはレンドルランドだ。ここも発展した国とは言い難い平原国だったが、〈冠〉パワーで何とか首都のポルア中心に、相応の秩序を構築できた。それから、伝統的な大国ガランタリアと、好戦的な軍事活動で悪名高いブライスに、続いて〈冠〉がもたらされる。この順番が大事なんだな」
ルビーK「どういうこと?」
ザック「最初にラドルストーンに〈冠〉が与えられたのは、フェンフリィから遠く離れていたから、直接の利害関係を伴わない実験的な意味合いがあるのだろう。〈冠〉が機能するのは、元から平和な国よりも、秩序を目指すけれども力不足でまとまりきらない場所の方が効果的だ。まず、ラドルストーンで〈冠〉効果が発動することを示したうえで、次に隣国のレンドルランドに恩を売る。隣国同士で平和交渉をしようとしても、相手の国に余裕がなければ、まともな交渉にもならないから、せめて交渉相手にできる程度の安定をもたらす必要はあるわけだ」
マシロン「〈冠〉を貸し与えることで、友好的な同盟国という信頼を得るとともに、隣国が安定すれば自国の平和も保てるということだね」
ザック「隣国が強くなり過ぎて、軍事バランスが崩れたら別だけど、レンドルランドという国の地勢から考えて、4年でそこまでの発展はしないだろうというチャランナ王の目論みがあったのかもしれない。それに、仮にレンドルランドが裏切って〈冠〉を返さなかったら、どうなると思う?」
ルビーK「フェンフリィとの戦争の原因になるでしょうね」
ザック「それだけじゃない。次に〈冠〉を貸し与えられる予定の大国ガランタリアの怒りも買って、フェンフリィ・ガランタリア連合とレンドルランドの戦争になり兼ねない。だから、レンドルランドは約束を守ることで、フェンフリィとの同盟を維持する方が得と判断したわけだ」
マシロン「でも、レンドルランドよりも、先にガランタリアに〈冠〉を貸すという選択肢もあったと思うけど?」
ザック「この場合、フェンフリィ同盟の盟主であるフェンフリィに対して、ガランタリアが納得するかどうかという問題がある。ガランタリアは保守伝統を重んじるので、王一代で急成長したフェンフリィに対して、心穏やかではいられないだろう。フェンフリィとガランタリアでの主導権争いが発生する可能性は否めない。だから、先にフェンフリィはレンドルランドとの盟約を優先させて、大国ガランタリアと主導権で並び立てる勢力を構築する必要があった。そのうえで、フェンフリィの究極の目的は大陸全体の平和だ。そこで障害となるのが軍事国家ブライスということになる」
ルビーK「ブライスは現在、ガランタリアと戦争が勃発しそうな国ね」
ザック「ここは旧世界で最も好戦的な軍事国家で、隣国ラドルストーンとガランタリアの両方としばしば国境紛争している。この国をいかにおとなしくさせるかが、旧世界の平和を維持する最大の難所と言っていい」
マシロン「つまり、ブライスが攻めてきたので、ガランタリアが防戦するというのが、これまでの歴史なんだね。悪いのはブライスだ、と」
晶華「だけど、今回はガランタリアの方がブライスに対して、戦争の準備を企てているって噂なの。これまでの旧世界の戦争史では考えにくいのよね」
ザック「〈王の冠〉がガランタリアに貸し与えられたことで、ブライスはフェンフリィ同盟に対して、孤立化を余儀なくされた。だから、自分たちもやむなくフェンフリィ同盟に加入して、しばしの平和を維持することを約束したわけだ。そして約束の4年が過ぎて、〈冠〉がブライスからアナランドにもたらされた際に、事件が発生した」
ルビーK「それが、マンパンの大魔王による〈冠〉盗難事件ね」
晶華「大切な秘宝を盗まれたとあっては、アナランド王国の国際的な信用も丸つぶれだし、大魔王が未開地カーカバードの悪の勢力を結集させて、悪の帝国を築きあげれば、平和に対する脅威となることはまちがいない。だから、国家の威信をかけて、1人の冒険者を〈冠〉奪還に送り出した背景があります」
