う〜ん、ここまでいろいろ書いてきて、書き方のスタイルが見えなかったりしてました。
書きたいネタはあるのに、レシピ(書き方の順番)が分からなくて、とりあえず大雑把に分類しながら手がかりを模索してきた形。
で、どうしようかと思って、結論。
自分が一番得意だと思っている考察スタイルは、「年代順に追っていくこと」。年表って好きだしね。
ということで、年代順に「遺跡」の登場する作品を追ってみようと思った次第。
ただし、自分がピンと来る作品は、『ゴジラ』以降の東宝特撮映画がスタートとなりますね。だから、まずは、その辺から。
当初は、遺跡よりも、秘境探検がメイン
で、ざっと映画年表を調べてみると、自分の過ちにいきなり気付く。
冒険といえば、「古代遺跡に入って、お宝探し」というイメージで考えがちですが、それがアクション映画の主流になったのは、インディー・ジョーンズの『レイダース(81)』からになるのかな、と思ったり。
古代遺跡に焦点を当てている作品ってのが、50〜60年代はなかなか目に付かないのであります。
代わりに目に付いたのは、遺跡ではなく、南洋の島とか、未開のジャングルとか、そういうの。当時はまだ、洞窟なんかに潜らなくても、地上に十分、探検する場所があったんだね、と実感。
考えてみれば、『ロストワールド(25)』や『キングコング(33)』だって、そうじゃないか。そもそも、映像効果からしても、暗い穴に潜ってトラップと奮闘するよりも、広い原野で巨大な獣に襲われる探険家の姿を描く方が絵になりやすいです。
ということで、東宝怪獣映画なんかも、しばらくは遺跡とか古代文明とは関係なしに、古い風習を残した島とか、秘境みたいな田舎の村が舞台になりがち。
『ゴジラ(54)』は、水爆とか戦争の影が濃厚だけど、同時に「大戸島に伝わる伝説の怪獣」だし、
『大怪獣バラン(58)』も、東北地方の、当時はまだ秘境だった地域で祭られている婆羅陀魏さまだ。
別に、遺跡の中に眠っていたわけじゃない。いや、まあ、「大戸島」とか「北上川上流」みたいな秘境が、冒険の舞台として、遺跡みたいな役割を果たしていたのだろう。
その後、東宝特撮年表を見ると、科学と宇宙開発の時代に入っていくので、遺跡というキーワードには関係してこない。
でも、いろいろチェックして、ついに、古代文明に関係した作品に行き当たった。それは……
海底軍艦(63年)
敵がムウ帝国ですよ。古代文明ですよ。遺跡です……って、ん? ムウ帝国、滅びてないじゃん? 映画の最後に滅びちゃうけど、劇中ではまだ遺跡になってないよなあ。
神と崇められている龍マンダとかは、モスラやバラダギ様の属性を受け継いでいるよね。ええと、未開の原住民達が怪獣を守り神として祭ったり、踊ったりしているという意味では、結局、秘境探検の方向性ですよね。
「滅びた文明と思われていたのが、実は生き長らえていた」という方向性は、遺跡とはつながりそうで、つながらない。何だか、自分自身がさ迷いながら「遺跡探しの旅」を続けているような気になってきました。
ただ、この作品で一つ印象的なのは、「滅びたはずの文明」とはムウ帝国だけではない、ということです。実は、海底軍艦・轟天を建造していたのは、大日本帝国海軍ということで、当時は「滅びた国の勢力」。つまり、遺跡に眠る巨大な力とは、マンダではなく、轟天だった、という解釈も成り立つわけです。
つまるところ、轟天は俗に言うオーパーツに相当する超兵器なんですな。
そんな轟天の子孫といえば、旧帝国の作ったオーパーツ的超兵器という意味では、鉄人28号や、メタルダーも捨て難いのですが、
ちょっと「遺跡」というイメージを持ちません。何だか、科学の申し子という感じなので、新しさは感じても、まあ、今の時代だとレトロっぽさはあっても、作品発表当時は斬新だったと。
遺跡という言葉には、何だか「滅びた何かへの哀愁」といった感覚が欲しい。
そう思ったところ、あったじゃないですか。
旧日本軍の建造した戦艦が、地球の危機に際して、最新鋭の科学的装備を施され、海から空に飛び立つ。ヤマトと轟天には相通じるイメージが備わっています。そして、ヤマトの場合は、海が干上がり、火星のように赤い大地と化した地球に埋まっているアニメ版の姿が、まさに遺跡。そこから、地面を割って、発進する雄姿は、まさに「遺跡から蘇りし巨大な力」という意味で、本記事のテーマにふさわしいな、と思ったり。
PS:遺跡について書こうと思って、まさかヤマトに話が伸びるとは思わなかった。発掘宇宙船なら、当然、「マクロス」や「イデオンのソロシップ」を書くことになるとは思っていたけど。
でも、何とか、書きたいエッセイの方向になってきて、満足。
PS2:次は、円谷系にも触れる予定。