Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

『モンスターの逆襲』攻略1(盗賊ランブル編)

ゴブリン改めタヌキの復讐物語

 

晶華「前回から懐かしゲームブック『モンスターの逆襲』のプレイを始めました」

翔花「昭和の古き良き時代の作品よね。でも、今だとレトロじゃない?」

晶華「だから、主人公を令和の今に合わせて、タヌキにしたの。かよわいタヌキが最初はゴブリンフォームから変身してパワーアップするのは、平成特撮ヒーローのノリってものよ」

翔花「確かに昭和ヒーローと平成ヒーローの違いは、フォームチェンジの有無にあるって話だけど」

晶華「昭和ヒーローにもパワーアップ形態はあったけど(仮面ライダーストロンガーさんのチャージアップとか、レッドタイガーさんとか)、戦況に合わせて複数の異なるフォームに変身するのはレインボーマンさんぐらいかな、と思うのよ」

翔花「普段は冒険者に倒されるだけの敵役モンスターが主人公として復讐する物語は、視点の変化とか逆転の構図という意味で面白いわね」

晶華「本作品の魅力は、多彩なモンスターの各種能力を簡単なルールで表現して、手軽ながら奥の深いゲーム性を持っていることと、日本のTRPG草創期の80年代にD&Dを中心にしたファンタジーRPGモンスターの紹介ゲームになっていること。そして、モンスター視点でのヒーロー物語として、上手く起承転結をまとめていることね」

翔花「4部構成ってことね」

晶華「章構成もそうだけど、転に当たる第3章での善悪逆転ストーリーが見事なの。最初はただ復讐だけを考えていた元ゴブリンが、モンスターとして進化するにつれて、人間らしいモラルを身につけて行くのよね。そして『自分の仇の冒険者が堕落した英雄であり、人間社会の価値観からも悪人である』という背景を知るに及んで、『モンスターだけど心は高貴で、人間の姫騎士と交流するエピソード』が描かれる。つまり、悪のモンスターが人間に復讐する物語として始まったのが、異形の正義漢が悪人を成敗する物語に切り替わり、最後にモンスターのプリンセスを救い出すハッピーエンドな王道物語に帰結する」

翔花「復讐者の陰鬱なストーリーでは終わらないのね。だったら、わたしのタヌキちゃんも最後はハッピーエンドで終わる?」

晶華「もちろん、ゲームだからハッピー以外のバッドエンドやビターエンドもあるけどね。とりあえず、ドラゴンにうまく進化できればハッピーになれると言っておくわ」

翔花「タヌキから頑張って、ドラゴンかあ」

晶華「あくまでタヌキスタートはうちだけだからね。原作はゴブリンスタートだとは言っておくわ、念のため」

 

ドワーフへの雪辱を晴らすために

 

翔花「では、始めます。前回、わたしの美少女タヌキちゃんはドワーフにいきなり殺されちゃったので、今回はドワーフをスルーします」

晶華「すると今度は蛇に出会います🐍」

翔花「蛇ってもしかして……(ガクガクブルブル)」

晶華「そんな殺人鬼、いやタヌキキラーみたいなおっかないのではなくて、毒のない無害な蛇で、食べたら美味しそうって思います」

翔花「自分が食べられるのはイヤだけど、食べるの大好き中学2年生だし」

晶華「いや、デリシャスパーティーじゃないし。それにあっちはキツネで、タヌキじゃないから」

翔花「とにかく、タヌキらしく、本能のままに蛇を襲います。この世は弱肉強食なんだから。戦わなければ生き残れない」

晶華「蛇のデータはこれね」

 

●蛇:殺傷力1、防御力7、耐久力1

 

翔花「あっ、これなら簡単に勝てそう。今のわたしの殺傷力は2だから、2Dで6以上で勝てるのよね。必殺の50キロカロリーパーンチ!👊(コロコロ)出目9。ごちそうさまでした(チーン)🙏」

晶華「はい、君は殺した蛇の皮を剥いだ。蛇の肉はとても栄養があり、精力がつくそうよ。食べたら耐久力が2点回復するわ」

翔花「ええと、今すぐ食べなくてもいいの? 今のところ怪我してないし、50キロカロリーしか使ってないし」

晶華「50キロカロリーと言えば、リンゴ半分、またはポテトチップス3枚らしいわね」

翔花「500キロカロリーは?」

晶華「どんぶり飯1杯分ぐらいみたい。普通のお茶碗なら2杯ってところかしら」

翔花「そばだと?」

晶華「1杯300キロカロリーで、天ぷらが200キロカロリー。つまり、たぬきそば(天ぷらそば)1杯で500キロカロリーになる計算ね」

翔花「すると、タヌキが全力全開で体当たりをすると、500キロカロリーパンチと同じ威力ってことかあ」

晶華「たぬきそばとタヌキの攻撃のカロリー計算がそれで合っているとは思わないけど、キュアプレシャスのパンチ(初期状態)は、お茶碗2杯分のエネルギー消費なの。だから戦うたびに、腹ペコった理由も明らかね」

