ソーサリーのスペルブック
NOVA「フフフ、ついにこれを手に入れたぞ」
晶華「ああ、それはゴブリンスレイヤーに大きな影響を与えたという伝説の作品のシナリオ集!」
NOVA「そうだ」
晶華「早速、プレイしようよ。私は喜んでプレイヤーするから」
NOVA「お前は、ゲームブックでもしておけ」
晶華「うん、今は7匹の大蛇を全部始末するのを頑張っているところ」
NOVA「7匹かあ。確か、マンパンの大魔王が退治したヒドラの頭部が蘇生されて、邪悪な下僕となった連中だな。月、太陽、地、水、火、風そして時の属性を持つ奴らだが、陽の蛇だけは倒せない」
晶華「何でよ?」
NOVA「とある妖術師に捕まって、無力化されているからだよ。自分で倒す必要がないというわけだ」
NOVA「ゲームブック版の表紙に描かれているのが、その妖術師フェネストラさんだ」
晶華「ええと……ゴブリン?」
NOVA「失礼な。こう見えても、エルフだよ。黒いけどな。一応、大蛇退治の味方になってくれる御仁だ。だけど、沼地に住むゴブリンに、時の蛇を弱体化させるスクロールを渡しちゃったりする」
晶華「ゴブリンにスクロール? それって、ネコに小判、豚に真珠、馬面の同心に念仏の鉄じゃないの?」
NOVA「最後のは、最強の仕置人コンビになるから間違いだ。それはともかく、結局、ゴブリンはスクロールが読めないので、時の蛇からは逃げるしかなかったというオチだし」
晶華「だったら、結局、私が時の蛇を倒すことになるわけね。ゲームブックのネタバレありがとう」
NOVA「まあ、時の蛇は3巻のラスボスだし、フェネストラのスクロールを使わなければ、強すぎて勝てないからな。時間を操る相手だから超高速攻撃で、気がつけば、こちらがダメージを受けているという描写だ」
晶華「ふうん。だったら時空魔術師のNOVAちゃんも強いってことじゃない。前に自分は弱いってスネてたけど」
NOVA「あれは、ただの矢車さんごっこだ。俺の場合は、攻撃魔法を持たないという設定だから、直接戦闘能力に欠けるんだよ。だから、一人でバトルに挑むのは不利で、幻術や話術、時間操作や空間転移で相手を撹乱することになる。いわゆる裏技系のトリックスターといったところだな」
晶華「じゃあ、どうしても戦わないといけない局面になったら?」
NOVA「助っ人を呼ぶなり、創り出すなり、マジックアイテムに頼るなり、いろいろ手はあるが、それはさておき、これがソーサリーのスペルブックの中身だ」
晶華「これが、ソーサリーの究極魔法にして、NOVAちゃんが初めて使ったという時空魔術なのね。私にも使えるかしら」
NOVA「少なくとも、お前の姉の翔花は普通に使っているような気もするな。大地母神ガイア様に修行だと言われて、今ごろ時空をPONPON飛び回っているようだし。ついでに言えば、この魔法の記述は、あくまで80年代半ばのゲームブック世界の話だからな。30年以上経った現在では、ZEDを使ったことのある魔術師はそれなりの数がいるし、時空操作系の能力者もありふれている。そもそも、80年代には多元宇宙の概念すら一般には知られていなかったんだからな。時空改変という行為が、ある程度の禁忌とされていたのもやむを得まい」
晶華「今じゃ禁忌でなくなったということ?」
NOVA「いや、世界の改変、時空の改変が定期的に行われているのが現状なんだが、改変された世界観を住人たちが受け入れて、確固たるものに定着するかどうかは別問題。公式で改変したものをファンが批判して、世界が不安定化し、知らない間に消滅したり、黒歴史化したりするのがしょっちゅうだ。今の時代は、昔以上に容易に新世界が生まれたり、あっさり消滅したり、復活したりを繰り返している。その中で、いかに人々の記憶に定着するか、安定した世界として続いて行くかが大切。改変するのは結構だが、誰からも望まれぬ改変をしたところで、そういう世界は残らずに自然消滅する。そして、世界の創造に関しては、特定の創造神一人の思惑ではなくて、世界を愛する多くの人の想いがはっきり具現化しやすくなった『世界創造の原理』が研究されたのが、30年前との大きな違いなんだろうな」
晶華「何だか難しい話をしているけど?」
NOVA「つまり、時空操作をするのは、新たな並行世界の創造に匹敵する想いの力が必要になるってことだ。世界というものに対する愛やこだわりというものが必要だし、それらを持たない者が時空改変をしても、定着せずに世界が消滅する。つまり継続や思い入れこそが、時空魔術を扱う者には必要だって話だよ。世界への愛こそ時空魔術師として一人前になる必要条件というわけだ」
晶華「そうか。愛があるから世界は生まれ、時として再生するってことだね」
NOVA「そう。ソーサリーのスペルブックを見ながら、愛について考えようということだ。ソーサリーを愛する者の想いがあったればこそ、30年の歴史を越えて今回、復活したわけだしな」
