改めて今月のDDストーリー
NOVA「さて、前回の続きのストーリー編だ」
晶華「今回は余計な寄り道しないようにね。いろいろ記事書きの予定が詰まっているんだから」
NOVA「ああ。それについては次の記事で確認しよう。とにかく、今はDDだ。2章の最後は、ユニコーンの決戦と、ガオガイガーの東京決戦で、第2世界は大変だった。そんな物語の裏で、電脳生命体が未観測の世界から迷い込み、謎の天使巨人アンギルオンと邂逅していたわけだ」
NOVA「今回のウェブダイバー・イベントの目玉の一つは、これまで敵キャラとして登場してきた(最近は影の薄かった)アンギルオンを一時的に味方として使えることだな。そしてグラディオンとのツンデレ気味な友情劇を展開する」
翔花「そこにウルトラマンギンガさんや、仮面ライダーギンガさんを交えると完璧ね」
NOVA「やめろ。声優ネタで杉田智和さんをつなげていくと、キバットバットとか、ジョセフ・ジョースターとか、キラメイジャーのオラディン王とか、バスタードのアビゲイルとか、アローバースのアトム(レイ・パーマー)とか、俺の観測範囲でもいろいろな作品が挙げられて、TVアニメだけでも現在は年間20作品を越える出演数を誇る人気声優だからな。ネタが際限なく広がっていく」
晶華「アンギルオンと、グラディオン、それにライバル敵のダークグラディオンまで、今回のイベントはスーパー杉田大戦だったみたいね」
NOVA「この人のデビューは1999年の時は正に世紀末。名ありキャラとしては『魔装機神サイバスター』に出て、翌年、スパロボαの主人公の一人ブリット君として登場。グラディオンはその翌年で、ロボット物声優の印象も強いな。まあ、世間一般では2006年から18年まで放送された『銀魂』の銀さんの役が一番メジャーだと思うが」
晶華「スパロボ出演回数も、往年の神谷明さんに匹敵するぐらいに達しているわね」
NOVA「ブリット君以外に、アクエリオンのシリウス、魔装機神のガエン、ガルガンティアのチェインバー、スパロボ30主人公のエッジなどでお馴染みだし、ゴブリンスレイヤーの蜥蜴僧侶として今年も杉田さんの声にはお世話になり続けるんだろうな」
翔花「で、ウェブダイバー・イベントに話を戻すと?」
NOVA「異世界から迷い込んだ杉田さんが、こちらの世界で暗躍している杉田さんと邂逅して、ライバルの杉田さんを共に倒して、自分の世界に帰る話だな」
翔花「それじゃあ分からないわよ。花粉症ガールじゃないんだから、そうPONPON分裂しないで」
NOVA「花粉症ガールも4号までで、杉田さんほど分裂してるわけじゃないんだけどな。とにかく、グラディオンは宇宙の亡星の騎士が電脳データ生命体に変質した過去(100万年前の話らしい)があり、共に戦った仲間は故郷を滅ぼした敵勢力のデリトロスに洗脳されてしまった。自身は地球の電脳ネットワークに漂着し、そこでマジカルゲートを守護するウェブナイトとしての新たな使命を受け入れ、敵の尖兵となっていた仲間の洗脳を解除しながら、デリトロスとの戦いを続けているという設定だ」
翔花「それなのに、DD世界に飛ばされてしまったのね」
NOVA「一方、アンギルオンは人間を下等生物と見下し、人間に味方するディーダリオンを抹殺しようと狙っていたんだが、最近はディーダリオンがスーパーロボットの仲間を増やすだけでなく、自身もパワーアップを果たして、何だか勝てなくなってしまった。この局面をどう打開しようかと思っていたら、異世界とのゲートが開いて、グラディオンとダークグラディオンの戦いに遭遇する。グラディオンとは会話が成立し、ダークの方とは会話が通じないので、とりあえずグラディオンに協力して、情報を得ようと接触するんだ」
晶華「グラディオンさんを自分の戦力に引き入れようって魂胆ね」
NOVA「いや、違う。今回の話で改めて分かったんだが、アンギルオンは秩序志向なんだな。つまり、天使モチーフだけあって、戦いを広げるだけの愚かな人類を監視し、必要に応じて神の裁きを与えることを旨としている。ドンブラにおける脳人と近い立ち位置なんだ」
