砂漠を越えるか、森と海を行くか
NOVA「今回の解析は、先に未通過の同行ルート5をチェックして、それから攻略済みの一人旅ルート5の未確認イベントを掘り起こすつもり」
晶華「私としては、一人旅ルート5にあまりいい思い出がないので、お姉ちゃんと同行できる砂漠の旅に期待するわ」
翔花「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、砂漠越えって本当に大変そうね。いろいろ振り返るに、ガンドバッド王国近辺には山あり、谷あり、森あり、川あり、湖あり、沼あり、雪山ありで、それに砂漠とか海とかだから、本作はいろいろな地形の旅を網羅してるけど、雪山と砂漠が一番の難所っぽい感じ」
NOVA「あとはオークムート島にジャングルがあって、火山があったりもするから、本作では本当に多彩な舞台を旅して回る。兄弟王子の旅物語は2人合わせて、あらゆる地形を網羅した壮大な冒険絵巻になっているんだ」
晶華「で、砂漠越えの同行ルート5は、同行ルート4とは両立できないわけね。攻略記事では、同行ルート1と3、4を選んだけど、全部解析したら、少し物語をイジって、同行ルートだけで冒険することもできそう」
翔花「兄弟姉妹が別れることなく、ずっと2人旅を続けていける改変かあ。それも悪くないわね」
NOVA「それを実現するには、同行ルート1でロタールが川落ちして、それを探しに行くクローヴィス。そして何とかロタールを見つけ出して、2人でいっしょにトロール番人のいる別の橋を渡るところで、同行ルート2に入る。そのまま同行ルート3に流れてから、さらに一人旅ルート3をショートカットして、運命の三魔女に飛ばされた先を徴税官のいる宿屋に改変することで同行ルート4に入って、アマゾンの集落から脱出した後、すぐに砂漠で合流できたという順番に改変すれば、全ての同行ルートを網羅できるかもしれない」
晶華「やっぱり、完全な2人用ゲームブックにしようと思えば、ソロ攻略のシーンがない方がいいと思う」
NOVA「ある意味、この作品は進化の袋小路に入ったと言えるもんな。一応、より発展させた作品が4人まで参加できるゲームブックの『ブラッドソード』シリーズだと思うが、そちらだとTRPG的な協力プレイを楽しめる。昔、持っていたんだが、処分したので詳細が語れないのは残念だが」
NOVA「ここでのリプレイなんかがお勧めだ」
晶華「いや、他人様の他のゲームブックのリプレイ紹介に寄り道していないで、自分の記事をしっかり仕上げなさいよ」
砂漠の冒険(同行ルート5)
NOVA「では、砂漠のパラグラフは366番から始まる。先に到着したのがクローヴィスで、砂漠の端っこでどう踏破しようか、それとも引き返そうかと考えながら野営の準備をしているところに、ロタールが合流してくる流れだ」
晶華「今回は、『王女の対決』IFルートってことで、私がロザリン、お姉ちゃんがクローディアでプレイしたいと思うの」
翔花「賛成。実プレイみたいな感覚で、姉妹王女の最後の同行劇をプレイします」
NOVA「分かった。その代わり、ダイスを振らずに、主だった選択肢は一通りチェックさせてもらうがな」
晶華→ロザリン「あれ、お姉ちゃん? いいえ、姉上、こんなところで遭遇するとは奇遇ですわね」
翔花→クローディア「ロザリンちゃん? アマゾンのところで離れ離れになったと思ったら、やはり砂漠に来たのね」
ロザリン「ええ。海に出ようかと思ったけど、海賊に襲われて酷い目にあうって未来予知が出たので、危険を承知で砂漠越えにしようと思ったの。ところで、道中でドラジェシマって人に襲われたんだけど?」
クローディア「ドラジェシマって誰?」
ロザリン「誰って、お姉ちゃんを魔女や悪魔から助けたって言ってたけど?」
クローディア「魔女や悪魔は〈黄金の十字架〉パワーで退散させたから、ドラジェシマとは会ってないという設定です」
ロザリン「ああ、そっちのルートか。じゃあ、ドラジェシマのことは、未来予知の副作用による幻覚ってことで、この時間軸では登場していない、と」
NOVA「何だか話が錯綜してしまっているが、頑張って辻褄を合わせよう。ここまでの経緯はさておき、君たちは今、砂漠にいる。1人なら無理でも、2人で協力すれば踏破できるだろうと話し合って、砂漠を渡る方法を検討し始めた。ええと、まっすぐ北へ突き進む案が1つ、遠回りになるけど人が歩いた跡を辿ってみるのが1つで、どっちを選ぶ?」
クローディア「まっすぐ進むと、バッドエンドを迎えそうね」
ロザリン「同感。お姉ちゃんだったら、無謀に突き進むかと思ったわ」
クローディア「どうせIFルートだし、バッドエンドがどうなるかも見ておきたい。見るだけならタダってことで、未来予知して、ロザリンちゃん」
ロザリン「そう来たか。じゃあ、未来予知」
NOVA「すぐに君たちは広大な砂漠で道に迷う未来が見えた。迷っているうちに脱水症状で、サイコロ1個分のダメージを受ける。これで、どちらかが死んでしまったら状況が変わるが?」
