Shiny NOVA&WショーカのNEOスーパー空想(妄想)タイム

主に特撮やSFロボット、TRPGの趣味と、「花粉症ガール(粉杉翔花&晶華)というオリジナルキャラ」の妄想創作を書いています。

小説感想(ファイズ編その他)

 フォーゼ編のおまけで、「クウガ」「アギト」「龍騎」まで感想書いたけど、長くなったので、「ファイズ」以降は記事分け。
 ここでは、「ファイズ」「剣」「キバ」「ディケイド」まで。
 「響鬼」と「電王」は未読なので、また読んだときにでも。

ファイズ

小説 仮面ライダーファイズ (講談社キャラクター文庫)
 これは、以前、井上敏樹氏が書いた『異形の花々』の再録に、後日譚の「五年後」の章を追加したものです。
 最大の改編は、テレビ本編では仮面ライダーデルタとして登場し、悲劇に終わった木村沙耶が、ドラゴンオルフェノクとして暗躍する悪女になったこと。
 それ以外の人間関係は、テレビ版を踏襲して、あまり違和感なく読めます。


 まあ、クレインオルフェノクこと長田結花が、テレビ版以上に陰湿で、サディスティックな内面を持っているように描写されていますが。
 テレビ版の彼女は、普段は気弱で、攻撃的に振る舞うのは、自己防衛的にキレたとき。それに対して、小説版はよりしたたかに描かれ、自分に好意を示す啓太郎の愛情を試すような振る舞いをして、純粋な彼を弄んで楽しむ面が描かれてたり。
 もっとも、そこから啓太郎の裏表のない誠意に触れて、自己嫌悪に駆られたりするなどの心境の変化が、小説版の醍醐味なんですけどね。
 悪女が改心するけど、悲劇に見舞われる……って展開は、後述のキバでも描かれて、小説版の「鈴木深央」の原型が、小説版の「長田結花」かな、と。
 もちろん、役者的には、鈴木深央役の芳賀優里亜は、ファイズのもう一人のヒロイン、園田真理なんですけどね。


 そして、本小説で最もインパクトが強いのは、カイザこと草加雅人の末路。
 テレビでも、木場勇治によってひどい死に方を迎えるんですが、小説では死なずに手足を切断されたダルマ状態にされ、その後、彼にヤンデレ的愛情を抱く木村沙耶によって、監禁飼育されるという展開で幕。


 で、後日譚では、その沙耶がオルフェノクの短い寿命が尽きて死亡。取り残された草加は、食事もろくに取れずに衰弱死したところ、スパイダーオルフェノクとして復活。
 真理を拉致したものの、帰ってきた巧(ファイズ)によって殺される、という末路。
 ある意味、草加雅人のテレビ版以上の外道ぶりを楽しめるなら、お勧めの作品ですけど、「児童書コーナーには絶対に置いちゃいけない」作品であることは間違いないな、と。

小説 仮面ライダーブレイド (講談社キャラクター文庫)
 テレビの本編とは全く違う、未来の異世界を舞台とした話。
 関係あるのは、仮面ライダーシステムと、敵対するアンデッドの設定。
 および、テレビの300年後に生きている、ブレイド(剣崎一真)とカリス(相川始)のみ。
 ギャレンも、レンゲルも、名前の似てる別人が変身する。


 300年も経っていると、テレビ本編のドラマも完全に断ち切られて、地球の歴史も、もはや原型を留めていない……と思ったら、実は「地球ではなかった」というオチ。
 TV本編で出てきたモノリスが、人類を別の星に転移させて、新たに構築した破滅に瀕した設定の世界だったことが最終的に分かって、
 ライダーたちに助けられた若者たちが、希望の地球で新たな生活を始めることになるハッピーエンドで幕。
 とにかく、「仮面ライダーの小説」であることを期待すると外れで、「仮面ライダーの登場する破滅世界からのサバイバル物」というべきか。


 雰囲気としては、「ファイズの劇場版」や「カブトの劇場版」のパラレル・荒廃未来物(悪に支配された世界で、主人公はレジスタンスの戦いを行いながら、世界の支配者を倒して、そこに秘められた謎を解明する物語)と。
 こんな話になったのは、作者の宮下さんが、剣の脚本を4話しか書いてないサブライターで、前半メインの今井氏や、後半メインの會川氏が構築した物語やキャラとは距離を置く形を選択したってことかな。
 重厚でダークな雰囲気はいいけど、それって「ライダー剣」の雰囲気じゃないんだよね。「剣」って割と荒唐無稽で、葛藤を勢いで突っ切るところがあったんだけど、宮下さんの作風は、「真・仮面ライダー」とか「レスキューポリス」とか、「企業とか警察とか、きちんと構築されたリアルな組織とドラマ」だから。