翔花「へえ。ソノイさんたちみたいなものか」
NOVA「今の状況では、ソノシに近いと思うが、とにかくアンギルオンにとって人類は敵。一方でグラディオンにとっては、人類は協力してくれる仲間なので、互いの主張が真っ向からぶつかるんだ。それでも、故郷の星が滅ぼされたのに希望を持って戦う騎士道精神を愚かと見下しつつ、何だか他人には思えないという不思議な感情を抱く。元々、グラディオン自体、惑星クーリアの有翼人という出自で、天使に近いメンタリティだからかもしれないが、立ち位置は違えど、どちらも誇り高い高潔な精神の持ち主なんだな」
晶華「ただの敵ではないってことね、アンギルオンさんって」
NOVA「アンギルオンの立ち位置をドンブラの脳人に例えたが、獣人に相当するっぽい怪獣メナケブも第2章で登場したからな。実際、第1章ではアンギルオンが強大なボス敵って感じだったけど、第2章ではその役割をメナケブに奪われたために、アンギルオンたちネピリアン(天使風の巨人)の影が薄くなっていた。だから、第3章の立ち上げに際して、改めて掘り下げられたのが今回のイベントと思われる」
翔花「人間ではない異世界ロボであるグラディオンさんとの接触を通じて、アンギルオンさんの内面を掘り下げようってことね」
NOVA「グラディオンが人間の絆を説き、それをアンギルオンが否定する流れなんだが、そもそも記憶喪失なディーダリオンを『古代人に改造されて敵対する裏切り者』と一方的に処断しようとするだけで、議論が全く成立しないのがアンギルオンだったからな。ここで初めて、グラディオンがディーダリオンの代わりに、冷静な議論を展開したことになる。結果的には平行線だったが、アンギルオンの方に『人類に味方する高潔な騎士の視点』を学ぶ契機ができたのは、今後のストーリーの縦糸伏線として大きいわけだ」
晶華「でも、結局は両者の関係は決裂した、と」
NOVA「アンギルオンの思惑では、『グラディオンがこの世界に長居して、ディーダリオンたちと接触すれば、確実に共闘しそうだ。そうなる前に、元の世界に追い返す必要がある』ということで、帰還の協力をしてくれる。これまでの経験から『強力な同種同等の力が激突する際に、次元の境界線に歪みが生じて、ゲートが開かれる』っぽいことが分かっており、ダークグラディオンとぶつかることで帰還できるだろうって流れなんだが、それをインベーダーなんかが妨害してくるので、『これはお前のためなんかじゃないからね。あくまで世界の秩序を守るためなんだから』と言って、共闘してくれるんだ」
晶華「アンギルオンさんの、ツンデレモード発動ってことね」
NOVA「そして、感謝の言葉と共に、グラディオンはダークを引きずり込んだゲートを通って、自分の世界に帰還する。彼が帰った後、アンギルオンのパートナーのマービュオンが現れて、アンギルオンの心境を聞き取るんだ。どうやらグラディオンがアンギルオンを『孤立した世界における友』と呼んだことで、いろいろな感情を刺激されたらしい」
翔花「意見が噛み合わないのに、友だち関係って成立するの?」
NOVA「さあな。変に依存することなく、互いの信念を貫いて、距離を置いた関係の範囲なら、『立場は違うが、感謝と敬意を示せる仲』ってのは有り得るだろう。そして、このエピソードから感じられたのは、アンギルオンにとってディーダリオンはかつての友なんだろうさ。それが記憶を失ったまま、敵対して、いろいろあったために、『憎むべき裏切り者』となっただけで、アンギルオンにとってのディーダリオンは『可愛いさ余って憎さ100倍』ってところなんだろうな、と推測できた」
デビルマンとベターマンの話
NOVA「そうした外伝風のイベントを差し挟んだ後で、3章本編に突入する。まずは第2世界のベターマンが、第1世界のデビルマンとコラボしたのが新鮮な展開だな」
晶華「その2作品がどうリンクするの?」