クローディア「さすがに、そこまで体力点が下がるような目にはあってないけど、もしも先にわたしが死んでしまったら?」
NOVA「ロザリンは砂漠越えを諦めて、来た道を何とか引き返して、カラムダー港へ向かうことにした。ロザリンが死んだ場合も、クローディアはもっと通りやすい場所を目指して、妖精の森に足を踏み入れることになる」
ロザリン「つまり、同行ルートの途中で1人が死んでしまった場合、速やかに1人旅ルートに切り替わるように選択肢で設定されているのね」
NOVA「この辺のフラグ処理は、なかなかお見事なんだよな。さすがは元コンピューターのプログラマーであるアンドリュー・チャップマンのセンスだ。ゲームブックに、コンピューター・プログラムのフローチャートの論理が採用されているのは当時の常識だが、それが緻密な作者と、雑な作者がいるのも確か。チャップマンはその点が非常に緻密な人だと思うので、『王子の対決』という大作を見事に完成できたのだと思う」
クローディア「とにかく、砂漠をまっすぐ越えるのはダメージを無駄に受けるだけ、ということね」
ロザリン「やっぱり、未到の荒野よりも先人の足跡を辿ることが大切ってことね」
NOVA「君たちは砂漠のノウハウを持っていないからな。だから改めて人の足跡を辿ると、ほどなくオアシスと隊商の一団を発見した。隊商を素直に信用していいのかどうか判断に迷った君たちは、3つの選択肢を考える。クローディアが隊商に近づいて行ってロザリンは待機するか、その逆か、あるいは隊商がオアシスを去るのを待つかだ」
クローディア「わたしが話しかけてみる。ロザリンちゃんはここで待ってて」
ロザリン「ああ、相変わらずなんだから。危険がないか後ろから警戒の目で見ているわ」
NOVA「クローディアが隊商のテントに近づくと、護衛のトカゲ男2体に襲われる」
クローディア「技術点はいくつ?」
NOVA「9。体力点は8と6だ」
クローディア「難なくやっつけます」
NOVA「2体はやっつけたが、すぐにもっと大勢の護衛が駆けつけてきて、君たちは勝ち目がないと判断し、撤退を決意する流れだ」
ロザリン「私が近づいて行っても、結果は変わらないでしょうね。じゃあ、2人とも待機が正解かな」
NOVA「戦って撤退しようとしても、待機しても結果は同じパラグラフ249に行き着く。隊商の多くの護衛に見つかって、重い鎖を投げつけられて、倒されてしまう。ロザリンは頭をぶつけて意識を失い、クローディアといっしょに手足を杭に縛られて、砂漠に晒されてしまう」
クローディア「何でよ? わたしたちが何をしたって言うの?」
NOVA「護衛を殺した……かどうかに限らず、盗人と思われたのだろうな。濡れ衣だと主張しても、荒くれ者の隊商は聞く耳を持ってくれない。むしろ、嬉々として君たちを拘束して、『この辺りは砂ピラニアの巣が近くて、このまま放置しておくと餌食にされてしまうぜ。せいぜい、苦しみもがくことだな』と下卑た笑みを浮かべる」
クローディア「つまり、残虐非道な悪魔のような人たちってことね」
NOVA「『おっと、オレたちにも慈悲ってものはある。近くにナイフを残しておいてやろう』と言って、水の入った壺といっしょに君たちを放置した。どうやら、自然の御心のままに処刑する儀礼らしい。運が良ければ、拘束から逃れて脱出できるかもしれないが、普通は死ぬような砂漠の刑罰だ」
クローディア「ナイフには手が届かないのよね」
NOVA「この光景、解析記事の3で『死の予言』の中に描かれている。ナイフに手を伸ばそうと頑張っても、バッドエンドだ」
クローディア「ああ、話がつながった。でも、わたし1人じゃ、この状況は解決できない。こうなったら、〈黄金の十字架〉に祈りを捧げて、神さまの加護を願うわ。そうしたら、どこからともなく、ドラジェシマさんが現れて、わたしたちを救ってくれるの。ありがとう、ドラジェシマさん、世界の救世主よ」
NOVA「いや、ドラジェシマさんはこんなところで出現しないし」
クローディア「ここでも出て来たら、もっと人気キャラになっていたかもしれないのに」
NOVA「ドラジェシマさんよりも、もっと身近に助けてくれるキャラがいるだろう? 気絶している妹とか」
クローディア「あれ? まだ気絶していたの?」
ロザリン「残念ながら、お姉ちゃんが起こしてくれるまで、パラグラフ249番で待機させられているの」
クローディア「じゃあ、神さまに助けを求めていたら、その声がロザリンちゃんの目を覚まさせたってことで」
NOVA「運だめしに成功すれば、そうなる。もっと直接、ロザリンを起こす選択肢はあるんだが」
ロザリン「とにかく、私が起きないとバッドエンド確定みたいだから、起きてあげる。で、パラグラフ何番に行けばいいの?」
クローディア「ええと……58番みたい」
ロザリン「ああ。話がつながったわ。ええと、私の魔法が最後の希望みたいね。シャバドゥビタッチヘンシーン♪と歌いながら、指輪の魔法を使うわ。でも、6が出るとバッドエンドなので、試しにダイスを振って、よし、1が出た。チョイイネと魔法が発動する」