マシロン「以上が『ソーサリー』の背景に当たる部分だけど、ボクたちとは直接関係なくて、本邦初公開のフェンフリィの方に到達したわけだね」
ルビーK「長い前置きでした」
首都チャランナブラッド
晶華「さて、あなた方は旧世界で最も栄えていると評判の王都チャランナブラッドに到着しました。堂々とした建物がそびえ立ち、整備された街路も美しい文明国って感じですね。人々も陽気で、いかにも幸福に満ちあふれているようです」
マシロン「田舎者としては気後れするよな」
ザック「ブラックサンドとは全然違うし、アークレトンも立派な街だったが、ここはそれ以上だ」
ルビーK「では、早速、王さまに会いに行きましょう」
晶華「宮殿で、アナランドからの紹介状を見せたのですが、今日は王が忙しいので、明日にでも出直すように、と門番が伝えます」
マシロン「だったら、図書館に行くか。『炎の書』が本当にあるか確認しておきたい」
晶華「図書館の司書さんは、『炎の書』の貸し出しは王の許可が必要だが、金貨30枚支払うなら、特例として譲り渡そう、と言います」
ルビーK「金貨30枚かあ。それぐらい余裕よね。ザックさん、支払いなさい」
ザック「余裕じゃねえよ。手持ちの金貨を確認しろよ」
ルビーK「金貨14枚しかない。よし、こういう時こそ、昔とった杵柄よ。そこら辺の石ころをいっぱい集めてきて、幻術をかけて金貨50枚に見せかける。これでバッチリ」
晶華「ルビーKの頭が猛烈に痛みます」
ルビーK「キャア。幻術で騙すってのもダメなの? リーブラ様の戒律って固すぎる。わたしがやって来たことをここまで否定してくるなんて(涙目)」
マシロン「あの時は、よくもボクを騙してくれたね」
ルビーK「ゴメンなさい。裏の世界では、騙されるのが悪いって常識がはびこっているので、ついついそういう風な発想になってしまうの」
マシロン「とにかく、ない袖は振れないので、今夜は宿に泊まって、明日に宮殿をもう一度、訪れよう」
晶華「宿賃は1人、金貨4枚です。ザックさんは自分の分を払いますので、マシロン君は4枚だけ減らしてください」
ルビーK「わたしの分は?」
晶華「ペットの分は、請求してきません」
ルビーK「ペットだなんてひどい」
晶華「だったら、追加料金を払いますか?」
ルビーK「偉大なリーブラ様の従属精霊なので、特別にただで泊めてくれるってことね。そう都合よく解釈してあげるわ」
マシロン「ここで金が払えなければ、攻略失敗になるんだよな。野宿して一夜を過ごすって選択肢はない、と」
晶華「宿に泊まると、体力点4を回復できます」
マシロン「ダメージを受けてないんだから、意味がないんだがな。これで残り金貨は10枚。このまま宮殿に直行しよう」
晶華「改めて門番の人に紹介状を見せると、しばらくして大広間に通され、ようやくチャランナ王に面会することができました。若いときには冒険生活で慣らした風格もありますが、今はその時から20年近くを経て、立派な壮年に入った年齢ですね」
ザック「4年ごとに〈王の冠〉を貸し与えて、5ヶ国と同盟を結ぶに至ったのだから、そういう計算になるのか」
晶華「チャランナ王は気取りのない態度で、あなた達2人を歓待したあと、その使命について聞いて、こう応じます。『かつて偉大な放浪魔法使いが、〈闇の精〉を封じ込めて大陸の危機を救ったという話は聞いている。その弟子が、そなたとはなあ。時の経つのは早いものよ』」
マシロン「師匠のことをご存知でしたか。噂に名高い英雄王さまに覚えていただき恐縮です」
