連休前のミッションスタート
晶華「ゴールデンウィークを前に、いよいよミッション開始ね」
翔花「いつまでもスパロボ脳が抜けずにいるNOVAちゃんを放置して、フェアリーガーデンを始めるわ」
NOVA「ちょっと待て。GMの俺を抜きにして、TRPGをできると思っているのか」
晶華「できるわ。フェアリーガーデンの売り文句に『GMなしでも遊べる! ひとりでも冒険できる!』って書いてあるし」
NOVA「『家族や仲間たちと遊ぶと楽しさ倍増!』とも書いてあるぞ」
009『実際、ゲームブックやソロアドベンチャーみたいにプレイ可能だからな』
ケイP『ということで、GMは必要ないわけですね』
晶華「だから、さよなら、NOVAちゃん。スパロボに夢中で、妖精郷を放置しているGMはクビよ」
NOVA「シクシク。娘にクビを宣告されるなんて、俺の人生は何だったんだ」
翔花「だけど、そんなNOVAちゃんにも大切な役割があります」
NOVA「何だ、それは?」
翔花「たとえ、GMレスでプレイしたとしても、それを記事書きする作者がいなければ、妖精女王ズの物語は完成しないのよ。そう、GMは必要なくても、作者は必要なの」
NOVA「そうか。この俺にもまだ存在価値があるんだな」
晶華「と言うか、GMだけなら、ナイン君でもできるし、屋久島からKPマーク2ちゃんを呼んできてもいいし、ジョエル君にお願いしてもいい」
NOVA「杖の精霊ジョエルには無理だろう。ダイス目をGM有利に操作できるんだから」
翔花「大丈夫。語りをジョエル君に担当してもらって、ダイス振りをケイソンさんに担当してもらえれば、GMしてもらえるわ」
NOVA「おお、その手があったか。別にGMは一人でしないといけないってことはないもんな。語り部役のメインGMと、ダイス担当のサブGMという発想はなかった」
009『大体、ソード・ワールドはGMがダイスを振らなくてもプレイできるシステムだろう? 2Dで7が出たという形で敵の命中や回避を固定値でプレイしてもいいし、ダメージダイスだって固定値にするという手もある。GMがダイスを一切振らずにプレイすることだって可能なんだ』
NOVA「まあな。ザコはダイスを振らず固定値で、ボスキャラのみダイスを振るというマスタリングも多いと聞く」
009『もちろん、GMがダイスを振りたくなったら、それも自由なんだけどな』
NOVA「しかし、だ。やはりGMがいないと、何だか寂しくないか?」
晶華「GMは冒険の仕切り役だからね。きちんと責任を持って仕切ってくれるGMは貴重よ。だけど、いつまでもダラダラ寄り道脱線だらけで、仕切り役としてヤル気を見せてくれないGMだったら、いない方がマシってこともある。やっぱり、ゲームマスターを名乗るんだったら、自分のマスタリングする卓に一番、熱意を入れてくれないとね」
NOVA「分かった。気合を入れてGMをする。だから、俺をクビになんてしないでくれ」
翔花「うん、期待しているわ」
イフリートに会うために
GM(NOVA)「よし、気合いを入れ直したGMのNOVAだ。まずは、妖精郷のマップを示すぞ」
●妖精郷の探索マップ
(青字は宿泊可能)
鉱山 骨の丘 雲海の岬ー大樹の森 屋根付き橋
l l l l l
花迷路ー大神殿ーー停留所ーー花畑ー羊ヶ原ー魔法陣
lーーー(ーーl l lー大空の小さな家
l 光の樹 l
虹の根元ー(ーーーー(ーガラスの森
火柱の塔 l薬草園ー鏡の池
l 凍結海 ーl l
l煙草の森ーおもてなし亭 ー キラ迷宮
凍山 l l l l lー白い巨塔ーl
ll l l 闇の樹 lー星空の舞台
ll 風車の谷ーー赤い河 lー果樹園
