Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

D&D多元宇宙のよもやま話

なぜか飛んで行った人生ゲームの話

 

NOVA「何だか頭が無意味に活性化してしまって、話が変な方向に止まらないスーパー雑談タイムなんだが」

晶華「前回は、妖精郷の話から始まって、D&Dの多元宇宙の話に延々と広がって、ドラゴンランスに期待してから、なぜか『ドラえもんの人生ゲーム』に流れて、ドカンと転覆したのよね」

NOVA「なぜか……って他人事みたいに言ってるが、『ドラえもんの人生ゲーム』のネタを振ったのはお前だからな」

翔花「でも、一つ分かったことがある」

NOVA「何だ?」

翔花「システムと世界観の話。NOVAちゃんは『D&Dというゲームシステムに、いろいろな世界観を追加する世界観商法』の話をしようとしていたみたいだけど、マニアな人じゃないと正直、よく分からない話だったと思うの。だけど、同じことが『人生ゲーム』で実感できたというか、『人生ゲームというシステムに、いろいろな世界の物語をコラボって形式で混ぜて、新しいゲームに仕立て上げよう』って話ね」

NOVA「まあ、D&Dの世界観商法は、既に世界観の仕上がっている他の作品とのコラボ戦略とはまた違うと思うんだが、『お馴染みの何かに新要素を加えて飽きさせない。その新要素が小手先の改編ではなくて、新世界という大規模なレベルだった』という話で、それをいたずらに乱発したら粗製濫造になって、ユーザー離れを起こしたのもTSR末期の話だ」

晶華「新しい世界はワクワクするけど、あまりに頻繁に出されても、食傷して、付いて行けなくなるもんね」

NOVA「今度の世界はこうだ、と訴えても、1年か2年の短い期間でサポートが終了して、すぐ次の新作が……ってことを繰り返されると、TRPGなんて腰を据えて遊ぶタイプの作品には合わないってことが80年代から90年代にはまだ見えていなかったんだ。新しい世界を登場させると、それを理解してゲームで味わうのに早くても数ヶ月はかかる。単発のゲームプレイじゃなくて、キャンペーンで続けるには、1年から数年単位ってこともあり得る。小説やアニメ、TVドラマのタイムスパンで次々と新しいものを用意されても、消化できないわけだ」

翔花「だったら、どうするの?」

NOVA「1つの答えは、TRPGは息の長い商品展開が必要な作品シリーズと割り切って、長期スパンで考える。そのスパンがどれだけかという見積もりで言うなら、現在は10年で1周期の版上げが正解と見なされているかな、と。もう1つの答えは、もっと手軽にポンポン出せる商品と組み合わせて、新鮮な風を吹き込めるようにする。比較的手軽なカードゲームと組み合わせたり、別の人気作品とのコラボで『世界観は外注して、自社はシステムを世界観に合わせる形でアレンジするだけに労力を留める』形で上手く分業して他社とWinWinを図る。

「80年代後半からのTSRは業界王者として君臨したのはいいけど、他社をライバルと見なして、いたずらに敵を増やし、さらにヘビーユーザー(自分でゲーム世界を構築したりもするクリエイターの卵)までも自由を縛ろうとしたために、『D&Dは好きだけど、今のTSRは嫌い』というゲーマーの反発を招いた。公式の方針に比較的従順な日本と違って、向こうの人間の気質は自由を縛られることに過剰すぎるほどの反発を示すからさ」

晶華「上に立つ者が慢心して、現場の意見を無視して好き勝手すると、下剋上を招くってことね」

NOVA「それはともかく、昨今の人生ゲームのコラボっぷりは凄いな。モノポリーのコラボが凄いって話は知っていたが、人生ゲームの方は盲点だった」

晶華「ええと、1999年の『ハローキティ人生ゲーム』からキャラクターコラボが始まったみたいね」

NOVA「俺、その年に『人生ゲーム阪神版』を買ったのが、最後の人生ゲームだったんだ。その後は、人生ゲームの商品展開なんてアウト・オブ・眼中だったよ」

晶華「つまり、24年ぶりの人生ゲーム研究ってことね。2000年『でじこの人生ゲーム』、2001年『ときめきメモリアル2人生ゲーム』、2002年『ミニモニ。人生ゲームだぴょん!』だって」

