昨日の訃報
昨日(日付的にはもう一昨日か)、仕事後の深夜にツイッターなどをいろいろチェックしていたら、趣味関係で二つも訃報があって、ガーンとなった次第。
一人は歌手の成田賢さんで、もう一人はマーベルのコミック原作者のスタン・リーさん。
そんなわけで、本日は妄想創作はなしにして、「悲しみの海をこぐ愛というか思い入れの記事」を書きたいな、と。
- アーティスト: TVサントラ,成田賢,チャープス,内田直哉,こおろぎ’73,コロムビアゆりかご会
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 1996/05/21
- メディア: CD
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電子戦隊デンジマン
「どうする、どうする、どうする、君ならどうする?」と前回の記事で小ネタ的に書いたところ、図らずもそれを歌った本人の訃報に接するとは、ちょっと衝撃。
デンジマンは1980年のスーパー戦隊で、元祖の秘密戦隊ゴレンジャー、ジャッカー電撃隊、バトルフィーバーJに次ぐ4作目に当たるわけですが、リアルタイムに見ていた世代としては、そういうシリーズ感覚はまだできておらず、「デンジマンこそが戦隊シリーズのフォーマットを定着させた立役者」という認識ですね。
ゴレンジャーは当然、偉大な始祖であり、続くジャッカーは第2作というよりは、亜流作品。秘密戦隊から電撃隊と名前を変え、単なる二番煎じで後継者を残せなかった失敗作というレッテルも結構、長く貼られていたと思います。まあ、自分もビッグワンは好きだけど、それ以前のジャッカーは何だか地味という印象を覚えていたり。大人になってから視聴すると、サイボーグという特性を活かした変身前の面白いギミック駆使の調査活動とか、この作品ならではの売りはそれなりにあったんだけど、明るく派手なゴレンジャーに比べて、地味なジャッカーという印象は消えなかったですな。
ジャッカーが地味な理由は、変身に強化カプセルが必要なので、生身アクションからスーツアクションに間が入り、盛り上がりが寸断されるのと、ゴレンジャーハリケーンのコミカルノリに比べて、必殺技のジャッカーコバックが非常に地味で、しかも良く分からん。核に電気に重力、磁力ってエネルギーをあれこれ言われても、小学校に入ったばかりの子供にはよく分からん。いや、電気は分かってたろうし、磁石も分かる。分からんのがエースとキングの技の仕組み。
まあ、エースは一人でムチと弓の両方を扱うわけで、前作のアカとアオの両方の良いところを持っていたのですが、見た目はダイヤジャックの剣の方が格好いいな、と思ってました。ハートクイーンは磁力で敵を翻弄する戦法ですが、それよりもモモレンジャーの「いいわねいくわよ」爆弾の方が派手で面白いし、クローバーキングはキレンジャーを踏襲する怪力ファイターなのはいいんだけど、キレンジャーのコミカルさは受け継がなかった。
そんなわけで、ジャッカーは子供心にはゴレンジャーの後継者としては、つまらなく見えたんですね。
って、デンジマンの思い出話を愛情たっぷりに書くつもりが、どうしてジャッカーをディスっているんだ、自分。
いや、まあ、ジャッカーは大人になってから見ると、好きになりました。今でも、タイムジャッカーのネタとして創作的に遊ばせてもらっていますし。
あくまで、物を知らない子供の時の記憶を思い出しての感想です。
で、77年にジャッカーよりも自分が夢中になっていたのは、大鉄人17とか、ガンバロンとか、アイゼンボーグとか。要するに巨大メカやヒーローの出てくる作品ですね。
もちろん、ジャッカーにもスカイエースやジャックタンクがあるのですが、先代のバリドリーンやバリタンクに比べると、やはり地味。まあ、経験を経ると、この地味さがリアルだからいいと思えるのでしょうが、それでも自分の好みとしては変形とか合体とかギミックがいろいろあって、とにかく豪快に派手にぶつかって欲しいわけです。
そういうロボつながりだと、翌年のスパイダーマンと、彼の操縦するマーベラー・チェンジ・レオパルドン。そりゃ、ハマりましたよ。当時は、これがアメコミ原作のヒーローであることは知りませんでした。まあ、この作品については、後でスタン・リーさんに絡めるのが筋というものでしょう。
一方でジャッカーの後番組は、実写版魔法少女の透明ドリちゃん。いや、これはガンバロン(役者の安藤一人)が出てたり、モモレンジャーが教師役で出てたりして、興味を持って見てたわけですが、当時はガンバロンの人もそのうち魔力をゲットして変身するんじゃないかな、とか思ってましたが、実は番組を超えて魔女だったのはガンバロンのお婆ちゃん(女優の曽我町子)だったという。