NOVA「仮面ライダーウィザードのネタは、今ごろまだ分かるのだろうか。何だかんだ言って、もう13年も前のライダーだぜ」
ロザリン「38年も前のゲームブックを今ごろ解析してる記事なんだから、今さらの話でしょう。うちのブログの読者さんだったら、それぐらい分かってくれるわ。特撮ヒーロー好きのゲームブックファンの心には響くことを願いましょう」
NOVA「ともあれ、このシーンはロザリンの見せ場だと解釈して、グロックさんに頼んで描いてもらった。今までで一番、生成するのに苦労した絵だ。『夜の砂漠で手足を縛られて倒れている青髪の魔法少女ロザリン、指輪の魔法を発動しようとする』って感じのイラストってことで」

ロザリン→晶華「なるほど。NOVAちゃんはこういうのが好きなんだ(ニヤニヤ)」
NOVA「いや、同じシチュエーションで原作の王子ロタールだったら、こんな感じになる」

晶華「男バージョンだと、露出度が低いから却下」
NOVA「要求の多い娘だな。これならどうだ?」

晶華「さすがはグロックさんね。これなら、うちのブログにも女の子の読者さんがもっと増えるかも」
NOVA「何の下心をむき出しにしてるのか。大体、拘束された絵をいくつも描かせるなよ。当ブログの品位が疑われる。それに拘束絵って意外と難しいことが分かった。ゲームブックの文章イメージだと、もっと突き立てられた杭に手足ががっちり拘束されていて、身動きが全くとれない感じなのに、グロックさんに杭を上手く表現してもらえなかった」
クローディア「身動きが全くとれない状態でも、ロザリンちゃんやロタールさんの魔法は使えるのね」
NOVA「D&Dだと、動作要素の多い呪文は両手が拘束された状態で使えないんだが、ガンドバッド流の魔法は動作抜きでも扱えるような設定なんだろう。AFF2版の未訳の魔法サプリ(昨年の夏に出たマジック・コンパニオン)でガンドバッドの魔法も収録されているそうだが」
晶華→ロザリン「とにかく、ロザリンちゃんは起死回生の呪文を放ったということで」
- 腐食(3):拘束している縄を腐らせて、脱出成功。
- 縮小(2):杭を縮めるも、なお地面から抜けない。次の手を考える間もなく、砂ピラニアにかぶりつかれ、餌食にされる。バッドエンド。
- 発火(1):杭が炎を上げて燃える。縄も焼き切れて、脱出成功。
ロザリン「やはり、指輪の魔法使いだと、ヒッヒッヒーって感じね。砂漠は乾燥しているので、燃やすのは簡単だし」
NOVA「砂ピラニアも火を恐れて逃げ出すんだな」
クローディア「さすがはロザリンちゃん。助かったわ。それで、わたしたちの装備品は回収できるのかしら?」
NOVA「幸い、近くに残されたままだ。隊商の連中がただの悪党なら、奪って行ったのだろうが、犯罪者に対する処罰を砂漠の神に委ねた形なので、君たちが試練を切り抜けたなら無罪放免にしようという慈悲なのだろう。厳しい砂漠の環境で装備品の全てを奪いとることは、神が許した者を死に追いやる罰当たりな行為という理屈だな。だから、水の入った壺も残してくれたのだろうし」
ロザリン「ふ〜ん、異郷の風習はよく分からないわね。試練を終えて、お城に帰ったら、砂漠の文化について記された書物がないか探してみるわ」
クローディア「とにかく、隊商の人たちはもう近くにいないのね。できれば、復讐してやりたいところだけど、多勢に無勢なのは変わらないし、生き延びたのを幸い、旅を続ける方がいいわね」
ロザリン「オアシスから道に迷わないよう、隊商の足跡を辿るけど、追いつかないように距離を離しながら進んで行くわ」
空中の旅イベント
NOVA「拘束を切り抜けてから数日経ったパラグラフ346番。砂地の足跡はすぐに消え失せるものなので、付かず離れずの距離を維持することはできずに、結局、連中の行方は見失います」
クローディア「そもそも、わたしたちは足跡追跡の専門技能を持っていないので、見失うのは当然です。ロザリンちゃん、魔法で何とかして」
ロザリン「仕方ないわね。何か使える術でもないか思案していると、イベントが発生するのね」
NOVA「ああ。前方で2羽の巨大なロック鳥が空中戦を演じている。それぞれの鳥の背には人間の騎手と、数人の兵士が乗っていて、互いに矢を射ち込んだりもしている。やがて、一方が撤退して、地平線の向こうに飛び立ち、残った方も地上に着地する。着地現場では、兵士たちの簡易野営地が築かれていて、そこの隊長さんが君たちに気づいて、温かく出迎えてくれる」
ロザリン「先日の隊商のときとは、ずいぶんと扱いが違うのね」
クローディア「ロック鳥を見て、目を輝かせます。わたしも乗ってみたい」
NOVA「いいぞ、と隊長が言った。彼が言うには、さっきの戦いで兵士が負傷したので補充したいとのこと。君たちが補充兵になってくれるなら、代わりにこの砂漠の外れまで送ってやろう、と提案して来た。おそらく、途中で敵が襲撃を仕掛けてくるだろうが、それを迎え撃つ協力だけはお願いしたい」