晶華「『とにかく、事態は急を要するようだな。我が国とガランタリアの境界に位置する〈魔女の牙連山〉にも、オークやゴブリンどもが集結しているという噂も伝え聞く。図書館にある〈炎の書〉が必要ということなら、自由に持って行くがいい。次代の勇者の活躍、期待しておるぞ』と快活に話をまとめて、王があなた達の使命の成功を祈ってくれます。運点2が回復しますよ」
ザック「さすがは英雄王だ。大した器量の持ち主だぜ」
晶華「そういうわけで、図書館に寄ると、『炎の書』を渡してもらえます。1回使うと、〈火の精〉の力を呼び出すことができますが、灰になって燃え尽きるので2回めは使えません。ですから、ここぞという時だけ使うようにしてくださいね」
水晶都市
目的の品物を入手したマシロン一行は、チャランナブラッドを出発して、チャランナ川を遡りながら北東へ向かうことにした。
チャランナ川は上流で2つに分岐し、東へ向かうとコールドロン湖に通じて、そこには名高い水晶都市があるという。北はエアリア湖から〈魔女の牙連山〉に向かうことになる。
目的のガランタリアに行くには、〈魔女の牙連山〉を越えなければいけないが、魔法で大ワシを呼んで、空を行くという選択肢もある。
ルビーK「また、空が飛べるなんて素敵。そんな魔法が使えたんだ」
マシロン「チャランナ王に勇者として認められたからかな。自分に自信が持てると、その分、成長できたんだと思う。ただ、ガランタリアに向かう前に、水晶都市へ行くように、とグァンドゥムが言っている」
ルビーK「水晶都市かあ。何だか格好いい名称ねえ。どんなところ?」
ザック「魔法使いと水晶鉱夫が協力して、築き上げた神秘の街らしい。名前のとおり、全ての建物が水晶で造られ、キラメイジャーっぽいイメージだ」
ルビーK「クリスタルといえば、ファイナルファンタジーだったりもするよね」
ザック「ああ、フィティングとファイナルの違いはあるが、88年という時代はファンタジーRPGの盛り上がりがすごいわけで、この水晶都市も旧世界で最もマジカルミラクルなセンス・オブ・ワンダーに満ちた場所だという噂だ」
晶華「水晶といえば、私の名前にもあるように太陽サンサン、キラメンタルってことで、本作ではマジックアイテムを譲ってくれる魔法使いと対面できます」
マシロン「ここに寄らないと〈闇の精〉を倒せないらしい。まあ、アークレトンで〈聖水〉を買っておけば、対処できなくはないんだけど、こっちのイベントの方が得だ、とグァンドゥムが言っているってことで」
晶華「グァンドゥムの導きに従って、水晶都市の魔法専門店を訪れました。そこでは、賢明な者のみが扱える〈物見の水晶〉の話を聞かせてもらえます」
ルビーK「賢明な者って、もしかしてクイズか何か?」
晶華「サイコロ108個を振ったときに出る期待値を質問されます」
ルビーK「そんなのをわたしに尋ねるなんて、あり得ない。108×3.5なんて計算ができるなんて思わないで」
マシロン「式が立てられるだけでも、上出来だ。ええと、答えは54×7に変換すると計算しやすくなるが、これならどうだ?」
ルビーK「50×7で350。4×7で28。合わせて378番ってところかしら」
晶華「おお、正解した。お姉ちゃんにしては上出来よ。では、〈物見の水晶〉の使用許可が与えられて、今後の旅のヒントがもらえます。あなたは『倒すべき敵の姿』を見ますか? それとも『訪れるべき場所の景色』を見ますか?」
マシロン「場所を見ても、あまりヒントにはならないんだよな。ここは敵の姿を見る」
晶華「すると、〈闇の精〉に取り憑かれたのは白い鎧を身につけた軍の高官らしいことが分かりました」
マシロン「白い鎧かあ。いかにも白騎士って感じで、信頼できそうなフリをして、実は闇ってことなんだな」
晶華「それから、魔法使いさんはお守りとして、マシロン君に〈魔封じの水晶〉をくれます。異界の魔物を封じる効力を持っているそうです。思いがけない援助に運点2を回復します」