翔花「とにかく、蛇肉を保存食としてゲットします。タヌキなので背負い袋は持っていないから、マフラーみたいに首に巻いてたらいいかしら」

晶華「〈蛇肉のマフラー〉を装備した。道をそのまま先に行くと、洞窟を見つけました。入ってもいいし、無視して先を進んでもいい」

翔花「攻略記事なんだから、中に何があるか調べないと話にならないし。進めば2つ、逃げれば1つのタヌキ精神で、洞窟探検します」

晶華「タヌキは夜行性なので、暗視が使えます。暗闇をものともせず、洞窟の中に踏み込むと恐ろしい猛獣の声が響き渡りますね」

翔花「そ、それは……逃げたい。だ、だ、だけど、す、進めば2つって、お母さんも言ってました。エアリアルが一緒だったら大丈夫!」

晶華「エアリアルなんていないわよ」

翔花「ええと、〈蛇肉のマフラー〉をエアリアルって言うのではどう? 美味しそうだし」

晶華「蛇肉味なんてないけどね」

翔花「とにかく、相手の正体ぐらいは見極めたい」

晶華「すると、空腹そうな巨大狼ダイアー・ウルフだと分かるわ。君はほっとした。人間が犬や馬と親しいように、この猛獣は昔からタヌキとは親しい関係にあるのだ……って、さすがにこれはゴブリンをタヌキに置き換えて読むと、違和感よね。タヌキと狼が親しいなんて、ファンタジーの常識でもないし」

翔花「それは今、ゴブリンフォームなんだし、タヌキがゴブリンに変身してるから……」

晶華「とにかく、ダイアー・ウルフは空腹そうで不機嫌です。選択肢は、静かに洞窟から出るか、ウルフの脇をすり抜けて洞窟の奥に入ろうとするか、それとも食べ物をあげるかね」

翔花「エアリアルは家族なんです。手放したりはできません」

晶華「蛇肉は家族じゃないから」

翔花「だ、だったら、蛇肉を狼さんにあげたら、餌づけできる?」

晶華「できるわよ」

翔花「ああ、だったら狼さんが真のエアリアルということで。ダ・エアリアル・フって感じ?」

晶華「強引だけど、エアリアルって名付けられた狼は蛇肉をむさぼり食って、それから、もっと餌はないか? という目でタヌキを見ます」

翔花「餌? ドワーフって餌になる?」

晶華「お姉ちゃん!」

翔花「は、はい。いくら何でも残酷よね。手懐けた狼さんに憎きドワーフを始末してもらおうなんて」

晶華「いいえ、それが正解ルートなの。何もヒントは出していないのに、よく思いついたわね。モンスターの才能あるんじゃない?」

翔花「でも、狼でドワーフ2人って倒せるのかな?」

晶華「狼のデータはこれよ」

 

●ダイアー・ウルフ:殺傷力5、防御力8、耐久力22

 

翔花「へえ、さすがエアリアル。耐久力5のタヌキとはずいぶん違うのね。よし、今からドワーフ狩りに行くわよ」

 

ドワーフ狩りの時間

 

 こうして、復讐タヌキは前世の自分をタヌキ汁にして食ったドワーフに、飢えた狼を差し向けるのだった。

 世紀末を前にした弱肉強食の世界、それこそが80年代(やや誇張)。

 

晶華「ダイアー・ウルフの先攻よ」

翔花「シールドビットを射出して、オールレンジ攻撃をします」

晶華「ダイアー・ウルフはガンダムじゃないので、そんなことはできません。普通にサイコロを振って下さい」

翔花「4」

晶華「殺傷力を足して9だと、ドワーフの鎖かたびら9を貫けません」

翔花「そんなあ。エアリアルの攻撃が防がれるなんて」

晶華「こっちの番ね。ドワーフの斧をくらえ」

 

 これで、2点と2点で合計4点のダメージを受けるエアリアル(狼)。残り耐久力18点。

 

翔花「エアリアルはこんなことで負けるわけにはいかない。大切な家族を守るためにも。反撃して(ドワーフAに2点ダメージ。残り7点)」

晶華「2対1なら、いくらエアリアルが強くても。(ダイス目が高くて10点のダメージを与える。残り耐久力8点)」

翔花「そんな。エアリアルが死んじゃう。本気を出して! (コロコロ)よし、出目11よ。11+5−9で7点ダメージ」

晶華「これでドワーフAは死んだわ。でも、残ったドワーフBの反撃で6点ダメージ」

翔花「どうしてアキちゃんは、そんなにダイス目がいいのよ。エアリアルに恨みでもあるわけ?」

晶華「悔しかったら、一撃でドワーフBを倒してご覧なさい。6ゾロ出さないと無理だけどね。ここで倒さないと、残り耐久力2点のエアリアルは死んじゃうわよ」

翔花「うう。エアリアルには死んで欲しくない。お願い、6ゾロ出て。(コロコロ)シクシク、出目5だと1点ダメージしか与えられないし(ドワーフB残り耐久力7点)」

晶華「これでとどめよ。ダイス目9で、4点ダメージ。エアリアルは死にました」

翔花「ふえ〜ん。こうなったら、エアリアルの仇はわたしが討つ。くらえ、500キロカロリー体当たり。出目10でダメージは3点」

晶華「残り4点ね。死ね、タヌキ。って出目5じゃダメか」

翔花「防御力8点で防いだ。出目11以上が出せれば、わたしの勝ち。(コロコロ)でも、出目5じゃダメ」

晶華「タヌキには負けない。出目7で2点ダメージよ」

翔花「残り耐久力3点。お願い、11以上出て。(コロコロ)よし、11来たあ。タヌキをナメるなあ!」

 

