Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

ゲンブVS翔花NOVA(前編)

ハードボイルド・ガイズ


ゲンブ『White NOVA殿と言ったか。すると、そなたがアリナお嬢さまが仰っていた白新星殿で間違いないのであるな』

NOVA「ああ。アリナお嬢さまというのが、コンパーニュの塔の南郷阿里さんの事を指すなら、白新星が俺だ。そして、あんたは噂に聞く南郷家三獣士の一人、ジェネラル・バックラーだったよな」

ゲンブ『おお、我の名をご存知とは。今は日野木三獣士と呼称を変えたが、昔の呼び名を知っておられるとはさすがの博学ぶり。しかし、この度は誠に申し訳ないことをした。粉杉殿の父親を前にして、伏してお詫び申し上げる次第。このゲンブ、そなたの気の向くよう如何様なりとも処罰をお受けしよう。今は亡き娘御の可能性多き御命、この老骨如きの命に代え難きはよくよく承知の事であるが、他に償う道を考え至らぬゆえ。元より、この命、アリナお嬢さまのために差し出せるものであるが、言いつかった使命も果たせぬ身なれば、アリナお嬢さまに合わせる顔もなきゆえ、そなたの手に掛かるが本望と存ず』

NOVA「顔を上げてくれ、ゲンブの旦那。あんたに頭を下げてもらう謂れはねえ。この事態を引き起こしたのは、うちのポンコツナビと、あんたの度々の降伏勧告を頑として受け入れなかったバカ娘のせいだからな。落ち度があるとしたら、全面的にこっちにある。あんたの使命は……これから果たす機会はいくらでもあるさ。あんたのような忠臣の命を奪ったとあっちゃ、こっちが南郷さんに申し訳が立たねえ」

ゲンブ『しかし、我はそなたの娘御の命を奪ったのだぞ! 父親として、そなたは何も感じんのか!』

NOVA「感じないね」

ゲンブ『何だと? そなた、それでも人の親か? 娘の死に何も感じんとは』

NOVA「やれやれ。どうやら三つほど誤解があるようだな。一つ、粉杉翔花は人じゃねえ。花粉症の精霊だ」

ゲンブ『そう割り切るか。精霊とはいえ、そなたとは親子の縁で結ばれた同士のはず。人と精霊の絆は、時に魂の奥底で結び付き、実の親子よりも深くなるとアリナお嬢さまも仰っていた。その絆すら、そなたは否定するというのか。だから、娘を死地に追いやり、涙一つ見せず、平気な顔をしている。そなたのような父親を持ったことこそが、粉杉殿の一番の不幸であった』

NOVA「……まくし立てる前に人の話は最後まで聞け。うちの娘のことをそこまで想ってくれるのは嬉しいけどよ。せっかくのハードボイルドな面が台無しだ。こいつは最後にとって置こうと思ったんだがな。あんたの動揺を晴らすために、先に言っておく。二つ、俺の娘、花粉症ガールの粉杉翔花は死んでねえ。俺が救った」

ゲンブ『何を、口から出まかせを! 我はあの時、確かに粉杉殿が灼熱の大地の炎に包まれ、消滅するのをこの目で見た。そう、確かに粉杉殿はこの世より消えたのだ!』

NOVA「そうとも。俺が消したからな。今は、とある場所で火傷の治療をしている最中だ。すぐに戻ってくる手はずになっている」

ゲンブ『そなたが消しただと? 一体どういう……』

NOVA「三つ、もしも娘が本当に死んでいたら、俺はあんたを決して許さねえ。たとえ、地の果てまでも追いつめて、きっちり落とし前を付けさせてやる。煮えたぎるマグマのような情念でな。だが、娘は死んでいないのだから、そんな気持ちは何も感じねえ。ただ、あんたは人の話を最後まで聞かず、勝手に早とちりして、俺と娘の間の確固たる絆を侮辱した。俺のような娘想いの父親を持った翔花が何だって? 勝手に娘の気持ちを忖度して、不幸にするな! 俺がもしも騎士だったら、あんたの侮辱に対し、決闘を申し渡すところだ。ところが俺は魔法使い。決闘以外の決着のつけ方を提案する」