NOVA「ベターマンに登場したバイオ研究の第一人者、梅崎博士がデビルマンのデーモンの生態に興味があるってことで、鋼鉄ジーグのビルドベースと研究者交流を希望するんだ。なお、その背景にはエヴァのNERVの思惑もある」
翔花「天使の名前を持つエヴァとか使徒、それに悪魔のデビルマンだったら話がつながりそうね」
NOVA「第1世界では、鋼鉄ジーグとデビルマンが古代のオカルト関係で関係性を紡いでいるし、鋼鉄ジーグとガオガイガーはサイボーグつながりで、第2次α以来の相性の良さがスパロボ史的にはある。で。サイバネティック・メカSFのガオガイガーと、オカルトバイオホラーのベターマンの関係性は、鋼鉄ジーグとデビルマンの関係に対応するわけだ」
晶華「で、今回初のベターマンとデビルマンのコラボになる、と」
NOVA「人間が化け物みたいな姿になるベターマンや、精神異常をきたすアルジャーノン現象は、異世界のデビルマンやデーモン族と類似するようなケースではないかって、スパロボ仮説だな。実のところ、第3章のパート1の物語で一番感心したサプライズ展開だ」
翔花「ギアスやアルドノアの話には、感心しなかったの?」
NOVA「基本は原作アニメに準じた展開だからな。元ネタを知っていれば、そこに驚きはない。元ネタストーリーの料理の仕方を美味しく味わうことはできるが、ハンバーグにソースをかけようが、醤油をかけようが、ケチャップをかけようが、ハンバーグであることには変わりない。よほど味付けが変でない限りは、『美味しいハンバーグだね』という感想になるだけで、サプライズはあまりないだろう」
晶華「ハンバーグだと思って食べたら、フルーツヨーグルト味でした……だったら驚くわね」
NOVA「まあ、意外な味で驚くってのもあるが、デビルマンとベターマンのコラボは、意外な組み合わせが上手く絡み合って、こう来たか、と感じさせたもの。『海苔巻きハンバーグ』とか初めて知ったときは驚いた」
NOVA「今回はデビルマンがハンバーグで、ベターマンが海苔みたいなものか」
翔花「ご飯は?」
NOVA「ええと、マジンガーZかな。とにかく、メインのストーリーはデビルマンなんだが、OVAのストーリーはネタ切れなので、とうとう原作コミックのエピソードを持って来た。人に取り憑いて操り人形に変える蜘蛛を扱うデーモン・ラズバのエピソードだな。原作では、不動明の学校の不良生徒・木刀政たちのグループが操られて、美樹を人質にとったりしていたが、DDではその役割をマジンガーのボス・ヌケ・ムチャが代行。で、舞台も学校から公園に置き換わり、人質もデート中の甲児やさやか、蛍汰や火乃紀などが増えて、変身を封じられたデビルマンがピンチって状況だ」
晶華「そこに助けに来たのがベターマンさんね」
NOVA「ベターマンは固有名詞じゃないからな。花粉症ガールさんって言うのはおかしいだろう?」
晶華「でも、デビルマンも固有名詞じゃないのよね」
NOVA「TVアニメ版だと固有名詞だが、原作漫画版だと悪魔人間の種族名って扱いだな。もっとも、デビルマンと不動明はほぼイコール扱いのことが多い。と言うのも、原作でも中盤を過ぎるまでは他の悪魔人間は確認されていないから」
翔花「ウルトラマンさんも、仮面ライダーさんも他の後輩が出るまでは、固有名詞だったもんね」
NOVA「ガンダムもそうだな。ともあれ、ベターマンの種族名は正式にはソムニウムで、主人公格なのは固有名詞ラミア。その容姿は火乃紀の兄にそっくりだが、理由は瀕死のラミアが復活する際に、火乃紀の兄の遺体から生えたウィウェレの実を食べたかららしい。兄の記憶がラミアの中にも残っているから、ラミアは火乃紀を守ろうとするわけで、今回もラミアが影から催眠音波を放って、デビルマンの正体を知らない美樹を眠らせた。だから、明は変身できるようになったんだ」
晶華「でも、人質はまだ解放されていないわ」
NOVA「その辺は、鋼鉄ジーグが地下からマッハドリルで奇襲攻撃を仕掛けて、人質救出に成功する。そこから反撃開始して、蜘蛛デーモンのラズバは撃退された。操られたボスたちも元に戻って、めでたしめでたしだ。