 タヌキの命がけの体当たりで、ドワーフBは倒された。

 いやあ、また負けたらどうしようかと思ったけど、ギリギリかろうじて勝つことができて良かったなあ。

 ただ、ダイアー・ウルフが死んじゃったのは悲しかったり。

 なお、未通過パラグラフ(22番)によると、この狼は8匹の乳飲み子を育てている母狼なんだけど、その事実は「ゴブリンがダイアー・ウルフに勝って洞窟の奥に侵入する」という奇跡が発生しないと(正攻法では)読めない。

 ドワーフ戦でダイアー・ウルフが生き残れば、巣に帰って狼母子の幸せな日常があり得たんだけど、今回の記事では残念ながら狼は犠牲になってしまったのだ。

 

翔花「エアリアルは本当に家族のために戦っていたんだね(涙目)」

 

最初の変身

 

晶華「狼さんは死んじゃったけど、タヌキが死んだわけじゃない。そして、ドワーフを倒したことで、ついに黒いヒスイが手に入ったの。これさえあれば、ゴブリンフォームから新たな姿に変身できる」

翔花「変身呪文はポンポコポンね。ええと、エアリアルの代わりに、わたしがエアリアルになる。ダイアー・ウルフに変身するわ」

晶華「それは無理。変身できるのは、タヌキ……ではなくて、ゴブリンに近い種族のオーク、コボルド、ホブゴブリン、そして人間よ」

翔花「人間にもなれるの? だったら人間を選ぶ」

晶華「あまり、お勧めできないわね」

翔花「どうして?」

晶華「強くないから。暗視もできないし、モンスターの世界では不便なことが多い」

翔花「お勧めは何?」

晶華「普通に強さを追求するなら、ホブゴブリンが正攻法だと言えるわ。なお、各種族の能力は以下のとおり」

 

コボルド:殺傷力1、防御力8、耐久力3

●オーク:殺傷力3、防御力8、耐久力4

●ホブゴブリン:殺傷力3、防御力8、耐久力6

●人間:殺傷力1、防御力7、耐久力3(ドワーフの斧を装備して殺傷力を3にできる)

 

翔花「元のゴブリンが殺傷力2、防御力8、耐久力5だから、完全に上位互換なのはホブゴブリンだけね。オークは殺傷力が上がったけど、耐久力が下がるし。コボルドは何一つ取り柄がない。人間は素の能力が最弱だけど、唯一ドワーフの斧を装備できて、殺傷力を上げることができる」

晶華「ということで、ホブゴブリンを勧めるんだけど、どうする?」

翔花「わたしは人間に賭ける」

晶華「ええ? それじゃあ、王道攻略とは言えないわ」

翔花「王道攻略はアキちゃんが補足説明して。わたしは人間が好き。人間の可能性を追求したい」

晶華「う〜ん、お姉ちゃんがそう言うのなら、人間ルートってことで」

 

 ポンポコポン!

 精神を集中して呪文を唱えると、ヒスイが赤く輝き始めた。と、君の肉体に変化が起こった。背がぐんぐん伸び、頭から気味の悪い黒い毛がもじゃもじゃ生えてきた。肌はミミズのようなピンク色になる。君は変化した自分の体を見下ろし、吐き気を催した。君はこの世でもっとも嫌悪すべき生き物ーー人間になったのだ!

 

翔花「って、人間の描写って酷くない?」

晶華「モンスターの価値観だと、人間は醜い生き物ってことね」

翔花「でも、人間基準では美少女だよね?」

晶華「裸だけどね」

翔花「え?」

晶華「タヌキは服を着ないし、ゴブリンサイズの衣服は人間には合わないだろうし」

翔花「ええと、さすがに裸の元タヌキ娘ってネタはどうかと思うので、ドワーフの装備から適当な布をはぎ取って、体の要所に巻きつけます」

晶華「コボルドやオーク、ホブゴブリンだったら服装描写は気にならないけど、人間の場合はいろいろ問題っぽいのよね」

翔花「とにかく、ボロ布をまとったホームレス風の人間の女の子ってことで、だけど斧は装備します。辺境のアマゾネス部族だって装いで身ごしらえする、と」

晶華「あと、金貨数十枚入りの袋と、高価そうな銀の指輪が手に入るわ」

翔花「これで身支度を整えて、人間の暗殺者として仇を討つ旅を続けると良さそうね」

 

 こうして、元タヌキ少女は憎むべき人間の姿となって、盗賊ランブルを倒すことを決意した。果たして、モンスター人間は念願を果たすことができるだろうか。

 それとも、名もなき人間として、のたれ死ぬ未来が待っているのだろうか。

 復讐の物語はつづく。

(当記事 完)