ゲンブ『何だ、それは』

NOVA「あんたの早とちりに起因する侮辱に対し、三つの約束を果たして欲しい。一つ、うちのポンコツナビ、あんたを散々侮辱した欠陥騎士を、あんたの誠の騎士道を持って鍛え直してやってくれ。俺なりに教育を施したのだが、生まれる際にいろいろ混ぜこぜしたせいか、どうも時々、妙なモードが発動し、抑制が利かなくなるみたいだ。あいつがしっかり自制できていれば、あんたと娘が戦わずに済んだはずなんだ。あいつのマスターとして俺が許可する。俺はあんたの心根を信頼している。20年前は憧れの怪獣だったからな。善悪どっちに転ぶか分からねえ怪獣王より、信念持ったあんたの方がよほど信頼できる。未熟な騎士に、真の忠義、主君をうかつに死地に向かわせない自制心を教育してやってくれないか。頼む」

ゲンブ『そういうことなら了解した。あのドゴラの小僧には、いろいろと説きたいことがあったからな。主君のそなたの命令があれば、生意気な小僧も少しは殊勝になることだろう。二つめは何だ?』

NOVA「あんた、ルーク・スカイウォーカーを知っているか?」

ゲンブ『唐突に何を言い出すやら。スターウォーズジェダイの騎士だろう。昨年、エピソード8を劇場で見たが、あまり芳しくはなかった。スカイウォーカー卿を随分貶めたような内容だったからな』

NOVA「全くもって同感だ。それで、こっちの話だが、あのジェダイが最後に使ったチート技を覚えているか?」

ゲンブ『彼方の星から、自分の姿を投影する術のことか? それがどうした?』

NOVA「俺の足元を見てみな」

ゲンブ『! 砂地を歩いた跡がない! 影さえも! もしや、そなたは?』

NOVA「そう、実体を持たない投影体だ。なかなかチートだろう?」

ゲンブ『本体はどこに?』

NOVA「あんたの知らないところさ。ここより近くて遠いところ、それは……」

〈事象の分岐点〉


多くの異世界、仮想空間、歴史上の時代への扉を備えしターミナル空間。
そこの管理者にして、監視人の務めを行ってきた時空魔術師と、最近その役割を補佐するようになった次元ドルイドの呼称を持つ男がいた。
前者の名前はNOVA、時空魔術の長年の研鑽の末、その重要な異空間施設を構築するに至った者。
後者の名前はハイラス。自然を学び、精霊たちとの交流を旨としてきたが、ある事情で己の世界より切り離され、己の意思によらない次元転移を繰り返す呪われた運命に見舞われながら、偶然知り合ったNOVAの助けを欲するようになった者。
NOVAは、ハイラスに時空魔術の素養を感じ、自分の手伝いをすることで、彼の呪いを解決するための修練を与えるWinWinの提案をした。ハイラスはその提案に応じ、今はNOVAの助手となったわけである。
そして……

ショーカ「望むところよ。粉杉翔花、ドゴラン・キーパー・チグリスいきまーす」

NOVA「何が望むところだ、このバカ娘。俺は修行しろとは言ったが、ガメラと戦え、とは一言も言ってない。未熟なお前が倒せる相手じゃないことぐらい分かれよ。少々パワーアップしたところで、奇跡でも起こせなきゃ、倒せるはずがない。どうして、お前は俺の大好きな怪獣と、意味もなく戦おうとするんだ。アストロモンスだと? そんな計画にないものを勝手に呼び出すなんて……」

ハイラス「NOVAどの、娘御のことが心配なのであろう? すぐに助けに向かわれてはどうか?」

NOVA「どうして、俺がバカ娘のしでかしたトラブルの後始末に、大好きなガメラと戦わないといけないんだ?」

ハイラス「いや、別に戦わなくても、不毛な戦いを止める程度のことは、時空魔術師の貴殿なら簡単にできるのでは? 私が貴殿の立場なら、迷わずそうするのだが」

NOVA「いいか、ハイラス。お前たちドルイドは、世界の秩序と混沌のバランスを取るように務めているが、自分から世界を支配しようと考えているのか? 例えば、ロードスの灰色の魔女のように、予想される大破壊を免れるには一方の側の偏った支配があってはならぬと、絶えず天秤が揺れ動くよう、世界の諸勢力間の小競り合いが永遠に続くように陰で画策するようなことは是とするのか?」