なお、78年は別の戦隊が放送されていましたね。恐竜戦隊コセイドンってことで、アイゼンボーグの後番組なんですが、自分にとって、戦隊シリーズってゴレンジャー→キャプターとかバンキッドって亜流もあって、ジャッカーもそうした亜流の一つという印象があって、よく分からないまま、いつの間にか、79年にバトルフィーバーという変な連中が踊っていて、でもロボットが格好良くて、でも、所詮は亜流という目で見ていたら、ついにゴレンジャーの正統派な後継者のデンジマンが80年に登場して、キタコレと盛り上がった記憶。
ここでゴレンジャー後継者の正統な資格ということを考えると、やはり赤青黄桃緑の5色のカラーと、戦隊タイトルになるでしょうか。
ジャッカーは4人しかいないから退化した亜流。
間を空けたバトルフィーバーもチームメンバーのスーツデザインが全然違うので、どちらかと言えば超神ビビューンの系譜かな、とか、よく分からないまま、自分なりのシリーズ系譜を勝手にイメージしていましたな。感覚としては、星雲仮面マシンマンやバイクロッサーが宇宙刑事の亜流と見なすようなもの。
それを言うなら、デンジマンの次のサンバルカンも亜流だけど、この頃になると太陽戦隊だし、デンジマンと世界観がつながってるし、正統なシリーズと受け止めていました。逆にゴーグルファイブが「何で緑じゃなくて、黒なんだ? しかも青じゃなくて黒が2番手なんて意味不明」と変化を受け止められず、一応、ダイナマンにつながって、見てはいても、それほどハマってはいなかったのが当時。
で、次のバイオマンにはハマりましたな。グリーンが復活するし、バイオロボがいいし。どうも、ゴーグルロボとダイナロボの戦闘機機首の尖った頭がお気に召さずに、マイナーチェンジを受け入れるまでに時間のかかる保守的な子供だった模様。
って、ついつい戦隊史を語るのは、ブレーキを掛けないと、キリがないです。リアルタイムの印象や感想が、後年大人になってから背景情報を補完してから研究することで、改めて再評価することもあるわけだし、子供の時には「凄い高度なアクションやってる」「爆発すげえ」「このキャラデザインは、出渕さんだったか。そう言われてみれば、ロードスに通じるものが……」とか、そんなことは考えてなかったですしね。
ゴーグルファイブを評価するようになったのって、「ウイングマンで桂正和さんが、新体操を取り込んだアクションに焦点を当てたからで、そもそもゴーグルファイブを放送していた時は、自分は新体操という言葉を知らなかった」とか、知識を得ることで、新たな評価基準が生まれていったり、他人の評価を知ることで「そういう見方があるのか」と、自分の感じる面白さとは別の視点を意識したり、と、まあ、いろいろ。
それと、デンジマンが始まる直前というかスカイライダーにつられて、テレビマガジンを購読するようになったのがこの時期で、そこでヒーロー知識を補完していたのが、79年から80年ですな。
その前は、てれびくんでウルトラ知識を補完していた気がするけど。ウルトラはどちらかと言えば、雑誌じゃなくて、ケイブンシャの大百科が知識の大元だったと思う。
自分の書籍によるリアルタイムな積極的なヒーロー追跡は、小3から小4ぐらいからと記憶するけど、それ以前はお小遣いをもらっていなかったので、自分の意思で毎月雑誌を買うということができなかった。時々、親にねだるぐらいで断片的に追いかけていたのが、毎月、本の発売日にワクワク気分でテレマガ買うようになって、それがちょうどデンジマンの放送時期にもかぶったり。
子供のときは、目の前の物を追跡するのに夢中で、それが本放送なのか再放送なのかも分からずに、無我夢中になって堪能する。それが後から書籍資料なんかを読んで、シリーズの系譜とか、番組製作者の意図とか、世間での評価と自分の好みのギャップにどう折り合いを付けるかとか、「その時はディスっていても、後から再評価するきっかけを得る可能性」とか、本を読むことで肌で知った感じもあるなあ。
ともあれ、自分にとってのそこまでのリアル戦隊史は、ゴレンジャー→亜流のトランプとかダンスチーム→本家本元のデンジマンという認識だったんですね。
まあ、戦隊というタイトルだけだと、そこに合身戦隊メカンダーロボとか、超人戦隊バラタックなんかをつなげて、勝手にシリーズのイメージを作っていた時期もあったのですが。
古いものだと、レインボー戦隊ロビンが元祖戦隊に当たるわけで、と薀蓄を語ってみて、ふと気付く。ゴレンジャーもデンジマンも立派に古いじゃんか、と。本記事では、古いものしか語っていないなあ。