「最後に、美樹を守って戦うデビルマン明が、火乃紀を守るように世界の壁を越えて動いたベターマン・ラミアに感謝と共感の言葉をつぶやいて、両作品の間に絆が生成された」
翔花「海苔巻きハンバーグの紡ぐ縁ってことね。デリシャスマイル♪」
NOVA「海苔巻きハンバーグは、あくまで物の例えだからな。DDで登場したわけじゃないし、誤解しないでよね」
ギアス第2シーズンと、オズ第2シーズン
NOVA「さて、ギアス第2シーズン(R2)だが、まずはこちらで物語が始まっている」
NOVA「また、オズの第1シーズンは、その前のパート10で終わっていたが、今回から第2シーズンのO2が始まった形になる。オズ1は、騎士団の少女オルドリンと、テロリストのオルフェウスの物語だったが、オズ1のラストで両者激突の末にギアスによる記憶操作を受けて、2人の立場が入れ替わるんだな」
晶華「ええと、兄のオルフェウスさんが騎士団に入り、妹のオルドリンさんがテロリストになるってこと?」
NOVA「正直ややこしい展開だよな。ギアス本編でも、第1シーズンと第2シーズンでルルーシュらが記憶操作を受けて、物語の仕切り直しが図られたが」
翔花「すると、『水星の魔女』も記憶操作が行われるかもしれないわね。ギアスと同じ脚本家さんだし」
NOVA「ええと、DDではギアスとヴァルヴレイヴが同じ大河内一楼さんだな。すると、近い将来、DDにも『水星の魔女』が参戦するかもしれない」
晶華「期間限定であるかも知れないけど、早くて番組終了後の話じゃない?」
NOVA「まあ、学園生活が外の戦争に巻き込まれて、悲劇になる展開はギアスも、ヴァルヴレイヴも、水星魔女も同じだからな。というか、ギアスとヴァルヴレイヴが物語として意外とリンクしないのは何故だ?」
晶華「そりゃあ、ギアスの物語がワールド3の第4世界に引きこもっているからじゃない?」
NOVA「まあ、ギアスとガンダムOOは相性が良くて、第2章ではどちらも組織が壊滅していて、裏で残存勢力が暗躍しているだけだったからな。第2章の終盤で、ようやく話がまた動き出したところだから、面白いクロスオーバーが見られるのはこれからかもな」
翔花「今回は?」
NOVA「一応、ルルーシュの作戦で、ガンダムWとガオガイガーとデビルマンとグランゾートのキャラクターが絡んでいて、それとは違う場所でオズ2の話がダイジェスト風に進行していたが、とっ散らかって、まとまりが悪い気がしたな。悪く言えば、『つまらないドンブラ風味』って感じだ」
翔花「それって、どういう意味よ?」
NOVA「原作は『ルルーシュ=ゼロの奇抜な戦略による大ドンデン返し』、すなわち意外な展開を楽しむところなんだろうが、ゲームでは『ルルーシュ≠プレイヤー』だから、プレイヤーが感情移入できないNPCが勝手にストーリーを回しているような気がして、話に乗り切れないんだよな。これで、ドンブラだったら桃井タロウの豪快祭りっぷりと、戦術や戦略とは無縁の転がりっぷりで、頭空っぽにして意外な展開の嵐を楽しめるんだが、ギアスのルルーシュはそういう勢いあるヒーローキャラじゃないからな。まあ、キャラ的には浮世英寿に近いか」
晶華「つまり、ルルーシュさんはデザ神?」
NOVA「もっとも、英寿さんの方がメンタルは強いように見受けられるがな。ルルーシュは兄へのコンプレックスとか、妹への溺愛ぶりとか、心情のアップダウンが激しすぎる。この不安定ぶりが物語の落ち着きのなさと相まって、予定調和やハッピーエンドに終わらない錯綜ぶりを示す感じだ」
翔花「それがドンブラ風味ってこと?」
晶華「ルルーシュさんを、桃井タロウに例えたり、浮世英寿に例えたり、NOVAちゃんの考察も錯綜してるみたいだけど?」