ハイラス「アレクラストの南にある呪われた島の話だな。もちろん、我らドルイドはそのような意図的な、不自然な干渉は是としない。我らが司る範囲は、あくまで己が所属する森の枠内であって、それすらも全てをコントロールしようとしているわけではない。我らが手を出すのは、自分の森を脅かす異質な脅威に対してであり、視野を広げて森から世界に転じたとしても、過剰な干渉をしないように自分を律しようと努める。それこそが強大な力を持つ者の義務であり……ハッ、そういうことでござったか」

NOVA「ああ、自分で考えて答えを出したようだな」

ハイラス「むむ、質問による思考の誘導で、相手に考えさせることで答えをつかませる。相変わらず見事な教導法と言うしか」

NOVA「こういうのは、相手がきちんと考える優秀な頭脳の持ち主だから通用する手さ。頭の悪い人間相手に、こんなやり方は通用しない。そんな奴には一から十まで教えても、勝手におかしな誤解をして、一から負の数の百まで悪化することだって考えられる。いや、今のは極端な例だが。さすがに教えたことがそこまで悪化するようなら、その前に止めるが、十まで教えても二しか飲み込めず、その後は自分勝手に変な方向に突き進んで、しかもそれが傍目には何の役にも立たないまま迷走する人間は時々見かける。この迷走具合が面白くて、時に干渉することもあったが、迷走したまま、こちらに迷惑をかけるなら、俺の道から排除しないとって最近は感じたりもする。しかし、まさか娘までが迷走するなんてな。俺の周りは迷走する奴で溢れ返っているのか?」

ハイラス「そういうNOVAどのの人生も、相当に迷走を重ねてきたのでは? もちろん、いまだに迷走の渦中にある私に言えた義理ではないのだが」

NOVA「やれやれ。俺は秩序を志向する人間なんだ。自由は好きだが、そこには責任を伴うことを忘れちゃいない。ルールの枠から外れたアドリブは、それが場を楽しませるためなら是とするが、公私混同おかまいなく、自分が楽しければ他人の気持ちなどどうだっていいって我儘は、俺が最も憎むべき考え方だ。自分が行動する際は、必ず自分の行動の影響を計りながらやっているし、仕出かしたことの後始末ぐらいはしっかりこなしてきた。だから、親が娘を助けるためだけに、世界の歴史を歪めるような公私混同は是としない。娘の不始末は、娘自身が解決すべきことなんだ。俺はギリギリまで娘に手は差し伸べない。どこまでやるか、じっくり観察に徹する。それこそが時空を監視する重大な仕事であり、俺の選んだ道だ」

ハイラス「NOVAどのの信条は理解した。だが、私も思うことがあれば、口を挟ませてもらう」

NOVA「ああ、そうしてくれ。タイミングを見誤らないためにもな」

ショーカ「私が無様な態度を示せば、NOVAちゃんだってバカにされる。そんなのは絶対にイヤ。だけど、亀おじさんだって傷つけたくはない。どうしたらいいの?」

ハイラス「なかなか殊勝なことをいう娘御ではないか」

NOVA「ああ、立派だ。俺みたいな男には勿体ないぐらい立派なことを言いやがって。だがな、俺がバカにされることなんて、気にしなくていいんだよ。バカにされて当然なこともしてきたんだからな。俺は名誉を求めるつもりはない。そんなことのために、娘が傷つく姿を見たくはない。無茶はしてくれるなよ」

ゲンブ『さあ、娘!大人しく……って消えた? 一体どこに?』

ショーカ「後ろよ。(中略)後は首筋に仕事人みたいに麻痺針チグリスニードルを打ち込めば、私の勝ちよ!」

NOVA「この大バカ野郎。どうして、そこまで到達しておきながら、詰めの一手を誤るんだよ。お前、仕事人を表面的にしか見てないだろう。それに前期シリーズ、主水と市松の緊迫したやり取りを見ていれば、そこで互いに武器を収めることだってできたはずなんだ。俺が翔花の立場なら、こうする」

ショーカ「後ろよ。これで私の力を認めてくれるかしら。本気で戦えば、亀おじさんの方が強いって分かってる。だけど、私にも花粉症ガールの意地と誇りがあるの。降伏なんてしない。だけど、お互いに武器は収めて、和解しましょう。これ以上は戦っても不毛だしね」