ll lllー逆さまの沼ーlーl
l白百合l鳥籠の木ー花咲く丘 l
l の谷 l lー炎の穴ーーーl
l l l
砂の街ーl 巨人たちの墓場
l
崩れゆく場所
ミリィ(晶華)「おもてなし亭から出発して、南の【炎の穴】に向かえばいいのよね」
サイバ(009)「ああ。ぼくたちは鍛冶猫妖精のニョッキから『魔法の武器を作るために〈イフリートの炎〉を手に入れて欲しい』というミッションを引き受けたんだ」
マークス(ケイP)「エマお嬢さまのファルシオンを鍛えるためですね」
エマ(翔花)「それも大事だし、わたしはまだ炎の大妖精イフリート様にお会いしたことがないのよ」
ミリィ「あれ、そうだっけ?」
GM「うん、そうなんだ。イフリートが前に登場したのは、この記事だ」
サイバ「イフリートと会ったのが第3部で、エマの復活が第4部か。確かに会ってないな」
エマ「わたしの復活のために、地の大妖精タイタン様が眠りに就いて、代わりに風の大妖精ジンさんが出てきて、魔神と戦ったりしているうちに、あれよこれよという間に妖精郷を脱出して、前の物語は終了したの」
GM「元々は、エマがプレイヤーキャラとして参加するのは、妖精郷第2シーズンからの予定だったんだ。前倒しで登場させたら、すぐに完結してしまったから、エマはあまり妖精郷について詳しくないわけだな」
エマ「だから、妖精郷の第2シーズンは、わたしとミリィお姉さまのダブル主人公って形なの」
GM「物語の主人公にとって大事なのは、『何か欠けたもの、切望するものを追い求めること』だと思う。失ったものを取り戻すためとか、どうしても欲しいものを入手するためとか、そういう目的がないキャラは、主人公としての魅力に欠けるんだな。サイバ☆リオンは小説家として妖精郷の物語を書き記すという目的があり、キャプテン・マークスは行方不明のエマお嬢さまを助け出すという目的があった。しかし、その目的はすでに達成されている」
マークス「確かにそうですね。つまり、私とリオンさんはすでに満たされてしまったために、主人公にはなれない。この第2シーズンではサブキャラ、バイプレイヤー的な立ち位置ですか」
ミリィ「あたしだけが目的を達成できなかった形なので、妖精女王になるという夢を求める主人公として成立するわけね」
エマ「わたしの目的は、神になることね」
GM「それだけじゃない。エマの目的は、妖精郷に逃げ込んだザイアス・N・ヴァイコスを倒すことだ。魔神使いの彼を倒さないと妖精郷の平和は守れない。そして、ザイアスはエマの家族の仇でもあるわけで」
エマ「そうだ。わたしが妖精郷に戻ってきた理由は、ザイアスを倒すためだった」
GM「フフフ。このザイアス絡みのイベントは、フェアリーガーデンのシナリオにはない俺オリジナルだ。つまり、俺のGMでなければ、プレイできない要素でもある」
ミリィ「何それ? NOVAちゃんオリジナルの要素を導入することで、GMとしての地位にしがみ付こうっていう魂胆が見え見えね」
GM「どうして、そういう邪推をするかな? せっかく人がヤル気を出して、オリジナル要素を提示しているのに」
ミリィ「とにかく、そのザイアスって奴が妖精郷の平和を脅かすって言うのなら、あたしの敵よ。絶対に許さないんだから」
エマ「ええ、お姉さま。ザイアスは諸悪の根源です。妖精郷に魔神が出現するようになったのも、ザイアスの仕業に違いない。そして、ザイアスを倒すためには、わたしのファルシオンが真の力を発揮する必要があります」
GM「いや、そこまでは言っていないんだが」