NOVA「そうか? いずれも仮面を着けて、お供とか、他のプレイヤーの上に君臨したり、ケレン味のある言動で周囲をしばしば翻弄するオレサマキャラという点で共通している。ただし、仮面を外したときの内面描写に違いがあって……とキャラ分析するのも一興だが、ただギアスの物語が『つまらないドンブラ風味』と言ったのは、俺がヒーロー志向で、ギアスがアンチヒーローの物語だから、というのが大きいだろうな」
晶華「『つまらない=NOVAちゃんのツボを突かない』ってことでいい?」
NOVA「ああ。客観評価ではないし、ギアスのファンにケンカを売るつもりもない。ただ、スパロボでギアスの物語をなぞった場合、従来の自部隊との噛み合わせの悪さを覚えて、別行動の異物、魔装機神で言うところのシュウ・シラカワ、OGサーガで言うところのクロガネ部隊みたいな感覚を覚える」
晶華「王道から外れたアンチテーゼと言ったところかしら」
NOVA「まあ、そういうアンチテーゼも許容するように発展してきたのが、Zシリーズ以降の多元世界スパロボだからな。自分の好みかどうかはさておき、王道から逸れた変化球を楽しんだりもしているわけで、これはダメだと否定するものでもない。『好みじゃないからダメと否定する』ような了見の狭さじゃ、客観的な分析能力に支障が出るからな」
翔花「難しい話はさておき、ドンブラ脳から見た今回のギアスはどんな感じ?」
NOVA「R2の話を6話〜10話ぐらいまで再現した流れだな。5話までの話が、記憶を封じられていたルルーシュが再びゼロとして活動し、囚われていた黒の騎士団のメンバーを救出し、『合衆国日本の設立』を宣言したんだが、ルルーシュの妹のナナリーが非業の死を遂げた姉ユーフェミアの後を継いで、エリア11新総督に就任し、『行政特区日本の設立』を宣言したため、ナナリーと対立したくないルルーシュの計画が頓挫する話だった。
「そして、ルルーシュはナナリーとの対立を避けるために、黒の騎士団を日本国内から追放処分という形にし、物語の舞台が日本を越えて、中華連邦での革命劇に移るまでの話だ。そこに元祖ガンダム・テロリストのヒイロ・ユイや中華キャラの張五飛が絡んだりするのは、『2次Zの再世篇』の10年ぶりぐらいの焼き直しに感じられたな。スパクロでのギアスはR2の物語再現が薄めだったし、黒の騎士団の旗艦イカルガや蜃気楼の出撃、そして黎星刻の物語をアレンジも含めて割と丁寧に再現。2次Zの時は、ギアスの物語がまだよく分かっていなかったが、あれからそれなりに勉強したわけで、ストーリーの理解は問題なかった。しかし……」
晶華「しかし?」
NOVA「シャーリーの死がそろそろ近いんだよな。果たして、DDでは劇場版みたいに無事に助かるのかを気にするわけで」
翔花「ゲームだから、原作で死んだキャラも生還ルートがあるといいんだけどね」
NOVA「ユニコーンのマリーダさんは生還したが、オルフェンズのフミタンとビスケット、ヴァルヴレイヴのアイナは死に、ギアスのユーフェミアも死んだから、シャーリーの場合はどうなるんだろうな」
晶華「何だかんだ言って、作品キャラの生死を気に掛けているのは、NOVAちゃんがギアスの物語をしっかり受け止めている証拠ね」
NOVA「で、ギアス本編の物語と並行して描かれているのがオズの物語なんだが、舞台はスペイン(エリア24)で、グリンダ騎士団の団長マリーベルが過酷な統治政策で、テロリスト排除のために虐殺を続けているわけだ」
NOVA「スパクロの時点では、オズの第2部が断片的にしか描かれていなかったので、彼女の苛烈ぶりがよく分かっていなかったが、今回の物語でオルドリンと対立する彼女の暴走ぶりが描かれたわけだ」
晶華「ええと、オルドリンさんって、マリーベルさんに仕える騎士さんだったのよね。それがどうして?」
NOVA「第1部のラストでオルドリンが記憶を失い、叔父の援助でスペインで学園生活を送っている際に、学友がテロ組織『マドリードの星』に参加していて、自分もブリタニア統治の非道ぶりを目撃して、義侠心に駆られてKMFアマネセールに搭乗、反ブリタニアの活動を続けることになるんだ」
翔花「元騎士がテロリストになるわけね」