ハイラス「NOVAどの。想いにふけっているところ申し訳ないが、娘御が本当に窮地だぞ。今、助けねば……」

NOVA「くっ、俺は時空魔術師として、己に課した理念に違背してでも娘を救う。次元の壁を通り抜けて、娘よ、父の元に戻り来たれ! ここで散ることは決して許さん! この干渉で多少の時空の歪み、世界の異変が生じようとも、俺が必ず精算してやる! だから、娘の翔花だけは絶対に死なせん!」

翔花「じゃあ、私、もう行くね。サ・ヨ・ナ・ラ……」

PON!

小さな閃光と共に消失す。

ハイラス「おお、娘御が次元転移して、今ここに。だが、全身ひどい火傷を負っておられる。今すぐ治療術を施すが、構わないな」

NOVA「ああ、是非とも頼む。アレクラストドルイドとして精霊魔術を身に付けたあんたの治癒術なら安心だ。これで借りが一つできたな」

ハイラス「だったら、私にこれまで時空魔術の指南をしてくれていることで十分おつりが来る。借りているのは私の方なのだからな」

NOVA「娘のことを任せたぞ。俺はあっちに行く」

ハイラス「何をしに?」

NOVA「ガメラ、いや、ゲンブと話を付けに。身内の不始末を詫びないといけないし、何やら誤解もさせているみたいだからな。ええい、こうもいろいろあったら、何から話していいか見当も付かんが、俺流で行くしかないか。ガメラ相手じゃ緊張するなあ」

ハイラス「ここを去るのは、後にしてくれないだろうか。この娘御は弱っていられる。魂の絆の強いNOVAどのが側にいなければ、肉体の修復はできても、精神的に消滅してしまう危険が否めない」

NOVA「文字どおり、植物人間って奴かよ。参ったな。ゲンブの誤解は早めに解いてやらないといけないし、俺の体は一つしか……いや、その手があったか。ブルーアイズもちょうど二つ持っているしな。俺用と、翔花への誕生日プレゼント用に作ってきたダミーと。だったら、ルーク・スカイウォーカーのあの技と、ブルーアイズの投影機能を使って、同時に二つの仕事がこなせる。やっぱ、俺は頭がいいや。同時に二つまでなら処理できるしな」

再びゲンブ


NOVA「かくかくしかじか。以上のようなことがあったわけだ。あんたに完全に理解できるとは期待しないが」

ゲンブ『うーん、ちっとも分からん。アリナお嬢さまなら分かるのやも知れぬが、この亀の脳には、時空魔術がどうこう言われても受け付けん。それより、本当に粉杉殿は健在なのだろうな! そこだけが一番気になる』

NOVA「本当に、あんたはいい奴だな。大好きなガメラがあんたみたいな武人に転生してくれて、俺は本当に嬉しいぜ。ガメラ3のラストで、ギャオスの大群を前にして、それでも一歩も引かないあんたの勇姿には痺れたものさ。それから来年で20年。そろそろ、復活してくれてもいいんじゃないか」

ゲンブ『それについては積もる話もいろいろあるのだが、どうであろうか。娘御と共にコンパーニュの塔でゆっくりと』

NOVA「そうしたいのはやまやまだが、俺には時間がないんだ。管理するべき場所とか、監視すべき世界とか、相手してやらないといけない未熟者がいろいろあってな。だから、あんたに頼みたいことが残り二つあるって話なんだが」

ゲンブ『一つは、そっちの未熟な騎士ドゴラの教育指導ということだったな。残り二つは何だ? 新星殿のことだから、あまり無茶なことは言わないと信じるが』

NOVA「本当にそうかな(ニヤリ)。二つめはこれだ、ブルーアイズ」

ゲンブ『青いメガネ? それが一体、何だと?』

NOVA「この場で、今、俺があんたと会話できてるのは、ブルーアイズの投影機能のおかげだ。このブルーアイズ、正式にはブルーアイズ・ダミーが娘への誕生日プレゼントなんだ。あんたに託すから、娘に渡してやって欲しい」