マシロン「運が減ってないので、回復には意味がないんだが、〈魔封じの水晶〉はほぼ必須アイテムに近い。それをタダで(問題に答えるだけで)くれるんだから、聖水よりもこっちを推奨するぞ」
魔女の牙連山
マシロン「次は〈魔女の牙連山〉に向かうんだが……」
ルビーK「大ワシに乗っては行かないの?」
マシロン「その選択肢を選ぶと、体力点4の消費でガランタリアの首都ロイヤル・レンドルまで直行できるんだが、ここはショートカットせずに連山でのイベントを見ておきたい」
晶華「では、エアリア湖を超えて、山脈に分け入ったあなた方は山奥で混沌の大軍勢を目撃しました。人間、オーク、ゴブリンに加えて、大柄なトロールやオーガーまでいます。そして、指揮官らしい黒い甲冑の戦士が円陣の中心で演説をするかのように立ち上がります。ここで運だめしをしてください」
マシロン「ここは、個人的に失敗しておきたいんだが、運点11もあるからなあ。(コロコロ)8なので成功」
晶華「では、見張りに気づかれずに甲冑の戦士の演説を聞くことができます」
ルビーK「マシロン様に質問。どうして、運だめしに失敗する方がいいの?」
マシロン「敵に見つかって、逃げ出す途中にとある洞窟に踏み込むんだ。そこで〈炎の剣〉を入手できる、とグァンドゥムが言っているが、その洞窟に入るには敵に見つからないといけない」
晶華「でも、敵に見つからずに演説を聞きます。その内容は、混沌の軍勢でガランタリアに攻め込めば、暗黒の勝利は間違いない、というもの」
ルビーK「それは、リーブラ様の使徒として聞き捨てならないわね。今すぐ殲滅させましょう」
マシロン「正気か? たった2人でどうやって?」
ルビーK「わたしたちには『炎の書』がある。まず、〈炎の精〉を召喚して思う存分、暴れる。それでも足りない分はルビーダイナマイトで辺りの軍勢を薙ぎ払う。完璧よ」
ザック「おいおい。俺たちは、自爆テロの狂信者じゃないんだぞ。賢明な冒険者は、引き際も弁えないといけない。ここは見つからないうちに逃げるのが正解だ」
マシロン「それに、ここで黒い甲冑の戦士を倒しても、勝ったことにはならない。〈闇の精〉は白い鎧の士官に取り憑いているみたいだからな。あの黒甲冑は手下Aに過ぎないと思う」
ルビーK「くっ、たかだか手下Aごときを倒すのに命をかけるわけにはいかないわね。仕方ない。ここは見逃してあげる。だけど、次に会ったときは必ず倒してあげるんだから。覚えてなさい、オーホッホッホと魔女らしく高笑いをあげる」
ザック「お、おい。静かにしろ。見つかっちまう」
ルビーK「それは大変。ボソボソ小声で高笑いをあげます。オーホッホッホ」
晶華「では、見つからずに退散できるかどうか、運だめしをしてください」
マシロン「今回は10以下。(コロコロ)4で成功。これで〈炎の剣〉の入手はできなくなった」
晶華「それでも、大きな危険を切り抜けたので、運点2が回復します。さて、この山岳地帯を越えるまでに、ランダム遭遇が発生します。1Dを振ってください」
マシロン「ザック、ここは君に任せた。できれば、6を出して」
ザック「無茶を言うな。(コロコロ)3だ」
晶華「技術点10、体力点8のバードマン(鳥男)が出現しました。ザックさんが協力してくれるので、技術点+2できます」
マシロン「実質11で戦えるんだな。だったら、こっちが有利だ」
それでもダイス運が悪くて、8点のダメージを受けてしまうマシロンだった。何とか運だめし1回で追加ダメージを与えて、勝利をつかむが、得られるものは何もない。
6が出て、山賊相手だったら、金貨8枚の戦利品を入手できたのに。
ともあれ、命からがら、〈魔女の牙連山〉を抜けて、ガランタリアの首都ロイヤル・レンドルに到着する一行。
暗黒と混沌の戦争の影が迫るなか、うまく〈闇の精〉を始末することができるだろうか?
