予想を外しました。
M事件が起こらないままに終結。
視聴者サイドとしては、「M(怪獣)出なかったやん。期待外れ」という感想を持ったりもするのですが、それを問題の人物・防衛庁の氷室にセリフで語らせることで不満解消に成功しています。
「心残りは、出向中にM災害が発生しなかったことですね。皆さんのプロフェッショナルな仕事ぶりを、間近で拝見できなくて、残念です」
要するに、視聴者の感じるであろう気持ちを予想して、それを先回りして、キャラのセリフで語らせれば、仮に視聴者の期待する展開にならなかったとしても、製作者はきちんと分かっているんだなあ、と伝えることができるわけで。
期待をいい意味で裏切るってのは、こういうセリフでの配慮(フォロー)があってこそだなあ、とか、そういうことができてこそ、プロのドラマ作りの仕事だ、と感じたりも。
で、M事件が起こらなかったら、代わりに何を見せたか、と言うと、
主人公ミカヅキさんの微妙な女心とか、防衛庁と気象庁との軋轢とか、もう一人の主人公さくらの傍若無人な振る舞いが、嫌味キャラの氷室とのコントラストで妙な緊張感をかもし出しているところとか、M災害以上に地味ながらテンションの高いドラマを見せてくれたわけで。
さらに、仕事重視のキャリアウーマンで、とっつく隙を見せないミカヅキさんが、私生活では寂しさを感じている姿も見せ、そこに絶妙のタイミングで「キザだけど、いい男ぶりを示す氷室」との絡みも交え、昔のアニメで言うなら『めぞん一刻』の響子さんと三鷹さんの関係を想起したりも。いや、細かいキャラ設定は全然違うんだけどね*1。
この氷室の描写、前回は気特対に対して挑発的な発言も見られたけど、今回は黙々と自分の仕事をこなし、距離をとって打ち解けないまでも、わざわざ攻撃的には振る舞わない。むしろ、攻撃的なのはさくらで(これはいつものこと)、それをうまくいなしながら、自分のポジションを崩さないクールぶりが逆に心憎い、と。
そして、いつ攻撃に出るか、とドキドキさせたところで、出向最終日に「気特対と直接、接することで、皆さんの仕事の大切さや大変さを知ることができました。いい勉強になりました」とさわやかに別れを告げる。
さらに、残業で居残りしているミカヅキさんに、スイーツの差し入れを運んだり、その後の会話で、「ぼくは防衛庁という立場上、君たちの方針とは違うかもしれないが、決して敵対はしたくない」と大人なりの状況分析と、感情吐露を示しつつ、格好良く去ったりします。
見ていると、「あ、何だかいい人だったかもしれない」と、心に余韻を残して。
で、最後のオチ。
「皆さんとの仕事がいい勉強になったので、上層部に頼んで、今後も出向させてもらうことになった。今後ともよろしく」
去り際が格好良かったので、余韻を残した、と思ったら、出戻ってきたことに呆れ、「ふざけるな」とつぶやくミカヅキさん。
何というか、「ヒロインにモーションをかける美形が、去ったと思いきや、また帰ってくるオチ」でつづく、のは80年代の学園ラブコメマンガなんかでよく見られたパターン? と思い、なつかしい気分に駆られた話でした。