月曜が祭日なので、久々にリアルタイムで視聴できました。
で、そろそろ生活リズムを朝型に切り替えないといけない時期……ということも見越して、早めに料理しておきます。
この回は、22話の京極センセの回の脚本家、辻良さんの話。
その出来はどうか? と尋ねられたら、正直、微妙な評価と言えます。
いや、悪い話ではないんですよ。被害者の娘のドラマも、その母親が実は悪女で、という商売人に多いどんでん返しも、サブタイトルどおり、主水と、それから正八を中心にした絡みも、うまくできていて、佳作の部類には入ると思います。
ただ、逆に言えば、「この話ならでは」という売りが少ない。
まず、このサブタイトルですが、21話と似たような流れなんですね。そして、同じような話なら、あちらの方が熱くて、緊迫感も高かった。
ええと、どこが同じかと言えば、「悪事に関わる娘と男(21話では恋人で、本話では父親)。彼らを役人として見咎めて捕らえようとした主水さんが逆に陥れられ、悪徳役人(21話では過失致死、本話では痴漢行為)の汚名を着せられることになる。その後、娘は愛する男がひどい目にあったことを主水のせいと逆恨みし、その命を狙うけれども、主水は優しく事情を説明してやり、真の悪人の存在を示唆する。娘はその後、真の悪人の正体を突き止めるが、悪人の手にかかり、死ぬ前に商売人に仕置料を託す……」
こんな話ですね。
ただ、21話の方は、奉行所全体を敵に回す盗賊団の陰謀とか、商売人仲間の不信とか、主水の怒りとか、とにかく話が大掛かりで熱い。
こちらの方は、2番煎じということを抜きにしても、悪人の規模がよくある大店の乗っ取りでしかなく、新次やおせいがドラマにほとんど絡まず、ラストの主水の殺しが(せっかくトリをもらったのに)地味だったり、比べてみると欠点が目立つ。
ただし、見どころがないわけではありません。
フォーマット的には、後期の仕事人のプロトタイプを思わせますね。主水の殺しがラストであると共に、主水が嫁姑に嫌がらせを受けて終わる展開は、商売人よりもむしろ仕事人。
そして、帯を自在に操り、宙返りして悪人の首を刺すアクティブな新次の殺しは、後の橋掛人・柳次や、かんざしの秀を思い出すほど、派手な殺陣。
おせいの方は、若干、地味かなあ、と思いました……が、彼女の場合、前回の殺しをネタにすべきでしたね。占い師に対して、「卦は凶」と言ってみせるのは、仕切人のお国の原型にも見えたり。
トリを飾った主水さんは、娘を裏切った母親を静かに殺します。静かすぎて怒りが伝わらない。せめて、一言ぐらいセリフが欲しかったです。まあ、ドラマで母親の方に絡まなかったのもありますが。
今回の話で、最も不満なのは、商売人チームが殺しのシーンを除いて悪人と全く絡むことがなく、情報収集も正八が走り回っていただけという点。
何だか、役者が集えない事情でもあったのかなあ、とも穿ってみたり。
それでも、娘に対する主水の優しさ(自分が陥れられたことは気付いていても、娘の事情を察して、事を荒立てようとしなかった)が描かれていたのは、OKです。自分が行動できない状況でも、正八をうまく使って、仲間と連携を取りながら悪を暴く智謀ぶりもあって、主水さんの魅力が堪能できるという意味ではマル。