エマ「いいえ、エマはそう思い込んでいるの。死んだはずのザイアスが生きていたのも、ファルシオンでとどめを刺さなかったから。ローズワース家に代々受け継がれている伝承があって、『真の邪悪を討ち滅ぼすためには、妖精に祝福されし不死鳥の剣を用いるべし』と。それこそ、エマの持つ神剣ファルシオン。今はまだ力を封じられていて、真の力を発揮できないけど、〈イフリートの炎〉やいろいろな魔力を受けて究極の力を示すときがきっと来る」
GM「いや、フェアリーガーデンには、〈光の聖剣マクリール・ルー〉が設定されているんだが」
エマ「わたしのファルシオンは、それに匹敵する〈炎翼剣〉の異名を持った伝説の武器ってことで設定して」
GM「いや、だから、ソード・ワールドのファルシオンって普通に店に売ってるBランクソードで、そんなに凄い剣じゃないんだって」
エマ「今は、ファルシオン第一形態なのよ。これが物語が展開するにつれて、少しずつパワーアップしていくってことで、GM裁量で何とかすることを求めます。公式じゃないんだから、それぐらいTRPGは自由にやってもいいんでしょ」
GM「……分かった。幸い妖精郷では、MM(マナマテリアル)というルールがある。ファルシオンを売って別の強い武器に買い換えて行くのが地上の買い物ルールだが、妖精郷ではアイテムをマナに変換して別のアイテムに作り替えることで、グラタンたちは物品を生成したりしているわけだ。だったら、ファルシオンをマナ変換して強力な武器に生まれ変わらせるって解釈で、ファルシオンのバージョンアップ(データは強力なAランク以上の武器とか)を採用しようじゃないか」
エマ「わあい」
GM「何にせよ、君たちは【おもてなし亭】を朝に出発し、南の【炎の穴】に向かうわけだが、ええと異なるエリアで道がつながっているから、2Dで5以下でランダムイベントが発生するんだったな」
ミリィ「はい、5。いきなりランダムイベントね」
GM「じゃあ、1D振って」
ミリィ「6」
GM「蟻っぽい妖精のムリアンが群れで出現して、歌合戦を挑んでくる。バード技能+精神力で12以上を出せ」
ミリィ「誰かバード技能を持ってる人、手を上げて」
サイバ「……誰もいないようだ」
ミリィ「一人ぐらいポピン君やマルキさんから学んでおくべきだったわね」
GM「技能なしなら、平目でどうぞ。誰か一人12を出せばいい」
ミリィ「そんなの出るわけ……」
サイバ「12。出たぞ」
マークス「さすが、リオンさん」
サイバ「カラオケで練習した甲斐があったってものだ」
エマ「あのう、GM、質問です」
GM「何だ?」
エマ「他のみんなは一般技能を習得しているんだけど、エマだけ習得していないのは不公平だと思います。わたしもシンガーとかダンサーとか、一般技能を習得できませんか?」
GM「何でシンガーやダンサーなんだ?」
エマ「だって、妖精神の神官だし、それぐらいは嗜みとして身につけていても……」
GM「う〜ん、それだとノーブル1レベル、シンガー2レベル、ダンサー2レベルってところかな。特別にシンガー+精神で判定していいことにしよう」
エマ「だったら基準値5で、7以上を出せばいいのね。(コロコロ)8が出たので成功」
GM「結果、サイバとエマの歌声を気に入ったムリアンが、彼らを召喚できる〈妖精の宝石〉をくれた」
ミリィ「歌って踊れるなんて、何だかエマちゃん、ズルい。あたしだって、アイドルになりたい」
GM「だったら、次のキャラ成長時に一般技能を2レベル増やしてもいいとしよう。冒険者は最大10レベルまで一般技能を習得できるというルールがある。ただし、一つの技能は最大5レベルまでだけどね」
サイバ「なるほど。ぼくはオーサー(作家)3レベルを持っているけど、それは『本業じゃないけど、1年を越える経験はある』ってことだもんな。本業なら4レベルに成長していても、おかしくない」