NOVA「どこの客層に手を伸ばしてるんだよ、人生ゲーム」

翔花「同じ2002年に、『闘魂伝承人生ゲーム アントニオ猪木版』だって」

NOVA「昨年亡くなった故人を偲びつつ」

晶華「2003年は『ギャラクシーエンジェル人生ゲーム』だって」

NOVA「そんなところでロードスの水野さんとつながっていようとは……」

晶華「え? ギャラクシーエンジェルって、ロードスにつながっているの?」

NOVA「総監修で、小説も書いている。ちなみにアニメのシリーズ構成は、ドンブラの井上敏樹氏で、アニメ4期の9話には、ソノヤこと仮面ライダーカイザの村上幸平氏がカイザ・ムラカミという役名で声の出演をしている。当時、見て笑った」

晶華「まさかのロードスと……」

翔花「ドンブラの作者が……」

NOVA「コラボしていたなんて……って思うよな。なお、井上敏樹氏は水野さんが詳細にSF設定をまじめに考えて背景ストーリーを組み立てていたのに、『そんなにややこしいことを考えて話が作れるかよ。こういうのはノリと勢いで書けばいいんだよ』って感じでキャラをどんどん暴走させて、水野さんが苦笑を浮かべていたって逸話も聞く。まあ、噂のまた聞き情報だから、どこまで本当だか分からないが、原作小説やゲームと、アニメ版はまったく別の話で、ここだけで多元世界になってる気がする。

「しかし、よもや人生ゲームまでつながっていたとは思わなかった。どんどんセレンディピティが掘り起こされていくなあ(苦笑)」

晶華「他には……」

NOVA「いや、もうお腹いっぱいだ、人生ゲーム。ざっと見るだけでも、『ポケモン』『ミッキーマウス』『名探偵コナン金田一少年』『イナズマイレブン』『ビックリマン』『週刊少年ジャンプ(2018)』『鬼滅の刃』『スーパーマリオ』『呪術廻戦』とコラボしているうえ、『ドラえもん』は2005年、2019年に続いて、今度で3度めじゃないか。人生ゲームマニアな人間にとっては、今さら何を騒いでいるんだよ、素人が……ってレベルの狼狽えようだが、覗いて見ると、とんでもなく深かったんだな。さすがは人生ゲーム、D&Dの14年先輩は歴史の重みが違うと言ったところか」

晶華「別バージョンが次々と出されるようになったのは、89年以降の話みたいだけどね。もしかすると、D&Dの多元宇宙展開の方向性が人生ゲーム先輩にも逆輸入されたのかもしれないし」

NOVA「状況からの憶測に過ぎないが、確かにアメリカでも『スターウォーズ』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『インディ・ジョーンズ』『妖怪ウォッチ』『スーパーマリオ』などとコラボしたのは21世紀の話だ。それ以前のコラボは、資料がないからか少なくともWikipediaには記されていない」

翔花「日本にはない『妖怪ウォッチ』が、アメリカ版にはあるのって不思議よね」

NOVA「『妖怪ウォッチ』がアメリカでも人気の証拠と言えるな*1。まあ、人生ゲームの奥の深さを実感したところで、興味惹かれた人は、こちらの公式ページも覗くといいだろう」

 

改めてD&D多元宇宙話の続き

 

NOVA「人生ゲームの深淵を覗き込んで、半ば転覆してしまった気分だが、何とか船体を立て直して多元宇宙の航海を続けるぞ」

晶華「目的地はどこなのよ」

NOVA「もちろん、西方の海の彼方の妖精郷だ」

翔花「妖精郷って、海の向こうにあるの?」

NOVA「『ロード・オブ・ザ・リング』の世界のミドルアースではそういう設定だ。が、今はそっちに踏み込むとますます帰って来れなくなるので、D&Dに話を絞る。『第一世界グレイホーク』『第二世界ドラゴンランス』までは話したな」

晶華「細かいことはよく分かっていないけど、グレイホークがD&Dの原作者ゲイリー・ガイギャックスさんの作った世界で、ドラゴンランスが小説との連動で発展した物語重視の世界ってことは理解したわ」

翔花「アキちゃん、凄い。わたしは、それとギャラクシーエンジェルがどうつながっているかで頭がこんがらがってるってのに」

NOVA「そっちは人生ゲームと、ロードスと、ドンブラにつながってただけで、D&Dには全く関係ないので、スルーしろ。頭を整理するには、関係ないものを切り捨てるスルースキルも必要だ」