ロザリン「兵士の補充って、見ず知らずの旅人の私たちをどうしてスカウトしたいって気になったの?」
NOVA「隊長曰く、この砂漠をたった2人で旅しているだけで、あんたらが歴戦の冒険家っぽいことは分かる。そっちの赤毛の姉ちゃんは戦士で、青髪の嬢ちゃんは魔法が使えるんだろう? 何も知らない素人を雇うよりは、実戦経験の高そうな人間の方が期待できるってもんだ。まあ、戦いと聞いて怖気づくのなら無理にとは言わんが」
クローディア「この隊長さん、なかなか人を見る目がありそうね」
NOVA「原作のキャラを若干、俺好みにアレンジした。元のキャラは、小心者そうな士官で、敵の再度の攻撃に備えて、人の手が足りないから、お願い助けて、と泣きついてくるようなビビリなんだよな。そんなのが指揮官だと、このロック鳥空戦部隊が何だか情けない連中に思えるので、ここは有能そうな指揮官にアレンジさせてもらった」
ロザリン「敵のロック鳥部隊は何者なの? 誰と誰が戦っているのか、はっきりしてもらいたいんだけど」
NOVA「相手は空中山賊(スカイ・バンディット)という略奪集団だな。空から砂漠を渡る旅人を襲ったりすることもある、面倒なならず者だ。それを迎撃するために結成されたのが、こっちの空中守備隊(スカイ・ガード)になる。まあ、後者の設定はゲームブックに書いてなくて、当記事のオリジナルだけどな。空中山賊の話は原作どおり」
クローディア「山賊相手に戦うのなら、大義名分が立つわね。喜んで、話に乗らせてもらうわ」
ロザリン「まあ、いいでしょう。このまま地上を歩いていても、砂漠の踏破には時間がかかるでしょうし、どっちにしても空中山賊に襲われて戦う未来が見えたから」
NOVA「では、空への旅にご招待だ。ちなみに、このゲームブックが87年の9月に発売されたことを考えると、巨大な鳥に乗って空を飛ぶシーンというのは、非常に新鮮だった」
クローディア「ドラクエ3のラーミアさんは……88年の2月かあ」
NOVA「ファイナルの方のファンタジーが登場したのも、87年の年末だからなあ。当時はFFといえば、ゲームブックと決まっていたわけだが、SF物を除けば、ファンタジー世界で空を飛ぶゲームブックもこれが初に近いほど画期的なイベントと思う。アイデアだけで言えば、非常に盛りだくさんな代物なんだな」
ロザリン「日本では、やはりドラクエのファミコン登場(86年)によるRPGブームの到来が、一般的な知名度を大きく高めたものね」
NOVA「海外のパソコンゲームに詳しい日本人だと、83年にAppleⅡ用のソフトとして出た『ウィザードリィ3』や『ウルティマ3』でRPGに注目して、そこから遡るように、人気を博していたウィザードリィやウルティマの原点を楽しんだりしているうちに、それらが日本語版として移植されたのが大体85年か。83年が日本のRPGの黎明期だけど、まだマニアにしか分からない代物で、そこから86年までにTRPG、ゲームブック、パソコンゲームなどで同時多発的に作品本数が増えていき、ドラクエで一気に広がった、と」
ロザリン「で、この作品の原書は86年だから、ファンタジーゲームの世界で空を飛ぶのはウルティマ4(1985)の気球という前例があるけど、まだまだ斬新ってイメージが強かった時代ってことね」
NOVA「斬新なアイデアも、それが定着してからは、あって当然という感覚になって、同時代の画期的な発明や発見という空気をよく知らずに、後世の半可通が賢しらぶった批評を行なっては、同時代を知ってる詳しい人間から小バカにされるということはありがちだが(俺も自省)、『王子の対決』の場合、2人用ゲームブックという画期的な形式ばかりが話題に挙げられ、中身の物語やイベントの新鮮さを語られる機会は少なかったと思う。
「かく言う俺自身、今回の解析記事のためにフローチャートを作って確認するまで、空の旅があることに気づいていなかった。長らく、FFゲームブック初の空の旅は、24巻『モンスター誕生』のガレーキープだと思ってたわけで」
クローディア「こちらが先なの?」
NOVA「原書の方は、どちらも同じ86年だが、アマゾンの商品資料によると、本作が8月出版で、『モンスター誕生』が11月出版らしい。一方、日本語版は明確にこちらが先で、87年9月発売。『モンスター誕生』の方は翌88年の3月だな」
ロザリン「つまり、FFシリーズ初の空の旅が描かれた画期的な作品も、本作だと」
NOVA「細かいことを言うなら、ソーサリーの最後で『友好的なバードマンの仲間に、敵拠点のマンパン砦から故郷のアナランドに空から送ってもらえるエンディングシーン』が初(85年)と考えることもできるが、ゲーム中の冒険とは異なるからなあ*1」
クローディア「とにかく、ワクワク気分で空の旅に出発します」
NOVA「1Dを振れ。ただし、6は出すな。死ぬから」
ロザリン「ちょっと、ダイスは振らないんじゃなかったの?」
NOVA「お前も魔法の発動判定で振ってたろう? やはり、要所では念のため、振らせたくなる」
クローディア「6以外を出せばいいのね。(コロコロ)5」