マークス「私もバトラー(執事)とエンジニア(機関士)が欲しいですね」
GM「一般技能は、趣味のキャラ立てに有効なんだよな。それはともかく、ランダムイベントが終了したので、目的地の【炎の穴】に到着だ。一応、新たに時間経過を記録すると、1日めの昼ということになる」
炎の大妖精の話
ミリィ「炎の妖精エインセルさんの宝石を持っているから、イフリート様とはフリーパスで会えるって話だったよね」
GM「ああ。しばらく間が空いたが、妖精たちはあまり時間に細かくないし、というか、時間に縛られた生き方をしていない。大妖精クラスになると、悠久の時間の流れに生きているからか、つい昨日に会ったかのような応対をしてくれる」
イフリート『おお、妖精女王の魂の半分を持っていると称した娘だな。キラメンタルがどうこうとか』
ミリィ「今は全力全開よ」
エマ「いいえ、今はドンブラの時代よ」
イフリート『ドンブラ!? 何だそりゃ?』
エマ「ドンブラを知らないなんて、それでも大妖精さま?」
イフリート『って言うか、お前は誰だ?』
ミリィ「すみません、イフリート様。もう一人の妖精女王の魂の半分娘です。ふつつかな妹分ですが、どうぞよろしく」
エマ「緑色に光って、喜びの気持ちを表現します」
イフリート『おお、その清浄な光は確かにアラマユ様の……』
サイバ「って、アラマユ様も緑色に光るんかい?」
GM「ああ、アラマユ様が光るのは間違いない」
GM「ついでに、1年前に話題に挙げてたグリージョダークネスちゃんが、ついに配信される時が来たわけで」
ミリィ「何だか話が寄り道脱線しそうなので、黒いオーラを放ちます」
GM「って、何でお前が黒いオーラを放つんだよ。それはエマじゃないのか?」
ミリィ「反F現象の影響ってことで」
GM「あ〜、えーと、何だかイフリートの前で光と闇、キラメイとドンブラが入り混じったカオス時空が発生しそうなので、無理やり話を進めるぞ。かくかくしかじかでエマを紹介してもらい、ミリィと2人でアラマユ様の魂の後継者だと納得したイフリートは、2つのことを話してくれる」
サイバ「1つは〈イフリートの炎〉のことか?」
GM「そうだ、とイフリートは厳かにうなずく。その炎を灯すには、〈星降る枝〉で作った特別な松明が必要だ。〈星降る枝〉を手に入れるには、北東エリアの【魔法陣の広場】で戦いの試練を受けなければならない。そのための合言葉をイフリートは教えてくれた」
ミリィ「どんな合言葉?」
GM「シナリオには書いていない」
エマ「だったら、ドンブラGOにしましょう」
GM「さすがに、イフリートはドンブラ脳じゃないので、却下だ。ええと、ダーエルフシホってところか」
エマ「どんな意味?」
GM「逆から読めば分かる」
マークス「ダークエルフとか、そういう意味じゃないのですね」
GM「それと、イフリートが訴えるもう一つの話は『水の大妖精ミーミルに早く会いに行け』ってことだ」
ミリィ「ああ、そのクエストも大切ね。ミーミル様は【凍結海】にいるんだけど、そこで会った氷の妖精フラウに、『ラナさんのスイーツを5個持ってきて』ってクエストを頼まれていたんだったわ。もう、随分と昔の話だけど」
サイバ「この記事だな」
ミリィ「【魔法陣の広場】は遠いので、先にラナさんの【果樹園】でスイーツを買って、それから【おもてなし亭】で防寒具を買って、それから【凍結海】に行く。そっちのクエストが終わった後で【魔法陣の広場】に向かうってことで、どうかしら?」
エマ「わたしとしては、ミーミルさんにもドンブラを伝道したいので、それでいいです」