翔花「うん、ドンブラとD&Dをつなげたい気持ちもあるけど、今はいいわ。とりあえず、ドラゴンランスまで話が続いて、次は?」

NOVA「いよいよ、現D&Dの本命のフォーゴトン・レルムだ。雑誌連載で少しずつ紹介記事が書かれた後、1987年に世界設定がまとめられて最初の商品となった。ドラゴンランスがロードスに深い影響を与えたとすれば、こちらはソード・ワールドの展開に大きな影響を与えた。ぶっちゃけて言えば、ソード・ワールドフォーセリアの展開の仕方は、D&Dのフォーゴトン・レルムのやり方を真似している」

晶華「パクったの?」

NOVA「人聞きの悪いことを言うな。87年当時に設立されたばかりのSNEは、日本でD&Dとフォーゴトン・レルムを大々的に紹介して、宣揚している立場だぞ。つまり、D&DとSNEは深いつながりを以て、業界の発展のために尽力していたんだ。当然、フォーゴトン・レルムの展開の仕方を参考にしたさ。コンピューターゲームと連動し、広大な世界の各地域で個別の冒険譚を小説やシナリオの形で個別展開し、シェアード・ワールドという形で複数作家がそれぞれの物語を生み出して行った。物語としてのTRPGの商品展開を、ドラゴンランスが生み出して、フォーゴトン・レルムが広げて行った。

「それと同じやり方を、SNEはロードス島戦記からソード・ワールドの展開で進めて行った形になる。中身をパクったなら批判されても仕方ないが、商品展開の手法を参考にした程度で責められたら、資本主義は成立しない。あるやり方で発展すると分かったら、その手法を取り入れるし、現状に合わせてブラッシュアップもする。当時、TRPG業界はどのように展開すればいいか未知数の新ジャンルだったから、海外のやり方を参考にしつつ、独自に調整するのは企業として普通だろう。大きく違うのは、当時のTSR社が他社やゲーマーを敵に回し、当時のSNEは(今も)ゲーマー社長が陣頭指揮をとり、関連業界としっかり連携をとりながら、少しでもパイを大きくすることに貢献したってことだな」

晶華「NOVAちゃん、この話題になると熱くなるよね」

NOVA「直接の当事者ではないが、当時のファンとして、そして後に当事者の部下としてわずかながらも関わった人間だからな。80〜90年代のD&DとSNEの関係はいろいろ複雑なんだよ。言えるのは、SNEと安田社長が当時、D&Dの日本普及のためにいかに尽力し、それがTSR社の方針で、いかに打ち切られたり、やっぱりサポートお願いという話になったり、それがTSR本社の倒産によって再び断ち切られたりして、翻弄されたかってドラマだな。多元宇宙の話とは別に、波乱万丈なリアル物語だ」

翔花「それって、BASTARDの鈴木土下座衛門問題とも関係あるよね」

NOVA「ああ、TSR社の版権の厳しさを表すエピソードとして『D&Dオリジナルモンスターのビホルダーの名称が使えない』ことと、『ロードス島戦記の雑誌連載リプレイが第2部まではD&D誌上ライブだったのに、第3部から急遽オリジナルシステムに差し替えられた』ことが挙げられるな。前者については、D&Dを参考にした要素が危険視された結果、その後のストーリー展開が大きく迷走する起因となり、後者はD&Dから切り替えたシステムが後に『ロードス島戦記RPG』や『クリスタニアRPG』に進化した。前者は知らんが、後者は確実に転禍為福になったという趣旨のことを安田社長や水野さんは語っている」

晶華「確かに、SNEがいつまでもD&Dのサポート役に甘んじていたら、ソード・ワールドが生まれなかったかもしれないものね」

NOVA「で、ソード・ワールドは本来、D&Dに注ぐはずだった力をSNEの自社オリジナル製品に投入した結果、90年代当時の業界トップに躍り出た形になる。一方、D&Dの翻訳元の新和社がサポーターを失い、倒産することになってしまったんだが」

 