NOVA「オルドリンは『騎士とは弱い者を守るための剣であるべき』という信念を持っていたんだけど、親友のマリーベルは『テロリストへの憎悪』と『入手したギアスによる力の陶酔』で過激な統治者に変わって行ったんだな。この立ち位置の変化で、見えてくる世界が違うというのは物語として面白いと思うが、ゲームでは断片的にしか描かれていないから補完するのに少々苦労した」
晶華「で、オルドリンさんの生き別れの兄で、もう一人のオズがオルフェウスさんだけど……」
NOVA「こちらは、テロリスト派遣組織ピースマークのメンバーだったんだけど、第1部のラストで記憶を失い、O2では仮面の騎士ライアーと名乗って、マリーベル配下の筆頭騎士に抜擢されたんだな」
晶華「凄い転身ぶりね」
NOVA「元々、オルフェウスは『自分を他人の姿と誤認させるギアス』を持っていて、要するに変装工作の達人だったんだな。それに、マリーベルはオルフェウスがオルドリンの双子の兄であるという事実に気づき、記憶喪失のオルフェウスをオルドリンの代わりに仕立てるんだ。そんなわけで、立ち位置が入れ替わったオルドリンとオルフェウスが再び対決するまでの展開が今回は描かれた。この双子の兄妹の対決劇が一つのクライマックスで、やがて互いの記憶を取り戻して和解する方向になるらしいが、これとギアス本編を並行させて描いた錯綜する物語が面白い」
翔花「そういうのが面白いんだ。ややこしいだけだと思うけど?」
NOVA「正直、兄妹が揃って記憶喪失になった結果、立ち位置が交換する形になって、世界の両面を見ることで、一面的な正義が否定されて、改めて自分たちが為すべきことを模索していく物語は『視点の変化による多面的な世界の姿を知る成長』というテーマで、なかなか刺激的な作劇手法だと考える。ある意味、ガンダムSEEDシリーズにおけるアストレイと同じような構成かな、と思うし」
NOVA「割と過酷だな、と感じたのは、マリーベルがテロ組織『マドリードの星』を壊滅させた際、オルドリンの学友であったマリルローザと兄の処刑された遺体をオルドリンの前にさらすシーンだな。オルドリンは失った記憶の中で、マリルローザを『親友のマリー』と認識していたから、『敵となった親友のマリーが、現在の親友であるマリーを惨殺することで錯乱する』流れだ。今回の原作再現ストーリーで最も鬱になるエピソードと言える」
晶華「自軍部隊はどうしてるのよ」
NOVA「何もしていない。ゲームの中では、オズの部分はギアス本編と同時並行で描かれる『一方そのころ……』的な内容。自軍はゼロの黒の騎士団には協力しているけど、オズの物語にはノータッチなので、ただただ原作シーンをそのまま流しているだけで、プレイヤーがゲームとして介入する余地はないんだな」
翔花「自軍のユニットとして、オルドリンさんは使えるのにね」
NOVA「まったくだ。スペイン語で夜明け、暁の意味を持つKMFアマネセールも、イベントで描かれているだけで、ユニット化はしていない。つまり、アマネセール搭乗版のオルドリンは戦闘映像が描かれず、マップ用アイコンのみの存在ってことだ」
アルドノア第1部の最終決戦
NOVA「さて、ギアス関連がR2やO2の話で盛り上がっている頃、割と扱いが地味だったアルドノアもようやく第1シーズンが終了の時を迎えた」
NOVA「『アルドノア・ゼロ』という作品は、スパロボ初参戦ってことで、ワールド5の目玉だったんだが、ギアスやオルフェンズ、ゼーガペイン、ヴァルヴレイヴといった作品に比べて、扱いが地味だったように見受けられる」
翔花「どうして?」
NOVA「機体の戦闘シーンが地味だから、というのもあるだろうな」
NOVA「元よりアルドノアの物語は、『火星から来た恐ろしいスーパーロボットが暴れているのを、いかにリアル系の量産機が知恵と戦術とトラップを仕掛けて、撃退するか』という序盤展開だった。一方、スパロボではプレイヤーのスタイルにもよるが、基本は『派手な必殺技と、熱血や魂といった精神コマンドで、豪快に敵を粉砕する』作品と解釈しているので、確かにゲーム的に知恵と戦術と、相手機体の弱点(射程の穴とか、地形対応を見極めて不利な場所に誘い込むとか)を考えていた時期もあるが、20年前ならいざ知らず、今はそんなゲームじゃない」