GM「妖精郷でドンブラを伝道してどうするんだ!?」
エマ「もちろん、幸せを運ぶのよ。ラナさんのスイーツの中に桃はないかしら?」
GM「ブドウとミカンとリンゴとイチゴと梨はあるけど、桃はない」
エマ「だったら、新作メニューとして〈桃のハッピータルト〉でも作りましょう」
ラナの果樹園に迫る闇
GM「ということで、1日めの夕方、イフリートに暇を告げた君たちは、蜂蜜姫ラナの店のある【のどかな果樹園】に来ている」
ミリィ「いつの間に?」
GM「ダラダラ寄り道脱線していても仕方ないからな。たまにはサクッとショートカットしてみせる。メリハリってものが大事なんだ、とは、その昔、ウォーロック誌のGM講座で水野良さんから学んだ」
エマ「ここに来るのも初めてね」
GM「で、果樹園を歩いていると、カラフルな蝶のマスクで顔を隠した若い女性に出会う」
エマ「あなたがラナさん? 初めまして」
マスクの女『お、お前たちは……』
ミリィ「ん? その女とは初対面よね」
GM「ああ、もちろん、ラナさんじゃない。イメージとしては、こんな感じだ」
ミリィ「ちょ、ちょっと〜、まさかのブンドル団? ラナさんのスイーツのレシピッピが狙われてる?」
GM「当記事は、キュアヤムヤム登場記念も兼ねているからな。とにかく、マスクの謎の女は君たちに会って、それから複雑な葛藤を乗り越えた後に、意を決してこう言う。『申し訳ありませんが、そこの方々。よろしければ、この先にあるお店に行って〈苺のふわふわマフィン〉を買ってきていただけませんか?』と」
ミリィ「断ります。ブンドル団とは取り引きしません」
マスクの女『私はブンドル団なんかではありません』
エマ「だったら、そのマスクは何? 明らかにブンドル団の証拠じゃない。スイーツのレシピッピを返してもらうわ」
マスクの女『誤解です。私はとある女貴族に仕える従僕で、ご主人さまが諸事情で遠出できなくなったのでお気に入りのスイーツを買って来るように命じられたのです』
ミリィ「そのご主人さまって誰よ?」
マスクの女『それは言えません。主人は、ラナさんのスイーツが大好きなんですけど、あまり仲がよろしくないので、顔や名前を出すと売ってくれないでしょう。ですから、こうしてお忍びで買いに来るしかできなくて……』
ミリィ「ふ〜ん、つまりラナさんの敵なんだ〜」
マスクの女『い、いや、こちらは敵対するつもりはないのですけど……』
ミリィ「だったら、正体を教えなさい。リオン様、魔物知識判定をして」
サイバ「分かった。(コロコロ)出目11。達成値24だ。どんな魔物でも、これだけあれば、バッチリ分かるはず」
GM「クッ、バレたなら仕方ないな。レベル11蛮族のリャナンシー、吸血鬼の血族だね(本当はレベル15のリャナンシーアサシンなんだけど、さすがにそれじゃ勝ち目がないからな。少し弱体化させておく方がいいだろう)」
ミリィ「ちょっと待って。吸血鬼ってことは、もしかして【白百合の谷】のディアナの手下?」
GM「その通りだ。彼女は正体がバレたことを察すると、君たちを始末しようと戦闘態勢をとるね」
サイバ「レベル11かあ。(相手のデータを見ながら)HP72で、回避21なんて攻撃を当てられるか?」
マークス「私の命中は素で11ですから、出目10でも避けられますね」
サイバ「それって、ずいぶんと厳しいってことじゃないか。できれば戦闘を避けたい相手なんだが」
エマ「3レベル上の相手は、強敵ってことよね。戦って勝てるのかしら」
ミリィ「勝てるわ」
サイバ「根拠のないことを言うなよ」