翔花「会社が倒産したとか、そんな暗い話はどうでもいいから、フォーゴトン・レルムに行きましょうよ」

NOVA「ああ、87年に発表された世界って話から、SNEに流れが切り替わったんだな。ええと、D&Dの第一世界はグレイホークだが、これはゲイリー・ガイギャックスさんの作った世界。彼は2008年に亡くなった後、ゴブリンスレイヤーの世界で神の名として称えられているんだが、1985年に自分の作ったTSR社から追放される形で退社している。その経緯を彼視点で描いた伝記はTRPG草創期の海外事情が記されている貴重な史料と言えるだろうな」

NOVA「で、ゲイリーさんを追い出したら当然、それまでの主要世界であるグレイホークの展開ができなくなったので、代わりに当時のアドバンストD&Dの中心として大きく展開させた新世界がフォーゴトン・レルムだったわけだ。もちろん、レルムの創造者であるエド・グリーンウッドがゲイリー下ろしを画策したわけでなく、彼が独自に展開していたゲーム世界がゲイリーさんのいなくなった後のD&Dを支えるメイン世界として、一躍抜擢されて現在も続いているという話だ」

晶華「質問。D&Dには当時、ドラゴンランスの世界もあったんでしょ? どうして、そっちをメインに採用しなかったの?」

NOVA「おそらく、ドラゴンランスのクリンは、D&Dのメインに扱うには特殊な設定が多すぎたんだろうな。まず、貨幣として金貨が流通していない。鋼貨(スティールコイン。鉄貨とも訳される)という設定だし、銀赤黒の3つの月に対応する魔法流派とか、閉鎖的で偏狭なソラムニア騎士団とか、クレリック(僧侶)やウィザード(魔術師)の数が少ない点とか(戦記の最初では、神々が失われたという設定)、小説向きに構築された特殊設定が多すぎて、D&Dの土台として扱うには異質すぎたわけだ」

晶華「ドラゴンランスの世界は特殊すぎるからダメ、と」

NOVA「D&Dの主要世界に求められたのは、平易で典型的なファンタジー世界でありつつ、十分な拡張性を備えた『戦争という大イベントがなくても普通に冒険生活を送れる世界』ということだな。特徴のないのが特徴とも言えるのがフォーゴトン・レルムだから、一口にどういう世界? と質問されても『典型的なD&Dらしい広大な世界』ということになる。そして、この広大さこそが、グレイホークとの最大の違いになるな」

翔花「グレイホークって狭いの?」

NOVA「グレイホークは都市の名前で、そこを中心としたフラネス地方のみが詳細に設定されている。惑星の名前は地球のアースをもじったオアースで、そこには4つの大陸があり、最大のオアリク大陸の最東端にフラネス地方がある。フラネス以外の地域は設定されておらず、公式にも『他の地域はほとんど分かっていない』とされている(DMが独自に設定しても構わない)。とにかく、ゲイリーさんが設定していないんだから、世界全体を設定する必要はない、ということだろう。

「一方のフォーゴトン・レルムは展開当初から、複数の地域を舞台にした小説や、コンピューターゲームの背景世界として多くの地方が紹介され、日本での紹介直後からムーンシェイ諸島、中心地域のシャドウデイル、北方のアイスウィンド・デイル、そしてコンピューターゲームの舞台の月海周辺など多彩に展開され、地域別ワールドガイドも数多い。現在の5版では、フェイルーン大陸西岸のソード・コーストが中心だが、そこだけでも大港湾都市ウォーターディープや、大図書館キャンドルキープや、邪神バアルの復活騒動で有名なバルダーズ・ゲートや、3版でスポットの当たったネヴァーウインターなど、様々な冒険を読んだり、経験したりした(主にコンピューターゲームで)」

晶華「よく知らない固有名詞をズラズラ並べられても、『言葉の意味はよく分からんが、とにかく凄い』としか返しようがないんだけど? もっとマニアじゃない一般人にも分かるように説明してよ」

NOVA「う〜ん、例えとして適切かどうかは分からないが、グレイホークはヨーロッパ地方だけしか遊べない。フォーゴトン・レルムだと、ヨーロッパだけでなく、東洋アジアやアラビア、アフリカ風の地方など、世界全体が設定されていると言えようか。いや、東洋のカラ・トゥアや、アラブ風のアル・カーディムなど名前だけは知っていても、資料がないから詳細は語れないんだが。レルムの広大さを知りたいなら、こちらをどうぞ」