キバ

小説 仮面ライダーキバ (講談社キャラクター文庫)
 これも、テレビ本編とは食い違うパラレル。


 ただし、テレビ同様、「過去編(音也編)」と「現在編(渡編)」の二つが、章ごとに交替する形で描かれ、音也編の方はテレビの物語にほぼ忠実。
 異なるのは現在編で、テレビでは中学生だったヒロイン野村静香が高校生に改められ、彼女の渡に対する恋心が大きな比重で描写されることに。
 世間知らずな渡が、静香のフォローで外の世界に踏み出す流れは、テレビ本編を踏襲してますが、渡がやがて鈴木深央と付き合い出す辺りで、静香の心にもやもやしたものが生まれる、と。


 過去編では、前半「音也と麻生ゆりの関係構築」から、「次郎」「真夜」といった非人間の登場で、恋愛ドラマが複雑化していくのに対し、
 現在編では、渡の異父兄の太牙(仮面ライダーサガ)が登場しないので、「渡と静香の関係」に、「深央」が絡んでいくことに。
 テレビの深央は、最初は自分がファンガイアであることを知らず、「内気で世間知らずな性格」を渡が共感して、ドジな彼女をフォローする形で付き合い始めたのが、途中で、「実はファンガイアのクイーンである」という事実が判明し、キングの太牙も含めた三角関係で悩むヒロインでした。
 小説版の深央は、最初からクイーンであることを自覚していて、ファンガイアハーフである渡を「キング」として覚醒させる目的で、近づいたことになってます。
 そして、キバである渡が、人間の味方をするか、ファンガイア側に付くか、という観点で、両種族の対決をどうするかがストーリーの主軸に。


 そこで、人間側の戦士として登場するのが、イクサこと名護さん。
 テレビの名護さんは、中盤まではキバと対立してましたが、次第にコミカルなキャラと、渡に対する理解と柔軟さを獲得し、最終的には人格的にも丸くなって、「全てのファンガイアが悪ではない」という考えを受け入れて、ハッピーエンドを迎えます。
 でも、小説の名護さんは、「全てのファンガイアを滅ぼさなければならない」というスタンスを徹底しており、深央を殺害した挙句、キバに倒されるという末路。


 で、その深央さんですが、テレビ版では迷走していたものの、小説版では「長田結花」のように、純粋な渡を騙していたことを悔やんで、渡に真実を伝えようとしたところ、イクサに殺されるという結果に。


 この辺の悲劇を味わって、「ダーク化」しそうになった渡が、最後に人間性を維持する流れが、本作のポイントかな。
 テレビよりも筋が通った流れで、パラレルでも面白く読めた作品。

ディケイド

小説 仮面ライダーディケイド 門矢士の世界~レンズの中の箱庭~ (講談社キャラクター文庫)
 これも、やっぱりパラレル。
 ええと、ディケイドという作品が、「平成ライダーパラレルワールド(電王除く)を旅するディケイドの話」なんだけど、
 ここでは、「ディケイドそのものが、パラレルなキャラになってて、描かれる平成ライダー(電王、クウガ、カブト)の世界が本物風になってる」本編とは鏡のような作品です。


 正直言って、主人公の門矢士のキャラが、テレビとは違って、自信に満ちてない。
 すごくコンプレックスな塊な主人公になっていて、それが異世界で何らかの役割を演じてるときだけ、自信に満ちた態度を取れる、という形に。
 だから、それぞれの世界で事件解決している章は楽しんで読めるんだけど、自分の世界に戻ってくると、妙にうじうじしていて、ガッカリさせられる。
 ええと、「ゲームの中では世界を救う勇者」だけど、「現実ではダメ人間」って感じなのかな。
 この士のギャップが、どうも受け入れられず、読後感は微妙でした。


 テレビのディケイド本編は、「仲間との絆があれば、旅は続くよ、どこまでも」ってラストだけど、
 小説版の士は、ユースケもいないし、鳴滝の部下だった海堂も倒しちゃったし、夏みかんも幽霊みたいだし、孤独な感じ。
 むしろ、「平成ライダーの本来の世界を救うために、自分を犠牲にした」ように見えるんですな。


 ともあれ、小説版ディケイドは、もう一回読んで、考えないといけないかも。前に読んだ記憶も、だいぶ抜けてるし。