★獣使いマシロン(プレイヤー:シロ、パラグラフ224)
・技術点9
・体力点14/22
・運点10/11
・食料:4
・金貨:10枚
・薬:技の薬(技術点回復)、ツキ薬(運点回復)
・所持品:背負い袋、ナイフ、獣皮の服、15メートルの縄、ランタンと火口箱、骨の髪飾り(ネズミとコウモリをただで召喚可能)、炎の書、魔封じの水晶
・ルビーK関係:銅の指輪(ケイとの契約指輪)、ケイのルビー(精霊ケイの力の源。獣モードの額に付いている。大爆発の危険あり)、銀の盾(ケマンダー師匠の遺品)
・リーブラの加護:呪い解除(パラグラフマイナス30)か、体力完全回復
マンティコアの洞窟(IFルート)
晶華「では、運だめしに失敗したときだけ通過できる、本章唯一のダンジョンの探索をしておきましょう」
マシロン「敵軍にうっかり見つかってしまったときだな」
晶華「ゴブリンの見張り兵(技5、体5)とのバトルになりますが、倒すのは簡単でしょう」
ルビーK「ゴブリンはザコの代名詞だもんね」
晶華「しかし、ゴブリンを倒した後、2体の骸骨戦士(技8、体6)が出現します。ナイフや剣は骸骨には有効でないため、ダメージが通常の2点から1点に減少。ハンマーを使う場合だけ、普通にダメージ2点を与えることができます。しかし、この戦闘のポイントは、次々と出現する敵を倒し続けると、やがて敵の大群に囲まれてバッドエンドを迎えてしまうことです。よって、戦いの最中に逃げる、という選択肢が与えられて、2点ダメージを受けながら逃げるのが正解です」
ザック「逃げた先に洞窟があるんだな」
晶華「洞窟の道は左右に分かれて、広いのは右。左からは獣の臭いが漂ってきます」
マシロン「普通なら、獣を避けるように右を選ぶものだろうけど、獣使いのボクは左を選ぶのが正解と考える」
晶華「では、その正解の道を先に見ていきましょう。進んだ先にはマンティコア(技12、体18)がいました」
ザック「『ソーサリー』1巻のラスボス相手に、まともに戦っても勝ち目が薄いんだな」
マシロン「相手は老獪な知性を持つので、獣使いの術も通用しない。だから選択肢にある『様子を見る』のが正解となる」
晶華「このマンティコアは話の分かる穏やかな性格で、長年の退屈を紛らわせるための会話相手を求めていました。マンティコアの身の上話によると、古の魔道士たちの実験から生まれて、魔法大戦の前からここに住み着いた生き残りだそうです」
ルビーK「魔法大戦って、鋼鉄ゴーレムが作られた時代よね」
ザック「ああ。暗黒大陸クールで出現した混沌の軍勢が、世界中の文明を崩壊させるに至った戦いだ。この旧世界は比較的、被害が少なかったらしいが、アランシアとクールはかつての栄華を失って、統一王朝や古代の魔法という文明の残滓だけが遺跡などに残るのみ」
マシロン「ブラックサンドは、古代の都カーセポリスの廃墟の上に築かれたみたいだからね。だから、地下には未探索の遺跡がいっぱい隠されている」
ルビーK「普通、そういう街って、遺跡荒らしの冒険者がいっぱい訪れて、ダンジョン探索が一つの産業となって発展しそうなものだけど」
ザック「どうも、アランシアでは、そういう遺跡荒らしの冒険者稼業というのが成立しにくい環境だったみたいだ。冒険者ギルドという管理団体がサラモニスにしかなくて、古代遺跡に興味を持つ知識階級も、組織化はされていない。その日暮らしの集落とかが中心で、都市もポツポツ点在している程度だし、個人の好奇心や正義感で冒険生活に勤しむ風来坊はいても、それをまとめる産業としては発展しなかったみたいだな」