翔花「結論。『フォーゴトン・レルムは凄いけど、よく分からん』でいいよね」

NOVA「決してよくはないんだが、俺だって何十年かけて少しずつ蓄えている知識を、わずか5歳足らずの娘に、急に分かれと押しつけるのも無茶だと承知しているので、これぐらいにしておこう。次の話に行く」

晶華「フォーゴトン・レルムの次は何?」

NOVA「ここでクラシックD&Dの世界ミスタラについて、項目を変えて説明しよう」

 

ミスタラについてウンタラカンタラ

 

NOVA「ミスタラは、クラシックD&Dの主要世界として、ドラゴンランス以前から存在していた世界なんだが、初期はノウンワールド(既知世界)と呼称され、87年からはガゼッタワールドという名前で世界設定サプリが展開され、90年代に入ってミスタラと正式に名付けられるようになり、クラシックのみならずアドバンストD&D対応公式世界の一つに昇格した、ややこしい経緯を持っている」

晶華「そもそも、クラシックとアドバンストの2系統あるのがややこしいんですけど?」

NOVA「日本では最初にクラシックD&Dが85年に翻訳され、赤、青、緑、黒の順に箱入りルールがパワーアップしていく形式で、戦隊ファンにも好評を得た」

翔花「黄色はないの?」

NOVA「金色のイモータルはあったが、邦訳されていない。主にクラシックD&Dという場合、日本ではこのカラーボックス版を思い出すオールドゲーマーが多い」

NOVA「この新和社が展開した日本最初のD&Dは非常に好評だったんだが(奇妙な訳があるにせよ)、TRPG黎明期の象徴として称えられつつも、ある時、急に打ち切られる」

翔花「どうして?」

NOVA「アドバンストD&Dの2版が89年に誕生し、91年に待望の和訳が為される。めでたい」

翔花「めでたいんだ」

NOVA「そう。D&Dの上級版として待ちに待ったアドバンストD&D。これで、ドラゴンランスフォーゴトン・レルムのサプリも出るぜ。高校を卒業して、大学生としてアルバイトをして資金に余裕も出た俺はバラ色のRPG人生を夢見ていた。しかし、アドバンストD&Dを展開する代わりに、新和は順調に進んでいたクラシックD&Dのサポートを打ち切った。おかげで、イモータルセットは翻訳されず、だったらアドバンストの方は……と言うと、あまり売れなかったんだな、これが」

翔花「どうして?」

NOVA「その1、値段が高かった。その2、ルールが難しかった。その3、80年代半ばと違ってライバルRPGがいっぱいあった、などなど。とにかく、クラシックD&Dファンにとって、アドバンストは高嶺の花だったんだ。憧れはするけど、おいそれと手は出せない高級ブランドそのもの。それに、とにかくベーシックから手取り足取り懇切丁寧に導いてくれる初心者対応クラシックに比べて、アドバンストは難解だった。分かれば面白いのは確かだが、そこに登れるほど日本のRPGプレイヤーはまだ成熟していなかった」

翔花「クラシックD&Dとアドバンストの難易度差って、そんなに大きかったの?」

NOVA「ダンジョンマスターレベルの人間は問題なく理解できたろうさ。しかし、主なプレイヤー層のライトユーザーにとっては、やり慣れたクラシックからアドバンストに切り替えるモチベーションが薄いというか、だったら初心者向けサポートが充実しているT&Tやソード・ワールドやロードスや、ツクダのWARPSやブルーフォレストなどを選ぶし、マニア層はルーンクエストストームブリンガー指輪物語RPGに手を伸ばす。まあ、当時は箱入りRPGでも5000円前後なのに、アドバンストD&DのPHBは7500円。DMGやモンスター関連を入れると2万円って高価な買い物は、俺のようにTRPGに人生を賭けてもいいと若気の至りで腹を括っていたバカな若者ぐらいしか喜んで手を出さないだろうさ」

晶華「NOVAちゃんみたいな少数派だけを相手にしても、商売は成り立たないってことね」

NOVA「せめて、クラシックとアドバンストの間に互換性があれば良かったんだろうが、クラシックD&Dをいきなり切り捨ててしまったのが最大の失敗だな。十分にユーザーの移行を確認してから、クラシックを徐々にフェードアウトすれば良かったのに、89年に黒箱マスターセットを出して、たった2年でもうサポートはしませんなんて打ち切られたんじゃ、ユーザーフレンドリーとは言えんだろうさ、と30年前のことを今さらほじくり返すのも大人気ないか」