系譜はともかく、自分がリアルタイムでデンジマンという作品そのものにハマった要因を挙げていくと、成田賢さんのシビれる主題歌にもありますし、頭にきらめく電磁メカというメカ要素とか、ゴーグルとスーツデザインの統一性とか、巨大化するベーダー怪物と、宇宙戦闘機が変形する戦隊初の変形ロボ・ダイデンジンとか、喋る犬アイシーとか(それ以前にふしぎ犬トントンって番組にもハマっていて、喋る犬がツボだったり)、とにかくお気に入り要素がいっぱい。
ともあれ、70年代から80年代前半はいろいろテレビを見ていた時期で、結構、まめに感想なんかもノートに書きまくっていた時期でもあって(小学生の時はビデオがないから、見た番組の思い出を残すのに必死)、食わず嫌いせずにいろいろ可能なかぎり追いかけていたTVっ子だったんだけど、その中でこれは一大傑作と認識した一つがデンジマン。
それだけに、成田賢さんの歌も好きだったわけですな。
あ、何とか話が時空を超えた迷走から元のテーマに戻ってきたようで、何より。
サイボーグ009
そして、順番は前後しますが、成田さんのヒーローソングでもう一つ欠かせない番組がこちら。
なお、サイボーグといえば、ジャッカーもそうなんですが、77年時点で自分はどうもサイボーグという言葉をよく理解していなかったと思います。
「サイボーグに改造された悲しみ」なんて言われても、「何で? 改造されて、凄い力を持つんだから、いいじゃん、すげえじゃん」なんて考えていたから、ジャッカーの主題歌もよく分かっていなかったんじゃないか、と。
まあ、そこから銀河鉄道999(1978年放送開始)も経たりしながら、「機械の体よりも生身の限りある命の方が素晴らしい」なんてテーマを分かってきた、そういう過渡期にあるからこそ、79年の009の段階では「ジョーの流す涙の意味」も分かったりして、たった2年とはいえ、77年の小学低学年NOVAと、79年の小学中学年NOVAのフィクション理解力の差が推察されるなあ、とも。
サイボーグというテーマでは、仮面ライダーもそうだし、ガッチャマンのコンドルのジョーもそうだし、鋼鉄ジーグなどなど、70年代前半の作品でもいろいろあるのですが、自分が物心ついたのは75年ごろなので、それらは後からの再放送で見たり、リアルタイムで見ても設定がよく分かっていなくて、後から書籍情報などで補完したものも多く、「サイボーグの悲しみ」というものを実感したのは、79年の009辺りからと思っています。ちょうど、スカイライダーが始まったのもその頃だし。
さらに、自分が最初に見たと記憶するライダーも、ストロンガーなんですが、印象に残っているのは、終盤のデルザー編でタックルの死から、7人ライダー集結に至るクライマックスの時期。タイタンが書籍情報でしか記憶になく、鋼鉄参謀は覚えている。ブラックサタンは主題歌でしか分かっていないという状況でした。
って、幼少期の懐古話をすると、キリがないですな。
とにかく、79年から80年の多感な時期に、自分のヒーロー観に多大な影響を与えた主題歌が、成田賢さんのものだという事実を言明して、哀惜とともにお悔やみを申し上げたいと思います。
スパイダーマンとマーベルヒーロー
Supaidaman's Marveller or Spiderman's Megazord
映画『スパイダーマン:スパイダーバース』予告編:日本語字幕(2018年)
さて、自分の思い出の中では、スタン・リーさんよりも成田賢さんの印象が大きいのですが、スタン・リーさんのことをはっきり知ったのは結構最近で、映画アベンジャーズ第1作(2012年)以降になります。だから、にわか勉強もいいところ。
その中で、スパイダーマンだけは78年の日本版で先に知り、後からバトルフィーバーと同様にマーベルと提携していたことを知り、それでもスパイダーマン以外のアメコミヒーローは、スーパーマンやバットマンといったDC系ヒーローしか知らなかったというのが旧世紀。
90年代に流行したXーMENを見過ごしたのが大きいかな。
その後、2000年代に映画スパイダーマン3部作からの流れで、じわじわと追いかけたりしたものの、決定的にハマったのがアベンジャーズからのアイアンマン、そこからソーとか、ハルクとか、キャプテン・アメリカとか、少しずつ補完しているのがここ数年の状況。
最近、購入した資料は、以下の通り。
マーベル・アベンジャーズ事典[増補改訂版] (ShoPro Books)
- 作者: アラン・カウシル,高木亮
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
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- 作者: MARVEL,Cam Banks,Jeremy Keller,MARVEL RPG翻訳チーム,Amanda Valentine,Matthew Gandy