ゴブスレの呪文
NOVA「ソーサリーとゴブスレと言えば、この呪文を語らないわけにはいかない」
晶華「こんな呪文を使っていたら、ゴブスレさんを敵に回したりしない?」
NOVA「だけど、ゴブスレRPGにも、この呪文があるからな。ゴブリンの歯を素材にしたクリエイト・ゴブリンの呪文は正にこれ。ついでに、その隣のページに、より高度なクリエイト・ジャイアントの呪文があるのも、正にソーサリー風味。ソーサリーでは、巨人召喚はYOBの呪文だけど。GOBのページの裏に、透けて見えるイラストがそれ」
晶華「とにかく、素材がゴブリンの歯ってことは、敵のゴブリンを倒した後は、死体から歯を抜いていくのがソーサリーの魔法使いの流儀ってことね」
NOVA「元ネタは、ギリシャ神話のスパルトイ、竜の歯から生まれた戦士の伝説らしい。そこからゴブスレでも、竜司祭が使う竜牙兵の術があって、原作小説やアニメでも蜥蜴僧侶さんが愛用する呪文になっている」
晶華「女神官さんの愛用のプロテクション(聖壁)の元ネタは? 確かWALだったよね」
NOVA「これだな」
NOVA「ソーサリー第1巻のラスボス、マンティコアを閉じ込めて状況打開したことで、実に印象的だった呪文だ。ただし、ゴブスレのプロテクションはより便利で、相手の攻撃は遮断するけど、こちらからの攻撃は遮断しないし、移動させることもできる。女神官ちゃんは、回復呪文よりも、これとホーリーライトを使った目くらましを多用する感じだな」
晶華「ソーサリーには光の呪文ってないの?」
NOVA「お前は、ソーサリーをプレイしているんじゃないのか?」
晶華「プレイしているよ。だけど、48種類の呪文を全部覚えているわけじゃない。都道府県の数より多いんだよ」
NOVA「チッ。俺が若い時にはノートに呪文の名前と効果、触媒となるアイテム名を書き写して覚えたものだがな。いいか、ソーサリーの光の呪文はSUNで、黄色い太陽石が必要だ」
晶華「黄色い太陽石なんて、どこで手に入るのよ」
NOVA「こんな感じかな」
晶華「へえ。なかなか素敵なアクセサリーじゃない。太陽サンサンな名前を持つ私にふさわしいと思うわ。お願い、買って」
NOVA「何で?」
晶華「今日は6月27日。つまり、私の誕生日の3月27日の3ヶ月記念だからよ。去年は毎月祝ってくれたんだから、今年はせめて季節ごとに祝ってくれてもいいじゃない」
NOVA「ダメだ。金がない。そんなアクセサリーを買うぐらいなら、俺はこれを買う」
NOVA「ロードスとゴブスレ、ソード・ワールドに加えて、鉄道特集なんて、いろいろタイムリーすぎるだろう」
ソード・ワールドの旅
晶華「そのうち、ソード・ワールド絡みでも鉄道ボードゲームが出るかもしれないわね」
NOVA「そいつは十分考えられるな。飛行船をテーマにしたボードゲームはすでにあるが」
晶華「ええと、確か2.0の舞台であるテラスティア大陸では、発掘飛空船がそこそこあって、空の旅がメジャーなのに対し、2.5の舞台のアルフレイム大陸では飛空船がなくて、代わりに魔動列車や海上交易が盛んって設定だっけ」
NOVA「大雑把には、そんな感じだな。テラスティアでは、最初から飛行船を前面に押し出していて、国家レベルだと定期便すら運行されている。ただ、その分、陸上の乗り物や海上交易はあまりプッシュされて来なかった印象だった。まあ、海上については、ドラゴンレイドの時期にこれから他所の大陸への交易ルートを開拓するような話が出てきたこともあるがな。蛮族の支配するレーゼルドーン大陸がプッシュされたり、これから外の世界に向けた展開が広がる流れだったわけだ」
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NOVA「つまり、2.0はテラスティア大陸からスタートして、やがて別大陸へと開拓が進む方向で進んでいたんだけど、去年、2.5にバージョンアップすることで、新世界のアルフレイム大陸の展開が始まった。これによって、テラスティアでの物語は一度棚上げ状態になって、同じ世界だけど違う発展を遂げた文化文明の世界観が描かれるようになった」
晶華「ロードスから展開した旧ソード・ワールドのフォーセリアが、剣と魔法と精霊の世界であるのに対し、2.0からスタートしたラクシア世界は魔動機術という要素を投入して、銃や機械をプッシュした。その象徴が飛行船だった、と」
NOVA「まあ、科学技術と魔法ファンタジーの融合というのが21世紀のTRPGの趨勢になっていたからな。遅ればせながら、ソード・ワールドも2008年からその流れに乗って新時代を迎えていたわけだ。まあ、その後の詳しい経緯は、この雑誌に特集されているんだけど」
晶華「だけど、先に飛行船が発展すると、その分、陸上交通や海上交易は軽視されたということから、 新世界のアルフレイムでは、空とは違う陸と海の旅にスポットが当たるようになっているのね」