NOVA「1ならノーリスクで、3〜5ならバトル。2の場合は、バトル前に敵の放った矢が当たって1点ダメージ。6の場合は敵の矢の雨が、こちらのロック鳥に致命傷を負わせ、墜落バッドエンドに至る」
ロザリン「結果的には、空の旅の方がリスクありってこと?」
NOVA「攻略の確実性を考えるなら、陸ルートの方が最適解なんだよ。道中で確実に空中山賊(技9、体8)の降下兵士2体の襲撃を受けるが、リスクはそれだけだ。敵を倒せば、空のロック鳥はこちらを侮りがたいと見なして撤退してくれるし、戦利品アイテムの〈黒いマント〉と〈銀の頭巾帽(スカルキャップ)〉を遺してくれる。まあ、アイテムは何の役にも立たないフレーバーに過ぎないが」
ロザリン「空は墜落のリスクがあるし、戦利品は手に入らない。だけど、出目1で戦いにならないメリットもある」
NOVA「何よりも、ファンタジー世界で空の旅はロマンそのものだからな。多少のリスクを鑑みても、そこに挑む価値は十分にある。それを恐れて何の冒険と言えようか」
クローディア「とにかく、襲ってくる空の山賊を倒せばいいのでしょう?」
NOVA「それにしても、空中山賊って直訳にしても違和感あるよなあ。空賊が妥当な訳だと思うが、87年当時はその単語がまだ一般的ではなかったんだろうな。スカイ・パイレートとかエアー・パイレートといった英語が、飛行海賊とかと訳される話もあったり。で、こちらの山賊も、ロープから敵兵士2体がこっちのロック鳥に乗り込み白兵戦を仕掛けて来て、やってることは海賊そのものだ。だから、君たちの仕事は、乗り込んできた敵兵士を迎撃するだけとなる」
ロザリン「大規模戦闘にはならない、と」
NOVA「ともあれ、このシーンもイメージイラストを作るのに苦労したなあ」

NOVA「『巨大な鳥の翼の上で、空から降下する山賊を迎え撃つ女戦士クローディアと魔法少女ロザリン』の絵がテーマだが、なかなかそれっぽい物にならず、これが一番マシだと思った次第」
ロザリン「山賊のイメージが和風だし」
NOVA「同じ大陸の南にある八幡国から出張してきた連中かもしれない、と絵を見て喚起させられる裏設定(苦笑)」
クローディア「とにかく、空の山賊は撃退したってことでいいわね」
NOVA「ああ、隊長さんは大いに感謝し、君たち2人を約束どおり海岸の近くに下ろしてくれる。そこから北に少し歩けば、オークムート島に伸びる長い橋が見えてくる。同行ルート5の旅もここまでだ。続きは、クライマックスの一人旅ルート6に流れ込む、と」
IFルート・クローヴィスと妖精の森
NOVA「では、ここから各キャラの一人旅ルート5の未通過イベントの掘り起こしだ。もう双子王女のロールプレイは終わっていいぞ」
クローディア→翔花「はあい。じゃあ、気持ちを切り替えて、少し振り返ります。妖精の森に入ったクローディアは、川を渡って、キノコを食べて、樹木の妖精を助けて、悪いノームをやっつけて、妖精さんがお礼に森の出口まで案内してくれたって話ね」
ロザリン→晶華「ずいぶん簡単に、のんびり踏破できたみたいで、羨ましかったわ」
NOVA「で、未通過イベントなんだが、最初の川越えの際に、歩いて渡ろうとして運だめしに失敗した場合のみ、発生するルートがあって、そちらでの遠回りイベントがいくつかある。運だめしに成功したことで、ショートカットされたイベントってことだ」
翔花「運だめしに成功すると経験できない世界ってことね」
NOVA「上流からの鉄砲水で、10数キロも押し流されて体力点2点のダメージを受けた戦士クローヴィス……」
晶華「それだけの長い距離を流されて、それだけのダメージで済むなんて、どれだけ強靭なのよ!?」
翔花「数百メートルでも結構な距離だと思うけどね」
NOVA「歩いて2、3時間の距離だからなあ。よく溺れずに済んだものだ。岸に上がると、何だか急成長する若木の光景を目撃し、銀色の幹を持った樺の老木となった。樹上から、1人のエルフが声をかけてくる。『そこの旅人さん、かなり疲れているみたいですが、よかったら上がって来て、いっしょにお昼ご飯を食べませんか?』」
翔花「その誘いはたいへん魅力的なので、フラフラと誘われるに決まっている」
NOVA「選択肢は3つ。エルフが下ろしてくれた縄ばしごを伝って登るか、木の幹の方を自力で登るか、それともエルフを怪しいと思って、スルーして我が道を行くか」
翔花「スルーするのは後回しにして、素直に縄ばしごを登ります」
NOVA「少しは疑えよと思いながら、先に情報を与えるために、木の幹を登ってみると、幹の途中の小穴から、こんな声が聞こえてくる。『戻りなさい。あなたに忠告を差し上げましょう。エルフは嘘つきで悪い奴です』 この言葉を聞いて、改めてエルフの誘いに乗るか、忠告どおりに戻るかを決められる」
翔花「悪い奴なら斬らないと。登る気持ちには変わりない」
NOVA「エルフはにこやかに君を歓迎してくれて、体力点1を回復できる。彼は話し続けて、儀礼官ネライアスと名乗り、近くに弟のルビコスが住んでいるけど、長い間、会っていないのだと言います」