ルビーK「何で?」
マシロン「おそらく、遺跡の探索というのが、封印された混沌の復活に通じる危険の大きい所業で、秩序を維持したい者ほど、そういう自由な探索活動を抑えようとして来たからみたいだ。大体、古代の遺産を見つけて成り上がろうという野心を持った者は、ザゴールやバルサスのような悪役として周囲に迷惑をかけるのがアランシアで、善の魔法使いはそういう危険を封印しておくべき、という立ち位置で行動しているっぽい」
晶華「危ないものがいっぱい封印されているから、遺跡探索にはメリットよりもリスクの方が大きい、ということで、商売にはならない。個人単位での探検家はいても、そこに投資する社会の動きには至っておらず、冒険者産業が未成熟ということね」
ザック「ファングのサカムビット公辺りが、迷宮探検競技で冒険者の育成を図っているならともかく、単に冒険者予備軍の若者たちを浪費しているだけだからな。むしろ、FF以降のファンタジーRPGが、プレイヤーキャラである冒険者を社会構造の一部として組み込む設定を後付けで考えたのが、現在の冒険者ギルド中心の『ゲームのための世界設定』の産物なんだと思う」
ルビーK「つまり、FFでは冒険者を育成しようという社会システムが確立されていなくて、どちらかと言えば、冒険者を無駄に浪費して消耗品扱いするような為政者が多い、と」
ザック「そんな厳しい環境でも、乗り越えて這い上がったのが主人公なんだろうけど」
マシロン「ところで、ザックはどうして冒険者を目指したんだ? ボクは天涯孤独な身で、育ての親の師匠の遺言が旅立ちのきっかけなんだが、君の出生とかが謎だ」
ザック「俺か? 確かに、ゲームブックには書いてないよなあ。プレイヤー視点で語るなら、ザックは『リビングストンの典型的なFF主人公』のオマージュだと思う。特別な個性はないけど、冒険を求める旅の剣士で人情家、武器戦闘では有能で相応に旅慣れている。ブラックサンドの酒場の常連ではあるが、ブラックサンド出身ではないと思う」
ルビーK「どうして?」
ザック「ブラックサンド出身にしては、影がなさすぎる。個人的には、シルバートン出身じゃないかなあ、と考えるんだが」
マシロン「そうなのか?」
ザック「俺が冒険者になった動機は、その昔、ザンバー・ボーンを倒してシルバートンを救った英雄冒険者に憧れてのことだと思う。たぶん、ムーンドッグの襲撃で家族を殺されて、無力な自分は何もできなかった。そんな折に、旅の剣士が〈夜の王〉を成敗して、街に光をもたらしてくれた。だから、俺も彼みたいに格好いい正義の剣士になりたい……なんて考えたことにする」
ルビーK「それで、ブラックサンドに行ったのね」
ザック「『盗賊都市』の主人公の旅の道程をたどってみたんだ。だから、ニカデマスさんに会いに行ったら、『わしはもう耄碌した身じゃ。冒険者になりたいなら、わしよりもダークウッドの森の南のヤズトロモを訪ねるといい。甘いお菓子でも持って行くと、話ぐらいは聞いてくれるじゃろう』とアドバイスをもらったので、そちらに向かう途中でマシロンに会った……という設定でどうだろうか?」
マシロン「つまり、ボクよりも先にニカデマスさんに会っていた、と?」