ミリィ「根拠ならあるわ。あたしとエマさんはアラマユ様の後継者だし、GMのNOVAちゃんが勝ち目のない相手を出して来るとは思えない」
GM「いや、シナリオライターの川人くんは、平気で勝ち目のない敵を出して来るんだが? まあ、このリャナンシーは本来の相手よりも弱体化させているんだけど。うん、剣の恩寵を使えば、何とかなるんじゃないかな。それに君たちだってレベル8なんだし、いろいろと頑張れば、勝てるんじゃないかな。とりあえず、弱点は見抜けているんだから『命中+1』はしてもいいよ」
ミリィ「それに、ディアナの手下がこの辺をうろついているのは見過ごせないわ。ラナさんのスイーツの安全は、あたしたちが守らないと。こいつを倒して、デリシャスパーティーを開くわよ」
エマ「ええ、吸血鬼との因縁は断ち切りたいしね」
そんなわけで、シナリオではあまり想定していないと思われるバトルが、発生するのだった。
ブンドル吸血鬼とのバトル
GM「では、まず先制判定からだ。こちらの先制値は18」
ミリィ「こっちの先制基準値は10なので、8以上出せば勝てるわね。(コロコロ)9。とったわ。だったら、《ファストアクション》発動。ええと、相手が1体なので、【ファイアブラスト】よりも【フレイムアロー】の方が強力なのよね。MP12点使って2連発よ(残りMP34点)。1発めは剣の恩寵で+4しておく。だけど出目は低くて達成値18にしかならない」
GM「こちらの精神抵抗は23だから、抵抗したぞ」
ミリィ「だったら、ダメージは19の半減で10ってところ」
GM「残りHPは62点だ」
ミリィ「もう一撃。剣の恩寵は、判定に失敗したら消費しないってルールなので、もう一回+4して、達成値20」
GM「抵抗した」
ミリィ「相手の抵抗を抜くには、剣の恩寵ありでも出目10が必要なのかあ。(コロコロ)ダメージは14の半分で7点だけ」
GM「残りHPは55点」
サイバ「とりあえず、バフを積まないと、攻撃を当てられないよな。ええと、まず鼓咆【怒涛の攻陣】と叫んで、前衛の物理ダメージ+1。次にソーサラー8レベルだと威力40の【エネルギー・ジャベリン】が撃てるんだな。こちらも剣の恩寵で+4して……(コロコロ)出目3かよ。よし、【運命変転】でひっくり返して、さらに+1して達成値28だ。相手の抵抗は抜いたな。ダメージは……よし、10が出てクリティカル。続いて、おお、またもや10でクリティカル。最後は6か。合計29ダメージに魔力12を加えて、41点ダメージ。ふふ〜ん、さすがは大魔法使いってところだな」
GM「マジかよ。残りHPが14にまで追い詰められるとは」
サイバ「さらに、ゴーレムのバージルに雷撃を撃たせておこうか」
GM「ちょっと待て。今回はゴーレムを作るって宣言をしていなかったろう」
サイバ「ああ、そうだ。久々のプレイだからゴーレムを作るのを忘れていた」
ミリィ「あたしも騎獣を連れて来ていないしね」
エマ「次はわたしが神聖魔法8レベルの【ゴッド・フィスト】を放ちます」
エマ「あまり、当てられる自信がないもん。魔法なら抵抗されても、ダメージ半減だから確実にダメージを与えられるからね。もちろん、剣の恩寵で+4して、達成値21。まあ、抵抗はされたけど、アステリア様の拳は15点ダメージの半分で8点ダメージ」
GM「残りHP7点か。危うく神に殴り殺されるところだった」
マークス「最後は私ですね。練技【マッスルベアー】【ジャイアントアーム】【ビートルスキン】と言って、ダメージ+4、防護点+2。そして剣の恩寵+4して、斧を振りかぶります。命中判定は……23!」
GM「くそー、当てられたか」
マークス「フフフ。ダメージは……」
GM「ピンゾロ出ろ」