翔花「弟の話を出されると、クローヴィスさんだったらロタールさんのことを気にするでしょうね」
NOVA「で、弟に会いに行きたいから、この木の留守番をお願いできないかな? と頼みます。頼みを聞いてもいいし、先を急いでいるから無理だと断ってもいい」
翔花「嘘つきだって情報がなかったら、喜んで頼みを聞くと思うの」
NOVA「すると、バッドエンドになるんだな。エルフは素早く地面に降り立つと、嘲るように本音を語る。『自由だ、自由。とうとう、オレの罰を肩代わりするバカが現れた。オレには弟なんていないし、儀礼官ネライアスって名前も嘘。ただの罪人で、その木に封じ込められていたのさ。しかし、オレの代わりを親切な戦士さまが務めてくれる。楽しい隔離生活を過ごしてくれや、クローヴィス』 そう言って、嘘つきエルフは去って行き、残されたクローヴィスは木の上に永遠に囚われの身になるオチだ」
翔花「こうして、花粉症の精霊になってしまったのね、めでたしめでたし」
NOVA「何だよそれ?」
翔花「だって、わたしたち花粉症ガールから見たら、木と一体化して暮らすのって、ごく自然なことなんだから、別にバッドエンドと感じないのよね。まあ、冒険の目的が達成できないという意味でバッドエンドなのは確かだけど」
NOVA「アクティブな戦士にとっては、体を動かせないってだけで我慢できないかもな。俺としては、3食昼寝つきでスローライフは良さそうだが、この樹の上には本がないから厳しい。読みたい本がいっぱいあって、あるいは外部との通信環境が整っていて、引きこもりライフも十分エンジョイできるようなら、森の隠者として木の番人をするのもやぶさかではないが、閉じ込められるなら、やはり図書館付きの施設を要望する」
翔花「とにかく、エルフが嘘つきの悪い奴と分かった時点で、彼の頼みを断るのが正解だと」
NOVA「すると、エルフは急に悪意むき出しの表情に豹変し、君に呪文をかけようとする。運だめしをして失敗すると、木の一部に変えられてバッドエンドだ」
翔花「プレイヤー自身としては、木に変えられてもバッドエンドって感じないんだけどね。ただ、冒険がそれ以上続けられないのは、つまらないので、運だめしには成功して、邪悪なエルフには消えてもらいます」
NOVA「ゲームブックの文章では、エルフを斬るのではなくて、素早く木を降りてから、木の幹を斬ることになる。よく見ると、この木の枝や節々が人の顔になっていて、元は生きた人間だったらしい。それを斬ることで封じ込められた魂を救済するといった感じだ。やがて、木は倒壊……せずにエルフごと消失し、後には〈樺の苗木〉が残される。これが、このルートの突破をあれこれ助けてくれるアイテムだ」
翔花「なくても何とかなったけどね」
NOVA「このエルフイベントが終わると、イチゴとキノコを食べられるパラグラフ197番に合流できるが、次はエルフをスルーした場合。野宿のために木のうろを探すか、近くの丘に見える石柱の脇を目指すか?」
翔花「木のうろには獣がいると見た」
NOVA「いや、獣じゃなくて食肉植物だ(技8、体12)」
翔花「仲間の植物精霊に襲いかかるなんて、しつけができていないようね。いいわ、成敗してあげる」
NOVA「プレイヤーは植物関係者かもしれんが、クローヴィスは別に植物に親和性なんて持ってないからな。むしろ、植物は危険だと悟って、石柱の影を野営地に選ぶことにした。すると、そこに小さな穴が開いていて、中から緑の光が射しているのが見えた。穴を調べてみるか、スルーして穴の反対側で野営するか?」
翔花「緑色の光が気になるので調べます」
NOVA「スルーするなら、一晩休んでも疲労が抜けずに体力点1を失って、パラグラフ197番に向かうことになる。穴を覗くと、中は思ったよりも広い洞窟の入り口になっているのが分かった」
翔花「それは入るのが正解っぽいわね。フラフラと導かれるように、入って行きます」
晶華「お姉ちゃん、フラフラし過ぎ」
翔花「だって、解析記事でしょ? いちいち危険そうだから調べません、と言っても、つまらないじゃない。面白そうと思えば、フラフラと誘われて入るのが、いい解析仕草ってものよ」
NOVA「そんなわけで、中に入ると、宝の山だ。金貨、宝石、冠、真珠のネックレスなどなど、床の上に山積みになっている」
翔花「……それは、さすがに警戒するわね。こんなところにお宝が番人もなく、放置されているとは思えない」
NOVA「どうやら、ここは誰かの墓地のようだ。部屋の中央に巨大な黄金の墓があって、その上に光り輝く〈氷の剣〉が安置されている。剣を手に取るか、それとも先に金貨を拾い集めるか?」
翔花「それが、殺してでも奪い取りたくなる念願のアイスソードって奴ね。戦士としては、喜んで手を伸ばすけど?」
NOVA「では、フラフラ引き寄せられるように剣に近づこうとして、勝手につまづいて転ぶ」
翔花「どうして?」