晶華「どんなゲームなのよ?」
NOVA「自分のお気に入りユニットを見繕って、資金を費やして改造して、パイロットポイントでスキルコーディネイトもしっかり施して、鍛えれば単騎無双も十分可能なゲーム。そこに戦術とかを考える必要はない。戦術よりも、クロスオーバーな物語を堪能するゲーム」
晶華「それはNOVAちゃんの楽しみ方でしょう? 人によっては、テキスト読むのが面倒臭いからってスキップして、強敵撃破に心血と資金(リアル)を注ぎ込む人もいるだろうし、楽しみ方は一つじゃない」
NOVA「まあ、DDの楽しみ方だと、武装に付いているアビリティとか、いろいろ研究しているサイトもあって、育成指南とか強敵を倒すための戦術とか、あれこれ考えている人もいるみたいだが、そういうのは俺自身、20年前にいろいろ考えて、今は面倒くさいから考えないようにしている。だから、超級を越えた第2次超級以降の高難度イベントはパスして、『頭を使わなくてもいいレベル』で留めてるし。
「スキルで意識しているのは、ガオガイガーのゴルディオンハンマーが『攻撃命中時に覚醒が発動して、もう一度攻撃ができる』から便利だな、と思っているぐらい?」
晶華「それだけ?」
NOVA「戦闘は、基本オートに頼っているからな、DDでは。ええと、ゴルディオンハンマーは他にも、『攻撃力8%上昇』『自分のアクション時に命中15%上昇』『気力120以上で被ダメージ15%軽減』って能力も付いて来るのか。今、初めて意識したや。よし、弾丸Xさんはどうかなあ」
弾丸Xのメインアビリティ(ガオガイガー装備時)
・気力が10上昇するごとに、攻撃力・防御力・照準値が7%上昇。
・必殺技スロット1に装備している必殺技の必要アクション数が1減少する。
・ステージ中1度だけ、撃墜されてもHPが1だけ残り、HP50%まで回復して復活する。
・復活した際に、攻撃力・防御力・照準値が15%上昇。
・打撃属性のブレイクゲージ減少量が75%増加する。
NOVA「死んでも死なないのか。『弾丸X』って凄いんだなあ。まあ、今のガオガイガーは無敵の勇者王なので、敵から受けるダメージがほぼ10点で抑えられるので、死なないんだけど。ガオガイガーが死んじゃうほどの激戦には参加してないからなあ」
晶華「つまり、せっかくの弾丸Xさんも、宝の持ち腐れってことね」
NOVA「たぶん、そうやってデータをしっかり分析して、性能をフル活用するべく鍛え上げた猛者だけが、さらなる強敵を求めて、第4次超級なんて魔境に挑むんだろうな。さすがに、そこまで呑めり込む気にはなれないや。
「あと、オートバトルでもはっきり分かる効果は、オルドリンが『敵を撃墜時に、もう一度行動できる』といった行動回数増加系だな。初期はゼンカイザーのパイロットスキル『全力全開』が『気力120以上で、自動的に精神コマンド熱血がかかって、ダメージ1.4倍凄え』なんて思ってたが、今はそれが大したことないって思えるほどインフレしてるのも事実」
翔花「やっぱり、ゼンカイオーはもう時代遅れなのよ。ここは、今が旬のドンオニタイジンさんにDD参戦してもらって、ドンDDにならないと」
NOVA「いや、これから参戦するなら、キングオージャーだろう? 何にせよ、期間限定作品だと、強化形態までは手が回らないだろうな。2号ロボの豪獣神やカンゼンゴーカイオーまでしっかりサポートしてくれたスパクロ時代が懐かしいぜ」
晶華「ところで、アルドノアさんの話はどうなったの?」
NOVA「ああ、アルドノアの扱いが地味だと主張する余り、派手なスーパー系ばかり目が行ってたぜ。お詫びに、今回の記事はこれで終了して、次回の記事でアルドノア特集に行くとしよう」
晶華「結局、寄り道が多くて、予定通りの完結はしなかったみたいね」
(当記事 完)