ザック「だから、俺の目標は『ザンバー・ボーンみたいな悪い奴を倒す英雄になりたい』ってことだな。しかし、まさか別の大陸にまで来るとは思っていなかったが、これも縁って奴だろう。伝説の大魔法使いの弟子の護衛戦士として、英雄王と対面したりできるなんて、夢みたいだし」
晶華「では、うちのザックさんの背景設定はそういうことにしておきましょう。自分の話を聞いてくれたうえ、外の世界の興味深い冒険話を聞かせてもらったマンティコアは満足した様子で、こう言います。『お前たちは〈闇の精〉と戦うという話だが、わしも協力してやろう。この〈炎の剣〉を持って行くがいい。わしには無用の長物だが、お前たちなら使いこなせよう』」
マシロン「おお。こんな貴重な物をくれるなんて……とIFルートなら言っていたんだろうけど、運だめしに成功してしまったからなあ」
晶華「〈炎の剣〉は通常なら2点ダメージのところを4点ダメージを与えられる優れもので、しかも通常武器でダメージを与えられない相手に対しても有効です。第2部の攻略法の一つに、道中の戦闘で運点をわざと浪費したり、回復するようなパラグラフをわざと通らないようにして、連山での運だめしの失敗確率を上げるという方法がありますが、最適解を選ぶと運点の回復頻度が高いので、たぶん〈炎の剣〉は最適解を選ばなかった人のためのお助けアイテムなのでしょう」
ザック「まあ、あれば嬉しいけど、なくてもクリアはできるってことだな」
ルビーK「ところで、マンティコアさんはずっとここにいても退屈でしょうから、わたしたちに付いて来て〈闇の精〉退治に協力してくれないかしら?」
晶華「そんな選択肢はゲームブックにはありませんが、いずれにせよ、マンティコアさんは断ります。『もしも〈闇の精〉に遭遇したら、暗黒の力で操られて、わしはお前たちの敵に回る可能性が高いだろう』と」
マシロン「それは大変厳しいので、気の良いマンティコアさんをもう一度、悪堕ちさせないために〈闇の精〉はボクたちで倒さないとな」
晶華「一方、洞窟の右に進んだ場合です。そちらの通路は、途中で亀裂が走っていて、ロープを持っているか、技術判定で成功するかしないと、奈落の底に落ちてバッドエンドです」
マシロン「ロープがあるので、問題なく突破できるだろう」
晶華「次に大グモ(技7、体8)とのバトルです。ザックさんは、クモが嫌いなので、この戦闘では技術点+2のボーナスをくれません」
マシロン「お前、クモが苦手だったのか?」
ザック「そうなんだよ。だから、この洞窟がIFルートで本当に良かったと思う」
晶華「クモをやっつけると、糸に包まれた不幸な旅人の遺体から金貨4枚を入手できます。なお、マンティコアと話し合いではなく、力押しで何とか倒すのに成功すると、〈炎の剣〉の他に金貨12枚も入手できるので、お勧めですよ」
マシロン「いやいや、マンティコアは強すぎるうえに、倒しても呪いをかけて、片腕が使えなくなる(技術点マイナス2)など、リスクが高すぎる」
ルビーK「大丈夫。呪いはリーブラ様が解除してくれるから」
ザック「どっちにしても、この洞窟には入れなかったんだから、あれこれ考えても仕方ない。先を急ごうぜ」
晶華「そんなわけで、マンティコアのイベントか、大グモのイベントをクリアすると、洞窟から脱出に成功して、連山のランダム遭遇イベントを経て、ガランタリアに到達できます。次回から、ガランタリア編ですね。うまく行けば、次回で第2部もクリアできると思います。長引いても、あと2回ですね」
(当記事 完)