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他にも、アベンジャーズを見た後ぐらいに勉強と思って、何冊かアメコミは買ってみたけど、こんな感じ。
- 作者: ロバート・カークマン,ショーン・フィリップス,市川裕文,石川裕人,御代しおり
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2012/02/10
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いきなり、色物から買ってしまったり。
- 作者: マーク・ミラー,スティーブ・マクニーブン,石川裕人,御代しおり
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2011/09/28
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- 作者: ブライアン・マイケル・ベンディス,ハワード・チェイキン,レイニル・ユー,オリビア・コワペル,パスカル・フェリー,ジム・チャン,石川裕人,御代しおり
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よく分からないまま、重要そうな話を買って読んだものの、結局、よく分からなかったりしながら、後から書籍資料や後からWikipedia などで物語の補完をしたり、
いろいろ思い悩んだ挙句、もう原作コミックは世界線がいろいろあって分からないから、映画だけ追っかければいいや、と考えつつ、それでも総合カタログみたいなものが欲しいな、と思っていたら、デアゴスティーニさんが今年になって、分冊百科を出してくれたので、ちょこちょこ集めています。まあ、でも14冊めぐらいで、もういいかな、と思ったり。
今は映画見て、後から気になるところだけ補完している感じ。
で、最近はこういうのを気にしていたら、スタン・リーさんの訃報を聞いたりして、いろいろと感じ入ったりも。
- 作者: ダン・スロット,オリビア・コワペル,ジュゼッペ・カムンコリ,秋友克也
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- 作者: ジェイソン・ラトゥーア,ロビー・ロドリゲス,光岡三ツ子
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グウェンプール:こっちの世界にオジャマしま~す (MARVEL)
- 作者: クリス・ヘイスティング,グリヒル,ダニーロ・ベイルーチ,御代しおり
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それにしても、スタン・リーさん。
今回の逝去の報を受けて、にわかながら改めて勉強すると、凄い人だったなあ、と改めて分かる。何よりも、享年95歳で亡くなる直前まで精力的に活動していたということで、生まれたのが1922年。
ええと、石ノ森章太郎さんが今年生誕80周年で、1938年生まれ。手塚治虫さんが10年早く1928年生まれ。そして、水木しげるさんが1922年生まれで、ちょうどスタン・リーさんと同年になる。日本のマンガ界の亡くなった長老だと、そういう世代に当たるんだなあ、と。
1922年生まれで、知っている人だと他に誰がいるかなあ、とざっくり調べてみると、小説家の山田風太郎、画家の山下清、小説家の瀬戸内寂聴(存命)、吸血鬼俳優で名高いクリストファー・リー、俳優の丹波哲郎、カンボジア国王のシアヌーク殿下、それと原作マンガ版のフグ田サザエの名前が挙がったりします。
そして、サザエさんの原作者の長谷川町子さんは1920年生まれ。もう、そういう世代(大正生まれというと凄さが分かるかな)の方、いわゆる歴史上の偉人、レジェンドと呼んでもおかしくない世代なんですな。
それほどの御年配の方が現役で、最近までアクティブに熱くヒーローの物語を製作する活動を続けて来られたという事実だけでも、勇気をくれたというか、自分も頑張りたいと思わせてくれるな、と。
あと、これは個人事なんですが、スタン・リーさんの誕生日が12月28日という事実。ええと、うちの父と同じなんです。
何だか急に親近感が出てきた、と思ったら、もうスタン・リーさんは亡くなった後という話。いや、後からでも彼の伝記なんかが出版されて、その業績について懐古的に勉強できれば、とも考えているわけですが。
ともあれ、スパイダーマンやアイアンマンを始めとするアベンジャーズの面々や、ファンタスティックフォー、XーMENなど数々のヒーローを生み出して、2010年代の自分の人生を豊かにしてくれた巨匠に敬愛と感謝と哀悼の意を捧げたいと思います。