ゲンブ『そのような貴重な物を我に。ご自分で渡してはどうか? その方が娘御も喜ばれるのではないか?』

NOVA「俺は親バカだから、あんまりベタベタすると甘やかしてしまい、娘のためにならねえんだよ。せいぜい、遠くから見守る程度の距離の取り方が吉ってことだな。あんたの手から渡してくれれば、和解の証にもなる」

ゲンブ『そういうことなら受け取ろう。そなたの娘御への想い、そうとも知れず侮辱した償いにもなろうからな。三つめの願いは?』

NOVA「もう一度、ブルーアイズを装備した娘と戦ってくれ。それが粉杉翔花の真の力だ。是非、その力の発動を見てみたい」

ゲンブ『な、もう一度、娘御と我を戦わせようと言うのか? 何を考えて……って消えた? 神出鬼没とはこのことか? やはり伝説の……後に青いメガネ一つが残されて……いささか狐につままれたような気持ちだが、粉杉殿の帰還をいま少し待つとするか。やれやれ、不思議なこともあるものよ』

翔花とNOVA


NOVA「よう、バカ娘。生きているようだな」

翔花「NOVAちゃん! 私、どうなって? 阿蘇の麓で、亀おじさんと戦って、そして……KPちゃんごと吹っ飛ばされて、何が何だか分からないうちに、体が燃えて……フエーーーーーーン、怖かったよ〜。もう、あんな想い、したくないよ〜」

NOVA「よしよし、いい子だ。落ち着け。俺が側にいるから」

翔花「私、頑張って戦ったよ。NOVAちゃんのためだと思って、一生懸命に。だけど勝てなかった。翔花は弱いダメな子なんだ。敵に勝てない娘なんて、NOVAちゃん、嫌いでしょ? ゴメンなさい、ゴメンなさい。何度だって謝る。ゴメンなさい。でも、私、どうしたら……」

NOVA「あのな。お前、俺が一回でも、『お前は弱いからダメだ、嫌いだ』なんて言ったか? 何か勘違いしてやしないか? 俺が嫌いな奴がいるとしたら、勝手な思い込みで後先考えずに突き進んで、危うく自滅しそうになって、周りに散々迷惑かけて、その上、謝ることも反省することもできずに、同じ過ちを繰り返す、根本的に学習能力の欠如した、死んでも治らない本当のバカだけだ。お前、今度みたいな過ちをまた繰り返すつもりか?」

翔花「そんなことない。もう、たっぷり反省した」

NOVA「何を、どう反省したんだ。言ってみろ」

翔花「次こそ必ず勝ってみせる」

NOVA「それじゃダメだ。ちっとも反省になってねえ」

翔花「どうしてよ。NOVAちゃんが期待するのは、どんな敵にも負けない強い翔花でしょう?」

NOVA「ああ、強くなれ、と言った。そのために修行の旅にも出した。だが、翔花、お前は強さの意味を履き違えている」

翔花「強さの意味……」

NOVA「強さは……愛だ」

翔花「強さは愛。私、NOVAちゃんのこと愛しているよ。この想いは強さにならないの?」

NOVA「ああ、ならないね。そんな愛は鬱陶しいだけだ」

翔花「そんな、ひどい(涙目)」

NOVA「お前、ちょっと前にケイPの奴が言ったこと、『俺が人間を愛せない』って真に受けてたよな。だから花粉症ガールとか、メカとか、人間じゃないものを愛するようになったって。そいつは決して間違っちゃいないが、だったら俺は自分の教え子たちを愛していないことになる。少し考えれば、そんなことはないって分かるはずだ。まあ、師弟愛を男女の恋愛と同列に見なすのも誤解を招きそうだが、そういう話じゃなくて、俺は単純に自分にストレートに向けられる愛が苦手なんだ。だからお前を旅に出した。お前の真っ直ぐな視線から逃れたくてな」