翔花「わたしたち相手に愚痴られても困るし」

NOVA「そういう時は、『そうね、NOVAちゃん。気持ちはよく分かるわ』と言ってくれると、気持ちが収まるんだけどな」

晶華「そんなの分からないし。オールドゲーマーの愚痴がよく分かる5歳の娘なんているわけないでしょ」

NOVA「ああ、そうか。こういう話は、ヒノキ姐さんぐらいだったら、上手く相槌を打ってくれるってことに今さら気づいた。今から、コンパーニュに電話しようか」

晶華「やめておいた方がいいと思う」

NOVA「どうして?」

晶華「私がリナ老師だったら、『そんなことで今さら愚痴ってる暇があったら、さっさと魔神ハンターの続きを書かんか』と小言を言うだろうし」

NOVA「……それもそうだな。それに、その後の大事件を思えば、93年の新和の倒産ぐらいは小さな話だし、とにかく一度は打ち切られたクラシックD&Dにも次の展開があったんだ」

晶華「どんな?」

NOVA「新和が倒産して、クラシックD&Dの版権がメディアワークスに渡ったおかげで、SNEが改めてD&Dのサポート展開を行うようになったんだな。それが94年の話で、俺がSNEに契約社員見習いとして入ったのもその時期なんだ。D&Dの翻訳サポートができればって思ってたんだが、俺が手伝ったのは『アースドーン』ってゲームだった」

翔花「え? 本当に? 語り部だと思ってたら、いつの間にか登場人物になってる?」

NOVA「その際に阪神淡路大震災を経験したり、いろいろと大変な状況もあったけど、楽しい思い出もいっぱいだし、人生の大切な1ページって奴さ。まあ、俺個人の話は寄り道になるので、ミスタラに話を戻すと、安田社長は諦めていたD&Dのサポートができる、と喜んで、自ら率先して雑誌上にサポート記事を載せたり、リプレイを書いたりしていたな」

NOVA「なお、俺が一番D&Dをプレイしていたのも、このメディアワークス版だ。新和版の時は、高校在学中で受験勉強とも重なったりしたので、レベル4までしかDM経験がなかったが、大人になって、当時のパソコン通信のグループで、当時出版された『キングズ・フェスティバル』『クイーンズ・ハーベスト』『ナイツ・ダーク・テラー』までキャンペーンをクリアして、レベル9まで遊んだ」

晶華「それは良い思い出ね」

NOVA「ああ。ただ、今、調べると、このナイツ・ダーク・テラーはレベル7までキャラが育つって書いてあるので、レベル9までってのは俺の記憶違いかもしれないし、経験値を上乗せしてキャラの育成スピードを上げたのかもしれない。何にせよ、コンピューターRPGを除けば、俺のTRPGキャラの最大レベルは7〜9ぐらいってことさ」

晶華「魔神ハンターや妖精郷で、今がそれぐらいね」

NOVA「そうだな。TRPGでレベル10ってのは、俺個人にとって今だ未踏の領域と言える。年季の割に意外と大したことないって思われるかもしれないが、オンラインでもなく、学生でもない社会人が働きながらTRPGに僅かながら興味のあるメンツを集めて、キャンペーンを続けるなら、それぐらいまで上げれば割と上等ってのが自分の実感だな。もちろん、単発シナリオとか、ショートキャンペーンでレベル5ぐらいまでなら回数を重ねているけど、レベル10越えまで仲間を集めて長く続けている人間はそれだけで確実に俺より経験豊かってことで、尊敬に値する。もちろん、語るに値する昔話を語れてこそ、なんぼだけどな」

 

晶華「ミスタラは、NOVAちゃんにとって、とても大切な思い出のゲーム世界ってことね」

(当記事 完)

*1:妖怪ウォッチ』はバンダイが玩具スポンサーで、『人生ゲーム』はタカラトミーが玩具スポンサーなので、国内ではスポンサーが一致しないから日本版がない。アメリカだと大手玩具メーカーハズブロがまとめて版権管理していたので、日本とは独自でのコラボ展開ができたようだ。