NOVA「どうも、マーティン・アレンのゲームブックは、プレイヤーが慎重に考えて妥当そうな判断をしているのに、キャラクターに勝手にドジを踏ませて、強引にバッドエンドに演出する手癖があるようだ。ここでは、欲に駆られて金貨を集める方がバッドエンドじゃないか、と思わせて、実はそっちが正解という普通とは逆のサプライズを仕掛けていたんだ」
翔花「つまり、プレイヤーの意思とは関係なく、キャラが勝手に転んで……それからどうなるの?」
NOVA「頭上にあった巨大な岩がぐらっと動いて、クローヴィスを押しつぶす……ことはなく、入り口に向かって転がって、そして洞窟から脱出できなくしたわけだ。永久に宝部屋に閉じ込められてバッドエンドというわけで」
翔花「剣に手を伸ばすのが外れで、お金を拾うのが正解なんて、初見殺しもいいところね」
NOVA「で、お金を拾い集めようとすると、『貴様、わしの財宝を奪いに来たか!』と墓からワイト(技10、体8)が現れて、〈氷の剣〉を手に襲いかかってくる。それを撃退すると、魔剣が入手できて技術点+2、運点+1のボーナスだ。ふと気づくと、頭上の巨大な岩が入り口を塞ごうとしていたので、慌てて外に飛び出して、他のお宝には手がつけられず」
翔花「剣を直接入手はできず、お金を盗もうとして、怒ったワイトを撃退してから入手という遠回りな手順を経ることになるのね」
NOVA「プレイヤーの予想を外そうとサプライズを用意するのは、エンターテイナーとしていいんだが、予定調和の面白さもあってこそ、たまにあるサプライズが引き立つのだと思う。ましてや、サプライズのために、プレイヤーが選びもしていない愚かな失敗をキャラに無理やり行わせるのは、プレイヤーとキャラの感情移入を妨げるというか、キャラが転ぶのなら運だめしで失敗したときとか、いかにも転びそうなアクションを選んだときだけにすべきなんだよな。例えば、赤信号を強引に渡るか、それとも信号が青に変わるのを待つか、という選択肢があって、危険な目にあうのはどっちだと思う?」
翔花「普通は、赤信号を渡る方が危険だと思うわね」
NOVA「しかし、マーティン・アレンに掛かると、赤信号が正解になるんだ。赤信号を選ぶと、車に弾き飛ばされて2点ダメージとか、そんな感じだろう」
翔花「2点ダメージで済むんだ」
NOVA「まあ、主人公はタフだからな。しかし、誰もが安全だと考える、青信号を待つというシーンでサプライズな異変が生じる。『君が信号の変わるのを待っていると、運悪く、そこに酔っ払いの車が突っ込んできた。君は慌てて避けようとしたが、油断していたからとっさに体が動かない。無理に動いて、足をツッてしまい、悲鳴を上げる。そこに車が突っ込んできて、衝撃が全身を粉々にする。君が最後に聞いたのは、不幸な交通事故にざわめく周囲の喧騒だった。実につまらない最期を迎えたものだ』って感じ」
翔花「どうして、真面目に信号待ちをする選択肢を選んだら、作者にそんなバカにされるわけ?」
NOVA「少なくとも、『アーロック』ではそういう皮肉めいた言い回しこそが格好いい、と作者は思っている気があって、読んでてイラッとさせられることが多かったんだが、本書では、その最後の余計な一言はない代わり、妥当性の高そうなパラグラフにバッドエンドの罠を仕掛け、選択肢が思考と推論の結果を反映するものではなく、ただの意地悪なギャンブルに堕して、とにかく引っ掛けてやろうという底意地の悪さを感じたな」
晶華「サプライズ的な引っ掛け方が嫌いってこと?」
NOVA「いや、引っ掛けるのに心理的な盲点をつくのはいいんだが、引っ掛ける手法がキャラを強引にドジらせて、伏線もなく普通は引っかからない罠に飛び込ませるという不幸な連鎖のバッドエンドという演出が嫌い。判断は正しいのに、突然転ばすなよ、とか。キャラを転倒させて不幸な目にあわせたいなら、技術点判定や運だめしで失敗したとき限定にするのがゲームの演出としてフェアかな、と思う」
晶華「NOVAちゃんのMAさんヘイトは相当なものだと分かったわ」
翔花「とにかく、川渡りの際に運だめしに失敗すると、〈樺の苗木〉か〈氷の剣〉が入手できる可能性があったということね」
NOVA「運だめしにわざと失敗するのも意外と難しいので、それらの2つも入手困難なアイテムだと思う。さておき、パラグラフ197番でキノコを食べて体力回復した後、妖精女の泣き声を聞いて、直接駆けつけようとする選択肢をクローディアは選んだ。しかし、もう一つの選択肢を選ぶと、生け垣をまっすぐ突っ切るのではなく、回り込みながら抜け道を探すことになる」
翔花「急がば回れルートね」
NOVA「急がば回っていると、野生のイノシシが突っ込んでくる」
翔花「戦う」
NOVA「技術点9、体力点6だな。他に、イノシシを避けるために、木の枝に飛びつくって選択肢もあって、運試しを求められる。失敗すると、上手くいかずに結局、戦う羽目に。成功した場合は飛びついた枝を伝って、生け垣を乗り越えようと考えて、さらなる運だめしに成功すれば、妖精に出会える。失敗すると途中で生け垣の間に落ちて、突破に手間どるわけだが、この選択って運点を余分に消費して、どんどん運が削られるので、この後のノーム戦なんかも苦戦することになるから推奨はしない」