翔花「私、NOVAちゃんを愛してはいけないの?」

NOVA「俺とお前は魂の絆で結ばれているんだから、俺だって翔花のことが好きだ。だけど、翔花一人を愛しているわけじゃない。お前は浮気者とか、そういう目で俺を見るが、ここではっきり言っておくぞ。俺が友人や恋人に求めるのは、俺の好きなものを一緒に愛でてくれるという同好の士であることだ。俺の好きなものをバカにしない、俺の趣味関心を理解してくれる、俺が趣味を楽しんでいるときに必要以上に干渉しない、あるいは一緒に楽しんでくれさえする、そういう趣味仲間が俺の求めるものだ。俺に相手してくれ、と言いながら、俺の好きなものを貶めるような奴は、俺のことを理解しない異物以外の何者でもない。別に全ての趣味を俺に合わせろって言うんじゃない。お前が内海さんを好きならそれでいい。だから、お前も俺がげんとくんを追いかけるのを毛嫌いするな。お互いの好みを尊重し、楽しくビルドの話をすればいいじゃないか。そして、俺の好きなげんとくんを冗談でも貶めた奴は、俺にとっては終生の敵だ、感情論としてはな。普通、『相手のことを尊敬していると言っていれば、相手の好きなものに関心ぐらい寄せるだろう。それができないってことは、そいつの言葉は到底信用できない』ってことだぜ。だが、今はそんなことはどうでもいい。これは『翔花伝』であって、主役は翔花、お前だ。げんとくんのことも、げんとくんに似たところのあった奴のことも、今だけは忘れることにする。翔花、お前が俺に好かれたいなら、どうすればいいと思う?」

翔花「強くなること。その強さは敵を倒す強さじゃなくて、愛。NOVAちゃんと同じものをなるべく愛すること。そうして、NOVAちゃんと楽しくお話しすること。これでいいの?」

NOVA「正解だ。私のことを見て、と求めるんじゃなくて、私と一緒にこれを見て、と求めるなら、話に乗ってもいい。ただし、こっちも俺の好きなこれを見ろよ、ぐらい言う。いや、しょっちゅう言っているんだけどな。そして、俺の好きな物にハマってくれる人間は、良き友人になれるし、逆もまた然り。もちろん、人の趣味は多様だし、中には相手の趣味にハマりきれないこともあるだろう。別に人の趣味なんて100%完全に一致するものでもないからな。そこまでベッタリ絡み合う必要もないが、互いの邪魔にならない程度に距離を置きながら、ここぞというところで共有できる話題があれば、そして互いへの関心をうまく示し合わせていけば、絆だって構築して行けるんじゃないかな」

翔花「だったら、翔花が内海さんを好きだって言ったら、NOVAちゃんは許してくれる?」

NOVA「もちろんだ。ところで、お前はゲンブのことをどう思う? お前が戦った亀おじさんだ」

翔花「最初は体が大きくて怖いと思った。だけど、戦っているうちに、何度も降伏を勧めてきた。優しいおじさん。私も降伏すればいいかな、と思ったんだけど……」

NOVA「ポンコツナビのケイPが邪魔をした、と」

翔花「違うの。降伏したら、NOVAちゃんはガッカリするだろうし、ヒノキちゃんとお友達にもなれなくなると思って、絶対に降伏なんてするもんかって思って、自分では頑張れば勝てると思ったの。だけど……」

NOVA「思いつめるあまり、判断が狂ったということか。ゲンブは、お前のことを相当心配していたぜ。南郷さんに与えられた使命のこともあるだろうが、何て言うかな。お前に未来の可能性を見たって感じだった。ゲンブの身に宿した怪獣ガメラな、俺は昔、落ち込んでいた時にガメラに勇気と希望、そして、その後の生き方を教えてもらったんだ。だから、お前にはガメラと戦ってなんて欲しくなかったんだ」

翔花「じゃあ、戦わない」

NOVA「素直だな。だが、俺は再戦を申し出た。ゲンブに見せたいものがあるからな」

翔花「それは何?」

NOVA「俺たちの絆の力。そして、俺たちの見せる未来への可能性だ」

翔花「NOVAちゃん、一緒に戦ってくれるの?」

NOVA「ああ、お前が俺と一緒にガメラ愛を示してくれるなら、ブルーアイズが導いてくれる。真の強さへとな。『空想の想の字は、木の字を上下に分けて、間に目を挟めば、真実の真に通ず。それに心を加えて真心だ』 こんな言葉を言ったのはいつだったかな。4月21日ぐらいだったと思うが、真の心で今こそ見せてやろうぜ。お前と俺の、花粉症ガールの本気って奴をな」

(つづく)

PS.一気に行こうと思ったけど、文量が多くなったので、まだ終わらず、後編に入ります。ひとまず締めるってことで。