NOVA「そろそろアルフレイムの展開も1年が経とうとしているからな。追っかけている者としては、現状確認も必要だと思った。まあ、いずれテラスティアの歴史とアルフレイムの歴史が交わる時が来ると考えるがな。それはともかく、テラスティアが人族と蛮族の対立をテーマにしているのに対し、アルフレイムでは異界の魔神にスポットを当てている。魔神の封じられた奈落の壁が大陸北部にあって、その壁が今回のリプレイで、ドリルモグラ号に穴を開けられそうになったんだけど、何とか阻止できて物語終了。魔神の大量発生は避けられたわけだ」
晶華「魔神といえば、ロードスの魔神戦争時代と通じるものがあるのよね。だから、NOVAちゃんは、アルフレイムで魔神や異界にスポットが当たると聞いて、ロードスやフォーセリアとのリンクを期待した、と」
NOVA「こういうクロスオーバーが好きだからな。まあ、この1年の間にロードスが復活したり、100年後の物語がいよいよ公開されるようになったり、無理に交差しなくても並行して進展するだけで、ワクワクはしているんだが。ところで、これまで魔神戦争といえば『30年前』というイメージがあったんだが、これからは『130年前の魔神戦争』になるのかな」
晶華「その30年前って、パーンさんたちが初めて冒険した年を基準にしているんでしょ? 100年後ってのは、パーンさんが後輩のスパークさんたちと協力して、ロードスの呪縛を解いてから100年後ってことだから、その間に10年ぐらいの時差はあると思うんだけど」
NOVA「ああ。魔神戦争、英雄戦争、邪神戦争の時差があるか。まあ、この辺のロードスの歴史が、新しい小説の中で改めて整理されるのも楽しみだな」
そして、GM召喚の儀式へ
NOVA「ともあれ、ここまで過去の思い出話を整理しながら、それが現在に通じていることを確認しつつ、空気を醸成してきたわけだが」
晶華「……本当にやるの? どうなっても知らないよ」
NOVA「大丈夫。迷惑をかけるとしたら、俺だけだ。いや、むしろ俺は喜ぶんじゃないか。何しろ、長年の夢が叶うんだぜ」
晶華「何よ、長年の夢って?」
NOVA「『自分と同じくらいTRPG好きな人間から、ゲームに誘われる』 こういう機会が俺にはどうもなかったんだよな。俺の場合、『自分が楽しみたいから人を誘う』だけで、一度でいいから、『TRPGのメンツを探しているんだけど、プレイヤーとして付き合ってくれないか』と言われたかった。いや、まあ、ボードゲーム仲間ならいるんだが。先月も、このゲームを楽しんだし」
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晶華「何これ?」
NOVA「TV版の1stガンダムのストーリーを楽しむ協力ゲームなんだな。今年40周年記念ということで、春に出た。第1話『ガンダム大地に立つ』から、第10話『ガルマ散る』までが収録されている。ゴジラ映画を見た後に同行した友人を誘って、3時間ほどプレイした。その際に、第5話『大気圏突入』まで進めたんだが、続きはまた秋に、ということになったんだ」
晶華「どうして、そんな面白いネタをブログに書かなかったのよ」
NOVA「ゴブリンスレイヤーを優先したからじゃないか。しかも、まだ全部のストーリーを終わってないし、そもそも、このゲームには重大な欠点がある!」
晶華「何?」
NOVA「どうして、ラルさんが出るところまで収録しないんだよ。『ザクとは違うのだよ、ザクとは』で有名な第12話『ジオンの脅威』が見たいじゃないか。ギレン・ザビの演説があって、ジーク・ジオンの叫びがあって、酒場のシャアが『坊やだからさ』と呟いて、やしきたかじんの『砂の十字架』がライリーリラーと流れるところまで収録されていればなあ、と思うぜ」
晶華「TV版だったら『砂の十字架』じゃないと思う。というか、それよりラルさんだったら、続きのゲームが出るんじゃないの?」
NOVA「出たらいいなあ。問題は『ガルマ散る』で終わったら、次のスタートシナリオは第11話『イセリナ、恋のあと』になるんだ。劇場版では割愛されたが、第14話『時間よ、とまれ』とか第15話『ククルス・ドアンの島』はどうなるんだろうな。『ジオンの脅威』の次が、いきなり第16話『セイラ出撃』だったら、TV版としては興醒めだぜ。ここはやはり、ドアンのザクを操って暴れたいというのが古きガンダムファンの心情というものではないだろうか」
晶華「そんなの私が知るか! 今回はガンダム話をしたいんじゃないでしょ?」
NOVA「ああ、最近プレイしたゲームということで、話がつながってしまったんだ。ダメだなあ、こういう頭じゃGM(ゲームマスター)を召喚しようとして、間違って量産型のGM(ジム)を召喚してしまいそうだ。だから、記事を仕切り直すことにする」
晶華「やれやれ、だわ」
(当記事 完)