マークス「ダイス目10でした。8点に〜、追加ダメージ11点に〜、バフが加わって5点に〜、合計24点ダメージですよ」
GM「防護点11だから、13点ダメージで倒された。まさか、レベル11の吸血鬼が1ラウンドで倒されるとは思わなかったよ」
ミリィ「これぞ、妖精女王の宮廷団の実力ってものよ」
サイバ「半分以上は、ぼくのクリティカルのおかげだけどな。運が良かった」
ミリィ「それもこれも、ラッキーの妖精に祝福されているからよ」
エマ「つまり、アラマユ様の恩寵ね」
なお、そのラッキーは戦利品ダイスには効果なかったようで、入手できたのは自動的にゲットできる〈リャナンシーの血〉(1000G)のみ。運が良ければ、5000Gの命令書や9500Gの指輪なんかが手に入ったかもしれないのに。
蜂蜜姫との再会
GM「そんなわけで吸血鬼ディアナの手下を倒した君たちは、果樹園の主のラナさんの店に行った」
ミリィ「ラナさん、久しぶり〜。スイーツちょうだい」
エマ「ラナさん、初めまして〜。スイーツちょうだい」
GM「ラナは『あら、お久しぶり。そちらの方は初めまして。じゃあ、メニューはこれね』と、パンとムースとパイとマフィンとクリームケーキの5種類のスイーツリストを見せる」
エマ「桃のタルトはないのね」
ラナ『桃の木は昔、生えていたんだけど、妖精郷の魔力が枯渇した影響で、枯れちゃったのよ』
エマ「そんなあ。この世界にドンブラはないってこと?」
ラナ『外の世界から苗木を入手できたら、また桃を育てられるかもしれないけど、簡単には外に行けないでしょうし』
エマ「外の世界! わたしたちなら簡単に出られるよ」
ラナ『そうなの? だけど、今すぐ持って来てとは言わないわ。今ある5つだけでも、妖精さんたちは喜んでくれているし』
ミリィ「いいえ、せっかくのあなたの才能を、こんな小さなお店で眠らせておくのは惜しいわ。未来の女王のあたしがプロデュースします。名誉点事業を立ち上げて、ラナさんのスイーツをもっと多くの人に食べてもらうの」
ラナ『お断りします!』
ミリィ「え、何で?」
ラナ『わたしは両親から受け継いだこの果樹園を守りたいの。小さなお店? そうよ、このささやかなお店がわたしの誇り。それをバカにするようなことを言う人には、わたしのスイーツは売れません!』
ミリィ「ふぇ? あたしはラナさんを怒らせちゃった?」
ラナ『あなたは未来の女王って言ったわね。夢を持つのは結構よ。だけど、その立場を鼻にかけて傲慢に振る舞うのはどうかしら? 昔、同じように傲慢な態度をとって、スイーツを独り占めしようと企んだ闇の貴族姉妹がいたわ。ヴァンパイアリリィのディアナとシーラって知ってる?』
ミリィ「ええ、知ってる。【白百合の谷】で会って、そこから出て来られないように封印して来た」
ラナ『本当?』
エマ「ええ、本当よ。わたしはアステリア様の聖戦士で、吸血鬼ディアナを倒すために乗り込んだんだけど、力及ばず囚われの身になったの。それを助けてくれたのが、カシュミーラお姉さまたち。さっきも、ディアナの手下を一人、倒して来たところだし」
ラナ『道理で、あなたたちからディアナの血の臭いがしたはずね。てっきり、あなたたちもディアナの関係者だと思ったわ』
エマ「うん、わたしは吸血鬼に魅入られて、闇の呪いを身に受けてしまったんだけど、魂は光そのものよ。そう言って、緑のオーラを放ちます」
ミリィ「前も言ったと思うけど、あたしは本当に未来の女王なの。アラマユ様の魂を、エマちゃんと分け合っていて、この妖精郷の平和とハッピーを守るために旅してる。だから、ディアナは許せない敵の一人。一緒にしないで欲しいわ」