翔花「逃げずに戦う方が得する場面が多いもんね、FFシリーズって」
NOVA「とにかく、イノシシを撃退してから、さらに生け垣越しに進むと、今度は3人の森人が焚き火を囲んで野営しているところに行き着いた。キジ肉をあぶる匂いが漂ってきて、食欲をそそって来る。彼らは君もどうかと食事に誘って来るが?」
翔花「ええと、マーティン・アレンさんのゲームブックでは、親切そうに誘ってくれる相手は悪党で、主人公を騙そうとしている法則ってあるかしら?」
NOVA「ある。本当に数多くある。NPCを見たら悪人だと思え、と言われるぐらい、荒んだ宇宙がアーロック、引いては作者のアレンだ」
翔花「だったら斬る」
NOVA「3人のデータは技7〜8、体4、6、といった形で、倒すとあっさり森を抜けられる」
翔花「何だかんだ言って、戦った方が早い作風ということになるわね」
NOVA「否定できない。イノシシ倒して、3人の森人を倒す方が、妖精を助けてノームと戦うよりも効率よく森を抜けられる。わずか5パラグラフで374番から78番まで行き着けるんだな。妖精を助けるイベントなら10パラグラフも費やしてしまうわけだから」
翔花「最短ルート攻略ってことを考えるなら、戦って戦って突き進め、と」
NOVA「で、面倒なのが、森人の誘いに乗ってしまった場合。まず、彼らが勧めてくるぶどう酒には睡眠薬でも仕込まれていたのか、ぼんやりしているうちに金貨と食料をすべて奪われてしまう」
翔花「金貨はともかく、食料を奪って行くなんて、許されざる悪党ね。やはり、殺す方が正解だったわ」
NOVA「しかも、厄介ごとはそれで終わらない。その場に1人取り残されて、眠り込んでいると、ドルイドに叩き起こされる」
翔花「あっ、お早うございます」
NOVA「『何がお早うだ、この悪党め』とドルイドは激怒した表情で、君をにらむ」
翔花「ふぇっ? わたしが何をした、と?」
NOVA「『しらばっくれるな。お前はここの木々を無作法に燃やし、我が友であるキジを無惨に食い荒らしおった。わしの森を不法に荒らした償いをしてもらう!』 そう言って、うむを言わさず、何らかの呪文をかけようとする」
翔花「ちょっと! こっちの話を聞いてよ。それをやった悪党は、3人の森人たちで、わたしはただ彼らに騙されて、誘い込まれただけで、持ち金も全部取られてスッカラカンで、償いと言っても、どう支払えばいいのか……と言っても無駄よね」
NOVA「ゲームブックだと、そこまで説明する余裕もなく、ドルイドは君に《変身》の呪文をかける。餌食にされたキジの代わりに、君をキジにしようって腹づもりだ」
翔花「キジになったら、ヒトツ鬼に3回もなってしまうじゃない。激走鬼、太陽鬼、百獣鬼の3つよ」
NOVA「今だに続いてるドンブラ脳乙」
翔花「でも、熱海常夏はドンモモタロウって認めないんだから。あれはトレギアが化けた偽者で、本物のタロウ様とは違うんだから」
NOVA「まあ、トレギアとタロウにも因縁はあるからな、と特撮ネタはさておき、君は〈樺の苗木〉を持っているか?」
翔花「持っていたら、どうなるの?」
NOVA「それを渡すと、ドルイドは君を許してくれる」
翔花「だけど、持っていないのよね」
NOVA「ならば、運だめしだ。失敗すると君はキジになって、ゲームオーバーだ」
翔花「あっ、でもドンブラザーズの一員になれるんだったら、それはそれでありかも」
NOVA「キジであって、雉野になるわけじゃないからな。とにかく、ゲームオーバーになりたくなかったら、運だめしに成功して、ドルイドが呪文を発動する前に始末しないといけない(技9、体6)」
翔花「そんなわけで、悪いけど死んでください、ドルイドさん。グサッ」
NOVA「こうして、クローヴィスはドルイドを始末し終えて、森を後にしたのだった」
翔花「……というIFルートもあり得たわけね。クローディアが選んだのは、のんびりした森の散策だったけど、一歩まちがえると、なかなか凄惨で悪意の渦巻くカオスな物語だったことが今にして分かったわ。そんなのを経験しなくて、クローディアはラッキーだった、と」
NOVA「最後に、ドルイドの魔法でキジに変身させられるクローディアのIFバッドエンド・イメージだ。キジ少女ってのもキャラとして悪くないなあ、と思った。というか、どうして雉野はピンクなのにヒロインじゃなかったんだ?」
翔花「そんなの、わたしが知るか」

晶華「じゃあ、次は私の方の海IFストーリーなんだろうけど……」
NOVA「当記事が長くなりすぎたな。ロタール側の一人旅ルート5は次の記事に回して、ついでにオークムート島での未通過イベントも語って、次回で最後まで完結させられたらいいなあ。そして、その次に『王子の対決』解析EXで総括してまとめる所存」
晶華「あと2回で『王子の対決』記事も終了、と。頑張ろうね」
(当記事 完)