ラナ『それはごめんなさい。だけど、あなたの態度がディアナに負けず劣らず、傲慢なのは確か。わたしの両親は妖精たちの自由と平和のために戦った冒険者で、妖精郷を脅かす吸血鬼姉妹と戦って、アステリア神殿に妹のシーラを封印したの。だけど、その代償にディアナが両親を殺害した。彼女だけは決して許さない。
『だけど、ディアナはわたしのスイーツに目をつけて、自分のためにスイーツを作り続けるなら生かしておいてやろうって話を持ちかけたわ。だけど、わたしは断った。わたしのスイーツは妖精郷のみんなの物だって。そうしたら、彼女はこう言ったの』
ディアナ『その命、今は預けておきましょう。だけど、いつか必ず迎えに来ますので、それまでは好きにスイーツを作り続けるといいわ。無理強いするのは、私の流儀ではありませんし、それでは料理の腕が落ちるでしょう。いつか妖精郷が滅びの日を迎える頃になったら迎えに来ると約束します。私に助けを乞う日が来るまで、美味しい料理を作り続けて腕を磨きなさい。それが私からの祝福です』
ミリィ「つまり、ラナさんがスイーツを作り続けているのは、ディアナの呪いか何か?」
ラナ『そんなことはありません! わたしがスイーツを作っているのは、わたし自身の意思によるもの。決して両親の仇の誘惑に屈したからではありません』
エマ「うん。両親の仇の邪悪は決して許せないわ。それに闇の誘惑者に負けてもいけない。アステリア様はあなたの料理に祝福を与えてくれます。神の使いであるわたしが保証してあげる」
ミリィ「そうね。ラナさんの料理は、ディアナの闇ではなくて妖精神の光に通じるもの。さもないと、妖精たちから愛されるはずがないわ。未来の女王が約束します。あなたとご両親の誇りは、あたしたち宮廷団が必ず守ってみせます。……だからスイーツちょうだい」
サイバ「……その最後の一言で台無しだろうが(苦笑)」
屈託ないカシュミーラの言葉に、ラナはクスッと笑った。
こうして未来の妖精女王と、妖精神の聖戦士、そして妖精神の祝福を受けし蜂蜜姫の間に、友誼が結ばれたのである。
GM「ただし、スイーツ代はただではない。フラウが注文した葡萄パンと、リンゴパイ3つと、クリームケーキの代金25Gはきちんと払うように」
●続フェアリーガーデンここまでの状況
日数経過:1日め夕方(のどかな果樹園)
経験点:ラナのスイーツを狙う吸血鬼を撃退★2個
魔物撃退分110点
収支:〈ムリアンの宝石〉、戦利品1000ガメル分
スイーツ5個、25ガメル支払う
ブラウニー発見数:6体
遂行中のミッション
・〈イフリートの炎〉の入手
受注したクエスト
・凍結海のフラウにスイーツ5個買ってくる。
・光の樹のお宝を取り戻す(犯人は【虹の根元】の魔神)
その他の冒険目的&情報
「火柱の塔の魔力炉で〈妖精郷の鐘〉を鋳造できる」
「火柱の塔のエインセルにラナスイーツを渡せば、
〈炎精鉱〉をもらえる」
「火柱の塔に〈炎精鉱〉を持ってくれば、火の封印が解除できる」
「水晶塔の情報6ヶ所」(光は封印解除済み)
「大神殿の信者を解放できるよう成長」
(エマのプリースト10レベル以上でイベント発生)
「凍て付く山でスカディに会う」
「凍結海でミーミルに会う」
「スレイプニールがいれば、妖精郷内を瞬間移動できる」
「ヒックリカエルはダジャレで世界をひっくり返し、闇に包む」
「雪山にドラゴンゾンビがいる」
「鳥籠の木には偽女王が捕まっている」
(レベル11以上でイベント発生)
「虹の根元には、魔神召喚の門が築かれている」
「魔女の名前はネアン。邪妖の女神を目指している」
「崩壊しかけている妖精郷を救う」
冒険達成度:合計45%
(当記事 完)